安倍晋三の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えいたします。
 身を切る改革についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するため、真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然です。
 日本維新の会・希望の党においても、そうした観点から、率先垂範して身を切る改革を続けていかれていることについては敬意を表したいと思います。
 その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
 また、国家公務員については、厳しい財政事情を踏まえ、これまで給与制度の総合的見直しや定員合理化などの取組を行ってきており、国家公務員の総人件費に関する基本方針に沿って引き続き人件費の抑制を図ってまいりたいと考えています。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 日本維新の会・希望の党が憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 憲法審査会の運営については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 その上で、お尋ねですので、あえて申し上げれば、憲法改正は、国会が発議し、最終的には主権者である国民の皆様が国民投票で決めるものです。それゆえ、まずは憲法審査会に政党が具体的な改正案を示した上で、議論を重ね、国民の皆様の理解を深めていくことが、私たち国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えています。
 今後、憲法審査会の場において、各党の議論が深められることを期待しています。
 災害対策についてお尋ねがありました。
 昨年の西日本豪雨では、住民の方々が災害リスクを十分認識できていたか、行政が発信した避難に関する情報や防災気象情報が受け手である住民に正しく理解されていたかなど、様々な課題があったと認識しています。
 このため、政府としては、災害時に住民が避難行動を容易に取れるよう、様々な機関が発信する防災情報を災害の切迫度に応じて五段階に整理し、分かりやすく提供するとともに、高齢者等に対する情報伝達手段として有効と考える戸別受信機の配備を促進するなど、住民の主体的な避難を支援してまいります。
 また、避難所における生活環境を良好なものとすることは、被災者を支援する上で極めて重要であると認識しております。
 政府の防災基本計画においては、指定避難所の運営管理等は市町村が行うこととされておりますが、避難期間が長期に及ぶことが想定される大規模災害の場合等には、政府において、被災地のニーズや市町村の対応状況を確認しながら、人的な支援を検討するほか、被災者の命に関わる生活必需品等のプッシュ型支援を実施してまいります。
 今後とも、被災者に寄り添ったきめ細かな支援を切れ目なく行ってまいります。
 今般、毎月勤労統計に関する事案についてお尋ねがありました。
 毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、雇用保険、労災保険といったセーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。
 高い専門性と信頼性を有すべき統計分野において、その正確性に対する余りにも軽い認識の下で、長年にわたって誤った処理が見直されることなく漫然と続けられていたことは言語道断でありますが、それを見抜けなかった責任については重く受け止めています。
 また、今般、その他の基幹統計についても緊急に点検を行いましたが、手順の誤り等の問題があったことは遺憾であり、速やかに是正の措置を講ずることとしています。
 今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要です。統計の信頼回復に向け、統計委員会には新たに専門部会を設置し、基幹統計に加えて一般統計についても徹底した検証を行います。
 こうした取組を通じて、再発防止に全力を尽くすことで、政治の責任をしっかりと果たしてまいります。
 消費税率の引上げについてお尋ねがありました。
 消費税率引上げについては、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。
 今回の引上げに当たっては、前回、八%への引上げ時の反省を踏まえ、反動減等に対する十二分な対策を講ずることで景気の回復基調を確かなものとした上で、同時に、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保してまいります。
 軽減税率制度及び給付付き税額控除についてのお尋ねがありました。
 軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点があることから、低所得者への配慮として実施することとしたものです。
 既に制度が導入されている欧州諸国においては、適用税率の線引きの問題が取り上げられるケースもありましたが、それを乗り越え、制度として定着し、円滑に運営されていると承知しています。
 我が国においても、こうした諸外国の例も参考にしながら、政府を挙げて軽減税率制度の周知、広報に全力を尽くしていくことで、多くの方々に御理解をいただき、円滑に実施できるようにしてまいります。
 なお、軽減税率制度の導入に当たっては、安定的な恒久財源を確保するため、税制の見直しなど制度的な対応等を行ったところです。
 また、御指摘の給付付き税額控除は、消費税そのものの負担が直接軽減されるものではなく、消費者にとって痛税感の緩和の実感につながらないという問題、所得や資産の把握が難しいといった問題等があるものと承知しており、消費税率引上げに伴う低所得者対策としては、実施することは考えておりません。
 全世代型社会保障制度、マクロ経済スライドと病床再編についてお尋ねがありました。
 少子高齢化が急速に進む中、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築するため、改革を進めることとしました。既に未来投資会議において生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、その上で、医療、年金も含めた社会保障全般にわたる改革を進めていく考えです。こうしたシステム全般にわたる改革を進める中で、給付と負担のバランスについてもしっかりと検討してまいります。
 また、マクロ経済スライドについては、既に平成二十八年の年金改正法において、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するため、マクロ経済スライドの未調整分を持ち越し、できる限り早期に調整する仕組みとしました。次期財政検証においては、こうした仕組みの有効性も含め、長期的な年金財政の健全性を検証してまいります。
 病床再編については、限られた医療資源で、急性期から慢性期、在宅医療、介護まで切れ目のない医療提供体制を確保するため、地域医療構想の実現に向けた取組を進めていきます。昨年度からの二年間を集中的な検討期間とし、医療機関ごとの具体的対応方針の策定を進めており、来年度以降は更なる合意形成を進めるとともに、具体的な再編につなげていきたいと考えています。
 国家公務員の定年の引上げについてお尋ねがありました。
 高齢期の職員は、公務において培った豊富な知識、技術、経験等を持ち、平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえれば、意欲ある高齢期の職員の方々に最大限活躍いただくことは重要な意義を有することと考えています。
 このような観点から、国家公務員の定年の引上げについて検討を進めているところであり、昨年八月には、人事院より、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げることが必要とする意見の申出が国会及び内閣に提出されました。
 定年引上げに際して検討すべき事項は多岐にわたることから、引き続き政府において、人事院の意見も踏まえつつ、国民の理解が得られるよう更なる検討を重ね、結論を得てまいりたいと考えています。
 新たな外国人材の受入れについてお尋ねがありました。
 本年四月に施行される新たな受入れ制度においては、大都市圏等に外国人が過度に集中することを防止する観点から、政府としては、地方で就労するメリットの外国人への周知や地方創生推進交付金による自治体への支援を行うほか、受入れ機関が参加する分野別の協議会を設け、地域ごとの外国人の就労状況を把握し、過度な集中が認められた場合には、受入れ機関に対して受入れ自粛の要請を行うなどの措置を講じてまいります。
 次に、技能実習制度の見直しに関しては、法務省内に設置されたプロジェクトチームにおいて、技能実習制度の運用上の改善を図ることを目的として必要な調査、検証が行われており、本年三月末までにその結果を取りまとめて公表する予定と承知しています。
 なお、知事会等からいただいている業種の拡充の要望や、外国人材の移入について真正面から根本的な議論をすべきとの御指摘については、今回の受入れ制度は、現下の深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を真に必要な分野に限って受け入れようとするものであり、当面、その運用状況を検証していくことにしたいと考えております。
 日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。
 昨年九月に私とトランプ大統領の間で合意した日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意しました。この点が最大のポイントであり、当然、この合意の上に今後米国と交渉を行ってまいります。
 また、為替については、二〇一七年二月の日米首脳会談においてトランプ大統領と合意したとおり、専門家たる日米財務大臣間で緊密な議論を行うこととなっています。
 これから始まる交渉は、まさに国益と国益のぶつかり合いであり、その過程において双方から様々な発言が出ることは外交の常であります。
 ただし、日米は、今般、共同声明に合意したとおり、今後の交渉の共通の基盤であり、この共同声明を大前提に今後交渉を行い、日本の国益をしっかりと確保してまいります。
 対中ODAについてお尋ねがありました。
 対中ODAは、中国の改革・開放政策の維持促進に貢献するとともに、日中関係を下支えする主要な柱の一つとしての役割を果たしたと考えています。
 昨年秋の訪中の際、習近平国家主席からは、我が国のODAによる貢献を高く評価する旨の発言がありました。
 朝鮮半島出身労働者問題についてお尋ねがありました。
 日韓請求権協定の交渉において、日本側から個人に対する支払を提案したのに対し、韓国側は、日本に対し、国として請求した上で韓国内での支払は国内措置として行う旨述べた経緯があることは事実です。
 また、実際に韓国政府は、日本政府が日韓請求権協定に基づき供与した五億ドルの一部を使用する形で、旧朝鮮半島出身労働者に対する補償を支給したと承知しています。
 この問題については、先般、日韓請求権協定に基づく協議の要請を行ったところであり、韓国側に対し、誠意をもって協議に応じるよう粘り強く働きかけてまいります。
 今後とも、政府としては、国際裁判も含めあらゆる選択肢を視野に入れ、国際法に基づき毅然として対応していく考えであり、我が国の一貫した立場に基づき、主張すべきは主張し、韓国側に適切な対応を強く求めてまいります。
 韓国の軍艦によるレーダー照射事案についてお尋ねがありました。
 この事案に関する認識については、これまで岩屋防衛大臣や防衛省が累次明らかにしているとおりであります。
 韓国軍艦によるレーダー照射事案の発生時に韓国の軍艦がいかなる活動を行っていたかについて、臆測に基づき評価を述べることは差し控えます。
 いずれにせよ、北朝鮮問題については、米国、韓国と緊密に連携していくことが必要であると考えています。
 北方領土問題についてお尋ねがありました。
 北方領土は、我が国が主権を有する島々です。この立場に変わりはありません。
 二年前の長門会談で私とプーチン大統領が自らの手で平和条約を締結するとの真摯な決意を表明して以来、新しいアプローチで問題を解決するとの方針の下、日ロの間でこれまでにない協力を進めてきました。
 長門での合意を受けて、元島民の方々の航空機によるお墓参りが歴史上初めて実現しました。先般のモスクワでの会談では、こうした取組の重要性を確認し、その上で、本年の航空機墓参をこの夏にも実施することで合意しました。
 四島における共同経済活動については、現地調査等やプロジェクト候補のロードマップにより、具体的道筋が明確になってきました。先般の首脳会談では、早期実現のために、共同作業を着実かつ迅速に進展させるよう関係者に指示しました。
 さらに、八項目の協力プランの具体化を含め、経済分野での協力進展を歓迎するとともに、肯定的な流れを加速すること、安全保障分野での信頼醸成を深めることで一致しました。
 議員御指摘の安全保障に関する問題を含め、交渉内容に関わることや我が国の交渉方針、考え方については、交渉に悪影響を与えないためにも、お答えすることは差し控えます。
 いずれにせよ、政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉していきます。
 皇位継承の準備についてお尋ねがありました。
 天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が同時に行われるのは憲政史上初めての事柄であり、現在、関係省庁が連携して準備を進めているところです。
 昨年十月には、私を委員長とする式典委員会を設置し、各式典の次第や参列者の範囲など必要な事項について順次着実に検討を進めるとともに、内閣官房長官を本部長とする式典実施連絡本部を設置し、政府一丸となって実施の準備に取り組んでいます。
 政府としては、この度の皇位の継承を国民こぞってことほぐことができるよう、準備に万全を期してまいります。(拍手)
    ─────────────

発言情報

speech_id: 119815254X00420190201_011

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2019-02-01

院: 参議院

会議名: 本会議