松本武洋の発言 (内閣委員会)
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○参考人(松本武洋君) ただいま御紹介いただきました和光市長の松本武洋です。
本日は、参考人として意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
私は、全国市長会の子ども・子育て検討会議の座長を務めさせていただいている立場から、今回の子ども・子育て支援法改正案について思うところを述べさせていただきます。
A4判の資料を二枚用意しておりますので、これに即してお話をさせていただきたいと思います。
まず初めに、この法案につきまして大きく五点述べさせていただきます。配付資料、枠囲いの部分でございます。
まず、私は、今回の幼児教育、保育の無償化という大きな方向性、それ自体につきましては望ましいと思っております。総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図ることにより、全ての世帯にとって人間の成長の重要な時期である幼児期の教育、保育というものが利用しやすくなることから、今回の法案については基本的に賛成の立場でございます。
二点目は、幼児教育、保育の質の確保、向上でございます。
子供たちの命を預かる市町村の現場では、何よりも子供たちの安全の確保が最優先となります。今回の無償化に当たっては、安全の確保を大前提として、国や都道府県とも連携協力する中で、これまで以上に幼児教育、保育の質の確保、向上に取り組んでまいります。
三点目は、法案の早期成立のお願いでございます。
施行日が迫る中、当市の三月議会においても、無償化に伴う財政的影響のほか、経過措置期間中の認可外保育施設の範囲に関する質問もございました。やはり自治体としては、準備期間が非常に短いことから、法案の早期成立を強く要望いたします。
四点目は、法案に引き続く政令、省令等の早期公布でございます。
十月施行ということで、市民や事業者への周知期間を考えれば、遅くとも六月議会に関係条例を上程することが望ましいと考えています。その際、法案成立後に政令、省令等が公布されるのを待ってから動かざるを得ない部分が多くございます。このように、市町村においては、非常に短い準備期間の中で、条例、規則等の整備、利用者等への周知やシステム改修等、相当な実務上の準備が必要になるため、とにかく法律、政令、省令等を速やかに確定させていただきたいと思います。
五点目に、制度設計及び今後の運用において、現場である市町村の意見を十分に反映していただきたいということです。
今回の無償化に当たっては、昨年十二月、認可外保育施設の質の確保、向上を始めとする無償化に関する様々な課題について、PDCAサイクルによる国と地方の幼児教育の無償化に関する協議の場が設置されています。この協議の場での議論等を踏まえ、今後とも市町村の意見を十分に反映していただくことをお願いいたします。
以上が法案に対する基本的な立場でございます。
その上で、ここからは、国と地方のこれまでの協議の経過や今後に向けた課題等について意見を申し上げます。
まず、これまでの経過でございます。
政府が正式に幼児教育、保育の無償化を行うという方向性が示されたのは、平成二十九年十二月の新しい経済政策パッケージでございました。その後、有識者の検討会や昨年六月の骨太の方針二〇一八において無償化の具体化が進められてきましたが、昨年十月に至るまでの間、財源論を含む制度の全体像について、現場を預かる私ども市町村には何らの説明等もない状態が続いておりました。
その後、急遽、国と地方の協議が重ねられることとなりましたが、平成三十一年度の予算編成期限が迫る中で、明らかになっていく自治体の負担の大きさに全国市長会の中でも非常に大きな戸惑いと強い反発があったことは、これまでの報道でも御存じかと思います。
最終的にはある程度の地方の意見が取り入れられたという点において一定の評価をしたいとは思いますが、政府の考える無償化の全体像が確定したのは昨年十二月末であり、施行まで一年を切った時期となったことについては現場にとって非常に厳しい日程であったと言わざるを得ません。
地方分権の観点からも、政策形成過程において財源論、方法論共に地方との協議がなかったことは誠に遺憾であり、今後、地方に関する政策立案の際には十分に地方の意見を尊重し、合意形成の上で施策を遂行することを強く要望いたします。
次に、幼児教育、保育の質の確保、向上でございます。
私は、今回の法案については、無償化と並行して幼児教育、保育の質の確保、向上に向けた取組が行われることが前提であると理解しております。
今回の無償化の対象には、認可外保育施設等が含まれています。これは、待機児童が多い地域でやむなく認可外保育施設等を利用されている方々がいらっしゃるという事情や子育て世帯間の公平性というものを考えれば、致し方ない面があろうかと思います。
しかしながら、法の施行後五年間は指導監督基準を満たさない施設であっても利用すれば施設等利用費を受給することができるという経過措置については、全国市長会での議論においても、子供たちの安全の確保という観点から強い懸念が出されました。
そのような自治体の懸念の声を踏まえ、市町村が定める条例によって経過措置期間中の無償化の対象となる認可外保育施設の基準を定めることができるとの内容が設けられております。この規定については、地域ごとに様々な保育需要、待機児童の状況があるということを前提に各自治体の判断で対象施設の範囲を決められる内容であり、地域の実情に応じて質の確保、向上を図ることが可能になるものと理解しております。
さらに、経過措置については、法施行後二年後の見直しに向けた検討規定が設けられております。法案全体についての施行後五年後の検討規定も含め、それぞれの時点において具体的な達成イメージを持ち、質の確保、向上に向けた取組を推進していくことが必要と考えています。
私は、幼児期が人間の成長過程において極めて重要な時期であることを踏まえれば、これまで自治体が国と共に進めてきた認可保育施設での受入れ拡大を進めていくことが目指すべき方向だと考えています。国においては、認可化を推進する自治体の後押しとなるよう予算確保や取組を講じていただきたいと思います。また、認可外保育施設等が速やかに指導監督基準を遵守し又は認可施設への円滑な移行が図られることが重要であることから、国においては必要かつ十分な支援をお願いいたします。
あわせて、認可外保育施設等の実態を正確に把握し、児童福祉法に基づく届出の適正化を図るとともに、市町村と都道府県が認可外保育施設等の情報を速やかに共有するための仕組みを構築するようにお願いいたします。
続いて、円滑な実施に向けてでございます。
今回の無償化は、保育サービスの利用者によって対象サービスが異なります。施行までの準備期間が短いことからも、国や都道府県において国民、市民が理解しやすい資料を作成、掲載いただくなどの対応を行っていただきたいと思います。
また、法案により新しく創設される施設等利用給付は原則として償還払いになると承知しておりますが、個々の市民からの領収書を収受し取りまとめるという作業は、自治体にとっては非常に事務コストが大きいものでございます。短い準備期間の中、円滑に無償化を実施するためにも、市町村の事務負担に配慮した制度設計とするとともに、国においては、幼児教育、保育の関係団体等に対し円滑な実施に向けた協力等を要請していただければと思います。
もう一つ、大きな課題となるのが待機児童の解消であります。
今回の無償化が潜在的な保育ニーズを掘り起こすのではないかとの懸念の声がございます。国においては、無償化に伴う保育需要への影響を見据え、待機児童の解消に向けて更なる処遇改善や研修の充実等による幅広い保育人材の育成、確保、施設整備費等に対する財政措置をお願いいたします。
また、在宅で育児をする世帯を始め、無償化対象とならない子育て世帯との子育て支援の公平性への配慮もお願いいたします。
最後になりますが、私たち市町村は、全ての子供たちの健やかな育ちを目指し、日夜、子供たちを中心とした支援策を創意工夫し、その実施に邁進しております。今回の幼児教育、保育の無償化のほかにも、児童虐待防止対策や子供の貧困対策、放課後児童健全育成事業、子供の医療費に係る助成制度など、重要な子ども・子育て施策を数多く実施しています。こうした施策の更なる充実に向けても、国による支援の拡充について改めて要望させていただきまして、私の意見といたします。
御清聴ありがとうございました。