藤巻健史の発言 (本会議)

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○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻健史です。
 日本維新の会・希望の党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 四月十七日に日銀が公表した金融システムレポートは、金融システムは危機的状況には至っていないが、地銀の収益悪化が確実に進んでおり、楽観できないという内容でした。このようなときに、法律を改正してまで預金保険機構から八千億円もの利益剰余金を国庫に組み戻すのが正しい判断なのか、疑問に思います。全額、預金保険機構の財務の健全性に充てるべきとも考えられます。
 地銀が健全であれば、預金保険機構の利益剰余金の国庫組み戻しもそれなりに理解できます。すなわち、八千億円を国庫に組み戻すべきかは現在並びに将来の地銀経営の健全性によると思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
 政府、日銀は、国会答弁において、地銀経営が厳しくなっている理由を少子化、地方経済の疲弊化等の構造問題としていますが、最大の原因は異次元緩和にあるのではないでしょうか。異次元緩和の開始により、日銀の長期国債の爆買いが始まりました。当然、長期国債の値段が急騰し、すなわち長期金利の低下が起きたのです。そのことにより、銀行の収益の根幹である長短金利差がなくなってしまいました。それが地銀経営不振の最大の理由だと思います。もしそうだとすれば、異次元緩和が継続する限り地銀経営は苦しく、いつかは体力が消耗してしまうと思います。異次元緩和が継続しても地銀経営は大丈夫なのでしょうか。
 一九七〇年代後半、米国の貯蓄型の金融機関であるSアンドLの危機の際、FRB、アメリカの中央銀行は長短金利差を拡大し乗り切ったと、私は当時アメリカのビジネススクールで学びました。現在の異次元量的緩和は、そのときとは真逆に、長短金利差を極小化しています。それでも地銀は大丈夫でしょうか、金融担当大臣、お答え願います。
 また、地銀の経営悪化が地方経済の疲弊化や地方人口の急激な減少などの構造問題のせいであるならば、都市銀行の収益には異次元緩和前と後では変化がないと思われますが、いかがでしょうか。現在の都市銀行は異次元緩和開始以前と同程度の収益を上げているのか、また、異次元緩和が継続しても都市銀行の体力はもつのか、金融担当大臣、お答えください。
 最近、都銀でも振り込み手数料等を値上げしているところも出始めました。異次元緩和による長短金利差縮小により収益が減り、その穴埋めの可能性もあるとも思いますが、金融担当大臣はどうお考えでしょうか、お聞かせください。
 ところで、アベノミクスの第一の矢に掲げられた異次元緩和ですが、日銀が異次元緩和を進める、マネーを供給するためには何らかの資産を購入しなければなりません。したがって、日銀は国債、株式を爆買いしています。また、年間九百億円ペースと、まだ国債や株式市場ほどではありませんが、REIT、不動産投信ですけれども、これをも購入しています。その結果、株式市場では、来年末には日銀が日本株の最大の株主となります。金融政策で株を購入している中央銀行は、世界では日銀だけです。
 国債市場は更にひどく、ストックで見れば、日銀が国債発行残高の四〇%強を保有しています。また、フローで見ても、平成二十九年度は、年間の国債が百四十一兆円発行されたのに対し、日銀が九十六兆円も購入しました。約七〇%です。まさに日銀は、国債市場におけるモンスターになってしまいました。今や国債を買い増ししているのは、日銀のほかに、一時的な裁定取引をする外国人投資家だけという現状です。ここまで国債にのめり込んだ中央銀行は、世界ではほかにありません。他国中央銀行に比べてぬきんでています。
 市場原理の働かない日銀が株式市場と国債市場でばっこする社会は、まさに計画経済又は社会主義的経営経済そのものではないでしょうか。金融担当大臣の御見解をお聞かせください。
 計画経済の下では、市場経済で起こる微調整が起こりません。例えば、市場経済下では、累積赤字がたまると長期金利が上昇し、累積赤字拡大に対する警戒警報が鳴ります。最近のイタリア国債市場の動きがよい例です。しかし、今のように日銀が国債市場でモンスター的存在である限り、そして市場を抑えつつある現状では、長期金利上昇という累積赤字への警戒警報は鳴りません。
 計画経済の下では崩壊が突然来るのは、歴史が証明しています。アベノミクスの第一の矢である異次元緩和を継続しても副作用や突然の崩壊は今後とも起こらないと自信を持って言えるのか、金融担当大臣、お答えください。
 この三十年間、日本の名目GDPは一・五倍にしかなっておらず、世界で断トツのびり成長です。一方、中国のそれは、何と七十五倍にもなっています。中国躍進の原因は、意図的な人民元安と計画経済からの決別、市場経済の導入だと言われています。ただでさえ後れを取った日本は、計画経済で更に世界から後れを取るのではないでしょうかと心配いたします。
 消費者物価指数二%達成のために講ずる処置であるならば、達成目標時を決めておくことが必要ではないでしょうか。金融担当大臣、お聞かせ願います。
 この計画経済の犠牲になっているのが地方銀行とも言えます。日銀の長期国債の爆買いで十年物長期金利がゼロとなり、国債投資という地銀の伝統的な運用手段がなくなりました。その上、十年国債金利がゼロになったために、非常に有利な商品を提供できる政府系金融機関との競争も激しさを増しています。
 例えば、独立行政法人福祉医療機構の融資は、調達金利が国債に連動しているために、介護施設や病院向け設備資金の金利が十年で〇・二から〇・三%という超低金利融資となっています。競合先がそんなに低金利を出してくれば、地銀も同じような金利で競争せざるを得ません。経費も賄えなくなるわけです。地銀は収益悪化を補うために高リスク商品に手を出さざるを得なくなっているとも言えます。不正融資が多数発覚したスルガ銀行が不動産融資に傾倒していったのも、そのような背景があったのではないでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
 このような資金運用を地銀がしているときに何か大きなショックがあれば、極めて危険な状況になってしまうのです。このような地方銀行の状況を考えれば、預金保険機構の財政の健全性を第一に考えるべきで、八千億円をこの時期に国庫に返納するのはいかがなものかと思うのですが、いかがでしょうか。
 さらには、異次元緩和の結果、日銀自身のバランスシートが脆弱になっています。アベノミクスが成功し、景気が良くなり金利を引き上げる際には、日銀が債務超過になる可能性もあります。日銀の保有国債は、昔と違い、十年を中心とした長期国債の定期、固定金利ですから、金利収入はすぐには上がりません。一方、日銀当座預金、これは負債サイドですけれども、日銀当座預金への付利金利はすぐにでも上がるからです。債務超過が一時的なら大丈夫ですけれども、中央銀行の債務超過は、中央銀行とその発行する通貨の信用を著しく毀損いたします。
 その場合、政府の資本投入を考えられているのかもしれません。しかし、政府は単年度でも赤字であり、資本投入をするだけの資金がありません。まさか、日銀に国債を買い取ってもらい、新しく刷ったお金で資本投入をするのでしょうか。それでは市場の信用は全く回復しないでしょう。
 唯一の方法は、それこそ、規模が小さ過ぎるとはいえ、そのときにこの八千億円を投入すべしとの考え方もあるのではないでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
 最後に、自国通貨建てで借金しているならば、インフレが加速しない限り幾らでも借金しても大丈夫という現代金融理論、MMTについてお聞きいたします。
 米国の民主党左派勢力に大人気のMMTですが、MMTの提唱者であるケルトン教授自身が日本が実験中との発言を重ねています。麻生金融担当大臣は日本を実験場にしてはならないと発言されていますが、異次元緩和は、ケルトン教授が言うようにMMTの実践ではないでしょうか。違うのなら、どこが違うかお教えください。
 MMTは米国民主党左派勢力には大人気ですが、金融界、経済界、学者の重鎮の間では総スカンです。例えば、アメリカのサマーズ元財務長官は、幾つもの途上国が経験したように、そうした手法はハイパーインフレを引き起こす、インフレ税を通じた収入増は限度があり、それを超えるとハイパーインフレが発生すると述べています。
 MMTと異次元緩和が同じものであり、米国の重鎮の危惧が当たっているのなら、地銀だけでなく、将来、日本自体が大変な事態になってしまう可能性があります。このような危惧があるときは、預金保険機構から八千億円を国庫に返済されるよりも、預金保険機構の財務内容を充実させることの方が重要だと思いますが、いかがでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119815254X01620190510_008

発言者: 藤巻健史

speaker_id: 32307

日付: 2019-05-10

院: 参議院

会議名: 本会議