小川敏夫の発言 (法務委員会)

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○小川敏夫君 ちょっと話は少し横にそれますが、昭和六十二年に特別養子の制度ができたときに、一つの説明として、養子であることを簡単には第三者に知られないようにするということが大きな目的の一つだというような説明がされていたというふうに思います。
 要するに、まだ養子というものに対する偏見というものがあって、それで第三者が簡単に戸籍を見て養子だと分かってしまうというようなことで、養親子関係が社会から偏見の目で見られるというようなことがあってはいけないから、だから、そういうことが第三者からたやすく分からないようにすると。それで、そういう目的の一つとして、戸籍上の記載を養子という記載をしないで実親子というような記載に改めたんだというような意見がございました、そういう説明がありました。これは別に大臣に質問しませんから、別に聞いていていただければいいです。
 ただ、私思いますと、昭和六十二年あるいはそれに近い頃って、戸籍や本籍地が入った住民票、身分が入った住民票の閲覧といいますか、これが非常に緩かったですよね。私自身も記憶がある、まあ司法修習生の頃だから昭和四十年代後半頃、もう他人の戸籍謄本自由に取れましたもの、いや、本当に。それから、住民票を閲覧に行ったら、紙の住民票ですから、ある人間の住民票を閲覧しようと思ったら、その地域の一束をどおんと出してくれて、さあ、必要なもの幾らでも見てくださいなんて、こんな状態でしたよ。
 ですから、すごく簡単に他人の戸籍を見れるという、そうした状況があった。それがだんだんだんだん正当な理由がなくてはいけないということになって、今現在はかなり、もう事実上他人の戸籍は見れないというような状況になっておるわけでありまして、簡単に戸籍が取れるから、そこで第三者に養子であることがたやすく知れてしまうという状況は、相当その戸籍の方の管理の厳格化で解消されているのかなというふうにも思います。
 またもう一つは、社会状況が大分変わりまして、まだ昭和の時代は、例えば身元調査なんというのがあって、結婚はお見合いがまだ全盛の頃ですから、簡単に身元調査がいて戸籍謄本調べまくって、いろいろ身分関係調べるとすぐ養子であることが分かってしまうとか、あるいは、そもそも就職で応募するときに戸籍謄本出せというのが当たり前でありました。今は就職の際に戸籍謄本の提出を求めていませんけれども。学校に入学する、私立学校に入学しようとすると、戸籍謄本出せというのが当たり前のような状況で行われていた。
 そういう状況の中で、戸籍を見ればすぐ養子であることが分かってしまうと。特に、まだ養子に対して養子であることの告知をしていないのに第三者の耳から入ってしまうとか、そうしたことで不利益があってはいけないし、その養親子関係を傷つけてはいけないという、そういう配慮から戸籍上の記載も実親子であるような記載がなされる、そういう養子制度をつくったんだと、こんな説明を聞いたふうに思います。
 そうすると、これはかなり解消されているのかなと。戸籍や住民票の管理が厳格になったと。それから、養子というものに対する社会の理解もかなり進んできて、養子というのが、言葉は悪いですけれども、もらい子だといって差別されるような、そういう社会の状況も相当改善されてきたんじゃないかというふうに思っておりますが。
 そうした面での議論もあって、果たしてこの法案制定するときに、ここから質問に入っていきますけれども、どうもこの特別養子縁組、親子と同じような養親子関係をつくるんだから、だから実親子関係は終わるんだよというこの制度の仕組みについて、どれだけ深い議論がなされたのかなというふうにも思うわけでありまして。それで、私は、もう当然、実親子関係を断ち切って、それがごく例外的な離縁がなされた場合以外には全く復活しないしという仕組みが固過ぎるんじゃないかというふうに思っておるわけであります。
 それで、質問しますけど、この特別養子縁組制度が子供のためだ子供のためだというふうにしか説明が出てこないんですけれども、養親のためでもあるんではないですか。
 具体的には、実親と実子、要するに実親子関係として、親の方から見れば実子と同じように一生懸命育てて愛情を尽くしたのに、しかし親が年取ったら、あるいは子供が成人したら、はい、御苦労さま、あなたとはもう親関係は終わりますというふうに簡単に終わってしまっては、養親が子供に対する期待というものが損なわれるんではないかということで、親は実子のようにしっかり育てなさいと、しかし育てた分、今度は老後は扶養というものを当然期待できるんですよという、そういう親の利益もこの特別養子縁組制度の中には入っているんではないかというふうに私は思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

発言情報

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発言者: 小川敏夫

speaker_id: 21676

日付: 2019-06-06

院: 参議院

会議名: 法務委員会