安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 橋本聖子議員にお答えをいたします。
米国及び中国との外交についてお尋ねがありました。
米国は我が国の唯一の同盟国であり、私とトランプ大統領との強固な信頼関係の下、日米同盟はかつてないほど盤石です。この同盟の基盤を維持していくためには、お互いの不断の努力が必要です。
日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟を平和安全法制に基づく取組等を通じて更に強化していくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、互いに緊密に協力し、地域や世界の平和と繁栄に貢献してまいります。
中国とは、昨年、七年ぶりに中国を公式訪問し、日中関係は完全に正常な軌道へと戻りました。習近平主席と確認した今後の両国の道しるべとなる三つの原則の上に、首脳間の往来を重ね、あらゆる分野、国民レベルでの交流を深めながら、日中関係を新たな段階へと押し上げてまいります。
米中間の貿易摩擦は、日本を含め、国際社会の大きな関心事項となっています。貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもなりません。我が国は、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考えています。
こうした日本の基本的な立場については、これまでも、トランプ大統領や習近平主席を始め、米国及び中国の双方に対しても、私自身を含め、様々なレベルで伝えてきています。引き続き、米中間の協議の動向や日本も含めた他国への影響について注視してまいります。
日ロ平和条約交渉についてお尋ねがありました。
二年前の長門会談で私とプーチン大統領が自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、日ロの間でこれまでにない協力を進めてきました。
長門での合意を受けて、元島民の方々の航空機によるお墓参りが歴史上初めて実現しました。先般のモスクワでの会談では、こうした取組の重要性を確認する上で、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。
四島における共同経済活動については、現地調査等やプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。先般の首脳会談では、早期実現のために、共同作業を着実かつ迅速に進展させるよう関係者に指示しました。
さらに、八項目の協力プランの具体化を含め、経済分野での協力進展を歓迎するとともに、肯定的な流れを加速すること、安全保障分野での信頼醸成を深めることで一致しました。
平和条約の問題については、プーチン大統領と二人だけで、じっくり時間を掛けて突っ込んだ議論を行いました。その上で、二月中に次回の外相間の交渉を行うとともに、首脳特別代表間の交渉も行い、平和条約交渉を更に前進させるよう指示しました。
戦後七十年以上残された課題の解決は容易ではありません。しかし、私たちはこれをやり遂げなければなりません。
六月のG20大阪サミットにプーチン大統領をお招きし、併せて首脳会談を行います。日本国民とロシア国民が互いの信頼関係、友人としての関係を更に増進し、相互に受入れ可能な解決策を見出すための共同作業を力強く進めて、平和条約交渉をでき得る限り前進させてまいります。
今後の防衛力整備の方針についてお尋ねがありました。
政府の最も重大な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことであります。これは独立国家として第一義的に果たすべき責任であり、自らの主体的、自主的な努力によってその責任を果たしていくことが安全保障の根幹です。
また、専守防衛は、憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針であり、今後とも堅持してまいります。
今、国際社会のパワーバランスは大きく変化しつつあり、我が国を取り巻く安全保障環境は格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しています。
また、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域が死活的に重要になっており、陸海空での対応を重視してきたこれまでの安全保障の在り方を根本から変えようとしています。
このような中にあって必要なことは、我が国として、自らを守る体制を主体的、自主的な努力によって抜本的に強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていくことです。
同時に、これこそが日米同盟の抑止力と対処力を一層強化していく道であり、各国との安全保障協力を戦略的に進めていくための基盤となるものです。
防衛力の強化に当たっては、従来の延長線上ではない、真に実効的な防衛力を構築するため、防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保していく考えです。
特に、陸海空という従来の発想から完全に脱却し、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域を含む全ての能力を有機的に連携させ、新たな防衛力を構築してまいります。
未来の礎となる国民を守るために真に必要な防衛力の構築に向け、従来とは抜本的に異なる速度で変革を図ってまいります。
プライマリーバランス黒字化目標と来年度予算案についてお尋ねがありました。
安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、財政健全化に大きな道筋を付けてまいりました。
この結果、政権交代前と比べて、国、地方合わせた税収は約二十八兆円増加し、来年度予算における国の税収は過去最高、六十二兆円を超えるとともに、新規国債発行額は約十二兆円減少し、安倍内閣発足以来七年連続で減少しているところです。
平成三十一年度予算については、全世代型社会保障制度への転換に向け、消費税の増収分を活用して、幼児教育の無償化を始め、社会保障の充実にしっかり対応するとともに、消費税率の引上げに当たり、景気の回復軌道を確かなものとするため、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じます。同時に、社会保障関係費の実質的な伸びについて、高齢化による増加分に収めるなど、歳出改革の取組を継続するものとしています。
今度とも、経済再生と財政健全化の両立を図り、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
農業政策と水産政策についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するため、農地バンクによる農地集積や輸出促進、若者の新規就農の支援など、生産性を向上させ、マーケットを内外に広げる農政改革を進めてまいりました。
これにより、生産農業所得は、三年連続で増加し、九千億円も拡大し、四十代以下の新規就農者も四年連続で二万人を超えています。農林水産品の輸出目標一兆円も、もう手の届くところまで来ました。
TPP11や日EU・EPAに対しても、農家の皆さんの不安にしっかり向き合い、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、きめ細かな体質強化策と経営安定対策を講じてまいります。
また、水産業については、昨年成立した改正漁業法に基づき、収益性をしっかりと向上させながら水産資源の持続的な利用を確保することで漁業者の所得向上の実現を目指します。加えて、三千億円を超える予算で、新しい漁船や漁具の導入など、浜の皆さんの生産性向上への取組を力強く支援します。
我が国の美しい田園風景、そして食を支えているのは、農林水産業に従事する皆さんであります。こうした政策を生産現場の皆さんの声を真摯に伺いながら進めていくことで、次世代を担う若者が将来にしっかりと夢や希望を持てる農林水産新時代の構築に全力で取り組んでいく決意です。
中小企業・小規模事業者への働き方改革と事業承継に向けた支援についてお尋ねがありました。
働き方改革は、高齢者も若者も、女性も男性も、誰もが活躍できる社会を目指す一億総活躍社会の実現に向けた最大の柱であり、働く人や労働力不足に悩む中小企業・小規模事業者の視点に立って、その実現を図っていく必要があります。
このため、四十七都道府県に設置した働き方改革推進支援センターにおいて、上限規制を踏まえた業務プロセスの見直しなどの助言を行うとともに、年次有給休暇の取得促進を支援するための助成金などを活用して、働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者に対し全力で支援してまいります。
また、今後十年で中小企業・小規模事業者の経営者の六割が七十歳を超えるという現実があります。黒字廃業が相次ぐような事態は我が国経済にとって大きな損失であり、事業承継問題は待ったなしの課題です。
この強い危機感の下に、今年度は、法人の事業承継税制を抜本的に拡充し、承継時の贈与税、相続税の支払負担をゼロにしました。来年度は個人事業主に拡大します。さらに、事業のマッチング機能の強化や後継者支援の補助金などにより、切れ目のない支援を行ってまいります。
こうした取組によって、政府を挙げて、我が国の宝である中小企業・小規模事業者を次世代へしっかりと引き渡していく決意であります。
外国人観光客の地方への誘客についてお尋ねがありました。
観光は、我が国の成長戦略の柱であり地方創生の切り札です。安倍内閣では、できることは全て行うとの方針の下、観光立国の実現に向け、精力的に取り組んでまいりました。
この結果、昨年、日本を訪れる外国人観光客は三千万人の大台に乗り、その消費額は四兆五千億円となるなど、観光は、全国津々浦々、地方創生の核となるたくましい一大産業となりました。
地方を訪れる外国人観光客も着実に増えていますが、来年の四千万人目標の達成に向けて、地方への更なる誘客が鍵となります。
国際観光旅客税も活用しながら、観光地における町ぐるみでの観光客受入れの取組を支援するなど、地方への誘客を進めてまいります。
教育行政の進め方についてお尋ねがありました。
子供たちこそ、この国の未来そのものです。家庭の経済事情にかかわらず、子供たちの誰もが自らの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる社会をつくり上げていくことが必要です。
このため、本年十月から、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所等の費用を無償化するとともに、来年四月から、公立高校だけでなく、私立高校も実質無償化を実現します。
さらに、真に支援が必要な低所得者世帯の子供たちの高等教育も無償化し、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するため、今国会に関連法案を提出することとしています。あわせて、大学入試改革や教育研究費の質の向上を含めた大学改革を推進してまいります。
来るべきソサエティー五・〇において、子供たちの誰もが人工知能などのイノベーションを使いこなすリテラシーを身に付けられるようにすることが重要です。
このため、新しい学習指導要領では、来年から、全ての小学校でプログラミング教育を必修とし、中学校や高校でも、順次、情報処理の授業を充実し、必修化します。また、専門家による遠隔教育を五年以内に全ての小中学校で受けられるよう取り組んでまいります。こうした取組を学校現場において円滑に実施するための環境整備や学校における働き方改革を進めることで、教育の質を高めてまいります。
子供たちの誰もが、自信を持って、学び、成長できる環境の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
消費税率の引上げに伴う経済や、対策の周知についてお尋ねがありました。
消費税率の引上げについては、八%への引上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。来年度予算では、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとすることで、戦後最大のGDP六百兆円に向けて着実に歩みを進めてまいります。
御指摘の軽減税率制度については、具体的な税率の適用の事例も含め、消費者や事業者に対する周知、広報等に全力を尽くし、円滑に実施できるようにしてまいります。
また、ポイント還元についても、必要な端末を負担なく導入できるようにするなど、中小・小規模事業者の皆さんが利用しやすい環境を整えるとともに、決済事業者とよく連携し、不正対策に万全を期してまいります。
今回の消費税率引上げへの対応については、国民の皆様の御理解が重要であり、各施策の周知徹底を図ることが極めて大切であると認識しております。引上げ前後で事業者に混乱が生じないよう、また消費者が安心して購買ができるよう、引き続ききめ細やかな対応を行ってまいります。
政府統計の信頼回復に向けた取組についてお尋ねがありました。
毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。
高い専門性と信頼性を有すべき統計分野において長年にわたって誤った処理が続けられ、それを見抜けなかった責任については重く受け止めています。
また、今般、その他の基幹統計についても緊急に点検を行いましたが、手続の誤り等の問題があったことは遺憾であり、速やかに訂正等の対応を取ることとしています。
昨日の統計委員会において、点検検証部会が設置され、各府省の所管する統計について徹底した検証が行われることとなりましたが、そうした結果も踏まえつつ、信頼回復に向け総合的な対策を講じてまいります。
健康増進に向けた地域社会全体を包括した取組についてお尋ねがありました。
個人の健康は、家庭、学校、地域、職域等の様々な社会環境の影響を受けることから、社会全体として、個人の健康を支える環境づくりを進めることが重要です。
このため、平成二十五年より進めている第二次健康日本21においても、地域のつながりの強化などを目標に掲げ、国民の健康増進に向けて総合的に取組を推進しており、例えば、各地域において、地域ボランティアが個人宅を訪問し減塩を促す活動、公園を活用した、地域住民が気軽に参加できる運動プログラムの提供など、地域における取組が進んでいます。
スポーツや地域活動への参加の促進などを通じ、国民が健やかで心豊かに生活し、健康で長生きできる社会の実現に努めてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕