大門実紀史の発言 (本会議)

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○大門実紀史君 日本共産党を代表し、金融機能早期健全化法一部改正案について質問します。
 本法案は、預金保険機構の剰余金のうち約八千億円を一般会計に繰り入れ、それを本年十月からの消費税率引上げの影響を緩和するための対策、すなわちポイント還元やプレミアム付き商品券などの財源に充てようというものです。
 預金保険機構の剰余金のうち業務に必要のない分を一般会計に繰り入れることは当然ですが、問題はその使い道です。消費税を増税し消費を落ち込ませておいて、その落ち込み対策に使うなど、ただのマッチポンプにすぎません。
 しかも、ポイント還元も商品券も政策効果が疑われており、そんなものに使うくらいなら、増税そのものをきっぱりやめて、社会保障や教育など国民の切実な要求となっている喫緊の課題に使うべきではありませんか。麻生財務大臣の答弁を求めます。
 この間、経済指標が軒並み悪化する中で、安倍首相の側近である萩生田自民党幹事長代行が消費税増税を見送る可能性もあるという趣旨の発言をし、消費税に賛成という立場の方々からも、この経済情勢の下で本当に増税していいのか、景気が更に悪くなれば元も子もないなど、懸念の声が広がっています。
 消費税の増税は、物価を上昇させて国民の実質可処分所得を減少させます。それが購買力を奪い、消費を押し下げるのです。このことは、内閣府の経済財政白書も指摘してきたことです。逆に言えば、消費税増税分を上回るだけの実質可処分所得の増加、すなわち実質賃金の引上げや税と社会保険料の負担軽減がなければ、消費は押し下げられ、景気が悪くなってしまうのは明らかではありませんか。茂木経済財政担当大臣の認識を伺います。
 実際、一九九七年四月の三%から五%への消費税率引上げは、社会保険料の引上げと同時に強行され、消費を急激に落ち込ませました。二〇一四年四月の八%への引上げも、実質賃金が低迷する下で消費を一気に冷え込ませ、景気を悪化させました。
 本年十月の一〇%への増税はどうでしょう。賃金の伸びは増税幅の二%には程遠く、社会保険料負担は増大し、この間、実質可処分所得は減少しています。さらに、今回は、これまでと大きく異なり、消費の低迷に加え、世界経済も悪化しています。米中経済対立や英国のEU離脱などを背景に、世界貿易は既に停滞局面に入っています。日本経済を支える内需と外需が同時に停滞しているときに消費税の増税を強行すれば、増税による打撃は今まで以上に大きなものとなることは明らかです。
 先月の決算委員会で、茂木大臣は、私のこの指摘に対し、景気は緩やかに回復している、連合などの賃金は上がっているなどと、従来と同じ答弁を繰り返すだけでした。
 茂木大臣、どうしても消費税増税を強行するというのなら、同じ言葉の繰り返しではなく、この十月に消費税増税を強行しても、実質可処分所得は減少しない、外需の落ち込みも吸収できる、日本経済が悪化しないという、具体的根拠をお示しください。
 次に、昨年十一月、政府が公表した消費税の引上げに伴う価格設定についてというガイドラインに関して質問します。
 政府の説明によれば、このガイドラインの目的は、消費税増税に伴う駆け込み需要、反動減を抑え、消費を平準化することにあるとのことです。
 そのモデルとされているのがヨーロッパです。ヨーロッパでは、付加価値税の税率引上げに当たり、事業者がどのようなタイミングでどのように価格を設定するかは、それぞれの経営判断に任されています。そのため、税率引上げの日に一斉に価格の引上げが行われることはなく、税率引上げ前後に大きな駆け込み需要、反動減も発生していません。
 日本も、ヨーロッパに見習って、消費税の税率引上げの期日前に価格を上げることも自由、税率引上げ後に価格を下げることも自由、今まで抑制的だった増税後の値引きセールもどんどんやっていい、こんなガイドラインを政府が打ち出したのです。
 しかし、このガイドラインは、便乗値上げを誘発するとともに、中小事業者を苦境に追い込む危険性があります。
 そもそも、ヨーロッパは日本と違いインフレです。インフレの下で、物価も上がるが実質賃金も上がる状況が続いてきました。だから、付加価値税が増税されても実質可処分所得は減らず、消費も落ち込まなかったのです。また、インフレのときならば、付加価値税の税率引上げに当たり、いつどのように価格設定するかも自由に決めやすくなります。中小事業者でも価格を上げやすくなります。
 しかし、デフレの日本で同じことができるでしょうか。もちろん、価格決定力のある大手の事業者なら、消費税の税率引上げ前に価格を引き上げることは可能です。ただし、その際、便乗値上げが行われる可能性は排除できません。
 政府は、便乗値上げについては厳しく対処すると言いますが、政府自身が増税前の値上げを奨励しておいて、どうやって対処するというのでしょうか。便乗値上げは消費者庁が対応することになっていますが、消費者庁に便乗値上げを防ぐ力などありません。
 一方、中小事業者は、デフレの下で、ただでさえ厳しい価格引下げ競争にさらされています。税率引上げ前に価格の引上げなどできるわけがありません。
 茂木大臣、そもそも、インフレのヨーロッパで行われていることをデフレの日本に当てはめようとしていること自体、根本的に間違っているのではありませんか。答弁を求めます。
 また、税率引上げ後の値引きセールを奨励することも、大手には有利であっても、中小事業者、特に地方の中小商店などを苦境に追い込むものではないでしょうか。
 例えば、大手スーパーが大々的に値引きセールをやっているときに、近くの小さな商店がキャッシュレスのお客さんにだけ五%ポイントを還元しますなどという面倒くさいことをやっていて太刀打ちできるでしょうか。さらに、大手が五%以上の値引きセールを始めたら、中小商店はもうひとたまりもないのではありませんか。世耕経済産業大臣の認識を伺います。
 結局、政府の対策も、消費税増税の影響を緩和するどころか、かえって混乱をもたらし、中小事業者を苦境に陥れ、地域経済を一層疲弊させるものではありませんか。麻生大臣にそういう認識はありますか。改めて、消費税増税中止の決断を求めます。
 最後に、本法案には、本来国に納付されるべき早期健全化勘定の利益剰余金を金融再生勘定へ繰り入れて、公的資金の穴埋めに使うことが盛り込まれています。
 二〇〇八年のリーマン・ショックの際には、公的資金を使った金融機関の救済がアメリカでも大問題になりました。金融危機に対処する財源は、国民のお金を使うのではなく、金融危機を引き起こした金融業界の負担で行うべきではありませんか。
 麻生金融担当大臣の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119815254X01620190510_011

発言者: 大門実紀史

speaker_id: 16551

日付: 2019-05-10

院: 参議院

会議名: 本会議