本会議
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会
会議録情報#0
令和元年五月十日(金曜日)
午前十時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十六号
令和元年五月十日
午前十時開議
第一 建築物のエネルギー消費性能の向上に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
第二 大学等における修学の支援に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第三 特許法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第四 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事
上の側面に関する条約の実施に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第五 電波法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第六 電気通信事業法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第七 子ども・子育て支援法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、金融機能の早期健全化のための緊急措置に
関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説
明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────
この発言だけを見る →午前十時一分開議
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○議事日程 第十六号
令和元年五月十日
午前十時開議
第一 建築物のエネルギー消費性能の向上に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
第二 大学等における修学の支援に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第三 特許法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第四 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事
上の側面に関する条約の実施に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第五 電波法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第六 電気通信事業法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第七 子ども・子育て支援法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、金融機能の早期健全化のための緊急措置に
関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説
明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────
伊
伊達忠一#1
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →この際、日程に追加して、
金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊
麻
麻生太郎#3
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
預金保険機構の金融機能早期健全化勘定に属する剰余金につきましては、会計検査院の平成二十七年度決算報告におきまして、適時に国庫に納付したり、預金保険機構の財務の健全性を維持するために活用したりするため、必要な制度を整備するなど抜本的な方策を検討するよう、意見が表示されております。
また、これまでに、衆議院本会議及び参議院決算委員会それぞれにおきましても、同じ趣旨の議決等がなされました。
本法律案は、これらの議決等も踏まえ、預金保険機構の金融機能早期健全化勘定に属する剰余金を活用するため、金融機能早期健全化業務が終了する日よりも前にその剰余金を国庫に納付することができるようにするとともに、金融機能早期健全化勘定から金融再生勘定に繰入れすることができるようにするものであります。
以上、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。拍手
─────────────
この発言だけを見る →預金保険機構の金融機能早期健全化勘定に属する剰余金につきましては、会計検査院の平成二十七年度決算報告におきまして、適時に国庫に納付したり、預金保険機構の財務の健全性を維持するために活用したりするため、必要な制度を整備するなど抜本的な方策を検討するよう、意見が表示されております。
また、これまでに、衆議院本会議及び参議院決算委員会それぞれにおきましても、同じ趣旨の議決等がなされました。
本法律案は、これらの議決等も踏まえ、預金保険機構の金融機能早期健全化勘定に属する剰余金を活用するため、金融機能早期健全化業務が終了する日よりも前にその剰余金を国庫に納付することができるようにするとともに、金融機能早期健全化勘定から金融再生勘定に繰入れすることができるようにするものであります。
以上、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げます。拍手
─────────────
伊
風
風間直樹#5
○風間直樹君 立憲民主党・民友会・希望の会の風間直樹です。
私は、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して麻生大臣に質問します。
一九九七年以降に発生した国内大手金融機関の破綻に際し、金融システムに対する内外の信頼回復を目的に設立した早期健全化法。今日、その下に設置された早期健全化勘定には利益剰余金が一兆六千億円生じました。本法案の眼目は、そのうち半分の八千億円を国庫に納付することです。そして、残余の八千億円を同勘定に残して将来の必要に資すると同時に、金融再生法の下に設置された金融再生勘定に、金融再生業務の終了の日又は早期健全化業務の終了の日にその一部を移すことを定めるものです。
まず、本法案の意図について端的に伺います。
本法案は、消費増税による影響軽減のための財源を生み出すためのものではないのですか。本法案では、国庫納付させる八千億円を、本年十月に予定する消費税率一〇%への引上げによる経済への影響に対応するための臨時特別の措置、二兆二百八十億円の財源として活用することが想定されています。実に、財源の約四割をこの八千億円に頼る格好となっているのです。つまり、臨時特別の措置は、本法案による利益剰余金の国庫納付なくして成立しません。このような綱渡りの財政運営には疑問が生じます。このタイミングで国庫に納付する目的を伺います。
しかも、臨時特別の措置の中には、プレミアム付き商品券のように政策効果が極めて疑問視されるものも含まれています。早期健全化勘定の利益剰余金一兆六千億円は、公的資金の投入による金融システムの安定化がもたらした果実、国民に有効な施策として適切に還元されるべきであり、ばらまきに用いられてはなりません。財政健全化を標榜している財務省は、この八千億円を国債の償還に充てるよりも臨時特別の措置に充てる方が財政健全化に資すると考えているのでしょうか。見解を伺います。
金融再生勘定では、当時破綻した日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が保有する、それぞれ約千五百銘柄、八百銘柄の株式を買い取り、その含み損は現在四百十六億円となっています。麻生大臣は、これらの株式について、今後の金融資本市場の動向によっては含み損が拡大する可能性が否定できないとの認識を示しています。なのに、なぜ、現時点で早々に利益剰余金の半額に当たる八千億円を国庫納付してしまうのでしょうか。
確かに、会計検査院の決算検査報告、衆議院及び参議院の決議では、利益剰余金の適時の国庫納付については指摘をしています。でも、直ちに国庫納付することは求めていません。金融再生勘定が保有する株式の含み損が拡大する懸念を麻生大臣自らが認めているのに、その損失に対応するための財源を簡単に手放してしまうのは矛盾していませんか。金融再生勘定の財務状況について確実な見通しを立てられないのに、今年度に国庫納付をすることの妥当性について見解を伺います。
現在のところ、金融市場にはリーマン・ショック時のような大きな混乱は見られません。しかし、当時、先進国を中心とする各国政府は、破綻に瀕した金融機関に資本を大量注入すると同時に、莫大な国債を発行して景気を下支えしました。日米欧の国債大量発行は、民間債務を政府債務で肩代わりしたとも言われました。このため、金融市場には、高い確率で債務の危機がいつかやってくるという認識も幅広く見られます。実際、昨年の十月、米国の著名投資家がそうした認識を著書にまとめ、インターネット上に掲載したその翌日から、ニューヨーク市場は大きく値を下げ、クリスマスイブの暴落へとつながったと言われましたが、それほど債務の危機への警戒感は高いのが現状です。
仮に、今後の金融市場の動向等により金融再生勘定の財務が深刻な状況となり、早期健全化勘定に留保している利益剰余金を充ててもなお欠損金が生じるような事態へと進展してしまった場合、どのように対処することが考えられるのでしょうか。国が予算措置をすることになるのでしょうか。想定し得る手法を伺います。
本法案では、早期健全化勘定と金融再生勘定をセットで扱っています。しかし、会計検査院の決算検査報告でも衆議院及び参議院の決議でも、預金保険機構の財務の健全性を維持するために利益剰余金を活用することを検討するべきとは指摘しているものの、繰入れ先を金融再生勘定に限定するよう求めてはいません。金融再生勘定以外の勘定への繰入れの要否についてはどのような検討が行われたのか、説明を求めます。
ところで、金融再生業務や早期健全化業務が終了する日というのは、具体的にはどういった状況を想定しているのでしょうか。金融再生勘定と早期健全化勘定は、旧金融安定化法と早期健全化法に基づく資本増強として新生銀行の株式を抱えています。しかし、この処分は、道筋は立っていません。金融再生勘定は、さきに述べたように、破綻した銀行から買い取った株式を経理していますが、株式の市場への売却は平成二十年十月から停止されたまま。その再開については積極的な姿勢が見られません。
政府は、戦後最長の景気回復期間を更新した可能性があるとの認識を示しています。しかし、景気動向指数は下方への局面変化を示しています。仮に景気が後退局面に入ったとすると、金融再生勘定や早期健全化勘定が抱えている株式の処分は進まず、いつまでたっても金融再生業務や早期健全化業務が終了する日を迎えることがないという状況に陥るのではないでしょうか。見解を伺います。
以上をお尋ねし、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →私は、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して麻生大臣に質問します。
一九九七年以降に発生した国内大手金融機関の破綻に際し、金融システムに対する内外の信頼回復を目的に設立した早期健全化法。今日、その下に設置された早期健全化勘定には利益剰余金が一兆六千億円生じました。本法案の眼目は、そのうち半分の八千億円を国庫に納付することです。そして、残余の八千億円を同勘定に残して将来の必要に資すると同時に、金融再生法の下に設置された金融再生勘定に、金融再生業務の終了の日又は早期健全化業務の終了の日にその一部を移すことを定めるものです。
まず、本法案の意図について端的に伺います。
本法案は、消費増税による影響軽減のための財源を生み出すためのものではないのですか。本法案では、国庫納付させる八千億円を、本年十月に予定する消費税率一〇%への引上げによる経済への影響に対応するための臨時特別の措置、二兆二百八十億円の財源として活用することが想定されています。実に、財源の約四割をこの八千億円に頼る格好となっているのです。つまり、臨時特別の措置は、本法案による利益剰余金の国庫納付なくして成立しません。このような綱渡りの財政運営には疑問が生じます。このタイミングで国庫に納付する目的を伺います。
しかも、臨時特別の措置の中には、プレミアム付き商品券のように政策効果が極めて疑問視されるものも含まれています。早期健全化勘定の利益剰余金一兆六千億円は、公的資金の投入による金融システムの安定化がもたらした果実、国民に有効な施策として適切に還元されるべきであり、ばらまきに用いられてはなりません。財政健全化を標榜している財務省は、この八千億円を国債の償還に充てるよりも臨時特別の措置に充てる方が財政健全化に資すると考えているのでしょうか。見解を伺います。
金融再生勘定では、当時破綻した日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が保有する、それぞれ約千五百銘柄、八百銘柄の株式を買い取り、その含み損は現在四百十六億円となっています。麻生大臣は、これらの株式について、今後の金融資本市場の動向によっては含み損が拡大する可能性が否定できないとの認識を示しています。なのに、なぜ、現時点で早々に利益剰余金の半額に当たる八千億円を国庫納付してしまうのでしょうか。
確かに、会計検査院の決算検査報告、衆議院及び参議院の決議では、利益剰余金の適時の国庫納付については指摘をしています。でも、直ちに国庫納付することは求めていません。金融再生勘定が保有する株式の含み損が拡大する懸念を麻生大臣自らが認めているのに、その損失に対応するための財源を簡単に手放してしまうのは矛盾していませんか。金融再生勘定の財務状況について確実な見通しを立てられないのに、今年度に国庫納付をすることの妥当性について見解を伺います。
現在のところ、金融市場にはリーマン・ショック時のような大きな混乱は見られません。しかし、当時、先進国を中心とする各国政府は、破綻に瀕した金融機関に資本を大量注入すると同時に、莫大な国債を発行して景気を下支えしました。日米欧の国債大量発行は、民間債務を政府債務で肩代わりしたとも言われました。このため、金融市場には、高い確率で債務の危機がいつかやってくるという認識も幅広く見られます。実際、昨年の十月、米国の著名投資家がそうした認識を著書にまとめ、インターネット上に掲載したその翌日から、ニューヨーク市場は大きく値を下げ、クリスマスイブの暴落へとつながったと言われましたが、それほど債務の危機への警戒感は高いのが現状です。
仮に、今後の金融市場の動向等により金融再生勘定の財務が深刻な状況となり、早期健全化勘定に留保している利益剰余金を充ててもなお欠損金が生じるような事態へと進展してしまった場合、どのように対処することが考えられるのでしょうか。国が予算措置をすることになるのでしょうか。想定し得る手法を伺います。
本法案では、早期健全化勘定と金融再生勘定をセットで扱っています。しかし、会計検査院の決算検査報告でも衆議院及び参議院の決議でも、預金保険機構の財務の健全性を維持するために利益剰余金を活用することを検討するべきとは指摘しているものの、繰入れ先を金融再生勘定に限定するよう求めてはいません。金融再生勘定以外の勘定への繰入れの要否についてはどのような検討が行われたのか、説明を求めます。
ところで、金融再生業務や早期健全化業務が終了する日というのは、具体的にはどういった状況を想定しているのでしょうか。金融再生勘定と早期健全化勘定は、旧金融安定化法と早期健全化法に基づく資本増強として新生銀行の株式を抱えています。しかし、この処分は、道筋は立っていません。金融再生勘定は、さきに述べたように、破綻した銀行から買い取った株式を経理していますが、株式の市場への売却は平成二十年十月から停止されたまま。その再開については積極的な姿勢が見られません。
政府は、戦後最長の景気回復期間を更新した可能性があるとの認識を示しています。しかし、景気動向指数は下方への局面変化を示しています。仮に景気が後退局面に入ったとすると、金融再生勘定や早期健全化勘定が抱えている株式の処分は進まず、いつまでたっても金融再生業務や早期健全化業務が終了する日を迎えることがないという状況に陥るのではないでしょうか。見解を伺います。
以上をお尋ねし、私の質問を終わります。拍手
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
麻
麻生太郎#6
○国務大臣(麻生太郎君) 風間議員からは、預金保険機構の早期健全化勘定の利益剰余金の国庫納付などについて、計六問お尋ねがあっております。
まず、国庫納付をなぜこのタイミングで行うかについてのお尋ねがありました。
早期健全化勘定の利益剰余金の取扱いにつきましては、平成二十八年十一月の会計検査院の意見表示、平成二十九年六月の衆議院本会議、参議院決算委員会の議決等を受けて、金融庁におきましては、平成金融危機への対応を進める中、預金の全額保護のための約十兆四千億円という巨額の国民負担が確定しているといった経緯や、預金保険機構の他の勘定に欠損金や含み損が発生していること、及び金融資本市場の状況によりその含み損等は変動することなどを踏まえて、財政当局とも協議をしながら総合的な検討を進めてきたところであります。
今般、その検討の結果が得られたことから対応を行うこととしたものであり、具体的には、必要な制度整備を行った上で、早期健全化勘定の利益勘定のうち八千億円を国庫納付することとしたものであります。
次に、預金保険機構から国庫納付と財政健全化への取組についてのお尋ねがあっております。
本年十月に予定される消費税率の引上げに当たりましては、前回の引上げの経験等を踏まえ、低所得や子育て世帯への、いわゆる消費への影響を緩和するプレミアム付き商品券など、引上げに伴う経済的影響を平準化するために十分な対策を講ずることとし、預金保険機構から国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別の措置の財源としてお示しをいたしております。
議員御指摘の国債の償還、ひいては財政健全化の取組は重要であるということは言うまでもなく、こうした臨時の財源を用いて経済への影響を平準化しつつ、消費税率を引き上げ、持続的な経済成長の実現と財政健全化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、金融再生勘定の財務状況の見通しが不確実な中で、今年度に国庫納付をすることの妥当性についてのお尋ねもあっております。
金融再生勘定は、預金保険機構が旧長銀、旧日債銀から買い取った上場株式などを保有いたしております。そこで、これに伴う将来の損失リスクも十分に勘案する観点から、日経平均株価が過去十年間における平均的な水準であります一万四千円まで下落したとの仮定を置いた上で、金融再生勘定において保有する上場株式に発生し得る含み損を試算するなどして、今回提出しております法律改正が行われた場合に、金融再生勘定の業務のために留保する必要がある金額を約六千二百億円と試算をいたしております。
今般、国庫納付をするに当たりまして、今申し上げた試算に基づく金額を含め、早期健全化勘定の利益剰余金約一兆六千億円のうち約八千億円を引き続き早期健全化勘定に留保するとしているため、今年度の国庫納付は妥当であると考えておるところであります。
次に、早期健全化勘定の利益剰余金を繰り入れてもなお金融再生勘定に損失が発生している場合の対処方法についてのお尋ねもあっております。
現行の金融再生法には、金融再生勘定の廃止の際に損失が発生している場合の対応に関する規定は設けられておりません。すなわち、お尋ねの対処方法は、現時点において制度上は明らかにされておりません。
このため、早期健全化勘定はもとより、金融再生勘定の廃止の際に損失が発生し、国民の負担が生じることがないよう、早期健全化勘定において、過去の実績等も参考にいたしつつ、金融再生勘定を含めた将来の損失リスクを十分に勘案した上で試算をいたして、約八千億円を今後とも留保するということにしているところであります。
次に、金融再生勘定以外の勘定への繰入れの要否に関する検討についてお尋ねがありました。
金融庁におきましては、会計検査院の意見表示や衆議院本会議、参議院の決算委員会の議決等を受け、現在、預金保険機構にある勘定それぞれの保有している資産の状況や支出と収入などを踏まえつつ、早期健全化勘定の利益剰余金を預金保険機構の財務の健全性維持のために活用する具体的な方法について検討を行ってまいりました。
その結果、今回、早期健全化勘定と同じく平成金融危機に対応するために設置をされた、旧長銀、旧日債銀から当時買い取った株式を保有しておりますことから、今後その処分等において損失が発生するリスクに備える必要がある勘定である金融再生勘定についてのみ繰入れ規定を整備することとしたものであります。
最後に、金融再生業務や早期健全化業務が終了する日に関して具体的に想定している状況についてのお尋ねがありました。
金融再生勘定において経理をする旧長銀、旧日債銀から買い取った株式につきましては、平成二十年九月のリーマン・ショック後の急激な株価の下落等を受けて、同年十月から上場株式の処分を原則として停止をいたしております。
その処分の再開につきましては、その含み損益の状況に加え、多額の株式の処分を市場に不測の影響を与えることがないかなど、金融資本市場の動向も踏まえつつ、今後適切に判断をしてまいりたいと考えております。
また、早期健全化勘定において経理する新生銀行株式の処分につきましては、個別銀行の資本政策や金融資本市場の状況に関わる事項でもあり、その見通しを申し上げることは困難でありますが、新生銀行は経営健全化計画を策定し、公的資金の返済に向けて取り組んでおり、金融庁として、同行の取組を促してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、金融再生勘定や早期健全化勘定につきましては、追加的な国民負担を伴わずに業務を終了することができるよう、適切に業務を行ってまいりたいと考えております。拍手
─────────────
この発言だけを見る →まず、国庫納付をなぜこのタイミングで行うかについてのお尋ねがありました。
早期健全化勘定の利益剰余金の取扱いにつきましては、平成二十八年十一月の会計検査院の意見表示、平成二十九年六月の衆議院本会議、参議院決算委員会の議決等を受けて、金融庁におきましては、平成金融危機への対応を進める中、預金の全額保護のための約十兆四千億円という巨額の国民負担が確定しているといった経緯や、預金保険機構の他の勘定に欠損金や含み損が発生していること、及び金融資本市場の状況によりその含み損等は変動することなどを踏まえて、財政当局とも協議をしながら総合的な検討を進めてきたところであります。
今般、その検討の結果が得られたことから対応を行うこととしたものであり、具体的には、必要な制度整備を行った上で、早期健全化勘定の利益勘定のうち八千億円を国庫納付することとしたものであります。
次に、預金保険機構から国庫納付と財政健全化への取組についてのお尋ねがあっております。
本年十月に予定される消費税率の引上げに当たりましては、前回の引上げの経験等を踏まえ、低所得や子育て世帯への、いわゆる消費への影響を緩和するプレミアム付き商品券など、引上げに伴う経済的影響を平準化するために十分な対策を講ずることとし、預金保険機構から国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別の措置の財源としてお示しをいたしております。
議員御指摘の国債の償還、ひいては財政健全化の取組は重要であるということは言うまでもなく、こうした臨時の財源を用いて経済への影響を平準化しつつ、消費税率を引き上げ、持続的な経済成長の実現と財政健全化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、金融再生勘定の財務状況の見通しが不確実な中で、今年度に国庫納付をすることの妥当性についてのお尋ねもあっております。
金融再生勘定は、預金保険機構が旧長銀、旧日債銀から買い取った上場株式などを保有いたしております。そこで、これに伴う将来の損失リスクも十分に勘案する観点から、日経平均株価が過去十年間における平均的な水準であります一万四千円まで下落したとの仮定を置いた上で、金融再生勘定において保有する上場株式に発生し得る含み損を試算するなどして、今回提出しております法律改正が行われた場合に、金融再生勘定の業務のために留保する必要がある金額を約六千二百億円と試算をいたしております。
今般、国庫納付をするに当たりまして、今申し上げた試算に基づく金額を含め、早期健全化勘定の利益剰余金約一兆六千億円のうち約八千億円を引き続き早期健全化勘定に留保するとしているため、今年度の国庫納付は妥当であると考えておるところであります。
次に、早期健全化勘定の利益剰余金を繰り入れてもなお金融再生勘定に損失が発生している場合の対処方法についてのお尋ねもあっております。
現行の金融再生法には、金融再生勘定の廃止の際に損失が発生している場合の対応に関する規定は設けられておりません。すなわち、お尋ねの対処方法は、現時点において制度上は明らかにされておりません。
このため、早期健全化勘定はもとより、金融再生勘定の廃止の際に損失が発生し、国民の負担が生じることがないよう、早期健全化勘定において、過去の実績等も参考にいたしつつ、金融再生勘定を含めた将来の損失リスクを十分に勘案した上で試算をいたして、約八千億円を今後とも留保するということにしているところであります。
次に、金融再生勘定以外の勘定への繰入れの要否に関する検討についてお尋ねがありました。
金融庁におきましては、会計検査院の意見表示や衆議院本会議、参議院の決算委員会の議決等を受け、現在、預金保険機構にある勘定それぞれの保有している資産の状況や支出と収入などを踏まえつつ、早期健全化勘定の利益剰余金を預金保険機構の財務の健全性維持のために活用する具体的な方法について検討を行ってまいりました。
その結果、今回、早期健全化勘定と同じく平成金融危機に対応するために設置をされた、旧長銀、旧日債銀から当時買い取った株式を保有しておりますことから、今後その処分等において損失が発生するリスクに備える必要がある勘定である金融再生勘定についてのみ繰入れ規定を整備することとしたものであります。
最後に、金融再生業務や早期健全化業務が終了する日に関して具体的に想定している状況についてのお尋ねがありました。
金融再生勘定において経理をする旧長銀、旧日債銀から買い取った株式につきましては、平成二十年九月のリーマン・ショック後の急激な株価の下落等を受けて、同年十月から上場株式の処分を原則として停止をいたしております。
その処分の再開につきましては、その含み損益の状況に加え、多額の株式の処分を市場に不測の影響を与えることがないかなど、金融資本市場の動向も踏まえつつ、今後適切に判断をしてまいりたいと考えております。
また、早期健全化勘定において経理する新生銀行株式の処分につきましては、個別銀行の資本政策や金融資本市場の状況に関わる事項でもあり、その見通しを申し上げることは困難でありますが、新生銀行は経営健全化計画を策定し、公的資金の返済に向けて取り組んでおり、金融庁として、同行の取組を促してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、金融再生勘定や早期健全化勘定につきましては、追加的な国民負担を伴わずに業務を終了することができるよう、適切に業務を行ってまいりたいと考えております。拍手
─────────────
伊
藤
藤巻健史#8
○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻健史です。
日本維新の会・希望の党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
四月十七日に日銀が公表した金融システムレポートは、金融システムは危機的状況には至っていないが、地銀の収益悪化が確実に進んでおり、楽観できないという内容でした。このようなときに、法律を改正してまで預金保険機構から八千億円もの利益剰余金を国庫に組み戻すのが正しい判断なのか、疑問に思います。全額、預金保険機構の財務の健全性に充てるべきとも考えられます。
地銀が健全であれば、預金保険機構の利益剰余金の国庫組み戻しもそれなりに理解できます。すなわち、八千億円を国庫に組み戻すべきかは現在並びに将来の地銀経営の健全性によると思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
政府、日銀は、国会答弁において、地銀経営が厳しくなっている理由を少子化、地方経済の疲弊化等の構造問題としていますが、最大の原因は異次元緩和にあるのではないでしょうか。異次元緩和の開始により、日銀の長期国債の爆買いが始まりました。当然、長期国債の値段が急騰し、すなわち長期金利の低下が起きたのです。そのことにより、銀行の収益の根幹である長短金利差がなくなってしまいました。それが地銀経営不振の最大の理由だと思います。もしそうだとすれば、異次元緩和が継続する限り地銀経営は苦しく、いつかは体力が消耗してしまうと思います。異次元緩和が継続しても地銀経営は大丈夫なのでしょうか。
一九七〇年代後半、米国の貯蓄型の金融機関であるSアンドLの危機の際、FRB、アメリカの中央銀行は長短金利差を拡大し乗り切ったと、私は当時アメリカのビジネススクールで学びました。現在の異次元量的緩和は、そのときとは真逆に、長短金利差を極小化しています。それでも地銀は大丈夫でしょうか、金融担当大臣、お答え願います。
また、地銀の経営悪化が地方経済の疲弊化や地方人口の急激な減少などの構造問題のせいであるならば、都市銀行の収益には異次元緩和前と後では変化がないと思われますが、いかがでしょうか。現在の都市銀行は異次元緩和開始以前と同程度の収益を上げているのか、また、異次元緩和が継続しても都市銀行の体力はもつのか、金融担当大臣、お答えください。
最近、都銀でも振り込み手数料等を値上げしているところも出始めました。異次元緩和による長短金利差縮小により収益が減り、その穴埋めの可能性もあるとも思いますが、金融担当大臣はどうお考えでしょうか、お聞かせください。
ところで、アベノミクスの第一の矢に掲げられた異次元緩和ですが、日銀が異次元緩和を進める、マネーを供給するためには何らかの資産を購入しなければなりません。したがって、日銀は国債、株式を爆買いしています。また、年間九百億円ペースと、まだ国債や株式市場ほどではありませんが、REIT、不動産投信ですけれども、これをも購入しています。その結果、株式市場では、来年末には日銀が日本株の最大の株主となります。金融政策で株を購入している中央銀行は、世界では日銀だけです。
国債市場は更にひどく、ストックで見れば、日銀が国債発行残高の四〇%強を保有しています。また、フローで見ても、平成二十九年度は、年間の国債が百四十一兆円発行されたのに対し、日銀が九十六兆円も購入しました。約七〇%です。まさに日銀は、国債市場におけるモンスターになってしまいました。今や国債を買い増ししているのは、日銀のほかに、一時的な裁定取引をする外国人投資家だけという現状です。ここまで国債にのめり込んだ中央銀行は、世界ではほかにありません。他国中央銀行に比べてぬきんでています。
市場原理の働かない日銀が株式市場と国債市場でばっこする社会は、まさに計画経済又は社会主義的経営経済そのものではないでしょうか。金融担当大臣の御見解をお聞かせください。
計画経済の下では、市場経済で起こる微調整が起こりません。例えば、市場経済下では、累積赤字がたまると長期金利が上昇し、累積赤字拡大に対する警戒警報が鳴ります。最近のイタリア国債市場の動きがよい例です。しかし、今のように日銀が国債市場でモンスター的存在である限り、そして市場を抑えつつある現状では、長期金利上昇という累積赤字への警戒警報は鳴りません。
計画経済の下では崩壊が突然来るのは、歴史が証明しています。アベノミクスの第一の矢である異次元緩和を継続しても副作用や突然の崩壊は今後とも起こらないと自信を持って言えるのか、金融担当大臣、お答えください。
この三十年間、日本の名目GDPは一・五倍にしかなっておらず、世界で断トツのびり成長です。一方、中国のそれは、何と七十五倍にもなっています。中国躍進の原因は、意図的な人民元安と計画経済からの決別、市場経済の導入だと言われています。ただでさえ後れを取った日本は、計画経済で更に世界から後れを取るのではないでしょうかと心配いたします。
消費者物価指数二%達成のために講ずる処置であるならば、達成目標時を決めておくことが必要ではないでしょうか。金融担当大臣、お聞かせ願います。
この計画経済の犠牲になっているのが地方銀行とも言えます。日銀の長期国債の爆買いで十年物長期金利がゼロとなり、国債投資という地銀の伝統的な運用手段がなくなりました。その上、十年国債金利がゼロになったために、非常に有利な商品を提供できる政府系金融機関との競争も激しさを増しています。
例えば、独立行政法人福祉医療機構の融資は、調達金利が国債に連動しているために、介護施設や病院向け設備資金の金利が十年で〇・二から〇・三%という超低金利融資となっています。競合先がそんなに低金利を出してくれば、地銀も同じような金利で競争せざるを得ません。経費も賄えなくなるわけです。地銀は収益悪化を補うために高リスク商品に手を出さざるを得なくなっているとも言えます。不正融資が多数発覚したスルガ銀行が不動産融資に傾倒していったのも、そのような背景があったのではないでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
このような資金運用を地銀がしているときに何か大きなショックがあれば、極めて危険な状況になってしまうのです。このような地方銀行の状況を考えれば、預金保険機構の財政の健全性を第一に考えるべきで、八千億円をこの時期に国庫に返納するのはいかがなものかと思うのですが、いかがでしょうか。
さらには、異次元緩和の結果、日銀自身のバランスシートが脆弱になっています。アベノミクスが成功し、景気が良くなり金利を引き上げる際には、日銀が債務超過になる可能性もあります。日銀の保有国債は、昔と違い、十年を中心とした長期国債の定期、固定金利ですから、金利収入はすぐには上がりません。一方、日銀当座預金、これは負債サイドですけれども、日銀当座預金への付利金利はすぐにでも上がるからです。債務超過が一時的なら大丈夫ですけれども、中央銀行の債務超過は、中央銀行とその発行する通貨の信用を著しく毀損いたします。
その場合、政府の資本投入を考えられているのかもしれません。しかし、政府は単年度でも赤字であり、資本投入をするだけの資金がありません。まさか、日銀に国債を買い取ってもらい、新しく刷ったお金で資本投入をするのでしょうか。それでは市場の信用は全く回復しないでしょう。
唯一の方法は、それこそ、規模が小さ過ぎるとはいえ、そのときにこの八千億円を投入すべしとの考え方もあるのではないでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
最後に、自国通貨建てで借金しているならば、インフレが加速しない限り幾らでも借金しても大丈夫という現代金融理論、MMTについてお聞きいたします。
米国の民主党左派勢力に大人気のMMTですが、MMTの提唱者であるケルトン教授自身が日本が実験中との発言を重ねています。麻生金融担当大臣は日本を実験場にしてはならないと発言されていますが、異次元緩和は、ケルトン教授が言うようにMMTの実践ではないでしょうか。違うのなら、どこが違うかお教えください。
MMTは米国民主党左派勢力には大人気ですが、金融界、経済界、学者の重鎮の間では総スカンです。例えば、アメリカのサマーズ元財務長官は、幾つもの途上国が経験したように、そうした手法はハイパーインフレを引き起こす、インフレ税を通じた収入増は限度があり、それを超えるとハイパーインフレが発生すると述べています。
MMTと異次元緩和が同じものであり、米国の重鎮の危惧が当たっているのなら、地銀だけでなく、将来、日本自体が大変な事態になってしまう可能性があります。このような危惧があるときは、預金保険機構から八千億円を国庫に返済されるよりも、預金保険機構の財務内容を充実させることの方が重要だと思いますが、いかがでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
御清聴ありがとうございました。拍手
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →日本維新の会・希望の党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
四月十七日に日銀が公表した金融システムレポートは、金融システムは危機的状況には至っていないが、地銀の収益悪化が確実に進んでおり、楽観できないという内容でした。このようなときに、法律を改正してまで預金保険機構から八千億円もの利益剰余金を国庫に組み戻すのが正しい判断なのか、疑問に思います。全額、預金保険機構の財務の健全性に充てるべきとも考えられます。
地銀が健全であれば、預金保険機構の利益剰余金の国庫組み戻しもそれなりに理解できます。すなわち、八千億円を国庫に組み戻すべきかは現在並びに将来の地銀経営の健全性によると思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
政府、日銀は、国会答弁において、地銀経営が厳しくなっている理由を少子化、地方経済の疲弊化等の構造問題としていますが、最大の原因は異次元緩和にあるのではないでしょうか。異次元緩和の開始により、日銀の長期国債の爆買いが始まりました。当然、長期国債の値段が急騰し、すなわち長期金利の低下が起きたのです。そのことにより、銀行の収益の根幹である長短金利差がなくなってしまいました。それが地銀経営不振の最大の理由だと思います。もしそうだとすれば、異次元緩和が継続する限り地銀経営は苦しく、いつかは体力が消耗してしまうと思います。異次元緩和が継続しても地銀経営は大丈夫なのでしょうか。
一九七〇年代後半、米国の貯蓄型の金融機関であるSアンドLの危機の際、FRB、アメリカの中央銀行は長短金利差を拡大し乗り切ったと、私は当時アメリカのビジネススクールで学びました。現在の異次元量的緩和は、そのときとは真逆に、長短金利差を極小化しています。それでも地銀は大丈夫でしょうか、金融担当大臣、お答え願います。
また、地銀の経営悪化が地方経済の疲弊化や地方人口の急激な減少などの構造問題のせいであるならば、都市銀行の収益には異次元緩和前と後では変化がないと思われますが、いかがでしょうか。現在の都市銀行は異次元緩和開始以前と同程度の収益を上げているのか、また、異次元緩和が継続しても都市銀行の体力はもつのか、金融担当大臣、お答えください。
最近、都銀でも振り込み手数料等を値上げしているところも出始めました。異次元緩和による長短金利差縮小により収益が減り、その穴埋めの可能性もあるとも思いますが、金融担当大臣はどうお考えでしょうか、お聞かせください。
ところで、アベノミクスの第一の矢に掲げられた異次元緩和ですが、日銀が異次元緩和を進める、マネーを供給するためには何らかの資産を購入しなければなりません。したがって、日銀は国債、株式を爆買いしています。また、年間九百億円ペースと、まだ国債や株式市場ほどではありませんが、REIT、不動産投信ですけれども、これをも購入しています。その結果、株式市場では、来年末には日銀が日本株の最大の株主となります。金融政策で株を購入している中央銀行は、世界では日銀だけです。
国債市場は更にひどく、ストックで見れば、日銀が国債発行残高の四〇%強を保有しています。また、フローで見ても、平成二十九年度は、年間の国債が百四十一兆円発行されたのに対し、日銀が九十六兆円も購入しました。約七〇%です。まさに日銀は、国債市場におけるモンスターになってしまいました。今や国債を買い増ししているのは、日銀のほかに、一時的な裁定取引をする外国人投資家だけという現状です。ここまで国債にのめり込んだ中央銀行は、世界ではほかにありません。他国中央銀行に比べてぬきんでています。
市場原理の働かない日銀が株式市場と国債市場でばっこする社会は、まさに計画経済又は社会主義的経営経済そのものではないでしょうか。金融担当大臣の御見解をお聞かせください。
計画経済の下では、市場経済で起こる微調整が起こりません。例えば、市場経済下では、累積赤字がたまると長期金利が上昇し、累積赤字拡大に対する警戒警報が鳴ります。最近のイタリア国債市場の動きがよい例です。しかし、今のように日銀が国債市場でモンスター的存在である限り、そして市場を抑えつつある現状では、長期金利上昇という累積赤字への警戒警報は鳴りません。
計画経済の下では崩壊が突然来るのは、歴史が証明しています。アベノミクスの第一の矢である異次元緩和を継続しても副作用や突然の崩壊は今後とも起こらないと自信を持って言えるのか、金融担当大臣、お答えください。
この三十年間、日本の名目GDPは一・五倍にしかなっておらず、世界で断トツのびり成長です。一方、中国のそれは、何と七十五倍にもなっています。中国躍進の原因は、意図的な人民元安と計画経済からの決別、市場経済の導入だと言われています。ただでさえ後れを取った日本は、計画経済で更に世界から後れを取るのではないでしょうかと心配いたします。
消費者物価指数二%達成のために講ずる処置であるならば、達成目標時を決めておくことが必要ではないでしょうか。金融担当大臣、お聞かせ願います。
この計画経済の犠牲になっているのが地方銀行とも言えます。日銀の長期国債の爆買いで十年物長期金利がゼロとなり、国債投資という地銀の伝統的な運用手段がなくなりました。その上、十年国債金利がゼロになったために、非常に有利な商品を提供できる政府系金融機関との競争も激しさを増しています。
例えば、独立行政法人福祉医療機構の融資は、調達金利が国債に連動しているために、介護施設や病院向け設備資金の金利が十年で〇・二から〇・三%という超低金利融資となっています。競合先がそんなに低金利を出してくれば、地銀も同じような金利で競争せざるを得ません。経費も賄えなくなるわけです。地銀は収益悪化を補うために高リスク商品に手を出さざるを得なくなっているとも言えます。不正融資が多数発覚したスルガ銀行が不動産融資に傾倒していったのも、そのような背景があったのではないでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
このような資金運用を地銀がしているときに何か大きなショックがあれば、極めて危険な状況になってしまうのです。このような地方銀行の状況を考えれば、預金保険機構の財政の健全性を第一に考えるべきで、八千億円をこの時期に国庫に返納するのはいかがなものかと思うのですが、いかがでしょうか。
さらには、異次元緩和の結果、日銀自身のバランスシートが脆弱になっています。アベノミクスが成功し、景気が良くなり金利を引き上げる際には、日銀が債務超過になる可能性もあります。日銀の保有国債は、昔と違い、十年を中心とした長期国債の定期、固定金利ですから、金利収入はすぐには上がりません。一方、日銀当座預金、これは負債サイドですけれども、日銀当座預金への付利金利はすぐにでも上がるからです。債務超過が一時的なら大丈夫ですけれども、中央銀行の債務超過は、中央銀行とその発行する通貨の信用を著しく毀損いたします。
その場合、政府の資本投入を考えられているのかもしれません。しかし、政府は単年度でも赤字であり、資本投入をするだけの資金がありません。まさか、日銀に国債を買い取ってもらい、新しく刷ったお金で資本投入をするのでしょうか。それでは市場の信用は全く回復しないでしょう。
唯一の方法は、それこそ、規模が小さ過ぎるとはいえ、そのときにこの八千億円を投入すべしとの考え方もあるのではないでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
最後に、自国通貨建てで借金しているならば、インフレが加速しない限り幾らでも借金しても大丈夫という現代金融理論、MMTについてお聞きいたします。
米国の民主党左派勢力に大人気のMMTですが、MMTの提唱者であるケルトン教授自身が日本が実験中との発言を重ねています。麻生金融担当大臣は日本を実験場にしてはならないと発言されていますが、異次元緩和は、ケルトン教授が言うようにMMTの実践ではないでしょうか。違うのなら、どこが違うかお教えください。
MMTは米国民主党左派勢力には大人気ですが、金融界、経済界、学者の重鎮の間では総スカンです。例えば、アメリカのサマーズ元財務長官は、幾つもの途上国が経験したように、そうした手法はハイパーインフレを引き起こす、インフレ税を通じた収入増は限度があり、それを超えるとハイパーインフレが発生すると述べています。
MMTと異次元緩和が同じものであり、米国の重鎮の危惧が当たっているのなら、地銀だけでなく、将来、日本自体が大変な事態になってしまう可能性があります。このような危惧があるときは、預金保険機構から八千億円を国庫に返済されるよりも、預金保険機構の財務内容を充実させることの方が重要だと思いますが、いかがでしょうか。金融担当大臣、お答えください。
御清聴ありがとうございました。拍手
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
麻
麻生太郎#9
○国務大臣(麻生太郎君) 藤巻議員からは、異次元緩和の継続が銀行へ与える影響などについて、計八問お尋ねがあっております。
まず、長短金利差が極小化する中において、異次元緩和の継続が地域銀行へ与える影響についてのお尋ねがあっております。
地域銀行をめぐる厳しい経営環境の背景の一つとして超低金利環境の継続があると考えられるものの、地域銀行の財務、収益は、金融政策のみならず、顧客の資金需要や金融市場の動向、地域経済や国内外のマクロ経済動向、さらには地方を始めとする人口減少など、様々な影響を受けるものと考えております。
もっとも、現時点において、地域銀行の資本基盤は充実をいたしており、日本の金融システムは総体として安定をいたしております。
金融庁といたしましては、超低金利環境の継続等の厳しい環境の中にあっても、地域銀行が、借り手企業の経営改善に対するアドバイスや事業性評価融資などの取組等を通じて、将来にわたる健全性を確保し、持続可能なビジネスモデルを自ら構築していくことが重要だと考えており、地域銀行の自主的な取組を促しておるところであります。
次に、異次元緩和による都市銀行への影響についてもお尋ねがありました。
異次元緩和以降、都市銀行の収益は低下傾向となっておりますが、これらは、金融政策のみならず、借り手企業の資金需要や国内外の経済動向、金融市場の動向など、様々な要因の影響を受けているものだと考えられます。したがいまして、都市銀行の財務、収益について、異次元緩和が継続した場合の影響を一概に論じることは困難だと考えております。
いずれにせよ、現時点において都市銀行は充実した資本基盤を備えており、金融庁といたしましては、将来にわたり、金融システムの安定性が確保され、金融仲介機能が十分に発揮されるように、内外の経済・市場動向を注視しつつ、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
次に、日本銀行による国債等の買入れについてのお尋ねがありました。
日銀による国債やETFなどの買入れは、専ら日銀の判断の下に、市場に与える影響も十分に点検しつつ、物価安定目標等を実現するための金融政策の一環として行われているものと認識をしており、計画経済、社会主義的経済経営といった御指摘は全く当たらないと考えております。
次に、金融緩和と国債市場、財政赤字についてのお尋ねがありました。
国債金利は内外の経済財政状況など様々な要因によって決定されるため、金融政策との関係のみで一律に論ずるというのは困難であると考えております。
これまで国債が極めて低い金利により安定的に消化されるという誠に幸運な状況が続いていたことは事実であると認識をいたしております。
今後につきましては、議員御指摘のように、国債価格の下落や金利の上昇等といった事態を招かないために、政府として、今後とも、財政健全化の取組を着実に進め、日本国債に対する信認を確保するとともに、国債の安定的な消化が確保されるよう、国債市場の動向を注視しつつ、市場との緊密な対話に基づき、適切な国債管理政策を進めてまいりたいと考えております。
なお、金融政策の具体的な手法については、日銀に委ねられるべきものだと考えております。
次に、二%の物価安定目標の達成時期についてお尋ねがありました。
政府、日銀が二〇一三年一月に公表いたしました共同声明において、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを目指すといたしており、政府としては、引き続き、日銀が経済、物価、金融情勢を踏まえつつ二%の物価安定目標の実現に向けて努力されるということを期待をいたしておるところであります。
次に、スルガ銀行が不動産融資に傾倒していった背景や地方銀行をめぐる状況を踏まえ、八千億円の国庫納付をすることの妥当性についてのお尋ねがありました。
地域銀行の経営環境は、人口減少や低金利環境などの継続を背景に厳しい状況が続いておりますのは御存じのとおりです。
しかしながら、スルガ銀行の不正行為は、これはあくまでも同行における経営管理等の体制面の問題や法令等遵守を軽んずる企業文化が原因であると考えております。どのような厳しい経営環境の中でも、金融機関の業務運営において顧客を保護し法令を遵守するのは、これは当然のことと考えております。
その上で、金融庁としては、地域銀行が厳しい経営環境の下でも持続可能なビジネスモデルを自ら構築することが重要と考えており、適切なモニタリングを通じてその自主的な取組を促してまいります。
また、現時点において、地域銀行の資本基盤は充実をいたしており、日本の金融システムは総体として安定していることや、金融機関が万一破綻をした場合においても、預金保険機構に十分な責任準備金が積み立てられていることなどを踏まえると、今回の国庫納付は妥当であると考えておるところであります。
次に、日銀のバランスシートについてのお尋ねがありました。
日銀の財務状況につきましては、その時々の金融政策や金利等の動向などに左右されるものであり、政府として日銀の財務の悪化を前提とする御質問にお答えすることは差し控えさせていただきます。
いずれにせよ、日銀の財務の在り方につきましては、日銀の業務運営における自主性の観点から、まずは日銀において検討されるべきものであると考えております。
なお、黒田総裁は、平成二十七年十一月の政府が行った日銀の引当金制度の拡充について、財務の健全性を確保する観点から一定の効果を持ち、事前の対応としては十分なものであると述べておられると承知をいたしております。
また、日銀の資本金については、日銀法において、「政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。」とされており、現行法の下では日銀への追加出資をすることはできないものだと考えております。
最後に、現代貨幣理論、通称MMTと異次元緩和の関係及び預金保険機構の財務内容の充実等についてのお尋ねがありました。
日銀の金融政策につきましては、日銀の物価安定目標の実現のため日銀自らの判断で行っているものと承知をしており、MMTの実践であるといった御指摘は全く当たらないと考えております。
なお、預金保険機構の業務内容の充実につきましては、同機構が金融再生勘定において保有する上場株式などについて将来の損失リスクを十分に勘案した上、早期健全化勘定及び金融再生勘定の業務のために必要である金額として試算した約八千億円を引き続き早期健全化勘定に留保することといたしております。
加えて、現時点において日本の金融システムは総体として安定していることや、金融機関が万一破綻した場合においても、預金保険機構に十分な責任準備金が積み立てられておるということなどを踏まえますと、今回の国庫納付金は妥当であると考えております。拍手
─────────────
この発言だけを見る →まず、長短金利差が極小化する中において、異次元緩和の継続が地域銀行へ与える影響についてのお尋ねがあっております。
地域銀行をめぐる厳しい経営環境の背景の一つとして超低金利環境の継続があると考えられるものの、地域銀行の財務、収益は、金融政策のみならず、顧客の資金需要や金融市場の動向、地域経済や国内外のマクロ経済動向、さらには地方を始めとする人口減少など、様々な影響を受けるものと考えております。
もっとも、現時点において、地域銀行の資本基盤は充実をいたしており、日本の金融システムは総体として安定をいたしております。
金融庁といたしましては、超低金利環境の継続等の厳しい環境の中にあっても、地域銀行が、借り手企業の経営改善に対するアドバイスや事業性評価融資などの取組等を通じて、将来にわたる健全性を確保し、持続可能なビジネスモデルを自ら構築していくことが重要だと考えており、地域銀行の自主的な取組を促しておるところであります。
次に、異次元緩和による都市銀行への影響についてもお尋ねがありました。
異次元緩和以降、都市銀行の収益は低下傾向となっておりますが、これらは、金融政策のみならず、借り手企業の資金需要や国内外の経済動向、金融市場の動向など、様々な要因の影響を受けているものだと考えられます。したがいまして、都市銀行の財務、収益について、異次元緩和が継続した場合の影響を一概に論じることは困難だと考えております。
いずれにせよ、現時点において都市銀行は充実した資本基盤を備えており、金融庁といたしましては、将来にわたり、金融システムの安定性が確保され、金融仲介機能が十分に発揮されるように、内外の経済・市場動向を注視しつつ、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
次に、日本銀行による国債等の買入れについてのお尋ねがありました。
日銀による国債やETFなどの買入れは、専ら日銀の判断の下に、市場に与える影響も十分に点検しつつ、物価安定目標等を実現するための金融政策の一環として行われているものと認識をしており、計画経済、社会主義的経済経営といった御指摘は全く当たらないと考えております。
次に、金融緩和と国債市場、財政赤字についてのお尋ねがありました。
国債金利は内外の経済財政状況など様々な要因によって決定されるため、金融政策との関係のみで一律に論ずるというのは困難であると考えております。
これまで国債が極めて低い金利により安定的に消化されるという誠に幸運な状況が続いていたことは事実であると認識をいたしております。
今後につきましては、議員御指摘のように、国債価格の下落や金利の上昇等といった事態を招かないために、政府として、今後とも、財政健全化の取組を着実に進め、日本国債に対する信認を確保するとともに、国債の安定的な消化が確保されるよう、国債市場の動向を注視しつつ、市場との緊密な対話に基づき、適切な国債管理政策を進めてまいりたいと考えております。
なお、金融政策の具体的な手法については、日銀に委ねられるべきものだと考えております。
次に、二%の物価安定目標の達成時期についてお尋ねがありました。
政府、日銀が二〇一三年一月に公表いたしました共同声明において、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを目指すといたしており、政府としては、引き続き、日銀が経済、物価、金融情勢を踏まえつつ二%の物価安定目標の実現に向けて努力されるということを期待をいたしておるところであります。
次に、スルガ銀行が不動産融資に傾倒していった背景や地方銀行をめぐる状況を踏まえ、八千億円の国庫納付をすることの妥当性についてのお尋ねがありました。
地域銀行の経営環境は、人口減少や低金利環境などの継続を背景に厳しい状況が続いておりますのは御存じのとおりです。
しかしながら、スルガ銀行の不正行為は、これはあくまでも同行における経営管理等の体制面の問題や法令等遵守を軽んずる企業文化が原因であると考えております。どのような厳しい経営環境の中でも、金融機関の業務運営において顧客を保護し法令を遵守するのは、これは当然のことと考えております。
その上で、金融庁としては、地域銀行が厳しい経営環境の下でも持続可能なビジネスモデルを自ら構築することが重要と考えており、適切なモニタリングを通じてその自主的な取組を促してまいります。
また、現時点において、地域銀行の資本基盤は充実をいたしており、日本の金融システムは総体として安定していることや、金融機関が万一破綻をした場合においても、預金保険機構に十分な責任準備金が積み立てられていることなどを踏まえると、今回の国庫納付は妥当であると考えておるところであります。
次に、日銀のバランスシートについてのお尋ねがありました。
日銀の財務状況につきましては、その時々の金融政策や金利等の動向などに左右されるものであり、政府として日銀の財務の悪化を前提とする御質問にお答えすることは差し控えさせていただきます。
いずれにせよ、日銀の財務の在り方につきましては、日銀の業務運営における自主性の観点から、まずは日銀において検討されるべきものであると考えております。
なお、黒田総裁は、平成二十七年十一月の政府が行った日銀の引当金制度の拡充について、財務の健全性を確保する観点から一定の効果を持ち、事前の対応としては十分なものであると述べておられると承知をいたしております。
また、日銀の資本金については、日銀法において、「政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。」とされており、現行法の下では日銀への追加出資をすることはできないものだと考えております。
最後に、現代貨幣理論、通称MMTと異次元緩和の関係及び預金保険機構の財務内容の充実等についてのお尋ねがありました。
日銀の金融政策につきましては、日銀の物価安定目標の実現のため日銀自らの判断で行っているものと承知をしており、MMTの実践であるといった御指摘は全く当たらないと考えております。
なお、預金保険機構の業務内容の充実につきましては、同機構が金融再生勘定において保有する上場株式などについて将来の損失リスクを十分に勘案した上、早期健全化勘定及び金融再生勘定の業務のために必要である金額として試算した約八千億円を引き続き早期健全化勘定に留保することといたしております。
加えて、現時点において日本の金融システムは総体として安定していることや、金融機関が万一破綻した場合においても、預金保険機構に十分な責任準備金が積み立てられておるということなどを踏まえますと、今回の国庫納付金は妥当であると考えております。拍手
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伊
大
大門実紀史#11
○大門実紀史君 日本共産党を代表し、金融機能早期健全化法一部改正案について質問します。
本法案は、預金保険機構の剰余金のうち約八千億円を一般会計に繰り入れ、それを本年十月からの消費税率引上げの影響を緩和するための対策、すなわちポイント還元やプレミアム付き商品券などの財源に充てようというものです。
預金保険機構の剰余金のうち業務に必要のない分を一般会計に繰り入れることは当然ですが、問題はその使い道です。消費税を増税し消費を落ち込ませておいて、その落ち込み対策に使うなど、ただのマッチポンプにすぎません。
しかも、ポイント還元も商品券も政策効果が疑われており、そんなものに使うくらいなら、増税そのものをきっぱりやめて、社会保障や教育など国民の切実な要求となっている喫緊の課題に使うべきではありませんか。麻生財務大臣の答弁を求めます。
この間、経済指標が軒並み悪化する中で、安倍首相の側近である萩生田自民党幹事長代行が消費税増税を見送る可能性もあるという趣旨の発言をし、消費税に賛成という立場の方々からも、この経済情勢の下で本当に増税していいのか、景気が更に悪くなれば元も子もないなど、懸念の声が広がっています。
消費税の増税は、物価を上昇させて国民の実質可処分所得を減少させます。それが購買力を奪い、消費を押し下げるのです。このことは、内閣府の経済財政白書も指摘してきたことです。逆に言えば、消費税増税分を上回るだけの実質可処分所得の増加、すなわち実質賃金の引上げや税と社会保険料の負担軽減がなければ、消費は押し下げられ、景気が悪くなってしまうのは明らかではありませんか。茂木経済財政担当大臣の認識を伺います。
実際、一九九七年四月の三%から五%への消費税率引上げは、社会保険料の引上げと同時に強行され、消費を急激に落ち込ませました。二〇一四年四月の八%への引上げも、実質賃金が低迷する下で消費を一気に冷え込ませ、景気を悪化させました。
本年十月の一〇%への増税はどうでしょう。賃金の伸びは増税幅の二%には程遠く、社会保険料負担は増大し、この間、実質可処分所得は減少しています。さらに、今回は、これまでと大きく異なり、消費の低迷に加え、世界経済も悪化しています。米中経済対立や英国のEU離脱などを背景に、世界貿易は既に停滞局面に入っています。日本経済を支える内需と外需が同時に停滞しているときに消費税の増税を強行すれば、増税による打撃は今まで以上に大きなものとなることは明らかです。
先月の決算委員会で、茂木大臣は、私のこの指摘に対し、景気は緩やかに回復している、連合などの賃金は上がっているなどと、従来と同じ答弁を繰り返すだけでした。
茂木大臣、どうしても消費税増税を強行するというのなら、同じ言葉の繰り返しではなく、この十月に消費税増税を強行しても、実質可処分所得は減少しない、外需の落ち込みも吸収できる、日本経済が悪化しないという、具体的根拠をお示しください。
次に、昨年十一月、政府が公表した消費税の引上げに伴う価格設定についてというガイドラインに関して質問します。
政府の説明によれば、このガイドラインの目的は、消費税増税に伴う駆け込み需要、反動減を抑え、消費を平準化することにあるとのことです。
そのモデルとされているのがヨーロッパです。ヨーロッパでは、付加価値税の税率引上げに当たり、事業者がどのようなタイミングでどのように価格を設定するかは、それぞれの経営判断に任されています。そのため、税率引上げの日に一斉に価格の引上げが行われることはなく、税率引上げ前後に大きな駆け込み需要、反動減も発生していません。
日本も、ヨーロッパに見習って、消費税の税率引上げの期日前に価格を上げることも自由、税率引上げ後に価格を下げることも自由、今まで抑制的だった増税後の値引きセールもどんどんやっていい、こんなガイドラインを政府が打ち出したのです。
しかし、このガイドラインは、便乗値上げを誘発するとともに、中小事業者を苦境に追い込む危険性があります。
そもそも、ヨーロッパは日本と違いインフレです。インフレの下で、物価も上がるが実質賃金も上がる状況が続いてきました。だから、付加価値税が増税されても実質可処分所得は減らず、消費も落ち込まなかったのです。また、インフレのときならば、付加価値税の税率引上げに当たり、いつどのように価格設定するかも自由に決めやすくなります。中小事業者でも価格を上げやすくなります。
しかし、デフレの日本で同じことができるでしょうか。もちろん、価格決定力のある大手の事業者なら、消費税の税率引上げ前に価格を引き上げることは可能です。ただし、その際、便乗値上げが行われる可能性は排除できません。
政府は、便乗値上げについては厳しく対処すると言いますが、政府自身が増税前の値上げを奨励しておいて、どうやって対処するというのでしょうか。便乗値上げは消費者庁が対応することになっていますが、消費者庁に便乗値上げを防ぐ力などありません。
一方、中小事業者は、デフレの下で、ただでさえ厳しい価格引下げ競争にさらされています。税率引上げ前に価格の引上げなどできるわけがありません。
茂木大臣、そもそも、インフレのヨーロッパで行われていることをデフレの日本に当てはめようとしていること自体、根本的に間違っているのではありませんか。答弁を求めます。
また、税率引上げ後の値引きセールを奨励することも、大手には有利であっても、中小事業者、特に地方の中小商店などを苦境に追い込むものではないでしょうか。
例えば、大手スーパーが大々的に値引きセールをやっているときに、近くの小さな商店がキャッシュレスのお客さんにだけ五%ポイントを還元しますなどという面倒くさいことをやっていて太刀打ちできるでしょうか。さらに、大手が五%以上の値引きセールを始めたら、中小商店はもうひとたまりもないのではありませんか。世耕経済産業大臣の認識を伺います。
結局、政府の対策も、消費税増税の影響を緩和するどころか、かえって混乱をもたらし、中小事業者を苦境に陥れ、地域経済を一層疲弊させるものではありませんか。麻生大臣にそういう認識はありますか。改めて、消費税増税中止の決断を求めます。
最後に、本法案には、本来国に納付されるべき早期健全化勘定の利益剰余金を金融再生勘定へ繰り入れて、公的資金の穴埋めに使うことが盛り込まれています。
二〇〇八年のリーマン・ショックの際には、公的資金を使った金融機関の救済がアメリカでも大問題になりました。金融危機に対処する財源は、国民のお金を使うのではなく、金融危機を引き起こした金融業界の負担で行うべきではありませんか。
麻生金融担当大臣の答弁を求め、質問を終わります。拍手
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →本法案は、預金保険機構の剰余金のうち約八千億円を一般会計に繰り入れ、それを本年十月からの消費税率引上げの影響を緩和するための対策、すなわちポイント還元やプレミアム付き商品券などの財源に充てようというものです。
預金保険機構の剰余金のうち業務に必要のない分を一般会計に繰り入れることは当然ですが、問題はその使い道です。消費税を増税し消費を落ち込ませておいて、その落ち込み対策に使うなど、ただのマッチポンプにすぎません。
しかも、ポイント還元も商品券も政策効果が疑われており、そんなものに使うくらいなら、増税そのものをきっぱりやめて、社会保障や教育など国民の切実な要求となっている喫緊の課題に使うべきではありませんか。麻生財務大臣の答弁を求めます。
この間、経済指標が軒並み悪化する中で、安倍首相の側近である萩生田自民党幹事長代行が消費税増税を見送る可能性もあるという趣旨の発言をし、消費税に賛成という立場の方々からも、この経済情勢の下で本当に増税していいのか、景気が更に悪くなれば元も子もないなど、懸念の声が広がっています。
消費税の増税は、物価を上昇させて国民の実質可処分所得を減少させます。それが購買力を奪い、消費を押し下げるのです。このことは、内閣府の経済財政白書も指摘してきたことです。逆に言えば、消費税増税分を上回るだけの実質可処分所得の増加、すなわち実質賃金の引上げや税と社会保険料の負担軽減がなければ、消費は押し下げられ、景気が悪くなってしまうのは明らかではありませんか。茂木経済財政担当大臣の認識を伺います。
実際、一九九七年四月の三%から五%への消費税率引上げは、社会保険料の引上げと同時に強行され、消費を急激に落ち込ませました。二〇一四年四月の八%への引上げも、実質賃金が低迷する下で消費を一気に冷え込ませ、景気を悪化させました。
本年十月の一〇%への増税はどうでしょう。賃金の伸びは増税幅の二%には程遠く、社会保険料負担は増大し、この間、実質可処分所得は減少しています。さらに、今回は、これまでと大きく異なり、消費の低迷に加え、世界経済も悪化しています。米中経済対立や英国のEU離脱などを背景に、世界貿易は既に停滞局面に入っています。日本経済を支える内需と外需が同時に停滞しているときに消費税の増税を強行すれば、増税による打撃は今まで以上に大きなものとなることは明らかです。
先月の決算委員会で、茂木大臣は、私のこの指摘に対し、景気は緩やかに回復している、連合などの賃金は上がっているなどと、従来と同じ答弁を繰り返すだけでした。
茂木大臣、どうしても消費税増税を強行するというのなら、同じ言葉の繰り返しではなく、この十月に消費税増税を強行しても、実質可処分所得は減少しない、外需の落ち込みも吸収できる、日本経済が悪化しないという、具体的根拠をお示しください。
次に、昨年十一月、政府が公表した消費税の引上げに伴う価格設定についてというガイドラインに関して質問します。
政府の説明によれば、このガイドラインの目的は、消費税増税に伴う駆け込み需要、反動減を抑え、消費を平準化することにあるとのことです。
そのモデルとされているのがヨーロッパです。ヨーロッパでは、付加価値税の税率引上げに当たり、事業者がどのようなタイミングでどのように価格を設定するかは、それぞれの経営判断に任されています。そのため、税率引上げの日に一斉に価格の引上げが行われることはなく、税率引上げ前後に大きな駆け込み需要、反動減も発生していません。
日本も、ヨーロッパに見習って、消費税の税率引上げの期日前に価格を上げることも自由、税率引上げ後に価格を下げることも自由、今まで抑制的だった増税後の値引きセールもどんどんやっていい、こんなガイドラインを政府が打ち出したのです。
しかし、このガイドラインは、便乗値上げを誘発するとともに、中小事業者を苦境に追い込む危険性があります。
そもそも、ヨーロッパは日本と違いインフレです。インフレの下で、物価も上がるが実質賃金も上がる状況が続いてきました。だから、付加価値税が増税されても実質可処分所得は減らず、消費も落ち込まなかったのです。また、インフレのときならば、付加価値税の税率引上げに当たり、いつどのように価格設定するかも自由に決めやすくなります。中小事業者でも価格を上げやすくなります。
しかし、デフレの日本で同じことができるでしょうか。もちろん、価格決定力のある大手の事業者なら、消費税の税率引上げ前に価格を引き上げることは可能です。ただし、その際、便乗値上げが行われる可能性は排除できません。
政府は、便乗値上げについては厳しく対処すると言いますが、政府自身が増税前の値上げを奨励しておいて、どうやって対処するというのでしょうか。便乗値上げは消費者庁が対応することになっていますが、消費者庁に便乗値上げを防ぐ力などありません。
一方、中小事業者は、デフレの下で、ただでさえ厳しい価格引下げ競争にさらされています。税率引上げ前に価格の引上げなどできるわけがありません。
茂木大臣、そもそも、インフレのヨーロッパで行われていることをデフレの日本に当てはめようとしていること自体、根本的に間違っているのではありませんか。答弁を求めます。
また、税率引上げ後の値引きセールを奨励することも、大手には有利であっても、中小事業者、特に地方の中小商店などを苦境に追い込むものではないでしょうか。
例えば、大手スーパーが大々的に値引きセールをやっているときに、近くの小さな商店がキャッシュレスのお客さんにだけ五%ポイントを還元しますなどという面倒くさいことをやっていて太刀打ちできるでしょうか。さらに、大手が五%以上の値引きセールを始めたら、中小商店はもうひとたまりもないのではありませんか。世耕経済産業大臣の認識を伺います。
結局、政府の対策も、消費税増税の影響を緩和するどころか、かえって混乱をもたらし、中小事業者を苦境に陥れ、地域経済を一層疲弊させるものではありませんか。麻生大臣にそういう認識はありますか。改めて、消費税増税中止の決断を求めます。
最後に、本法案には、本来国に納付されるべき早期健全化勘定の利益剰余金を金融再生勘定へ繰り入れて、公的資金の穴埋めに使うことが盛り込まれています。
二〇〇八年のリーマン・ショックの際には、公的資金を使った金融機関の救済がアメリカでも大問題になりました。金融危機に対処する財源は、国民のお金を使うのではなく、金融危機を引き起こした金融業界の負担で行うべきではありませんか。
麻生金融担当大臣の答弁を求め、質問を終わります。拍手
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
麻
麻生太郎#12
○国務大臣(麻生太郎君) 大門議員からは、預金保険機構から国庫納付の使途等について、計三問お尋ねがあっております。
まず、預金保険機構から国庫納付の使途についてのお尋ねがありました。
少子高齢化の進む日本におきまして、幼児教育無償化を始め、社会保障の充実、その安定化は、議員御指摘のとおり、喫緊の課題だと考えております。その実現に向けましては、預金保険機構からの国庫納付を含む臨時の収入ではなく、安定的かつ恒久的な財源を確保することが必要であり、このため、法律で定められたとおり、本年十月に消費税率を引き上げることを予定をいたしておるところであります。
その上で、引上げに当たりましては、前回の経験を踏まえ、プレミアム付き商品券など、引上げに伴う経済的影響を平準化するための十分な対策を講じることとし、預金保険機構から国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別の措置の財源としてお示しをしているところであります。
次に、消費税率引上げに伴う対策等についてのお尋ねがありました。
消費税の引上げに当たりましては、前回引上げ時の経験も踏まえ、消費税率引上げ前後において事業者がそれぞれの判断によって柔軟な価格設定を行えるようガイドラインを定めるとともに、中小・小規模事業者を支援するポイント還元事業などの十分な対策を講じることといたしております。
こうした施策の実施に当たりましては、議員御指摘のように、中小企業者に混乱をもたらすことがないよう、関係省庁において、施策の周知を含め、適切に執行していくことが必要であると考えております。
消費税の引上げについては、急速な高齢化を背景とした社会保障給付費が大きく増加をしていく中にあって、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するためにどうしても必要なものであると考えております。
したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、本年十月に一〇%に引き上げることを予定をいたしております。
最後に、金融再生勘定の損失は金融業界が負担すべきものではないかというお尋ねがありました。
早期健全化勘定と金融再生勘定の廃止の際の対応につきましては、それぞれ勘定設置の当初より、残余があった場合は国庫納付すると定められております一方、逆に損失が発生している場合の対応は定められておりません。
両勘定は、平成金融危機への対応のため、言わば車の両輪として一体として運用されてきたという経緯も踏まえれば、利益剰余金が生じている勘定は国庫納付を行い、損失が生じている勘定は業界負担とするよりも、両勘定を一体として捉え、利益剰余金が生じている勘定から損失が生じている勘定に繰入れすることができることとすることの方が適当であると考えております。拍手
〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →まず、預金保険機構から国庫納付の使途についてのお尋ねがありました。
少子高齢化の進む日本におきまして、幼児教育無償化を始め、社会保障の充実、その安定化は、議員御指摘のとおり、喫緊の課題だと考えております。その実現に向けましては、預金保険機構からの国庫納付を含む臨時の収入ではなく、安定的かつ恒久的な財源を確保することが必要であり、このため、法律で定められたとおり、本年十月に消費税率を引き上げることを予定をいたしておるところであります。
その上で、引上げに当たりましては、前回の経験を踏まえ、プレミアム付き商品券など、引上げに伴う経済的影響を平準化するための十分な対策を講じることとし、預金保険機構から国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別の措置の財源としてお示しをしているところであります。
次に、消費税率引上げに伴う対策等についてのお尋ねがありました。
消費税の引上げに当たりましては、前回引上げ時の経験も踏まえ、消費税率引上げ前後において事業者がそれぞれの判断によって柔軟な価格設定を行えるようガイドラインを定めるとともに、中小・小規模事業者を支援するポイント還元事業などの十分な対策を講じることといたしております。
こうした施策の実施に当たりましては、議員御指摘のように、中小企業者に混乱をもたらすことがないよう、関係省庁において、施策の周知を含め、適切に執行していくことが必要であると考えております。
消費税の引上げについては、急速な高齢化を背景とした社会保障給付費が大きく増加をしていく中にあって、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するためにどうしても必要なものであると考えております。
したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、本年十月に一〇%に引き上げることを予定をいたしております。
最後に、金融再生勘定の損失は金融業界が負担すべきものではないかというお尋ねがありました。
早期健全化勘定と金融再生勘定の廃止の際の対応につきましては、それぞれ勘定設置の当初より、残余があった場合は国庫納付すると定められております一方、逆に損失が発生している場合の対応は定められておりません。
両勘定は、平成金融危機への対応のため、言わば車の両輪として一体として運用されてきたという経緯も踏まえれば、利益剰余金が生じている勘定は国庫納付を行い、損失が生じている勘定は業界負担とするよりも、両勘定を一体として捉え、利益剰余金が生じている勘定から損失が生じている勘定に繰入れすることができることとすることの方が適当であると考えております。拍手
〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
茂
茂木敏充#13
○国務大臣(茂木敏充君) 大門議員から、消費税率引上げに関連して御質問いただきました。
まず、可処分所得の増加と増税による景気悪化の懸念についてお答えをいたします。
消費の持続的な拡大のためには、可処分所得の増加、そしてその元となる賃上げが鍵となります。本年の春季労使交渉においても、多くの企業でベースアップが継続し、力強い賃上げの流れが続いていると認識をいたしております。
その上で、今回の消費税率引上げに際しては、税率引上げの使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を教育無償化などで国民に還元をいたします。また、ポイント還元や、低所得者、子育て世帯向けのプレミアム商品券により、期間を限って集中的な消費喚起を行います。さらに、自動車、住宅への支援策については、例えば十月一日以降に軽自動車や中古車を購入する場合や住宅の簡易なリフォームを行う場合なども含めてメリットが生じるよう、きめ細かい税制、予算措置を講じるといった消費の落ち込みや駆け込み需要、反動減を防ぐための万全の対策を講じることとしており、消費税率引上げの影響をしっかりと乗り越えてまいります。
次に、最近の景気動向と増税に関する日本経済への影響についてでありますが、我が国の経済は、中国経済の減速などから輸出の伸びが鈍化し、一部の業種の生産活動やこれに関連する出荷に弱さが続いているものの、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしていると考えております。
その上で、消費税率の一〇%への引上げは、財政の健全化のみならず、社会保障の充実、安定化、教育無償化を始めとする人づくり革命の実現に不可欠なものであり、法律で定められたとおり、本年十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であります。
その際、前回引上げ時の経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとし、既に軽減税率の導入や幼児教育無償化等によって二兆円程度に抑制される経済への影響に対して、これを十二分に乗り越える二・三兆円の予算、税制上の措置など具体的な対策も決定をいたしております。
こうした施策を着実に実行し、また、国際経済の動向にも注視しつつ、今後とも経済運営に万全を期してまいります。
次に、消費税率の引上げに伴う価格設定のガイドラインについてでありますが、我が国においては、消費税が一九八九年に導入されて以降、税率引上げ時に一律一斉に価格が引き上げられるものとの認識が広く定着をしております。実際、二〇一四年の消費税率引上げの際にも、引上げ時に価格が一斉に上昇し、引上げ前後に大きな駆け込み需要、反動減が発生しました。
これに対して、一九六〇年代から七〇年代前半に付加価値税が導入され、税率引上げの経験を積み重ねてきている欧州諸国では、税率引上げに当たり、どのようなタイミングでどのように価格を設定するかは事業者がそれぞれ自由に判断をしております。
こうした我が国の過去の経緯、諸外国の事例を踏まえ、消費税率引上げ前後において事業者はそれぞれの判断によって柔軟な価格設定が行えるように、また消費者は安心して購買ができるようにとの観点から、昨年十一月、御指摘の価格設定ガイドラインを公表したところであります。
一方で、いわゆる便乗値上げには引き続き厳格に対応していきます。インフレであってもデフレであっても、物価の動向やコストの上昇、需要の増加などの合理的な理由のない値上げは厳しく対処してまいります。
こうしたガイドラインの考え方につき、事業者から消費者まで広く周知、広報を行っていくことにより、需要変動の平準化を図ってまいりたいと考えております。さらに、中小事業者の価格転嫁対策にもしっかりと取り組んでまいります。拍手
〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →まず、可処分所得の増加と増税による景気悪化の懸念についてお答えをいたします。
消費の持続的な拡大のためには、可処分所得の増加、そしてその元となる賃上げが鍵となります。本年の春季労使交渉においても、多くの企業でベースアップが継続し、力強い賃上げの流れが続いていると認識をいたしております。
その上で、今回の消費税率引上げに際しては、税率引上げの使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を教育無償化などで国民に還元をいたします。また、ポイント還元や、低所得者、子育て世帯向けのプレミアム商品券により、期間を限って集中的な消費喚起を行います。さらに、自動車、住宅への支援策については、例えば十月一日以降に軽自動車や中古車を購入する場合や住宅の簡易なリフォームを行う場合なども含めてメリットが生じるよう、きめ細かい税制、予算措置を講じるといった消費の落ち込みや駆け込み需要、反動減を防ぐための万全の対策を講じることとしており、消費税率引上げの影響をしっかりと乗り越えてまいります。
次に、最近の景気動向と増税に関する日本経済への影響についてでありますが、我が国の経済は、中国経済の減速などから輸出の伸びが鈍化し、一部の業種の生産活動やこれに関連する出荷に弱さが続いているものの、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしていると考えております。
その上で、消費税率の一〇%への引上げは、財政の健全化のみならず、社会保障の充実、安定化、教育無償化を始めとする人づくり革命の実現に不可欠なものであり、法律で定められたとおり、本年十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であります。
その際、前回引上げ時の経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとし、既に軽減税率の導入や幼児教育無償化等によって二兆円程度に抑制される経済への影響に対して、これを十二分に乗り越える二・三兆円の予算、税制上の措置など具体的な対策も決定をいたしております。
こうした施策を着実に実行し、また、国際経済の動向にも注視しつつ、今後とも経済運営に万全を期してまいります。
次に、消費税率の引上げに伴う価格設定のガイドラインについてでありますが、我が国においては、消費税が一九八九年に導入されて以降、税率引上げ時に一律一斉に価格が引き上げられるものとの認識が広く定着をしております。実際、二〇一四年の消費税率引上げの際にも、引上げ時に価格が一斉に上昇し、引上げ前後に大きな駆け込み需要、反動減が発生しました。
これに対して、一九六〇年代から七〇年代前半に付加価値税が導入され、税率引上げの経験を積み重ねてきている欧州諸国では、税率引上げに当たり、どのようなタイミングでどのように価格を設定するかは事業者がそれぞれ自由に判断をしております。
こうした我が国の過去の経緯、諸外国の事例を踏まえ、消費税率引上げ前後において事業者はそれぞれの判断によって柔軟な価格設定が行えるように、また消費者は安心して購買ができるようにとの観点から、昨年十一月、御指摘の価格設定ガイドラインを公表したところであります。
一方で、いわゆる便乗値上げには引き続き厳格に対応していきます。インフレであってもデフレであっても、物価の動向やコストの上昇、需要の増加などの合理的な理由のない値上げは厳しく対処してまいります。
こうしたガイドラインの考え方につき、事業者から消費者まで広く周知、広報を行っていくことにより、需要変動の平準化を図ってまいりたいと考えております。さらに、中小事業者の価格転嫁対策にもしっかりと取り組んでまいります。拍手
〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
世
世耕弘成#14
○国務大臣(世耕弘成君) 大門議員にお答えをいたします。
税率引上げ後の値引きセールの地方の中小商店などへの影響と、ポイント還元による大手との競争についてお尋ねがありました。
価格設定のガイドラインは、消費税率引上げ前後で事業者がそれぞれの判断で柔軟な価格設定が行えるよう整備、公表したものであります。
その上で、大企業と比べて体力が弱く、自ら価格の引下げを実施できない場合もある中小・小規模事業者に限って、消費者へのポイント還元に対する支援を行います。中小・小規模事業者にとり、キャッシュレス導入は、現金取扱いの直接、間接のコストを減らすことで生産性を高めるとともに、インバウンド消費取り込みの大きなチャンスとなるなど、需要平準化対策にとどまらない様々な効果が期待されることから、ポイント還元事業は、中小・小規模事業者への強力な支援になると考えております。拍手
この発言だけを見る →税率引上げ後の値引きセールの地方の中小商店などへの影響と、ポイント還元による大手との競争についてお尋ねがありました。
価格設定のガイドラインは、消費税率引上げ前後で事業者がそれぞれの判断で柔軟な価格設定が行えるよう整備、公表したものであります。
その上で、大企業と比べて体力が弱く、自ら価格の引下げを実施できない場合もある中小・小規模事業者に限って、消費者へのポイント還元に対する支援を行います。中小・小規模事業者にとり、キャッシュレス導入は、現金取扱いの直接、間接のコストを減らすことで生産性を高めるとともに、インバウンド消費取り込みの大きなチャンスとなるなど、需要平準化対策にとどまらない様々な効果が期待されることから、ポイント還元事業は、中小・小規模事業者への強力な支援になると考えております。拍手
伊
伊
伊達忠一#16
○議長(伊達忠一君) 日程第一 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長羽田雄一郎君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長羽田雄一郎君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
羽
羽田雄一郎#17
○羽田雄一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、建築物のエネルギー消費性能の一層の向上を図るため、建築士に対し小規模建築物のエネルギー消費性能に係る評価及びその結果の建築主への説明を義務付けるとともに、建築物エネルギー消費性能基準への適合義務等の対象となる特定建築物の範囲の拡大、認定建築物エネルギー消費性能向上計画に係る建築物の容積率の特例の拡充等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、新築住宅等の省エネ義務化が見送られた理由、建築物の省エネに係る基準及びその評価の在り方、中小建設業者及び建築士の省エネ技術向上に向けた取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。拍手
─────────────
この発言だけを見る →本法律案は、建築物のエネルギー消費性能の一層の向上を図るため、建築士に対し小規模建築物のエネルギー消費性能に係る評価及びその結果の建築主への説明を義務付けるとともに、建築物エネルギー消費性能基準への適合義務等の対象となる特定建築物の範囲の拡大、認定建築物エネルギー消費性能向上計画に係る建築物の容積率の特例の拡充等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、新築住宅等の省エネ義務化が見送られた理由、建築物の省エネに係る基準及びその評価の在り方、中小建設業者及び建築士の省エネ技術向上に向けた取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。拍手
─────────────
伊
伊
伊
伊達忠一#20
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十九
賛成 二百二十九
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。拍手
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────
この発言だけを見る →投票総数 二百二十九
賛成 二百二十九
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。拍手
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────
伊
伊達忠一#21
○議長(伊達忠一君) 日程第二 大学等における修学の支援に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長上野通子君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔上野通子君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長上野通子君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔上野通子君登壇、拍手〕
上
上野通子#22
○上野通子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、総合的な少子化対策を推進する一環として、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学に係る経済的負担の軽減を図るため、学資の支給及び授業料等の減免の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、支援対象となる学生等や大学等に係る要件の在り方、新しい支援措置が既存の授業料減免に与える影響、中間所得層への支援拡充の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局した後、国民民主党・新緑風会の伊藤委員より、消費税率引上げの実施の有無にかかわらず本法律案に基づく支援措置を実施するための施行期日の修正等を内容とする修正案が、日本共産党の吉良理事より、消費税増税分による財源の確保に係る規定を削除すること等を内容とする修正案が、それぞれ提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉良理事より、原案及び国民民主党・新緑風会提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の意見が述べられました。
討論を終わり、順次採決の結果、両修正案はいずれも否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。拍手
─────────────
この発言だけを見る →本法律案は、総合的な少子化対策を推進する一環として、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、及び活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学に係る経済的負担の軽減を図るため、学資の支給及び授業料等の減免の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、支援対象となる学生等や大学等に係る要件の在り方、新しい支援措置が既存の授業料減免に与える影響、中間所得層への支援拡充の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局した後、国民民主党・新緑風会の伊藤委員より、消費税率引上げの実施の有無にかかわらず本法律案に基づく支援措置を実施するための施行期日の修正等を内容とする修正案が、日本共産党の吉良理事より、消費税増税分による財源の確保に係る規定を削除すること等を内容とする修正案が、それぞれ提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉良理事より、原案及び国民民主党・新緑風会提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の意見が述べられました。
討論を終わり、順次採決の結果、両修正案はいずれも否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。拍手
─────────────
伊
神
神本美恵子#24
○神本美恵子君 立憲民主党・民友会・希望の会の神本美恵子です。
私は、会派を代表して、大学等における修学の支援に関する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。
冒頭、一昨日、散歩中の園児を巻き込んだ事故がありました。犠牲になられた方々には謹んで哀悼の意を申し上げると同時に、交通事故にかかわらず、特に子供たちの学びや生活の場においてどう安全、安心をつくり出していくのかは、社会全体、政治の緊急の課題であると痛感しているところであります。
大型連休を前にした四月十八日の萩生田光一幹事長代行の消費税率引上げの延期とも取れる発言により、衆参同日選挙の可能性が取り沙汰されています。本法律案は、消費税率引上げによる増税分を財源としています。安倍総理は、二〇一七年の衆議院の解散理由を説明した記者会見において、消費税の使い道として高等教育無償化を言い出しました。そのための法律案が成立する前にこの発言であります。これは、安倍政権がどれほど真剣にはこの高等教育の無償化を考えていないか、そして明らかな選挙対策であるを露呈しているものであります。
もちろん、消費税率引上げの延期については、経済状況を踏まえ、しっかりと議論していくべきことです。そうであればこそ、野党が要求している予算委員会をすぐにでも開くべきではないでしょうか。議員の三分の一の署名をもって正当に開会を要求した予算委員会を与党議員が欠席するなどという行為は、まさに恥ずべき行為であります。
それでは、討論に入ります。
本法律案の反対の理由の第一は、高等教育の無償化と銘打ちながら、無償化の理念であるべき全ての子供の学ぶ権利の保障としての教育の機会均等が明示されず、少子化対策、貧困対策にとどまっていることです。
我が国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆる社会権規約を批准しており、二〇一二年には保留していた高等教育の漸進的無償化を留保撤回し、高等教育を漸進的に無償化していく義務を負っています。日本国憲法や教育基本法には、誰もがひとしく教育を受ける権利が明記されています。この権利保障を無償化によって実現するというのが基本的な考え方であります。しかしながら、この法律案には、政府がどのように高等教育の無償化を達成していくのかという道筋が全く示されておりません。
我が国は、戦後、新しい憲法と教育基本法の下、並々ならぬ努力の中で、全ての子供たちに、生まれ育つ地域や家計所得に関係なく学ぶ機会を保障するための義務教育九年間の無償化を実現し、二〇一〇年、民主党政権時には、後期中等教育三年間の実質無償化を実現いたしました。
この法律案の目的が高等教育の無償化の導入であれば、その基本理念には、当然、教育の機会均等が入っていなければなりません。しかし、その代わりに、本法律案は、真に支援が必要な低所得世帯の者に対しと支援対象を限定し、さらに、社会で自立し、及び活躍することができると学生の進路を限定し、豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等と大学等に要件を課しています。
安倍総理は、施政演説の中で、真に必要な子供たちの高等教育も無償化すると明言しましたが、本法律案における支援対象は、低所得者世帯と極めて限定的です。にもかかわらず、安倍政権は高等教育の無償化を標榜し、あたかも高等教育が全て無償であるかのような表現で国民をミスリードし、さらには、その財源を消費税引上げに求め、消費税引上げを正当化する道具の一つにしようとしているのです。
反対の第二の理由は、本法律案の審議を通じて最大の懸案となった、現行の大学等が中間所得層まで対象に行っている授業料減免への予算措置が、新制度の導入により縮小、後退するのではないかという点であります。
高等教育の無償化を進めると言いながら、新制度の導入により、これまでに授業料減免を受けていた学生が新たに授業料負担を求められたり、これまで以上に授業料の負担が大きくなったりするならば、本法律案は無償化に逆行するものと言わざるを得ません。
本法律案によって支援を受けられる学生等の対象範囲は、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生と限定されており、現行の制度で支援を受けている中間所得層までの在学生への支援継続のための具体的対応は明確に示されないまま、各大学の対応を見ながらこれから考えるという無責任な答弁に終始しました。さらに、消費税増税による大学の学費値上げの懸念、多くの世帯での教育費の負担増に対する対応も不明なままであります。
反対の第三の理由は、支援対象とする大学等と学生に機関要件と成績要件を課していることであります。
財政制度等審議会では、平成三十年度予算の編成等に関する建議の参考資料において、大学改革においては、大学教育・研究の成果を問うことで、大学と学生が、その成果である稼ぐ力を確実に得られる努力をし、好循環を実現することが重要と指摘した上で、経済的支援が好循環を阻害しないようにとくぎを刺しています。
近年、安倍内閣は、文化やスポーツにまで産業政策の考えを持ち込み、稼ぐことを重視しています。本法律案においても、産業政策の下に教育政策を位置付け、企業で即戦力となる稼ぐ力を身に付けた学生の育成を強化するために機関要件を設けようとしているのではないでしょうか。
大学教育を経済政策と同様に捉えるような考え方は、決して容認できるものではありません。教育は、稼ぐ力を向上させるための手段ではなく、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家、社会の形成者を育てるものであることは言うまでもなく、教育基本法にも明記されているのです。
本法律案は、実務経験のある教員による授業科目の一割以上の配置、外部理事の複数配置など、教育課程や大学経営に関わる機関要件を規定しています。また、大学等に厳格な成績管理の実施、公表を求め、学生には、成績が相対評価で下位四分の一以下となった場合には支援を打ち切る仕組みになっています。
このような大学等への機関要件、学生への成績要件から見えてくるのは、多額の修学支援を受けるのであれば、大学等は国が求める稼ぐ力を身に付ける教育をしなさい、学生は成績が悪ければ学び続けることはできませんよという無言の圧力であり、学生の選択の幅を狭め、学生の意欲をそぐものと言わざるを得ません。
このような要件によって、教育機関が政府の都合の良い人材育成の場に変えられていくことを懸念せざるを得ません。文科省が決して口出しをすべきではないのです。
また、本法律案は、支援対象である非課税世帯の子供の高等教育への進学率を四〇%から八〇%にすると想定し、その予算を七千六百億円としていますが、全く根拠が不明であります。貧困対策としても、進学率を上げることのみを目標にすることで教育の機会均等を保障していることになるのかどうかについても疑問を持たざるを得ません。
改めて申し上げます。
高等教育の無償化とは、まずは高過ぎる授業料を引き下げ、希望する全ての子供の高等教育の機会を保障することであると考えます。国公私立大学の授業料は、三十年前と比較すると一・七倍にもなっております。その背景にあるのは、他の先進諸国と比較しても高等教育段階における公的負担割合が低いままに抑えられていることにあると指摘しなければなりません。まずは、この公的負担割合を上げるべきです。
本法律案によって、安倍総理が喧伝する高等教育の無償化とは、真の無償化とは全く懸け離れた偽看板であるということが明らかになりました。
立憲民主党・民友会・希望の会は、憲法で保障する学ぶ権利、教育基本法で規定する教育の機会均等、そして大学自治の尊重を基本とした高等教育の漸進的無償化に向けて全力で取り組むことをお誓いし、討論を終わります。拍手
この発言だけを見る →私は、会派を代表して、大学等における修学の支援に関する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。
冒頭、一昨日、散歩中の園児を巻き込んだ事故がありました。犠牲になられた方々には謹んで哀悼の意を申し上げると同時に、交通事故にかかわらず、特に子供たちの学びや生活の場においてどう安全、安心をつくり出していくのかは、社会全体、政治の緊急の課題であると痛感しているところであります。
大型連休を前にした四月十八日の萩生田光一幹事長代行の消費税率引上げの延期とも取れる発言により、衆参同日選挙の可能性が取り沙汰されています。本法律案は、消費税率引上げによる増税分を財源としています。安倍総理は、二〇一七年の衆議院の解散理由を説明した記者会見において、消費税の使い道として高等教育無償化を言い出しました。そのための法律案が成立する前にこの発言であります。これは、安倍政権がどれほど真剣にはこの高等教育の無償化を考えていないか、そして明らかな選挙対策であるを露呈しているものであります。
もちろん、消費税率引上げの延期については、経済状況を踏まえ、しっかりと議論していくべきことです。そうであればこそ、野党が要求している予算委員会をすぐにでも開くべきではないでしょうか。議員の三分の一の署名をもって正当に開会を要求した予算委員会を与党議員が欠席するなどという行為は、まさに恥ずべき行為であります。
それでは、討論に入ります。
本法律案の反対の理由の第一は、高等教育の無償化と銘打ちながら、無償化の理念であるべき全ての子供の学ぶ権利の保障としての教育の機会均等が明示されず、少子化対策、貧困対策にとどまっていることです。
我が国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、いわゆる社会権規約を批准しており、二〇一二年には保留していた高等教育の漸進的無償化を留保撤回し、高等教育を漸進的に無償化していく義務を負っています。日本国憲法や教育基本法には、誰もがひとしく教育を受ける権利が明記されています。この権利保障を無償化によって実現するというのが基本的な考え方であります。しかしながら、この法律案には、政府がどのように高等教育の無償化を達成していくのかという道筋が全く示されておりません。
我が国は、戦後、新しい憲法と教育基本法の下、並々ならぬ努力の中で、全ての子供たちに、生まれ育つ地域や家計所得に関係なく学ぶ機会を保障するための義務教育九年間の無償化を実現し、二〇一〇年、民主党政権時には、後期中等教育三年間の実質無償化を実現いたしました。
この法律案の目的が高等教育の無償化の導入であれば、その基本理念には、当然、教育の機会均等が入っていなければなりません。しかし、その代わりに、本法律案は、真に支援が必要な低所得世帯の者に対しと支援対象を限定し、さらに、社会で自立し、及び活躍することができると学生の進路を限定し、豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等と大学等に要件を課しています。
安倍総理は、施政演説の中で、真に必要な子供たちの高等教育も無償化すると明言しましたが、本法律案における支援対象は、低所得者世帯と極めて限定的です。にもかかわらず、安倍政権は高等教育の無償化を標榜し、あたかも高等教育が全て無償であるかのような表現で国民をミスリードし、さらには、その財源を消費税引上げに求め、消費税引上げを正当化する道具の一つにしようとしているのです。
反対の第二の理由は、本法律案の審議を通じて最大の懸案となった、現行の大学等が中間所得層まで対象に行っている授業料減免への予算措置が、新制度の導入により縮小、後退するのではないかという点であります。
高等教育の無償化を進めると言いながら、新制度の導入により、これまでに授業料減免を受けていた学生が新たに授業料負担を求められたり、これまで以上に授業料の負担が大きくなったりするならば、本法律案は無償化に逆行するものと言わざるを得ません。
本法律案によって支援を受けられる学生等の対象範囲は、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生と限定されており、現行の制度で支援を受けている中間所得層までの在学生への支援継続のための具体的対応は明確に示されないまま、各大学の対応を見ながらこれから考えるという無責任な答弁に終始しました。さらに、消費税増税による大学の学費値上げの懸念、多くの世帯での教育費の負担増に対する対応も不明なままであります。
反対の第三の理由は、支援対象とする大学等と学生に機関要件と成績要件を課していることであります。
財政制度等審議会では、平成三十年度予算の編成等に関する建議の参考資料において、大学改革においては、大学教育・研究の成果を問うことで、大学と学生が、その成果である稼ぐ力を確実に得られる努力をし、好循環を実現することが重要と指摘した上で、経済的支援が好循環を阻害しないようにとくぎを刺しています。
近年、安倍内閣は、文化やスポーツにまで産業政策の考えを持ち込み、稼ぐことを重視しています。本法律案においても、産業政策の下に教育政策を位置付け、企業で即戦力となる稼ぐ力を身に付けた学生の育成を強化するために機関要件を設けようとしているのではないでしょうか。
大学教育を経済政策と同様に捉えるような考え方は、決して容認できるものではありません。教育は、稼ぐ力を向上させるための手段ではなく、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家、社会の形成者を育てるものであることは言うまでもなく、教育基本法にも明記されているのです。
本法律案は、実務経験のある教員による授業科目の一割以上の配置、外部理事の複数配置など、教育課程や大学経営に関わる機関要件を規定しています。また、大学等に厳格な成績管理の実施、公表を求め、学生には、成績が相対評価で下位四分の一以下となった場合には支援を打ち切る仕組みになっています。
このような大学等への機関要件、学生への成績要件から見えてくるのは、多額の修学支援を受けるのであれば、大学等は国が求める稼ぐ力を身に付ける教育をしなさい、学生は成績が悪ければ学び続けることはできませんよという無言の圧力であり、学生の選択の幅を狭め、学生の意欲をそぐものと言わざるを得ません。
このような要件によって、教育機関が政府の都合の良い人材育成の場に変えられていくことを懸念せざるを得ません。文科省が決して口出しをすべきではないのです。
また、本法律案は、支援対象である非課税世帯の子供の高等教育への進学率を四〇%から八〇%にすると想定し、その予算を七千六百億円としていますが、全く根拠が不明であります。貧困対策としても、進学率を上げることのみを目標にすることで教育の機会均等を保障していることになるのかどうかについても疑問を持たざるを得ません。
改めて申し上げます。
高等教育の無償化とは、まずは高過ぎる授業料を引き下げ、希望する全ての子供の高等教育の機会を保障することであると考えます。国公私立大学の授業料は、三十年前と比較すると一・七倍にもなっております。その背景にあるのは、他の先進諸国と比較しても高等教育段階における公的負担割合が低いままに抑えられていることにあると指摘しなければなりません。まずは、この公的負担割合を上げるべきです。
本法律案によって、安倍総理が喧伝する高等教育の無償化とは、真の無償化とは全く懸け離れた偽看板であるということが明らかになりました。
立憲民主党・民友会・希望の会は、憲法で保障する学ぶ権利、教育基本法で規定する教育の機会均等、そして大学自治の尊重を基本とした高等教育の漸進的無償化に向けて全力で取り組むことをお誓いし、討論を終わります。拍手
伊
高
高木かおり#26
○高木かおり君 日本維新の会・希望の党の高木かおりです。
会派を代表して、大学等における修学の支援に関する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
高等教育の無償化に歩みを進めることは歓迎いたしますが、本法案に賛成するに当たりまして、政府への要求を申し述べておきたいと思います。
まず、本法案の支援措置の財源として、政府は、本年十月一日に予定されている消費税増税に係る増収分を充てるとしていますが、予定どおり消費税率を引き上げるかどうかについては、リーマン・ショック級の出来事がない限りとの留保を付したままです。
教育に関わる大事な施策は、不安定な財源ではなく、安定した財源の下で継続して行われるべきです。外的な要因で増税が見送られたとしてもきちんと修学支援が行えるよう、消費税以外の財源を改革でもって生み出すべきと強く申し上げておきます。
次に、本法案の成立によって支援の対象となる大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の選定に当たり、要件は省令で定められることになっており、これからの議論となります。
最近の事例として、外国人留学生約一千四百人の行方が分からなくなった大学がありました。その大学は、定員の定めのない研究生の制度を利用して多くの外国人留学生を集め、満足な教室もないところで授業を行うという悪質なものでした。
私立大学は利益が上がらなければ運営ができないものであるとは思いますが、教育の質をないがしろにしてビジネス至上主義で運営されるような大学までもが本法律の対象となるべきではありません。もとより、本制度によって支援される学生のためにもなりません。この点は、政府に対し、適切な運用がなされるよう強く求めておきます。
また、支援対象となる学生についても、個人要件は省令で定めることになっています。高等学校等が判断することになりますが、判断基準については、ガイドラインを作成するなど一定の基準を定め、学校間で不公平が生ずることがないよう適切な対応を取ることを政府に求めます。
委員会審議におきましては、大学の質の向上について様々な観点から意見を述べさせていただきました。大学の役割も、学術の中心として高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探求した新たな知見を創造し、社会の発展に寄与する、あるいはまた人材育成やイノベーションの創出の基礎として我が国の社会や経済を支える、世界が直面する課題解決に貢献するという使命を持っていると考えます。
このように大学の役割や質の向上が大きな課題となっている中、昨年、東京医科大学の入学試験において、女子や二浪以上の受験者に対し点数をマイナスに操作して不利に扱う一方、文部科学省の前局長の子弟などに対しては個別に加点していたことが明るみに出ました。
入学試験に対する公平性、公正性に関わる大きな問題であるだけでなく、私立大学を監督する官庁がその立場を利用して個人的な便宜を図らせるという前代未聞の不祥事が起きていたことは、余りにも信頼を失墜させるものでありました。
大臣は、文部科学省創生実行計画を取りまとめ、第三者的視点も取り入れたコンプライアンスの確保を含む内部統制環境を整備していくとの決意を述べられましたが、このような事件が二度と起こらないよう、大学が本来あるべき姿を逸脱しないよう、実効性のある再発防止策を強く求めます。
次に、賛成の理由について述べさせていただきます。
日本国憲法においては、戦後の焼け跡からの復興を果たすために教育が何よりも重要であると考えたことから、義務教育を無償にすることに踏み切りました。私たちは、このとき義務教育の無償化を憲法において定めたという事実に着目しています。現在は、日本国憲法制定時と比べると国全体が裕福になっておりますが、所得の格差の拡大も進んでおり、相対的貧困という外からは把握しにくい問題が社会の中に隠れています。この問題を放っておくと、将来国家を支える基盤となり得る人材を埋もれさせてしまうことにもなりかねません。
日本維新の会は、国民の教育を受ける権利を尊重し、経済的理由によって教育を受ける機会を奪われてはならないという強い思いから、教育無償化を憲法改正の項目とすることを掲げてまいりました。教育は全て公の性質を有するものであり、経済を成長させ、犯罪を減らし、生きがいのある職業に就くことができるような社会を築くことは、教育が果たすべき役割です。学費は親が負担するものという考え方をする方もおられますが、教育には公の性質を持つという視点を決して忘れるべきではありません。
したがって、幼児教育から高等教育に至るまで、全ての教育は無償であるべきです。全ての国民がその適性に応じてひとしく教育を受けることができるよう、無償化を拡大することを主張いたします。教育は、国家の視点からすれば、将来に対する投資でもあります。教育を充実させることによって個人の人格の完成を進めるとともに、強く成長力のある国家、社会を築いていくことは、人工知能やロボット開発、宇宙開発など、先端技術で世界各国がしのぎを削る現状においては喫緊の課題であります。まさに、教育は国家百年の基礎を築く重要な事業であると言えます。
本法律により、高等教育への給付型奨学金が拡充されるとともに、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯に対する大学進学へ道が開かれることは、教育無償化への一歩になると考えています。
しかし、まだ支援の対象は非常に限定されています。残念ながら、かねてから問題になっている貧困の連鎖を断ち切るほどの修学支援になっているわけではありません。
我が家は裕福ではないから高等教育は受けられないだろうと幼いうちから進学を諦めてしまうような環境であれば、学習意欲を育むことはできません。将来の日本を担う人材をみすみす失っているのが現在の日本社会です。少子化が進む中で、国の基盤をしっかり維持しようとするのであれば、人材育成に投資することが、あるべき政策のはずです。
私たち日本維新の会は、改めて、完全な教育無償化に進むべきと主張いたします。
高等教育の無償化は、将来の日本を築いていく上で必須の課題であります。教育は個人や個性と深く関わっておりますが、社会全体から見れば、より良い社会は教育の成果によって築かれるものであり、国家の繁栄と国民の幸せの鍵は教育にあります。
以上の理由から、教育無償化を憲法に明記すべきであるということを改めて主張いたしまして、大学等における修学の支援に関する法律案についての賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →会派を代表して、大学等における修学の支援に関する法律案について、賛成の立場から討論いたします。
高等教育の無償化に歩みを進めることは歓迎いたしますが、本法案に賛成するに当たりまして、政府への要求を申し述べておきたいと思います。
まず、本法案の支援措置の財源として、政府は、本年十月一日に予定されている消費税増税に係る増収分を充てるとしていますが、予定どおり消費税率を引き上げるかどうかについては、リーマン・ショック級の出来事がない限りとの留保を付したままです。
教育に関わる大事な施策は、不安定な財源ではなく、安定した財源の下で継続して行われるべきです。外的な要因で増税が見送られたとしてもきちんと修学支援が行えるよう、消費税以外の財源を改革でもって生み出すべきと強く申し上げておきます。
次に、本法案の成立によって支援の対象となる大学、短期大学、高等専門学校、専門学校の選定に当たり、要件は省令で定められることになっており、これからの議論となります。
最近の事例として、外国人留学生約一千四百人の行方が分からなくなった大学がありました。その大学は、定員の定めのない研究生の制度を利用して多くの外国人留学生を集め、満足な教室もないところで授業を行うという悪質なものでした。
私立大学は利益が上がらなければ運営ができないものであるとは思いますが、教育の質をないがしろにしてビジネス至上主義で運営されるような大学までもが本法律の対象となるべきではありません。もとより、本制度によって支援される学生のためにもなりません。この点は、政府に対し、適切な運用がなされるよう強く求めておきます。
また、支援対象となる学生についても、個人要件は省令で定めることになっています。高等学校等が判断することになりますが、判断基準については、ガイドラインを作成するなど一定の基準を定め、学校間で不公平が生ずることがないよう適切な対応を取ることを政府に求めます。
委員会審議におきましては、大学の質の向上について様々な観点から意見を述べさせていただきました。大学の役割も、学術の中心として高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探求した新たな知見を創造し、社会の発展に寄与する、あるいはまた人材育成やイノベーションの創出の基礎として我が国の社会や経済を支える、世界が直面する課題解決に貢献するという使命を持っていると考えます。
このように大学の役割や質の向上が大きな課題となっている中、昨年、東京医科大学の入学試験において、女子や二浪以上の受験者に対し点数をマイナスに操作して不利に扱う一方、文部科学省の前局長の子弟などに対しては個別に加点していたことが明るみに出ました。
入学試験に対する公平性、公正性に関わる大きな問題であるだけでなく、私立大学を監督する官庁がその立場を利用して個人的な便宜を図らせるという前代未聞の不祥事が起きていたことは、余りにも信頼を失墜させるものでありました。
大臣は、文部科学省創生実行計画を取りまとめ、第三者的視点も取り入れたコンプライアンスの確保を含む内部統制環境を整備していくとの決意を述べられましたが、このような事件が二度と起こらないよう、大学が本来あるべき姿を逸脱しないよう、実効性のある再発防止策を強く求めます。
次に、賛成の理由について述べさせていただきます。
日本国憲法においては、戦後の焼け跡からの復興を果たすために教育が何よりも重要であると考えたことから、義務教育を無償にすることに踏み切りました。私たちは、このとき義務教育の無償化を憲法において定めたという事実に着目しています。現在は、日本国憲法制定時と比べると国全体が裕福になっておりますが、所得の格差の拡大も進んでおり、相対的貧困という外からは把握しにくい問題が社会の中に隠れています。この問題を放っておくと、将来国家を支える基盤となり得る人材を埋もれさせてしまうことにもなりかねません。
日本維新の会は、国民の教育を受ける権利を尊重し、経済的理由によって教育を受ける機会を奪われてはならないという強い思いから、教育無償化を憲法改正の項目とすることを掲げてまいりました。教育は全て公の性質を有するものであり、経済を成長させ、犯罪を減らし、生きがいのある職業に就くことができるような社会を築くことは、教育が果たすべき役割です。学費は親が負担するものという考え方をする方もおられますが、教育には公の性質を持つという視点を決して忘れるべきではありません。
したがって、幼児教育から高等教育に至るまで、全ての教育は無償であるべきです。全ての国民がその適性に応じてひとしく教育を受けることができるよう、無償化を拡大することを主張いたします。教育は、国家の視点からすれば、将来に対する投資でもあります。教育を充実させることによって個人の人格の完成を進めるとともに、強く成長力のある国家、社会を築いていくことは、人工知能やロボット開発、宇宙開発など、先端技術で世界各国がしのぎを削る現状においては喫緊の課題であります。まさに、教育は国家百年の基礎を築く重要な事業であると言えます。
本法律により、高等教育への給付型奨学金が拡充されるとともに、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯に対する大学進学へ道が開かれることは、教育無償化への一歩になると考えています。
しかし、まだ支援の対象は非常に限定されています。残念ながら、かねてから問題になっている貧困の連鎖を断ち切るほどの修学支援になっているわけではありません。
我が家は裕福ではないから高等教育は受けられないだろうと幼いうちから進学を諦めてしまうような環境であれば、学習意欲を育むことはできません。将来の日本を担う人材をみすみす失っているのが現在の日本社会です。少子化が進む中で、国の基盤をしっかり維持しようとするのであれば、人材育成に投資することが、あるべき政策のはずです。
私たち日本維新の会は、改めて、完全な教育無償化に進むべきと主張いたします。
高等教育の無償化は、将来の日本を築いていく上で必須の課題であります。教育は個人や個性と深く関わっておりますが、社会全体から見れば、より良い社会は教育の成果によって築かれるものであり、国家の繁栄と国民の幸せの鍵は教育にあります。
以上の理由から、教育無償化を憲法に明記すべきであるということを改めて主張いたしまして、大学等における修学の支援に関する法律案についての賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。拍手
伊
吉
吉良よし子#28
○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表し、大学等における修学の支援に関する法律案に反対の討論を行います。
本法案に反対する第一の理由は、修学支援の財源に消費税一〇%への増税分を充てると法案で明記をしていることです。
本法案は、真に支援が必要な低所得者世帯、一部の学生を対象に学費の減免、給付型奨学金の支給を行うものですが、この財源を前提にするならば、その支援対象者を拡大するとき、更なる消費税増税が押し付けられる懸念が生まれます。経済的理由により修学が困難な低所得者世帯の学生を支援するとしながら、低所得世帯ほど負担の重い消費税をその財源とすることは許されません。何よりも、消費税は、支援の対象となる学生にも対象とならない学生にも重い負担となってしまいます。
私大教連の調査では、家賃を除いた一日当たりの学生の生活費は僅か六百七十七円です。参考人からは、今日は一日、大学で一円も使っていませんという学生と日々接していますので、そこまで大変なんだということから出発しないと駄目なんじゃないでしょうかとの問いかけも出されました。ここに消費税増税を押し付けるなんて、とんでもない暴挙です。見かけ倒しの高等教育無償化を口実に、消費税増税という重い負担を国民に押し付けることはやめるべきです。
本法案に反対する第二の理由は、支援対象とする大学、個人、それぞれに厳しい要件を設けることにより、学生の教育の機会均等を阻むことになるからです。
本来、修学支援とは、それぞれの学生が自ら選んだ大学でお金の心配なく学ぶことができるよう支援することです。それなのに、本法案では、支援対象とする大学等に対し機関要件を設け、政府の方針に従わない大学等を選別し、支援対象から排除しています。
この機関要件を設ける理由について、文科省は、社会で自立し活躍するには大学等での勉学が職業等に結び付くことが必要などと言いますが、委員会での参考人質疑では、こうした実学重視の機関要件に対し、既に、日本は諸外国と比べれば極めて学部構成は実学に偏っている、ヨーロッパやアメリカと比較してはるかに実学部門が大きいという特徴を持っているのに、なおかつそれを言うというのは、ちょっと国際比較から考えてバランスを欠いているとの指摘もあったところです。
また、文科省は、一、負債が資産を上回っている、二、三年連続赤字決算、三、三年連続収容定員が八割に満たない、この三つに当てはまる大学は経営に問題があるとして、支援の対象から外すとしています。三つの条件全てに当てはまる大学は現時点で十法人程度だと言いますが、この条件に一つないし二つ当てはまる大学は百から二百程度存在することが質疑で明らかになりました。このままでは、今後支援対象から除外される大学が更に拡大しかねません。
参考人からは、定員が埋まっていないことイコールその大学の質がなっていないとか、あるいはその努力が不足しているというふうにイコールで結ぶことはできない、大学の立地であるとか、そこでの人口規模とか、あるいはこの間の社会の変化とかいうことが影響しているとの指摘もあったとおり、現在、経営が厳しい私立大学などの多くが地方の中小規模の大学です。それらの大学を修学支援の対象から外したら、更に学生が集まらなくなり、定員割れがますます進み、大学の再編、淘汰が加速しかねません。地域社会で奮闘している地方の中小規模大学を苦境に立たせ、大都市圏と地方の教育格差を更に拡大させることを見過ごすわけにはいきません。
さらに、学生個人に対する成績要件も問題です。
本法案では、進学後の学生の成績等の状況に応じて警告を出す、支給を打ち切ることもできるとしています。しかし、本法案で支援対象となっている非課税世帯の学生であっても、私学であれば学費は全額免除にはなりません。この学生たちが残りの学費の負担を賄うためにアルバイトをし、どうしても出席日数が足らない、学業成績が基準に達しないなどの事情は十分に起こり得ることです。しかも、成績評価で下位四分の一といった、学生本人が努力しても必ずしも乗り越えられない相対的な順位付けまで指標にしており、本人の努力の有無にかかわらず、一定の数の学生が途中で支給を打ち切られる可能性も否定できません。
こうして対象となる大学等を狭め、学生個人にもハードルを課すことで、学生の大学選択の自由を奪い、進学機会を狭めてしまうような要件は付けるべきではありません。
本法案に反対する第三の理由は、本法案が高等教育の無償化に資するとは到底言えないからです。
文部科学大臣は、質疑の中で、本法案により学費は下がらないと公言した上、各大学が消費税増税等を理由にして学費の値上げを行うことを否定しませんでした。
この間、安倍政権は、国民に政策内容を分かりやすく伝える観点から高等教育の無償化という表現を用いていると言いますが、高等教育無償化という表現は、学費の値下げをしないこの法案の説明にふさわしくありません。
大臣自身、法案の内容を踏まえて、法案本文には無償化という表現を用いていないともおっしゃったのですから、この法案が高等教育無償化であるなどという間違った説明をするべきではありません。
文部科学大臣は、中間所得世帯の支援の必要性についての質問に対し、低所得世帯以外は奨学金の拡充により進学機会が開かれているなどと答えています。しかし、大臣は、中間所得層も含め、今も多くの学生が利用するローン型の奨学金が将来の重い負担になっている事実を認識されていないのでしょうか。
諸外国の貸与奨学金制度の場合、二割あるいは三割ぐらいのデフォルトをつくっている。つまり、一定の延滞とか貸倒れがあることをあらかじめ組み込んだ制度設計にしています。ところが、我が国の貸与奨学金の返還率、回収率は実に九割となっている。その背景には、回収率を上げろという政府の掛け声に基づく機構の無理な回収があるんです。借りたものは返せという圧力、少しでも延滞したらブラックリストに登録されるなどのペナルティー、こうした圧力の下、どんなに低賃金でも生活が苦しくても、無理をして、頑張って頑張って奨学金の返済をしているこの若者の現状にこそ目を向けるべきではないでしょうか。
学生や若者への支援をするというならば、将来の重い負担となってしまうローン型の奨学金をせめて無利子のみにすることが必要です。今、奨学金返済に苦しんでいる皆さんの救済策として、猶予期間の延長や延滞金の廃止なども必要です。そして、何より、全ての学生の学費そのものの値下げにこそ踏み出すべきではないでしょうか。
私たち日本共産党は、国民の教育費負担をこれ以上増やさない、高等教育予算の抜本的な拡充へ、真の高等教育無償化を目指して、皆さんと力を合わせ頑張り抜く決意を申し述べて、討論を終わります。拍手
この発言だけを見る →本法案に反対する第一の理由は、修学支援の財源に消費税一〇%への増税分を充てると法案で明記をしていることです。
本法案は、真に支援が必要な低所得者世帯、一部の学生を対象に学費の減免、給付型奨学金の支給を行うものですが、この財源を前提にするならば、その支援対象者を拡大するとき、更なる消費税増税が押し付けられる懸念が生まれます。経済的理由により修学が困難な低所得者世帯の学生を支援するとしながら、低所得世帯ほど負担の重い消費税をその財源とすることは許されません。何よりも、消費税は、支援の対象となる学生にも対象とならない学生にも重い負担となってしまいます。
私大教連の調査では、家賃を除いた一日当たりの学生の生活費は僅か六百七十七円です。参考人からは、今日は一日、大学で一円も使っていませんという学生と日々接していますので、そこまで大変なんだということから出発しないと駄目なんじゃないでしょうかとの問いかけも出されました。ここに消費税増税を押し付けるなんて、とんでもない暴挙です。見かけ倒しの高等教育無償化を口実に、消費税増税という重い負担を国民に押し付けることはやめるべきです。
本法案に反対する第二の理由は、支援対象とする大学、個人、それぞれに厳しい要件を設けることにより、学生の教育の機会均等を阻むことになるからです。
本来、修学支援とは、それぞれの学生が自ら選んだ大学でお金の心配なく学ぶことができるよう支援することです。それなのに、本法案では、支援対象とする大学等に対し機関要件を設け、政府の方針に従わない大学等を選別し、支援対象から排除しています。
この機関要件を設ける理由について、文科省は、社会で自立し活躍するには大学等での勉学が職業等に結び付くことが必要などと言いますが、委員会での参考人質疑では、こうした実学重視の機関要件に対し、既に、日本は諸外国と比べれば極めて学部構成は実学に偏っている、ヨーロッパやアメリカと比較してはるかに実学部門が大きいという特徴を持っているのに、なおかつそれを言うというのは、ちょっと国際比較から考えてバランスを欠いているとの指摘もあったところです。
また、文科省は、一、負債が資産を上回っている、二、三年連続赤字決算、三、三年連続収容定員が八割に満たない、この三つに当てはまる大学は経営に問題があるとして、支援の対象から外すとしています。三つの条件全てに当てはまる大学は現時点で十法人程度だと言いますが、この条件に一つないし二つ当てはまる大学は百から二百程度存在することが質疑で明らかになりました。このままでは、今後支援対象から除外される大学が更に拡大しかねません。
参考人からは、定員が埋まっていないことイコールその大学の質がなっていないとか、あるいはその努力が不足しているというふうにイコールで結ぶことはできない、大学の立地であるとか、そこでの人口規模とか、あるいはこの間の社会の変化とかいうことが影響しているとの指摘もあったとおり、現在、経営が厳しい私立大学などの多くが地方の中小規模の大学です。それらの大学を修学支援の対象から外したら、更に学生が集まらなくなり、定員割れがますます進み、大学の再編、淘汰が加速しかねません。地域社会で奮闘している地方の中小規模大学を苦境に立たせ、大都市圏と地方の教育格差を更に拡大させることを見過ごすわけにはいきません。
さらに、学生個人に対する成績要件も問題です。
本法案では、進学後の学生の成績等の状況に応じて警告を出す、支給を打ち切ることもできるとしています。しかし、本法案で支援対象となっている非課税世帯の学生であっても、私学であれば学費は全額免除にはなりません。この学生たちが残りの学費の負担を賄うためにアルバイトをし、どうしても出席日数が足らない、学業成績が基準に達しないなどの事情は十分に起こり得ることです。しかも、成績評価で下位四分の一といった、学生本人が努力しても必ずしも乗り越えられない相対的な順位付けまで指標にしており、本人の努力の有無にかかわらず、一定の数の学生が途中で支給を打ち切られる可能性も否定できません。
こうして対象となる大学等を狭め、学生個人にもハードルを課すことで、学生の大学選択の自由を奪い、進学機会を狭めてしまうような要件は付けるべきではありません。
本法案に反対する第三の理由は、本法案が高等教育の無償化に資するとは到底言えないからです。
文部科学大臣は、質疑の中で、本法案により学費は下がらないと公言した上、各大学が消費税増税等を理由にして学費の値上げを行うことを否定しませんでした。
この間、安倍政権は、国民に政策内容を分かりやすく伝える観点から高等教育の無償化という表現を用いていると言いますが、高等教育無償化という表現は、学費の値下げをしないこの法案の説明にふさわしくありません。
大臣自身、法案の内容を踏まえて、法案本文には無償化という表現を用いていないともおっしゃったのですから、この法案が高等教育無償化であるなどという間違った説明をするべきではありません。
文部科学大臣は、中間所得世帯の支援の必要性についての質問に対し、低所得世帯以外は奨学金の拡充により進学機会が開かれているなどと答えています。しかし、大臣は、中間所得層も含め、今も多くの学生が利用するローン型の奨学金が将来の重い負担になっている事実を認識されていないのでしょうか。
諸外国の貸与奨学金制度の場合、二割あるいは三割ぐらいのデフォルトをつくっている。つまり、一定の延滞とか貸倒れがあることをあらかじめ組み込んだ制度設計にしています。ところが、我が国の貸与奨学金の返還率、回収率は実に九割となっている。その背景には、回収率を上げろという政府の掛け声に基づく機構の無理な回収があるんです。借りたものは返せという圧力、少しでも延滞したらブラックリストに登録されるなどのペナルティー、こうした圧力の下、どんなに低賃金でも生活が苦しくても、無理をして、頑張って頑張って奨学金の返済をしているこの若者の現状にこそ目を向けるべきではないでしょうか。
学生や若者への支援をするというならば、将来の重い負担となってしまうローン型の奨学金をせめて無利子のみにすることが必要です。今、奨学金返済に苦しんでいる皆さんの救済策として、猶予期間の延長や延滞金の廃止なども必要です。そして、何より、全ての学生の学費そのものの値下げにこそ踏み出すべきではないでしょうか。
私たち日本共産党は、国民の教育費負担をこれ以上増やさない、高等教育予算の抜本的な拡充へ、真の高等教育無償化を目指して、皆さんと力を合わせ頑張り抜く決意を申し述べて、討論を終わります。拍手
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