佐藤伸一の発言 (厚生労働委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(佐藤伸一君) 日本労働組合連合会岩手県連合会の事務局長をしております佐藤でございます。
 本日は、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等改正案の審議の場に参考人として意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げます。
 最初に、私ども連合は、子育てをしながら働く組合員、また、教育や保育の現場、児童相談所や自治体で働く組合員も多くおります。安心して子育てできる環境、児童虐待のない社会を目指して全国で取組をさせていただいております。
 お手元に資料をお配りさせていただいておりますが、この連合の児童虐待のない社会の実現に向けてというのは、連合は、児童虐待の防止の強化、対応の改善、虐待を受けた子供の居場所づくりや心のケアといった、入口から出口まで全ての段階においてのアプローチが重要ということで、これは全国各地での討論や、あるいはブロックでの討論、あるいは産別での討論、そういったことなども重ねながらまとめさせていただいたところでございます。
 今回の法案につきましては、各先生方が熱心な御議論の中で、修正などもあってでき上がったものというふうにお聞きをしております。その中で、私ども連合が考えておりました中身についても何点か、一定程度お含みをいただいたということで、感謝を申し上げます。
 法案審議の最中にも痛ましい事件がございました。このようなことを繰り返さないためにも、連合としましては次の三点の事項が重要というふうに考えております。
 まず一点目でございますが、防止対策の強化といたしまして、子育て世代包括支援センターの市町村単位での必置化等による保護者への相談支援体制の充実や、体罰の禁止が必要だというふうに思っております。それから、相談対応の強化といたしましては、児童相談所の職員のキャリアアップや人事の仕組み、研修体制の拡充、検討が必要であろうというふうに思っております。三点目は、里親制度等の充実や母子生活支援施設等の活用、施設を退所した児童の自立支援の強化といった社会的養護の推進、そして虐待を受けた子供や虐待に至った保護者の心のケアあるいは支援の継続的な実施が必要と考えております。これらについては、引き続き連合としてお願いをしてまいりたいというふうに思います。
 さて、私は、連合岩手の事務局長に就任前十年間、岩手県の職員として児童相談所で主に虐待を担当する部署で仕事をさせていただきました。また、その間、自治労の福祉事務所・児童相談所部会というのがあるんですが、そこの部会長も何年かさせていただいて、全国の仲間と共にいろんな課題について話し合い、厚生労働省さんとも何度か話合いを持たせていただく機会などもございました。それらについて私の立場から申し上げさせていただきたいと思います。
 まず一点、児童虐待対応の現状でございますが、これまでも重大事案が発生しますとその都度国からの通知を頂戴しておりますし、先生方の御議論で児童福祉法、児童虐待防止法の改正なども重ねられてまいりました。
 御承知のとおり、毎年国から公表されます子ども虐待の死亡事例等の検証結果等についてというのがございます。昨年八月に第十四次報告が出されておりますけれども、その中では、全国の死亡事例の検証が行われ、そして、毎年必ず地方自治体への提言、そして国への提言ということが指摘をされております。例えば、妊娠期から支援を必要とする養育者の早期把握と切れ目ない支援の強化でありますとか、乳幼児健診未受診の家庭の把握と対応、関係機関の連携及び適切な引継ぎによる切れ目のない支援、リスクアセスメントの実施と評価など、本当に様々な視点から提言がされているわけであります。
 その中で再三、繰り返し指摘されてきたことが、市町村及び児童相談所の相談体制の強化と職員の資質向上というものがございます。
 児童相談所の体制強化については、これまで地方交付税の算定を改善していただきましたり、児童相談所強化プランなどを打ち出していただいて、児童福祉司の増員が図られてはまいりましたが、しかし、現場の実感としては、残念ながら毎年過去最高を更新する虐待件数の対応には追い付いていなかったのではないかというのが現状かと思われます。また、児童福祉司の増員を図りたいと現場が思っても、これは、地方自治体としては、財政当局そして人事当局の理解がなければ、通常の行政職の人事ルールではなかなか増員というのは難しいというのが一般的かと思われます。
 また、御承知のとおり、都市部では児童相談所児童福祉司の一人当たりの担当ケースが百件を超えると、先日も百数十件という報道ございましたけれども、そういう状況でございます。常に百件のケースを抱えていて、そこに毎日新しいケースが通告で三件、四件来る、そういう状況では、先ほど申し上げた提言でいっぱい書かれていても、それをやりたくてもなかなかそのとおりにやることは難しい。それから、緊急対応についても、迅速かつ的確にというふうに言われておりますけれども、そうしたくてもなかなかできない。あるいは、関係機関連携が重要ということは知りつつも、学校、警察、医療機関などとじっくりと連携するための時間を割くことができない。加えて、施設入所や里親委託となった子供たち、どうしているかなと気になることはいっぱいあるわけですけれども、なかなか会いに行ってゆっくり話を聞くというような、そういう余裕がまずないというのが現実ではないかというふうに思っております。
 一人当たり何ケースがいいかということについては様々御意見あろうと思いますけれども、私がこれまで研修会等でお聞きした先生方のお話をお聞きしますと、欧米では一人当たり二十ケース、あるいはお隣の韓国でも二十ケースぐらいというふうにお聞きしているわけですが、大変羨ましいなというふうに思った記憶がございます。これまでの増員の方法ではもう対応し切れないのではないかなというのが私の実感でございます。
 また、ここ数年で児童福祉司の増員図られている児童相談所、大変多うございますけれど、新採用ですとかあるいは経験のない若い福祉司が配置をされる例が多くなっております。国による研修は横浜にございます子どもの虹情報研修センターさんで担っていただいておりますが、専門の人材を育成するためにも研修機会の拡充をお願いしたいというふうに存じます。
 一方、市区町村でございますが、非常勤の家庭相談員さんが本当に夜討ち朝駆けで献身的に活動しておられるという方も私たくさん存じ上げておりますけれど、子供の命を守る仕事、あるいは人の一生に関わる仕事でありながら、月額十数万円の報酬、それから研修機会もほとんどないというような市町村もあります。市町村の体制強化のためには、そういった研修等も含めた処遇の改善というものも是非必要だというふうに考えております。
 二〇一六年の児童福祉法改正で、子育て世代包括支援センターの全国展開、子ども家庭支援拠点の整備、要保護児童対策地域協議会への専門職配置の義務化などが図られておりますけれども、全国的にはまだ道半ばという状況ではないかなというふうに思っております。
 児童虐待の発生予防のためには、市区町村による従来からの母子保健や子育て支援活動を含めて、若い保護者の方、頼れる家族がいないという若いママ、パパ、それから経済的、精神的問題を抱えているような、そういった保護者の方々に寄り添った支援が重要であるというふうに考えております。
 最後に、私、労働組合の立場で上がっておりますのでその立場で申し上げますが、地方、都市部を問わず、正規雇用では、長時間労働、過酷なノルマ、パワハラといった、いわゆるブラック企業が蔓延をしております。非正規雇用では、年収二百万円以下の低賃金、そしていつ首になるか分からない不安定雇用ということが問題となっております。御承知のとおりでございます。子供の貧困や児童虐待に関わっている方々とお話をしますと、子育てをしている保護者の働き方が良くならなければ、あるいは、若いパパ、ママやシングルで子育てを頑張っている方々が大事にされる社会じゃないと虐待は減らないよね、貧困は減らないよねという話にいつもなるところでございます。
 子供食堂や子供の居場所づくり、あるいは一人親への支援など、多様な活動が地方でも活発になっておりますが、それらの活動に対する御支援も今後引き続きお願いを申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 119814260X01720190613_009

発言者: 佐藤伸一

speaker_id: 16909

日付: 2019-06-13

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会