平山洋介の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(平山洋介君) 御質問ありがとうございます。
まず、重要なことは、御指摘いただきましたように、世代間の差というものが現象としてはっきりあるということはまず重要だと思っております。
今お話しいただきましたように、かつては、日本の住宅政策は、ほとんどの人に家を買ってもらってそれで中間層社会をつくっていこうということでやってきたんだと思います。七〇年代、八〇年代は、もう御承知のように、いろんな世論調査で日本では八割、九割の方が自分は中間層であるというふうにお答えになっていて、その背景には、持家を持っている、あるいは近い将来家を買えるだろうという見込みがあったということだと思うんですね。
しかしながら、今新しい時代になってきまして、成長率が落ちているということと人口の変化もありまして、若い世代で持家率が下がってきているという状況であります。それは、世代間の差というのは現象としてあるのですが、やはり世代の中で大きく違うのが、これは階層間の差だという指摘を御紹介いただきました論説でしたわけです。
例えば、先ほど私がお話ししました中で、ライフコースを見るときには家族と仕事と住宅の三つの指標で見るべきだというふうなお話をしたのですが、若い世代のいろんな統計を見ていきますと、結婚と正規雇用と住宅ですね、これ、持っている人は三つとも持っているんです。ない人は三つともないわけですね。ですから、若者全員が、前の世代に比べて若者全員が非常に困っていると、統計で見ると困っている人が増えているというふうに見えるんですけれども、重要なことは、若い世代の中で三つとも持っている人と三つともない人に分裂してしまっているという状況も見る必要があるんだろうというふうに思います。
再分配政策が必要だと申しますのは、今日お話しさせていただきましたように、日本の住宅政策の大きな特徴として、マーケットで何とかするということと、あとは家族で何とか、困っている人がいたら家族で何とかしてくださいという政策だったのですが、やはり私は、再分配的なことを考えるには政府の役割がここで見直されるべきだろうというふうに思います。
経済が成長していた時代、六〇年代、七〇年代辺りですと、マーケットをメーンでやっていっても、所得も上がりますし、家を買っても資産が増えますし、住宅ローンを組んでもインフレですと借金の価値が減っていきますので、今に比べると住宅ローンの負担というのは、当時から重かったですけど、今に比べると大分ましなわけですね。しかしながら、低成長の今、デフレかディスインフレの時代になりますと、マーケットに任せておくだけではなかなか厳しい時代になってきているのではないかなというふうに思います。
それから、今マーケットでなかなか住宅困窮を克服できないということになってきていまして、そこで出てきているのは家族の役割の重要さということですね。
御紹介しましたように、家庭、親御さんと同居している未婚の若者が非常な勢いで増えていて、これが社会問題にならないのは家族の中で何とかやっているという状況があるわけですが、本当にそのままでいいのかどうか。あるいは高齢者にしましても、家族で何とかしてくださいというようなことがあるとも思うんですけれども、それでいいのかどうか、それでそのやり方はこれからも続くのかどうかということが大事かなと思いますし、また、世帯内単身者の、今日御紹介しましたけれども、今新しい問題になってきていますのは、世帯内単身者の方がだんだんだんだん年齢が上がってきていまして、かつては、二十歳と四十五のお父さん、四十五の御夫婦のところに二十歳の子がいるという関係が、今だんだんだんだん上がってきまして、五十と八十とかですね、フィフティー・エイティーという言い方しますけど、五十と八十の家族が増えてきているということで、そこで何とか社会問題を包んじゃっているわけですけれども、それがいいのかどうか、そのやり方が続くのかどうかということが見直されるべきであろうと思います。
繰り返しになりますが、私は、もう一度政府の役割というものが重要だということを見直すべきではないかなというふうに思っておりますし、また、まだいいですかね、もうちょっと。日本でもう一つ大きな特徴は、住宅が政治上の争点になったのは昭和三十年頃、一遍あったんですけれども、本当に家がなかったものですから、最近住宅が政治上の争点にならない、なった形跡が余りないわけです。それは、住宅というのは家族で何とかするものだ、あるいは家は自分で買うものだというような意識が非常に根付いてきたからだと思うのですね。
しかしながら、今、親の家から出たくても出れない若い人たちも増えています。高齢者の二割の方は賃貸住宅で非常に苦労されているという状況があるわけでありまして、やはり、住宅が実はプライベートな問題ではなく社会的な問題なんだということをやっぱりもう一度認識すべきではないかと思いますし、また、政治上の争点、話題にもしていただけたらと思いますし、昨年か一昨年でしたか、ドイツの国政選挙見ていましても、五つの課題のうちの一つが住宅問題でしたし、ロンドンでも住宅は大きな争点になっていますし、日本でももう一度社会的な問題として取り上げるべきではないか、家族の問題としてやっていけるのかどうかということを考え直す必要があるんじゃないかと思っております。
以上です。