杉尾秀哉の発言 (本会議)
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○杉尾秀哉君 立憲民主党・民友会・希望の会の杉尾秀哉です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案等四法案に対して、森林環境税・譲与税に関する法律案に賛成、その他の法案については反対の立場から討論します。
まず、冒頭に申し上げます。
安倍総理、あなたは平成最後の総理大臣としてどのような功績を歴史に残そうとしているのでしょうか。
モリカケ問題に象徴されるように憲政史上まれに見る不祥事が次々と発覚しても一切誰も責任を取らない無責任内閣のトップとして、また、国民の代表たる国会を行政府の下請にし、異論、反論を排除してきた独裁者として、さらには、実証不可能なスローガンを次々と繰り出し、様々なツケを次の時代にツケ回ししてきた、今だけ、金だけ、自分だけのリーダーとしてでしょうか。
あの中曽根元総理は、政治家は歴史という法廷の被告であるという有名な言葉を残しました。また、安倍総理自身も同様の趣旨の答弁を繰り返しています。しかし、かく言うあなたがその歴史に盲目であること、それは、今国会最大の争点の一つとなった統計不正問題を見ても明らかです。
統計は国民の共有財産であり、あらゆる政策立案の基礎となります。統計がゆがむと政策がゆがむ、統計が乱れれば国が乱れる、これは、去年の統計法改正の質疑で私が問うた際の総務省統計局長の答弁です。
戦後、統計法ができたのも、さきの大戦で時の為政者が統計を都合よく利用して無謀な戦争に突入したという歴史の教訓にほかなりません。ゆえに、公的統計はいかなる権力からも自立した存在でなければならない。
ところが、あなたの部下であった元秘書官は、毎月勤労統計の調査手法をめぐり、統計の素人であるにもかかわらず、わざわざ厚労省の担当部長を官邸にまで呼び付けて、問題意識を伝達しました。これはあからさまな統計への政治介入にほかならず、こうした秘書官の行為を至極当然と開き直ってはばからないあなたには、統計の独立性への理解も数字への敬意もない。
更に付け加えれば、予算委員会で、法の番人たる横畠法制局長官が国民の代表者たる国会議員の質問について論評するという暴挙を行いました。まさに、あなたの政治姿勢のゆがみが秘書官はおろか法の番人にまで広がっている事態には慄然とせざるを得ません。
さて、安倍総理、あなたは政権の座に復帰して真っ先に地方創生を政策の柱に掲げました。地方創生は安倍政権の看板政策であったはずです。
ところが、実態はどうでしょう。地方から三大都市圏への人口流出、とりわけ東京一極集中は安倍政権になって止まるどころか一層加速し、昨年は東京圏で人口が十四万人も増加しました。今や、地方創生は中身のない空疎なスローガンと化しています。
沖縄県民投票が示した民意を踏みにじり、辺野古埋立てを強行する姿勢しかり、名ばかりコンサルタントが横行し、国主導の強いコントロールがばっこする地方創生推進交付金の実態しかり、これらはほんの一例で、あたかも地方に寄り添うふりをしながら実は地方軽視が甚だしい政権の姿勢は、今回の地方税など一連の改正案にも見て取れます。
まず、今回新たに創設される特別法人事業税・譲与税法案は、地方税を一旦国税化する措置で、たとえ税源の偏在是正が目的であっても、地方の自立と活性化を目指す地方分権に逆行するものにほかなりません。
加えて、問題の根本には大規模事業所の東京など大都市への集中が進む社会構造そのものがあり、国と地方の消費税の配分割合や地方交付税の法定率引上げなど、地方財政全体を設計し直す必要があるにもかかわらず、こうした抜本改革は置き去りにされました。
更にひどいのが、おととし秋の解散・総選挙直前に安倍総理が突然公約に持ち出した幼児教育の無償化です。地方に何の事前協議もなく、文字どおり鶴の一声で一方的に決められてしまいました。
この無償化に係る財源の地方負担分について、平成三十一年度は臨時交付金の措置で全額国費負担となりますが、問題は三十二年度以降です。交付金を含めた地方の一般財源総額がその分増えなければ、地方の裁量の範囲が狭まり、地方単独事業にしわ寄せが行く可能性があります。これでは、選挙目的のばらまき政策を押し付けられた地方はたまったものではありません。現に、私の地元長野のある自治体の首長さんは、我々は一揆を起こしたい、怒りのメールを私に送ってまいりました。
また、これも安倍政権で急激に増えたふるさと納税。本来の趣旨とは懸け離れて、今や金持ち優遇のカタログギフトと化したこの制度に、今回、地場産品に限り、返礼割合を三割以下にするという法の縛りが掛けられることになりました。
これまで自治体間競争を結果的にあおり、一たび制度のひずみが顕在化するや、今度は事実上総務省の許認可事業とする。これぞまさに御都合主義の極み。控除限度額など、高所得者の節税対策とも言われる現状には手を付けず、逆に地方への統制を強める。これには、はしごを外された格好の自治体が怒るのも当然でしょう。
さらに、一連の制度改正が、安倍政権でますます深刻になる格差拡大を助長する側面を指摘しないわけにはいきません。
まず、幼児教育、保育の無償化で最も恩恵を受けるのは、これまで高い保育料を払ってきた高所得世帯です。認可保育所の場合、住民税非課税の低所得世帯に充てられるのは無償化費用全体の僅か一%。その一方で、年収六百四十万円を超える世帯に五〇%が配分されるという試算もあります。つまり、低所得世帯には恩恵がない。
また、自動車関連税制の見直しでは、自動車税が全ての区分で税率が引き下げられるため、例えば税率の最高区分である六千㏄超の乗用車の税率まで引き下げられます。一体どんな人が六千㏄超という超高級車やスポーツカーに乗っているのか。
さらに、今回の改正では、子供の貧困問題に対処するため、児童扶養手当を受けている一人親家庭について、個人住民税の非課税措置が講じられることになりました。ところが、未婚の一人親家庭については、寡婦控除を認めないという差別的取扱いは放置されたまま。子供にとってみれば、親の結婚歴は何ら関係なく、政府・与党には子供の貧困問題に真剣に立ち向かう意思がないと言わざるを得ません。
そもそも、今回、十月に八%から一〇%へ増税される消費税そのものが逆進性が強く、景気の後退局面入りの可能性が指摘される目下の経済状況で予定どおり実施されることになれば、更に追い打ちを掛けることは火を見るより明らかです。
それでも政府は万全な対策を打ったと言いたいのでしょうが、ポイント還元など効果が不明で、しかも三、五、六、八、一〇%と、実に、異なる税率が五つも存在するような複雑怪奇な制度の導入は、とてもまともな政府が実施する政策とは到底思えません。
公正、中立、簡素という税の基本原則から懸け離れ、総じて高所得者に優しく、貧困世帯に厳しい今回の改正に、我々は断固反対です。
なお、新設される森林環境税・譲与税について、趣旨には基本的に賛同しますが、配分や使い道に厳しく目を光らせるとともに、既に多くの都道府県等で実施されている森林税との事実上の二重課税となる問題についても、将来的にはクリアすべきと考えます。
今回、一連の制度改正について、主に地方分権や、都市と地方、高所得者と低所得者など、様々な格差の観点から問題点を列挙しました。
安倍政権は、こうした数々のメニューは並べても、決して抜本的な制度改正に踏み込もうとはしない。まあ、もっとも、民主党政権時代の一括交付金にも、子ども手当にも、高校授業料無償化にも、全てばらまきと徹底的に批判し潰そうとしたのがほかならぬ当時の自民党ですから、無理もないでしょう。
その安倍政権が今や見境ないばらまきに走っているのは、歴史の皮肉としか言いようがありません。民主党政権時代を悪夢と切って捨て、自己を正当化しようとする安倍総理。あなたが一日でも長く政権の座に居座り続けることこそ、地方にとって、そして日本にとって、悪夢以外の何物でもないと申し上げて、私の討論を終わります。
御清聴大変ありがとうございました。(拍手)