石野富志三郎の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(石野富志三郎君)(手話通訳) おはようございます。全日本ろうあ連盟の理事長の石野でございます。
 本日は、聞こえない者を代表して意見を述べる機会をいただき、大変うれしく思っております。
 まず、改正法案について意見を述べさせていただく前に、障害者の雇用政策は、厚生労働省労働政策審議会、この障害者雇用分科会で主に話し合われておりますが、身体、肢体不自由あるいは視覚障害の団体の委員はいらっしゃいますが、聴覚障害者当事者の委員がおらず、これは常々お願いをしているところではございますが、バランスよく身体障害者の意見を吸い上げていただくためには、聴覚障害者の当事者団体からも是非とも委員として加えていただきたく、貴委員会からも後押しをしていただけますようお願いいたします。
 次に、皆様のお手元に資料をお配りをしております。
 一つ目が、地方自治体における聴覚障害のある職員の雇用等に関する実態調査報告書です。これは、社会福祉法人全国手話研修センターと聴覚に障害のある公務員の全国組織であります日本聴覚障害公務員会が共同で、二〇一六年八月から全国の地方自治体を対象にアンケート、訪問調査などを行ったものでございます。
 聞こえない立場では情報保障が不可欠ですが、報告書によれば、一対一の会話でなく、会議や研修時に情報保障がなされていないというふうに半数以上の回答者から声が寄せられています。これは民間にも共通する課題でありまして、管理者の配慮欠如によりチーム作業における聴覚障害当事者の能力発揮が妨げられている例ではないでしょうか。
 二冊目が、聴覚障害者の雇用や職場定着を目的として、そのノウハウを分かりやすくコミックにしたものです。さっきの報告書とともに、お時間のあるときにお目通しいただけますようお願いいたします。
 さて、今回内閣に提出されています障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案についてですが、昨年の国家公務員の障害者雇用の水増し問題発覚以来、国会及び行政では障害当事者の意見を聞きながら迅速な対応をしていただいていることは重々承知をしております。基本的には、今回の改正案に対しては評価をしております。国や地方自治体が自ら様々な対策を義務付け、透明性のある内容を目指しているということは大きな前進というふうに受け止めております。
 あえて申し上げるとしたら、近い将来、民間もこの仕組みを適用することで障害者にとっての働きがいのある職場環境につないでいただけたらと願ってやみません。
 それでは、配慮いただきたい点を述べさせていただきます。
 一つ目が、国や地方自治体において義務付けになっておりますが、その雇用においては大きな割合を占める民間において、障害者雇用推進の選任が引き続き努力義務となったままです。これは、障害者雇用の促進をするものです。積極的に民間でも障害者が採用されるよう改善いただければと思っております。
 二つ目に、短時間の特例給付金制度の新設について。現在も働ける場や時間が制限されてしまう聴覚障害者以外にも、他の制度を併せ持つ、また重複聴覚障害者の職場拡大のきっかけになってほしいと思います。
 次に、三番目、中小事業主に対する認定制度の創設です。民間企業の多くを占める中小事業主の中には障害者雇用に積極的なところもあり、その中には聴覚障害も含まれると考えられます。手話通訳や要約筆記などの合理的配慮の提供による好事例を紹介し、聴覚障害の職場拡大に生かしてほしいと思っております。
 四番目、次に、現在の聴覚障害者の就労に関する問題を幾つか述べます。
 公的な就労の情報保障制度としては、ハローワークに設置されている手話協力員制度、高齢・障害・求職者雇用支援機構による手話通訳担当者の委嘱助成金という制度があります。
 手話協力員は、聴覚障害者の求職相談、職場定着指導までのハローワーク職員の手話通訳を担いますが、手話通訳という高い専門性、知識が必要とされるにもかかわらず、交通費なし、実働時間一時間二千九百五十円、移動時間も含まれないという現状で、その時給は十年間も据え置かれたままになっております。
 事業主へ一部補助する手話通訳担当者委嘱助成金で職場へ手話通訳を派遣することができますが、実際の活用例は少なく、また、十年の期限があるなど課題が多く、使い勝手の悪い制度となっています。
 以上のように、現制度では不十分であり、聴覚障害者が障害のない人と同様に職場で能力を最大限発揮できない一因となっております。
 また、我が国では、障害者基本法で手話は言語であると規定しておりますが、手話通訳者の待遇が悪く、通訳が不足しているため、聴覚障害者の環境が十分整わずに、社会的な地位向上につながらない要因になっていると思います。
 私、六年前にイギリスに視察に参りました。目的は、情報コミュニケーションに関しての調査でございました。イギリスの場合は、一九九四年、新しい法律ができました。手話通訳電話リレーサービスの整備、備品購入等の費用を負担する制度があります。これは、民間事業主に対する手厚い財政支援となっております。合理的配慮の提供につながっております。また、フィンランド、ノルウェーでは、国の行政機関も含めて障害者雇用を積極的に、今の制度で、新しい、ほかにも同じように制度が諸外国では整っております。
 五つ目に、周知徹底について。合理的配慮の提供の環境のないまま、自助努力では解決し切れないコミュニケーションに苦悩する聴覚障害公務員がいるのが現状です。今回の改正障害者雇用促進では必ず周知徹底され、聴覚障害者が働きやすい環境整備をされますようお願いいたします。
 就労場面に限らず、他の場面でも課題は共通しており、合理的配慮の全面的な法的義務化による量的な促進だけではなく、国、行政による財政支援や意識啓発、合理配慮提供に関わる支援者の専門性の向上を通じた、全方位的な合理的配慮の質的な向上を図っていただけますようお願いをいたします。
 もう一つ。聴覚障害者の公務員の方で、試験を受けられて、幾つかの試験を合格され、そしてある省に入職ができました。その公務員の方の例です。聞こえにくい方で、悩みを持っているということでお話をいただきました。全文は御紹介できないんですけれども、かいつまんで御紹介いたします。
 三十歳頃まで仕事は順調に進められていました。係長まで昇進をし、いろいろと理由があって降格になってしまいました。その後、仕事が与えられずに精神的にも悩み苦しみ、結局、公務員を辞めてしまったという方です。そういった方のお手紙をいただきました。またお時間があれば、御紹介させていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 石野富志三郎

speaker_id: 30123

日付: 2019-06-04

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会