徳永エリの発言 (本会議)
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○徳永エリ君 国民民主党・新緑風会の徳永エリです。
会派を代表して、国有林野管理経営法改正案について、吉川農林水産大臣に質問いたします。
法案の質問に入る前に、先週金曜日、大生産地である愛知県田原市の養豚場で国内二十三事例目、田原市では五事例目の豚コレラの発生が確認されました。
大臣、農林水産省は一体何をやっているんでしょうか。昨年九月に岐阜市で発生してから、間もなく九か月になろうとしています。既に九万三千頭を超える豚が殺処分されています。民主党政権時代、宮崎県で口蹄疫が発生したときは四か月で終息させました。いつになったら終息するんでしょうか。農林水産省が今行っている防疫措置対応は、果たして正しいのでしょうか。
そこで、吉川大臣にお伺いいたします。
まず、なぜ感染予防のためのワクチンを打たないのか。まずは、飼養衛生管理の遵守というならば、早急に予防的殺処分を行い、豚舎を空にして徹底するべきではないのか。また、養豚農家への補償、手当金について、支払の時期や金額がいまだに明らかになっていないと現場から不満と不安の声が上がっています。一日も早く明確にし、生産者に安心してもらうべきなのではないでしょうか。これらの点について、丁寧に納得いく説明をお願いいたします。
さて、林業の成長産業化とは誰のためのものなのでしょうか。
本法律案は、昨年成立した民有林を対象とした森林経営管理法に続いて、意欲と能力のある林業経営者が長期間にわたり大規模な国有林の伐採を可能とするもので、効率的かつ安定的な林業経営の育成を図ることを目的としていますが、提出に至るまでの経緯に大きな不安が否めません。
昨年五月十七日の未来投資会議では、あの竹中平蔵氏が、今後、国有林などの分野でいわゆるコンセッションのような考え方を導入して大胆に改革の仕組みをつくることが不可欠ではないかと思う、是非とも長期、大ロットで国有林などの伐採が可能となるような法的措置がとられることをお願いしたいと思うと発言。また、日本商工会議所の三村会頭は、これまでの林業政策は、産業政策という視点が不足していたのではないか、社会政策や環境政策に偏り、今ある林業の経営体をどう支えていくかに集中し過ぎているように見える、人工林が成熟した今こそ千載一遇のチャンスであり、林業政策を産業政策の方向に大きく転換する必要があると発言しています。
国有林は国民共有の財産ですから、改正案が、成長産業化の名の下に、公益的機能を損ない、地域の振興にも寄与せず、大企業の利益だけを図るためのものであるならば、しかも、しかもですよ、コンセッションであるならば、決して賛成をするわけにはまいりません。
そこで、法律案について質問いたします。
未来投資戦略二〇一八において国有林や関連の法整備はコンセッション重点分野の取組強化等の項目に分類されていますが、コンセッションとは、施設の所有権を発注者である公的機関に残したまま、運営権を民間事業者に設定するものであります。
本法律案で国有林を伐採する権利を民間事業者に設定する最長五十年の樹木採取権は、コンセッションによる国有林の民間開放への第一歩と見えなくもありません。林野庁は、伐採する権利のみを設定するもので、コンセッションではないとしておりますが、改正案の施行後も国有林野の経営管理は国が、そして林野庁がしっかりと責任を持って行っていく、コンセッションではないし、今後もそうはならないということを明言していただきたいと思います。
新たな制度で樹木採取権の設定を受ける事業者は、森林経営管理法により意欲と能力のある林業経営者として都道府県が公表する事業者などが想定されています。この意欲と能力のある林業経営者に相当する事業者は、現在国有林の伐採を行っている事業者全体の中でどの程度の割合を占めているのか、また、樹木採取権の取得を希望しない事業者の受注機会が減少することがないように、従来の仕組みと新たな仕組みのすみ分けをどのように行っていくのか、御説明ください。
新たな制度では、樹木採取権の存続期間は五十年以内とされています。大臣は、十年を基本として運用していくと説明されています。現行の仕組みでは一年又は二、三年ごとに入札が行われていますが、十年でもこれまでより長く、五十年という長期間にわたり樹木採取権が設定されれば、設定期間中に事業者が倒産するケース、また、景気の情勢の変化によって事業者が撤退することも考えられます。樹木採取権の移転は可能とされていますが、同様の条件で樹木採取権の設定を希望する事業者が見付からなかった場合、計画どおりに伐採を行うことができなくなる可能性は否めません。そのようなことが起きた場合にはどのように対応していくのでしょうか。
樹木採取権実施契約の内容と異なる伐採を行った場合、国は事業者に対して損害賠償を請求することができますが、国有林野の知識や経験が浅い事業者は保残帯まで伐採してしまうことも考えられます。違反だ、損害賠償だでは済まされない治山上大きな問題が生ずるなど、災害にもつながりかねない事態も起こり得ます。このような事態の発生をどのようにして防止していくのか、お伺いをいたします。
改正案では、樹木採取権の設定に関する公募、選定、契約、報告徴収、調査、指示等を農林水産大臣が行うこととされていますが、実際に事務を行うのはその地域の森林管理局です。従来の仕組みに追加して新たな仕組みが導入されるので、業務負担が相当に増えることが予測できます。職員の労働条件や労働環境に悪影響を及ぼすことにならないように、新たな制度ができることによる森林管理局の人員体制の強化が必要なのではないでしょうか。
昭和三十九年度には林野庁本庁、地方組織と合わせると八万九千二百八十九人だった林野庁の職員数が、平成三十年度には四千八百五十九人まで減っているんです。業務の重要性や業務量に応じた人員確保を進めていくべきだと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
本法律案では、農林水産大臣は、樹木採取権を設定された事業者に伐採と植栽を一体的に行うように申し入れるものとされています。樹木採取権による伐採を行った後に植栽される樹木は国の所有物となるため、経費も国が支出するということで、再造林を事業者に義務付けることは法律上難しいということは私も理解はできます。しかし、再造林は確実に行われなければ、伐採により森林資源が枯渇し、戦後の林業衰退の道をたどってきた過去の歴史をまた繰り返すことになります。
植栽だけではありません。下草刈りや間伐、長期にわたる保育、確実な再造林をどのように行うのか。再造林を事業者に申し入れるということでは、余りにも不確実であります。どのようにして確実な再造林を担保するのか、大臣の御見解をお伺いいたします。
国内においては、大型国産材産業やバイオマス発電事業に木材を安価で大量に供給することが求められている、また、木材輸出も、平成二十五年以降五年連続で増加している中で、丸太中心の輸出から付加価値の高い製品輸出に転換を進めているということで、まさに我が国林業は今大きなビジネスチャンスを迎えていることは理解しております。
しかし、国民共有の財産である国有林野を活用することとなれば、成長産業化、ビジネスの観点からだけではなく、現行法第三条の国有林野の管理経営目標である、国有林野の有する公益的機能の維持増進、林産物の持続的かつ計画的な供給、地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与すること、この三つの目的を今後も果たしていけるのかどうか大変に心配をしております。
そのことを最後に質問させていただきまして、新たな制度が一部の事業者の利益のためだけになることが決してないように、今後の委員会審議を通じて政府の納得いく説明を更に求めていくことを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣吉川貴盛君登壇、拍手〕