安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 今後の経済財政運営についてお尋ねがありました。
 政権交代後、アベノミクスの三本の矢で取り組み、名目GDPは一割以上成長し、もはやデフレではないという状況をつくり出しました。
 特に、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、この五年間で生産年齢人口が四百五十万人減少する中にあっても、就業者数は二百五十万人増加しました。中でも、正規雇用者数は、政権交代前は減少していたわけでありますが、政権交代後は七十八万人増加。マイナスから大きくプラスへと転換したわけであります。景気回復により仕事が増加したことにより、正社員の有効求人倍率は調査開始以来初めて一倍を超えました。賃上げも、連合の調査によれば、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現するなど、確実に経済の好循環が生まれています。
 この成長の果実をしっかりと分配に回すことで次なる成長につながっていく。特に、過去最高の企業収益を更なる賃上げにつなげ、経済の好循環をより確かなものとしてまいります。
 デフレマインドが払拭されようとしている今、アベノミクスの更なる強化に向けて取り組んでまいります。
 具体的には、我が国の持続的な成長にとって最大の課題である少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度への転換を成し遂げてまいります。また、未来へのイノベーションを大胆に後押しし、ソサエティー五・〇を世界に先駆けて実現することで、我が国の未来を開いてまいります。
 安倍内閣は、本年も引き続き経済最優先。通商問題の動向、中国経済の先行きなど海外経済の不確実性には十分留意しつつ、経済運営に万全を期してまいります。
 消費税の意義と税率引上げについてお尋ねがありました。
 消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定しており、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、世代を超えた支え合いである社会保障の財源としてふさわしいと考えております。
 少子高齢化を克服し、全世代型社会保障を築き上げるために、消費税率の引上げによる安定的な財源がどうしても必要です。国民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。
 その上で、増収分を活用し、教育無償化や低年金者への給付等の社会保障の充実策をしっかり実現することで、国民の皆様に還元してまいります。
 軽減税率制度と平準化対策についてお尋ねがありました。
 消費税率の引上げに当たっては、前回の八%への引上げの際に耐久財を中心に駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じた経験を踏まえ、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとします。いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じ、景気の回復軌道を確かなものとしてまいります。
 軽減税率制度につきましては、円滑な実施に向けて事業者の理解や準備を促すため、これまでも、説明会の開催や事業者からの相談対応、軽減税率対応レジの導入等を支援する補助金の拡充など様々な取組を進めています。
 そのほか、プレミアム付き商品券の発行を通じて所得の低い皆さんなどの負担を軽減します。また、思い切ったポイント還元や、自動車、住宅への大幅減税といった駆け込み需要、反動減対策でしっかりと消費を下支えします。
 今回の消費税率引上げへの対応には国民の皆様の御理解が重要であり、各施策の周知徹底を図ることが極めて大切であると認識しております。引上げ前後で事業者に混乱が生じないよう、また消費者が安心して購買できるよう、引き続ききめ細かな対応を行ってまいります。
 中小企業への支援、日本の成長力の底上げについてお尋ねがありました。
 山口議員御指摘のとおり、我が国の成長力を底上げするためには、日本経済の屋台骨を担う全国三百六十万者の中小・小規模事業者の皆さんの生産性を高めていくことが必要不可欠です。
 そのため、来年度予算では、公明党のお力も得て、ものづくり補助金を初めて当初予算化したところです。中小企業投資促進税制についても、適用期限を二年間延長することとします。二次補正予算に盛り込まれた持続化補助金、IT導入補助金などと併せ、ビッグデータ、ロボット、IoTなどの活用による中小・小規模事業者の皆さんの生産性革命を力強く後押ししてまいります。
 その執行に際しても、全国二千か所を超える商工会、商工会議所を通じた情報提供を新たに行うなど、事業の周知徹底を図ります。また、各種情報の取得から申請手続までをワンストップで簡便に行うことができるホームページの運用を今後順次開始してまいります。
 こうした取組を通じ、様々な支援策をより多くの皆さんに御活用いただき、全国津々浦々、我が国の成長力の底上げにつなげてまいります。
 中小・小規模事業者の事業承継、取引条件の改善についてお尋ねがありました。
 今後十年で中小・小規模事業者の経営者の六割が七十歳を超えるという現実があります。黒字廃業が相次ぐような事態は我が国経済にとって大きな損失であり、事業承継問題は待ったなしの課題です。
 この強い危機感の下に、今年度から、法人事業承継税制を抜本的に拡充し、承継時の贈与税、相続税の支払負担をゼロにしました。既に、昨年十二月までの九か月間で、従前の年間申請件数の五倍、二千件近い申請をいただいているところです。この流れに更なる弾みを付けるため、来年度は、こうした税制を個人事業主に拡大するとともに、マッチング機能の強化、後継者支援の補助金などにより切れ目のない伴走型の支援を行うことで、円滑な事業承継を後押ししてまいります。
 また、安倍内閣では、これまでも、近年の下請いじめの実態を踏まえ、下請法の運用基準を十三年ぶりに抜本改定するなど、下請取引の条件改善に取り組んできました。
 さらに、今後、大企業の働き方改革に伴う下請企業への影響が懸念されることから、昨年末、振興基準を改正し、納期負担のしわ寄せの是正などを盛り込んだところです。消費税率の引上げについても、新たなガイドラインを策定し買いたたきの禁止などの周知を徹底することで、転嫁しやすい環境の整備を進めます。
 今後、下請や転嫁のGメンを六百名体制へと強化することで、取引慣行の監視、取締りを徹底し、望ましくない商慣行には厳正に対処してまいります。
 こうした施策を通じ、政府を挙げて我が国の宝である中小・小規模事業者を力強く応援するとともに、次の世代へとしっかりと引き渡していく決意であります。
 自由貿易体制と我が国が果たすべき役割についてお尋ねがありました。
 戦後、天然資源に乏しい我が国が目覚ましい経済成長を遂げることができたのは、自由貿易体制のおかげです。日本は、自由貿易体制の最大の受益者として、現在の繁栄を実現してまいりました。
 世界のグローバル化による急速な変化への不安や不満が、時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国の間に鋭い対立も生み出しています。だからこそ、様々な不安や不満に向き合い、公正なルールを打ち立てることで、自由貿易を進化させていくことが必要です。
 我が国が主導して、昨年末にTPP11が、そして本日、日EU・EPAが発効したことは、自由で公正なルールに基づく経済圏を力強く広げていくとの揺るぎない意思を全世界に示すものです。
 大阪G20サミットでは、データガバナンス、電子商取引に焦点を当てて議論する大阪トラックの開始を提案し、WTO改革に新風を吹き込みたいと考えています。
 今後とも、我が国は、自由貿易の旗手として、TPP参加国の拡大やRCEP交渉の加速化を主導し、自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化を積極的に推進してまいります。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興は、政権発足以来、安倍内閣の最重要課題です。発災から間もなく八年が経過し、復興の総仕上げ、福島の本格的な復興に向けて確固たる道筋を付ける重要な局面を迎えています。
 復興は一歩一歩着実に進展している一方で、被災者や被災地の置かれた状況は多様化しており、よりきめ細やかな対応が必要です。引き続き、生活再建のステージに応じた切れ目のない被災者支援、住まいと町の復興、なりわいの再生、そして、福島イノベーション・コースト構想の推進や風評の払拭を含む福島の復興再生など、現場の課題に一つ一つ丁寧に対応してまいります。
 東北の復興なくして日本の再生なし。この決意の下に、創造と可能性の地としての東北をつくり上げるべく、まさに創造的復興に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。
 防災・減災への国際貢献についてお尋ねがありました。
 我が国は、様々な災害を経験し、防災・減災対策、復旧復興の取組を重ねてきた防災先進国であり、世界の強靱化に大いに貢献できる立場にあります。
 四年前には、仙台において国連防災会議をホストし、我が国が中心となって仙台防災枠組を取りまとめました。また、国連においては、我が国が主導して世界津波の日を制定し、津波対策の普及啓発を推進してきています。
 六月に大阪で開催するG20サミットや八月に横浜で開催するTICADⅦでは、防災・減災もテーマとして取り上げ、日本の知見と技術を生かしつつ、国際社会における防災の主流化の推進に指導力を発揮してまいります。
 SDGsについてお尋ねがありました。
 人間の安全保障の理念を国際社会に提示した我が国にとって、SDGsが目指す誰一人取り残さない社会の実現は重要な課題であり、政府、自治体、企業、NGOなどがそれぞれの持ち味を生かし、オールジャパンでSDGsの達成に向けて尽力していくべきと考えています。
 六月に大阪で開催するG20サミットや八月に横浜で開催するTICADⅦでは、質の高いインフラ、防災、海洋プラスチックごみ対策、気候変動、女性、保健、教育等をテーマとして取り上げ、国際社会における取組をリードしていきたいと考えています。
 九月に国連総会で開催される予定のSDGs首脳級会合において、これらの成果や日本国内の取組を発信し、SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に対して示してまいります。
 気候変動及び海洋プラスチックごみについてお尋ねがありました。
 パリ協定に掲げられた野心的な目標の実現に向けて、世界の脱炭素化を牽引するためには、国が主導して義務的な対応を求める従来のやり方では対応できません。環境と成長の好循環を回転させ、ビジネス主導の技術革新を促す形へのパラダイム転換を図ることが必要です。
 このため、企業の情報開示を進めることで、グリーンファイナンスを活性化し、人工光合成や水素利用技術などの革新的なイノベーションにつなげていく、こうした方向性の下、できる限り早期に長期戦略を策定し、国内外に発信していく考えです。
 海洋プラスチックごみによる汚染もまた、生態系への大きな脅威となっています。その解決のためには、G7のような先進国のみならず、プラスチックごみを多く排出する新興国も含めた世界全体での取組が不可欠です。
 ごみの適切な回収、処分、海で分解される新素材の開発など、世界の国々と共に、海洋プラスチックごみ対策に取り組んでまいります。
 本年六月のG20大阪サミットでは、こうした気候変動や海洋プラスチック汚染といった地球規模の課題についてしっかりと取り上げ、世界全体の取組を大きく進めることができるよう、我が国としてリーダーシップを発揮していく考えです。
 日ロ平和条約締結問題についてお尋ねがありました。
 二年前の長門会談で私とプーチン大統領が自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、日ロの間でこれまでにない協力を進めてきました。
 長門での合意を受けて、元島民の方々の航空機によるお墓参りが歴史上初めて実現しました。先般のモスクワでの会談では、こうした取組の重要性を確認し、その上で、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。
 四島における共同経済活動については、現地調査等やプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。先般の首脳会議では、早期実現のために、共同作業を着実かつ迅速に進展させるよう関係者に指示しました。
 平和条約の問題については、プーチン大統領と二人だけで、じっくり時間を掛けて突っ込んだ議論を行いました。その上で、二月中に次回の外相間の交渉を行うとともに、首脳特別代表間の交渉も行い、平和条約交渉を更に前進させるよう指示しました。
 戦後七十年以上取り残された課題の解決は容易ではありません。しかし、私たちはこれをやり遂げなければなりません。
 六月のG20大阪サミットにプーチン大統領をお招きし、併せて首脳会談を行います。日本国民とロシア国民がお互いの信頼関係、友人としての関係を更に増進し、相互に受入れ可能な解決策を見出すための共同作業を力強く進めて、平和条約交渉をでき得る限り前進させてまいります。
 新たな防衛大綱及び中期防についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増していることを踏まえ、新たな防衛大綱及び中期防を策定しました。
 もとより、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、防衛力を整備していく方針には、いささかの変更もありません。
 また、「いずも」型護衛艦の改修については、与党で大変充実した御議論をいただきました。与党間の確認書の内容は政府としても同じ考えであり、その趣旨は閣議決定にも反映されています。
 今後とも、防衛力の整備に当たっては、国民生活に関わる他の予算の重要性等を勘案し、一層の効率化、合理化を図り、経費の抑制に努めるとともに、国の他の諸施策との調和を図ってまいります。透明性を確保し、国民の皆様の一層の理解を得られるよう、丁寧な説明に努めてまいります。
 自律型致死兵器システムについてお尋ねがありました。
 現在、自律型致死兵器システムについては、その使用における人間の関与、国際人道法上の課題等について国際的な議論が行われている途上にありますが、各国の立場にはいまだ大きな隔たりがあり、共通の認識を得られる状況には達していません。
 我が国としては、有意な人間の関与が必須であるとの立場であり、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を表明してきています。
 政府としては、国際社会において共通認識が得られるよう、規制対象となるシステムの特徴、人間の関与の在り方等について議論を更に深めていく必要があると考えており、日本の安全保障の観点も考慮しつつ、引き続き、国際的なルール作りに積極的かつ建設的に参加していく考えです。
 スポーツ、文化芸術の振興についてお尋ねがありました。
 今年から、ラグビーワールドカップ二〇一九、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会、ワールドマスターズゲームズ二〇二一関西と、世界的スポーツイベントが相次いで我が国で開催されます。政府としては、これらのイベントが成功裏に実施されるよう、組織委員会や開催自治体と緊密に連携しながら全力で取り組んでまいります。
 とりわけ、二〇二〇年東京大会に向けて、日本人アスリートが大いに活躍できるよう、競技力の向上を図ることはもとより、子供から高齢者、女性、障害者など、誰もがスポーツに親しめる環境の整備が重要です。大会後のレガシーとして、共生社会の実現を目指し、総合型地域スポーツクラブの活用等も図りつつ、地域スポーツの活性化に取り組んでまいります。
 さらに、オリンピック・パラリンピックは文化の祭典でもあり、二〇二〇年に向けて、日本博を始めとする文化プログラムを全国津々浦々で展開するなど、我が国の文化芸術の魅力を世界に発信するとともに、文化芸術による地域活性化の取組を力強く進めてまいります。
 スポーツや文化の持つ人と人とを結び付ける力が最大限に発揮されるスポーツ立国、文化立国の実現に努めてまいります。
 障害者手帳のカード化についてお尋ねがありました。
 障害者手帳については、カードでも交付が可能となるよう関係法令の整備を行い、本年四月の施行を目指して準備を進めているところです。
 政府としては、マイナンバーカードとの連携も視野に入れつつ、障害者の利便性の観点から、カード化が円滑に進むよう自治体と連携し、スピード感を持って対応を行います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2019-02-01

院: 参議院

会議名: 本会議