安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小池晃議員にお答えをいたします。
 毎月勤労統計の事案に対する認識についてお尋ねがありました。
 毎月勤労統計について不適切な調査が行われ、雇用保険、労災保険といったセーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様におわび申し上げます。
 長い、専門性と信頼性を有すべき統計分野において長年にわたって誤った処理が続けられ、それを見抜けなかった責任については重く受け止めております。
 このような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいります。
 雇用保険、労災保険などの給付の不足分については、できる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるよう、万全を期して必要な対策を講じていきます。
 また、過労死等の労災認定については、認定基準に基づき適切に対応してまいります。
 特別監察委員会の調査と今般の事案の報告についてお尋ねがありました。
 厚生労働省の特別監察委員会においては、先般、それまでに明らかになった事実等について報告書を取りまとめていただいたところですが、さらに、事務局機能を含め、より独立性を強めた形で厳正に検証作業を進めていくものと承知しています。
 今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であり、再発防止に全力を尽くすことで政治の責任をしっかりと果たしてまいります。
 賃金の動向についてお尋ねがありました。
 これまで御答弁してきたとおり、毎月勤労統計の各月の伸び率の数字のみをお示ししてアベノミクスの成果を強調したことはありません。
 その上で、御質問ですので、この間の毎月勤労統計の動向について御説明しますと、実質賃金は、再集計後においても、それ以前に公表されていたデータと同様、二〇一七年にマイナス〇・二%となった後、二〇一八年に入ってからは月によってプラスとマイナスに振れながら推移しています。これは、賃金が増加する中で同時にエネルギー価格も上昇してきたこと等によるものであって、今回の再集計の前後でこの傾向に重立った変化はありません。
 こうした状況において、直近では、昨年の通常国会で毎勤統計の実質賃金を引用された御質問があったことから、私は、引用があったことから、私からは二〇一七年に入ってからおおむね横ばいで推移しておりますと答弁したところであり、その後においても毎月勤労統計を根拠に実質賃金の上昇を強調した御説明をしたことはありません。
 他方、名目賃金について見れば、再集計後のデータにおいても増加傾向が続いていることに変わりはなく、また、この場でも申し上げてきたとおり、連合の調査においては、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが続いています。
 なお、通常、春闘の場において物価上昇を差し引いた数字で交渉が行われているとは承知していません。
 さらに、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得については、雇用が大幅に増加する中で、名目でも実質でも増加が続いています。このように、雇用・所得環境は着実に改善しているとの判断に変更はありません。
 消費税引上げについてお尋ねがありました。
 家計消費について、世帯当たりの消費を捉える家計調査の家計消費支出は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっています。一方で、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、二〇一六年後半以降増加傾向で推移しており、持ち直しています。
 また、就労者数は二百五十万人増加し、賃上げも五年連続で今世紀最高水準の賃上げが続くなど、雇用・所得環境は着実に改善しています。経済の好循環は確実に回り始めています。
 消費税率引上げについては、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であると繰り返し申し上げており、この方針に変更はありません。
 今回の引上げに当たっては、前回八%への引上げ時の反省を踏まえ、反動減等に対する十二分な対策を講じることで景気の回復基調を確かなものとした上で、同時に、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保してまいります。
 なお、社会保障の安定財源については、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していること、勤労世代など特定の者への負担が集中しないことから、消費税がふさわしいと考えております。
 消費税率引上げと富裕層と大企業に対する税制の在り方についてお尋ねがありました。
 今回の消費税率の引上げは、全世代型社会保障の構築に向け、安定財源を確保するために必要なものであり、法律で定められたとおり、十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定です。
 企業に対する税制については、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んでまいりましたが、同時に、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により、財源をしっかり確保しております。
 また、これまで、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや金融所得課税の見直し等の施策を既に講じてきたところであります。
 今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。
 マクロ経済スライド、高齢者雇用と一億総活躍社会についてお尋ねがありました。
 マクロ経済スライドは、平成十六年の改革により、将来世代の負担を過重にすることを避けつつ、制度を持続可能なものとするため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みとして導入しました。これにより、物価等の上昇率ほどに年金額は上昇しないこととなりますが、現役世代と高齢世代のバランスを確保しつつ制度の持続可能性を高めることになりました。
 なお、低所得の高齢者の方への対策については、既に年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮や、医療、介護の保険料負担軽減を実施したほか、今年の消費税率の引上げに合わせて、低年金の方への年金生活者支援給付金の創設、介護保険料の更なる負担軽減を実施するなど、社会保障全体で総合的に講じることとしています。
 さらに、人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、希望すれば、年齢にかかわらず、学び、働くことができる環境を整えることが必要です。既に未来投資会議においてこうした観点から生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、この夏までに計画を策定し、実行に移す考えです。引き続き、一億総活躍社会の実現に向けた施策を進めてまいります。
 国保の保険料についてお尋ねがありました。
 本年から施行された国保改革において、交付金制度を見直し、子供の被保険者数が多い自治体への財政支援を強化しました。
 御指摘の子供の均等割保険料の今後の在り方については、財政支援の効果や国保財政に与える影響などを考慮しながら、国保制度に関する国と地方の協議の場において引き続き議論してまいります。
 また、今般の国保改革においては、国保の財政状況に鑑み、年約三千四百億円の財政支援を行い財政基盤を大幅に強化したところであり、今後とも安定的な制度運営に努めてまいります。
 日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。
 今後の日米交渉が、あくまで、昨年九月に私とトランプ大統領の間で合意した日米共同声明に沿って行われることについては、交渉を担当する茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で直接確認しています。
 そして、この日米が合意した共同声明では、サービス全般の自由化や幅広いルールまで協定に盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が結んできた包括的なFTAとは異なるものであると考えます。
 また、この共同声明では、農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意しました。この点が最大のポイントであり、当然、この前提の上に、今後、農林水産業に関わる皆様の不安なお気持ちにしっかりと寄り添いながら米国と交渉を行ってまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設に係る地盤改良についてお尋ねがありました。
 米軍キャンプ・シュワブの北側海域については、地盤改良工事が必要であるものの、一般的で施工実績が豊富な工法により、護岸や埋立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であることが確認され、今後、沖縄防衛局において地盤改良に係る具体的な設計等の検討を十分に行うものと聞いております。
 他方、キャンプ・シュワブの南側海域については、埋立承認に基づき施工することができるため、埋立工事等を進めることは問題ないものと承知しています。
 普天間飛行場の全面返還を一日も早く実現するため、移設を進めてまいります。
 普天間飛行場と国際法についてお尋ねがありました。
 沖縄における米軍施設・区域の形成過程については、普天間飛行場を含め、国際法に照らして様々な議論があることは承知していますが、いずれにせよ、これらの沖縄の米軍施設・区域は、昭和四十七年の沖縄の本土復帰以後、米国が日米地位協定の下で我が国から適法に提供を受け、使用しているものです。
 一方、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場については、その固定化を絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
 政府としては、現行の日米合意に基づき、抑止力を維持しながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。
 普天間飛行場の返還に係る沖縄県等との対話及び日米地位協定についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場の全面返還のための移設については、これまで二十年以上に及び、地元の皆様と対話を積み重ねてきており、翁長前知事の時代にも集中的に協議を行いました。また、玉城知事の御就任後も、官房副長官と副知事の間で話合いを重ねたところです。
 私も、玉城知事とお目にかかり、今後とも様々な形で意見交換を行っていくことが大事であるとの認識で一致したところであり、政府・沖縄県協議会や普天間飛行場負担軽減推進会議などの協議の場を通じて対話を続けていく考えです。
 政府としては、引き続き、現行の日米合意に基づき、普天間の全面返還に向け、移設を進めてまいります。
 日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、事案に応じて、最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきています。
 安倍政権の下では、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものです。
 また、例えば、日本側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米国人、軍属の拘禁についても、日米合意に基づき、実際に起訴前に日本側への移転が行われてきています。
 今後とも、このような目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
 「いずも」型護衛艦の改修についてお尋ねがありました。
 政府としては、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため憲法上許されないと考えており、これは一貫した見解です。
 いわゆる攻撃型空母とは、空母のうちこのような兵器に該当するものと考えています。
 「いずも」型護衛艦における航空機の運用と所要の改修は、新たな安全保障環境に対応し、広大な太平洋を含む我が国の海と空の守りについて、隊員の安全を確保しつつ、しっかりとした備えを行うものであり、今後の我が国の防衛上必要不可欠なものです。自衛のための必要最小限度のものであり、憲法上保有が許されない攻撃型空母に当たるものではありません。
 専守防衛は憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本方針であり、今後とも堅持してまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 御指摘の国民の皆様の声については、私もしっかりと耳を傾け、真摯に受け止めたいと思います。
 他方、各種報道機関の世論調査においても、憲法を改正することに賛成する方々が一定程度認められる現状において、議論することを否定すべきではなく、今後、憲法審査会の場において各党の議論が重ねられることとなれば、国民の皆様の理解も更に深まっていくものと考えます。
 次に、内閣総理大臣は、憲法第六十三条の規定に基づき、議院に出席し、国会法第七十条の規定に基づき、議院の会議又は委員会において発言しようとするときは、議長又は委員長に通告した上で行うものとされています。
 憲法第六十七条の規定に基づき国会議員の中から指名された内閣総理大臣である私が、議院の会議又は委員会において、憲法に関する事柄を含め、政治上の見解、行政上の事項等について説明を行い、国会に対して議論を呼びかけることは、禁じられているものではありません。
 加えて、憲法第九十九条が憲法遵守義務を定めているのは、日本国憲法が最高法規であることに鑑み、国務大臣その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであって、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないと考えています。
 なお、私は、大きな歴史の転換点にあって、この国の未来をしっかりと示していくとの観点から憲法に関して一石を投じたものであって、自らの権力行使の抑制を緩めるための改憲論議との御指摘は全く当たりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119815254X00420190201_014

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2019-02-01

院: 参議院

会議名: 本会議