榛葉賀津也の発言 (本会議)
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○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府四演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問します。
平成の時代も残すところあと三か月となりました。いかなるときも国民に寄り添われた今上天皇の御退位と皇太子殿下の御即位がつつがなく執り行われますことを衷心より御祈念いたします。
さて、年末年始にかけて、国民の信頼を裏切る信じられない事態が露呈しました。厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査に端を発した基幹統計の不適切な事例と、それに対するずさんな対応です。
厚生労働省は、本来全数調査とすべきところを長年にわたって不正な抽出調査に置き換え、昨年一月からは全数調査に近づけるための加工処理を行った上に、その事実を隠していました。そもそも、必要な手続を経ずに不正に調査手法を変えた動機は何なんですか。さらに、二〇一八年分の調査から復元加工をした理由は何ですか。厚生労働大臣の説明を求めます。
厚生労働大臣は、政府が二〇一九年度予算案を閣議決定した昨年十二月二十一日の前に不正処理の事実を認識していたにもかかわらず、これを隠し、予算案を閣議決定したばかりか、誤った統計を最新統計として発表する暴挙に出たのです。これは確信犯であります。
不正な調査手法の発覚以降、問題は次々と広がり、現時点で統計法違反の可能性のあるのは、五十六基幹統計のうち二十三統計三十四件にまで拡大しました。大事な統計が信用できないという事態に国民はあきれています。
基幹統計が正しくないということは、それを前提にした景気や物価動向の分析並びに政府判断への信頼が根底から覆ることであり、日本の信頼そのものを揺るがす極めて深刻な問題であります。これでは総理が施政方針演説で列挙された幾多の数字も本当に正しいかどうか信用できず、予算審議ができないではないですか。
国家の基である基幹統計でこの有様です。一般統計を含めれば、ずさんな統計調査の問題はどこまで広がるか分かりません。政府には猛省を促すと同時に、総理の見解を求めます。
毎月勤労統計の問題によって、アベノミクスが重視する賃金の動向に対しても疑義が生じています。
厚生労働省が昨年一月に統計を復元加工したことが原因で、二十一年ぶりの高い伸び率と騒がれた昨年六月の現金給与の総額の伸び率は、今般の再集計によって三・三%から二・八%に下方修正され、さらに、実態は一・四%まで言われ、今朝の報道では、伸び率はマイナスではないかとの報道もありました。賃金の伸び率を実際より高く見せかけるために恣意的にやったのではとの疑いの声がそもそもありましたが、先日の厚生労働委員会で、これは統計局だけの問題ではなく行政全体として考えなければならないなどという厚生労働大臣の答弁は、これを認めるようなもので、到底看過できません。総理の見解と厚生労働大臣の説明を求めます。
特別監察委員会は検証結果を一月二十二日に発表したものの、真実の解明には程遠い内容でした。報告書をめぐっては、担当職員に対するヒアリングを、官房長や次官級審議官の同席の下、厚労省の職員が行い、報告書の原案も厚労省の職員が作成していたことが判明しました。しかも、調査期間は僅か一週間、開かれた会議はたったの二回、東京都への職員の聞き取り調査もなし。このようなやらせとも言えるお手盛りの調査で真実の究明ができるわけがありません。
さらに、大臣は、調査報告書の発表と同時に、厚生労働省職員二十二名を処分しました。一連の経緯や動機、組織関与の有無など、全容解明が明らかになっていないこのタイミングで、なぜ慌てて幕引きを図ろうとしたのですか。事実、新しい問題が連日、次から次へと出ているではありませんか。厚労大臣、お伝えください。
大臣は調査の抜本的やり直しを表明しましたが、遅きに失しています。そもそも、問題を引き起こした当事者である厚生労働省が調査に関与すること自体が問題ですし、国会対策のために名ばかりの第三者委員会でお茶を濁そうとしたことが誤りなのです。今回の不正で多くの国民はあの消えた年金問題を思い出していますが、今回の対応は、消えた年金の教訓が生かされていないばかりか、それ以下であります。最初から真の第三者委員会で徹底的な調査をすべきだったのではないですか。総理の見解をお伺いします。
厚生労働省は、雇用保険等の過少給付分を追加で支払う方針ですが、住所データ等がない当事者は延べ一千万人以上に及ぶとされています。これらの方々への追加給付の方法については、対象者に問題を周知して自己申告してもらうとしていますが、そのようなやり方で一体どれだけの人に給付ができると考えていますか。いつまでに被害に遭われた方々全員の給付を完結するおつもりですか。厚生労働大臣、明確な答弁を求めます。
追加給付に対応するための経費をサラリーマンや企業が支払う保険料を原資とする労働保険特別会計から支出することにも、国民は怒っています。約八百億円掛かる追加給付のうち、今回の問題がなければ発生しなかったシステム改修費、人件費、コールセンターの委託料などの事務費約百九十五億円も国民が負担することになります。自らの不正を棚に上げ、負担だけを真面目に働く国民が拠出した保険料から賄おうなどということは全く理解できません。経費負担の在り方を見直すべきではありませんか。厚生労働大臣の見解を求めます。
次に、消費税等についてお伺いします。
二〇二五年問題に伴う超少子高齢化時代の到来と財政再建の現状を鑑みれば、社会保障と税の一体改革は待ったなしです。
しかし、消費税引上げの前提として、国会は身を切る改革を約束したはずです。しかし、実態は、与党の事情で参議院の定数がなぜか六名増員されました。これでは、国民の皆さんとの約束違反で、消費税の増税の前提が根底から覆されていると言わざるを得ません。
また、今回の勤労統計の不正で、本当は国民所得が増えていないのではないかという疑念が生じています。これは、アベノミクスの評価に直結する大問題です。もし国民所得が増えていないとするならば、今年の十月に本当に消費税を引き上げることができるのですか。総理の見解を求めます。
消費税を引き上げる上で重要なことは、低所得者対策であることは言うまでもありません。このために政府は軽減税率を取り入れる方針ですが、これは高額所得者にも恩恵が被ることになり、必ずしも低所得者対策になっていません。
景気の腰折れを防ぐためのプレミアム商品券は、ばらまきと評され、多額の財政支出を伴うことになるので、増税するそもそもの意味が半減してしまいます。クレジットカードなどによるポイント還元も、高額な消費をする金持ち優遇政策と言われ、そもそも、クレジットカードを持たない、持てない方々や、クレジットサービスを行っていない地域の商店には何の恩恵もありません。
低所得者対策は、国民民主党が主張しているように、直接、該当する方々の税を控除したり、現金をお渡ししたりする、いわゆる給付付き税額控除が公平で分かりやすく、最も効果的であると考えますが、総理の見解を求めます。
八%と一〇%の二種類の消費税が恒常的に存在するという初めての試みに国民は戸惑っています。
医薬部外品のアリナミンVは一〇%なのに、オロナミンCは八%。みりんは一〇%で、みりん風調味料は八%。屋台のおでん屋では、屋台の椅子で食べれば一〇%ですが、すぐ横の公園のベンチで食べれば八%。ホテルのルームサービスは一〇%で、ホテルの備付けの冷蔵庫のものなら八%。消費者を混乱させるべきではないと思います。
消費者のみならず、小売店などの事業者、税理士、会計士の皆さんなど多くが、制度の曖昧さ、不公平さ、事務事業の煩雑さから、軽減税率に反対をしています。
更に懸念されるのは、子供たちの税に対するモラルの問題です。
ハンバーガーを店内で食べれば一〇%でも、テークアウトするとうそを言ってお店で食べれば八%になってしまいます。子供たちが知らず知らずのうちに税金はごまかせるものだなどという体験を国の制度が助長させるなどということはあってはならないと思います。
今からでも遅くありません。軽減税率は見直すべきではありませんか。総理の見解を求めます。
消費税引上げの際には、車、住宅など経済への影響が大きい高額な買物への対策も鍵となります。
しかし、特に自動車への対策は問題が多いと言わざるを得ません。九種類、八・四兆円にも及ぶ自動車関連諸税は、従来から複雑で簡素化が求められてきました。今回提案されているものは複雑な税制を更に複雑化させるものであり、理解するにも一苦労です。税の原則は、公平、中立、簡素であるはずです。大都市に比べ自動車に依存せざるを得ない地方に税負担が重くなる自動車税の仕組みや、消費をしていないガソリン税に消費税が掛かるタックス・オン・タックスと言われる二重課税など、どれを見ても公平で中立的とは言えません。自動車関連諸税に関する財務大臣及び総務大臣の見解を求めます。
今回の政府案も、ユーザー間の負担の付け替えにすぎず、大半のユーザーは負担が増えると思われます。我々は、自動車重量税の当分の間税率は廃止をし、自動車重量税の国分の本則税率は地方税化し、それぞれの税目を統廃合して、新自動車税、新軽自動車税に集約をすることで、ユーザーの負担の軽減、地方財源の確保、簡素化を図ることを提案いたします。財務大臣と総務大臣に答弁を求めます。
次に、外交問題についてお伺いします。
米国トランプ大統領の常識にとらわれない言動に世界が一喜一憂しています。欧州や日豪韓といった同盟国との関係ですら自国の損得で割り切るトランプ大統領のやり方は、今後も変わらないと思います。いや、それどころか、来年十一月三日の大統領選挙に向けてのその傾向は更に加速することが予測されます。
アメリカは、九・一一同時多発テロ以降、過去に経験のない二十年間という長期にわたって中東やアフガニスタンで戦争をしており、国内が疲弊していることを我々は認識すべきであります。トランプ大統領が我々に気付かせてくれたこと、それは、従来の同盟関係の在り方が当たり前の時代は終わろうとしているということではないでしょうか。今後の日米の同盟関係の在り方について、総理にお伺いします。
総理は、施政方針演説で日韓関係に触れませんでした。元徴用工やレーダー照射の問題に関しては、韓国側に理はなく、私自身、文在寅大統領に言いたいことは山ほどあります。他方、東アジアの安全保障や拉致問題、今後の米朝・日朝会談を考えると、日韓関係がこのままでよいとは思いません。今後の日韓関係について、総理にお伺いします。
北方領土問題と日ロ平和条約の締結交渉が一気に動き出しています。安倍総理は、今年十一月十九日を越えると、桂太郎元総理大臣を超えて、通算在職日数が憲政史上最長の総理大臣となる見込みです。御自身のレガシーづくりのためでなく、全ての国民の、とりわけ平均年齢八十三歳になる旧島民の皆様の念願である領土の返還と、平和条約の締結のために全力を尽くしていただきたいと思います。
しかしながら、両国の認識の溝は余りにも深いと言わざるを得ません。総理と、交渉責任者である外務大臣にお伺いします。
択捉、国後、歯舞、色丹のいわゆる北方領土は我が国固有の領土であるという認識に変わりありませんね。また、平和条約の締結の前に四島の帰属の問題を解決するという従来の政府方針は一貫していますか。最近の政府答弁から我が国固有の領土の文言が消え、領土問題を解決して平和条約を締結するという表現に変わっているのが気になります。総理の答弁を求めます。
一九四五年のヤルタ協定でも、一九五六年の日ソ共同宣言でも、領土の引渡しという言葉が使われています。これは、日本が不法に奪われた領土を返還してもらうという意味だと私は解釈しておりますが、外務大臣の見解を求めます。
メディアでは二島決着の文字が躍っています。これは、歯舞、色丹の先行返還で、国後、択捉は後の交渉なのか、歯舞、色丹で最終決着なのかによって大きく異なります。歯舞、色丹は北方領土全体の面積の七%にすぎず、日経新聞の調査でも、歯舞、色丹だけの返還でよいとしたのは僅か一一%でした。いずれにせよ、国民に対して徹底した説明責任が求められると考えますが、総理の見解を求めます。
一般的な平和条約の要素は、戦争状態の終結、賠償請求権の問題の処理、国境線の画定の三つでありますが、三番目の国境線の画定は、両国が接する国境線のことだけではありません。平和条約締結交渉の際には、当然のことながら尖閣諸島や竹島は我が国固有の領土であるとロシアにも承認してもらえますか。他方、我が国は、ロシア側が自国の領土と主張するクリミア、ウクライナをロシアの領土と認めるのでしょうか。外務大臣、お答えください。
最後に、自然災害への対応についてお伺いします。
平成三十年七月豪雨を始め、昨年は大規模自然災害が相次いで発生しましたが、世界規模の気候変動に伴い、今後はこのような激甚災害の発生が常態化する可能性があります。
道路、港湾、河川、電力や情報通信施設など多くの都市基盤が甚大な被害に遭いましたが、中でも、障害者や学生、お年寄りや通勤者など庶民の足である鉄道の被害は全国の広範囲の路線に及び、長期間の運休も余儀なくされました。
道路や港湾、空港と異なり、被災した鉄道施設の復旧は原則的に鉄道事業者が行います。鉄道基盤の復旧工事費に加え、人流においてはバスの代替輸送、鉄道貨物などの物流においては迂回列車やトラック、船舶の代替輸送が実施されるなど、公共交通を担う各社にとって大きな負担となりました。
加えて、何よりも、公共交通を利用するユーザーや荷主の方々に大きな御負担と御不便を強いたことや、この数年で東京オリンピック・パラリンピックなどに伴うインバウンドの急増等を考えると、国として災害時の危険予測箇所を事前にチェックし安全対策を講じることが防災・減災上重要です。
公共事業における鉄道関係予算の占める割合は全体の僅か一・七%、一千一億円のみであります。安全基盤の確立のための予算を確保するとともに、点検、予防を徹底することで災害に負けない交通基盤を確立するべきだと思いますが、総理の決意をお伺いします。
四方を海に囲まれた風光明媚な我が国ですが、資源に恵まれず、エネルギーの自給率は七%、食料自給率は三八%という低い水準です。にもかかわらず、アメリカ、中国に次ぐ世界第三位の経済大国であるのは、エネルギーの安定供給を基盤に物づくり日本を現場で支えてきた全ての働く人たちの努力のたまものにほかなりません。
私たち国民民主党は、野党ではありますが、真面目に働く人たちのための政治を国のど真ん中に据えた政策を実現したいと思っています。集めた税金を使う側ではなく、働いて税金を払う側のための政治を具現化するために、我々国民民主党は、「つくろう、新しい答え。」の旗の下、全国の仲間とともに前進してまいりますことをお誓い申しまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕