河村小百合の発言 (予算委員会公聴会)
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○公述人(河村小百合君) 日本総合研究所の河村と申します。本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私の方からは、我が国の経済財政運営の課題ということで、今年、消費税率の引上げ、予定されておりますけれども、この国の厳しい財政事情に鑑みて、どの程度の財政再建が本当は必要なのか、そして今、財政運営に非常に深く事実上関わっております日銀が抱える深刻な問題についてお話ししたいというふうに思います。資料、いろいろグラフを御用意しておりますので、資料を併せて御覧ください。
まず、二ページのところを御覧ください。
これまでの財政運営を御覧になりますと、これ、我が国の財政と経済の推移をお示ししたものでございますけれども、後ろにあります赤い棒グラフが国の公債残高、そして水色の棒グラフが名目GDP。御覧いただきますと、二〇〇五年のところで逆転している状態であります。一国、国全体として国民全部で稼ぎ出されるGDPを超えるような形で公債の残高が上がってきていると。
足下、この税収、それから一般会計の歳出等を折れ線でお示ししていますけれど、税収がアベノミクスになって上がってきたこと、非常に良かったと思います。もちろん、前回の消費税率引上げ、これも大変大きく効いているというふうに思います。ただ、それででき上がった姿を見るとどうなのか。まだ新規国債の発行額というのが三十兆円ぐらいある。
次の三ページのところを御覧ください。
今、国会でかかっている来年度の予算、政府案で見て、ざっと大きく数字を取ったものがこちらの数字なんですけれども、歳入の方を御覧いただくと、公債金三十二・七兆円、これ新発国債ですね。右側の歳出のところで、債務償還費、これ既に出した国債を返している分十四・七兆円。これ差し引きますと、まだ十八兆円近い新たな負担のツケ回し、後の世代への新たな負担のツケ回しですよ。過去にツケ回した分というのもたくさんあるんですよ。それに更に上乗せする形でやってしまっているということだというふうに思います。何でこんな財政運営が続いているのか。もう要するに利払い費が少なくて済んでいるからですね。
次の四ページのところを御覧ください。
消費税率の引上げ、予定されております。どの程度財政運営が改善するのか。これは、二〇一二年の三党合意の段階では、この八%から一〇%に上げるときに、大ざっぱな数字で申し上げると五兆円ぐらい増収になるだろうと、そのうち四兆円は後の世代への先送りを少しでも減らそう、そういう話になっていました。ところが、これ使途変更になっちゃいましたよね。後の世代への先送りの軽減幅、大体でいうと半分ぐらいになってしまっていると思います。じゃ、残りの二兆円分どこから出してくるか、そういう議論あったんでしょうか。そういう議論、是非していただきたいと思います。
加えて、いろいろ景気対策、増税対策されるということが出ていますけれども、もちろんいろんな経済状態の方がいらっしゃるので配慮は必要だと思います。だけれども、今講じられている増税対策って一体誰が得するんですか。ポイント云々。何か青天井でお金が掛かるんじゃないかなんという話が出ていたりもしますし、やっぱり本当に真に必要な方のためだけの増税対策になっているのか。もうこんなことになっちゃったら、一体何のための消費増税なのかしらということを思います。
次の五ページを御覧ください。
何でこれまでうまく財政運営回ってきたのか。これ、財務省が出している数字を基に、利払い費、折れ線です、後ろに公債残高出ておりますが、御覧いただきますと、足下の利払い費、十兆円も行かないんですよね。これ御覧になると、一九九〇年頃、あの頃よりも利払い費少ないですよね、借金の残高ずっと上がっているのに。これ、なぜかと。もちろん金利の影響なんですよね。
次の六ページのところを御覧ください。
これ、日銀の金融政策運営ももちろん関係しております。金利は別に金融政策だけで決まるものでもないんですけれども、やはり日本経済、バブル崩壊があって、不良債権の問題があって、ゼロ金利やり、量的緩和をやり、その後もまたリーマン・ショックがあり、震災があり、いろいろ包括緩和をやって、そして黒田総裁になられて異次元緩和をやっていらっしゃる。もうべたっと張り付いている状態だと思います。
次の七ページ、御覧ください。
そうやって、日銀が、ある意味無理やりというか力ずくで今金利を抑え込んでいるんですけれども、国債の保有、誰が持っているのかというのを御覧いただいたグラフが七ページです。中央銀行がぐぐぐぐぐぐっと上がってきていること、御覧いただけるというふうに思います。
次の八ページ、御覧ください。
今、日銀が買い入れている国債のシェア、一番直近で分かる数字が一月末でございます。実に四八・一%です。もうちょっとで五割に手が届きそうなところ。年限別に御覧になると、もう本当に背筋が寒くなりますね、五年債なんてもう七割超えていますよ。十年債はもうとっくに五割超えているんです。こういう状況です。
これは、この後御説明いたしますけれども、日銀はあくまで二%の物価の目標達成を目指して金融政策やっているんだから財政と別じゃないかというふうにもしかしたらお考えの方がいらっしゃるかもしれません。私はそうではないと思います。こういうような無理やり、無理やりのその金融政策運営、金利を押し付け、国債を本当に買い占め、そういうことによって、今、日銀に非常に大きなリスクが蓄積されています。今後の経済政策運営に大きな影響が出る。私たち国民一人一人の生活と人生に大きな影響が出かねないと私は真剣に心配しております。
順に御説明してまいります。
九ページを御覧ください。
何でこの国の借金がこんなに積み上がってしまったのかですね。これは、財務省の理財局が出している債務管理リポートの方から取ったグラフです。
どちらが増えたか。まあ建設国債よりも赤字国債の方だろうなというふうに先生方は御覧になるんじゃないですか。もちろんそのとおりで、この棒グラフですね、一番下の水色の折れ線が建設国債ですね、四条債です。その上、赤いのがありますね、これが特例債です。もちろん建設国債より特例債が多い。だけど、それよりもっと多いのがこのオレンジです、借換債です。
この国って、まあ国債、いろんな年限で出すんですけれど、十年債を十年物で出して十年たった、全額返しますかといったら、返さないんです。それが実はこんなに借金が増えてしまう原因になっています。
次の十ページのところを御覧ください。
もう先生方はよく御案内だと思いますけれども、この国の償還は、財政法に規定があって、六十年償還ルールということでやっています。これ財務省の絵を持ってまいりました。ですから、例えばこの国債ですね、建設国債も、今特例国債も一緒になっていますが、例えばこの六百、金額で六百を出したとすると、十年後に返すのは百だけ、五百は借換え、で、また十年たったら返すのは百だけ、また借換え。要するに、きれいに返し切るまで六十年掛かる。
もうこれ、私もいろいろ調べていますので、いろんな各国の国債管理当局に問合せをするんですね。ちゃんと答えが来ますよ、ちゃんと来ます。こういう六十年償還ルールをやっている国ありません。主要国でありません。どの国も借換債は出しますよ、出さないわけじゃないんです。だけど、やっぱりそんなものをどんどんどんどん出していたら本当に借金が積み上がっちゃうから、借換債はもう本当に必要最小限に収めようということでやっているという答えが返ってきます。
じゃ、国債をこの国どうやって返しているのか。
十一ページ、御覧ください。
これも先生方よく御案内だと思いますけれども、国債の償還原資の捻出方法は三つございます。定率繰入れ、国債の残高に応じて、六十年償還ルールに基づく、ですから六十年で返すということは一・六%なんですけど、一般会計で要するに償還の原資を出す。もう一つは剰余金繰入れ、例の決算をやったときに剰余金が出る年と出ない年がありますけれども、それの半分は基本的に債務償還に入れましょうねという話になっている。そして、三番として、それ以外の予算繰入れというのがあるということです。
次の十二ページ、御覧ください。
剰余金繰入れ、まあこれ結構いろんな事情があって、これ、剰余金繰入れ、剰余金が出た額がこの棒グラフでお示ししておりまして、紺色で塗り分けているところが公債の償還、借金の返済に充てたもの、赤いところが一般財源に充てて使っちゃったものということなんですね。これで見ると、剰余金が元々ない年もありますけれど、まあ一応規定どおりにはやってきている。ただ、この純剰余金をいかに繰り入れるとしても、本当に剰余金出たとしても多くて二兆円ぐらいですよね。一七年度だってやっぱり一兆円をちょっと切るぐらいだというふうに思います。
それをじゃ半分だけ繰入れ、半分じゃなくて全額繰り入れたこともあるんですよね、小泉政権時代とかあるんですけど、それやったとしたって、過去二十年全部遡って私足し算したことありますけど、二十三兆円としかならないんですよ。だから、剰余金繰入れをどんだけ真面目にやったって全然、これだけ、本当に千兆の借金抱えている国、焼け石に水なんですよね。
次の十三ページ、御覧ください。
借換債が多過ぎると申しました。これがどういう意味を持つのか、よその国と比較したのがこちらの絵であります。
今IMFも非常に、ヨーロッパの債務危機とかを経てこういうところ、非常に気にしております。この表の中にありますグロス所要資金調達額というのが、その国が財政運営を続けるために毎年一体幾らの国債を調達しなきゃいけないのかというのを名目GDP比で示したものです。
満期負債というのが、要するに借換債です。財政収支赤字幅というのが、まあ大ざっぱに言えば新発国債というふうにお考えください。これ御覧いただくと、日本ですね、満期負債がよその国と比べて異様に多いじゃないですか。GDP比四割の金額の国債を調達している国なんてないんですよね。これを、まあ四〇%って、見てもぴんとなかなかこられないかもしれないので、実額で御覧いただいたのが次の十四ページです。
今年の予算、政府案での理財局が示している国債発行予定額、これ御覧いただくと、国債って新発国債だけじゃないんです。借換債がたくさんあるんです。両方合わせて、理財局、毎年百五十兆円も国債を調達している。これが円滑に調達できなかったらデフォルトですよ。大変なことになりますよ、資金ショートになったら。そういうことです。
というのは、要するに、この国はこれだけ毎年自転車操業で国債出して財政運営を回しているということは、ちょっとでも金利が動いたりとかして国債がはけなくなれば、財政運営たちまち大変なことになるということだと思います。
じゃ次、中央銀行の問題に行きたいというふうに思います。
十五ページのところを御覧ください。
これは、主要な中央銀行の資産規模の名目GDP比のグラフです。よく新聞等でも先生方御覧になられると思います。日銀、断トツですよね。GDP比一〇〇%に行っちゃった。ほかの国というのは、まあ確かにリーマン・ショックの後、増やしたけれども、せいぜい二割とか三割ぐらい。ECBも一番ピークで四割まで持っていって、もうやめましたよね。止めているんです。なぜか。
次の十六ページのところを御覧ください。
これですね、よその国がなぜしないかということと裏腹なんですけれども、これだけのバランスシートを抱えてしまうと、中央銀行としての金融政策運営、財務運営に非常に大きな問題が出るということです。
次の十七ページのところに、日銀のバランスシートの変化を大まかに描いた図をお付けいたしました。
御覧いただきますと、かつてに比べて、二〇〇〇年代の量的緩和の時期なんかに比べて、ちょっとこれグラフの比例での大きくしている度合いが少なくて、本当はもっと長くなるはずなんですけど、こんなに大きくなっています。こんなにたくさん当座預金が増えている。これ、もう要するに、多額の国債を買い入れる見返りで供給した過剰流動性なんです。今は余りお金の使い道ないから、銀行みんな日銀に預けています。だけど、これはいつ何どき出ていってもおかしくない。
今アメリカが正常化でやっているように、金利を、市場金利が上がってきたら、徐々に中央銀行もこの当座預金に付ける金利を上げていかなければ、このお金どんどん出ていくことになったら、もしかしたら、海外に出ていけば為替、円安で大変なことになるかもしれません。インフレになっちゃうかもしれない、そういうこともあるというふうに思います。
ですので、やっぱりこれだけ大きくなったということは、日銀がこの当座預金に付利しなきゃいけない、なのに日銀が持っている国債って、異様に付いている金利低いんですよね。加重平均で一%もないんですね。本当にもう〇・五%もないんです。ということは、短期金利を〇・五%に上げるだけで日銀は逆ざや、しかもこれだけバランスシートが大きいですから、一%逆ざやになるだけで毎年四兆円が飛んでいくという恐ろしい状況にあります。
ここでは大きく図で描いていませんけれども、ETFも買っていますね。衆議院の方でも質問が出たようですけれども、結構日銀、最近、高値つかみしていますので、株式市場だってやっぱりずっと一本調子で上がっていくというのはなかなか考えにくい。じゃ、そのときどうか。黒田総裁、TOPIXで一三五〇ぐらいで損益分岐点なんということをおっしゃった。
ですから、こういうことを考えると、非常に恐ろしいリスクの固まり、金融政策が制御不能にならないか非常に心配だと思います。
じゃ、よその国の中央銀行がどうやっているのか。
十八ページのところを御覧ください。
よその国の中央銀行、まずアメリカですけど、どの国でもいずれ正常化させることが大前提です。FEDの場合は、バーナンキ元議長がFEDのボスは議会だということをはっきり言っています。ボスは国民なんです。だから丁寧に説明する、量的緩和をやった、FEDだって金融情勢によったら危なかったんですよ。
ここにお示ししているのは、二〇一三年の時点で、もしかしたら納付金がゼロになっちゃうかもしれない。同じような、さっき御説明したのと同じ理由で財務が悪化するかもしれない、こういうのをきちんと正直に示して、そうならないように早めに手じまう、正常化をできるうちにできるだけ進めるというふうにやってきたので、実際には十九ページのような形で赤字にはならないで済みそうです。
次の二十ページのところを御覧ください。
イングランド銀行です。こちらも量的緩和をリーマン・ショックの後にやりました。だけど、この国、賢いのは、こんな中央銀行が国債をたくさん買う、いずれ正常化する段階で損失が出るのは当然だろうということが最初から分かっている、だからBOEのオンバランスではやらない、別勘定でやる。そして、もっとすごいのは、必ず損失が出るから、それは財務省が補償すると言いました。はっきり財務大臣と中央銀行総裁とのやり取りのレターで明らかにしています。
そして、もっとすごいのは、量的緩和をやって、国債をたくさん買って持っている、最初持っている間は中央銀行もうかるんですね。そのもうかった利益をイングランド銀行は財務省に、国庫に納付します。納付すると、それをイギリスの財務省は景気対策とかに使わないんです。それはあくまで国債発行残高の減額に充てると。要するに、いずれ正常化する段階で損失補填をしなきゃいけなくなったときに、増税ということはなかなか言いにくいですよね。ですから、そうやって温存しておいた国債の発行余力を使って対応しようということをしています。
二十一ページのところ、中央銀行が赤字に転落するのをどう考えるか。
日本の当局者の中には、一部の方にはいろんなことを言っていらっしゃる方がいますね。民間銀行と違うから全然平気だと言っていらっしゃる方もいます。だけど、そういう方は海外の当局にはいません。これ、イングランド銀行とかイギリスの財務省、どう言っているかというと、財務省がAPFに対して、これは量的緩和をやる勘定に対して損が出れば損失補償を必ず行わざるを得ない。
次の二十二ページ、二十三ページ、御覧ください。
キング総裁もはっきり言っています。やっぱりきちんと政府に、いずれ損が出ることによって損失補償をしてもらえないと金融政策はきちんと行えない、現在のカーニー総裁もそういうふうに言っています。
この量的緩和の損失、どれぐらい大きいかと、黒田総裁は、金融状況は、金融情勢によっていろいろ決め切れないので数字は言えないというふうにおっしゃいますけど、イングランド銀行は、二十四ページにあるところのように、きちんと国民がこのシナリオを選んで、きちんと損失を把握できるような、そういうシートも提供しています。民主主義下の中央銀行、本当はこういうふうにあるべきなんじゃないかなというふうに思います。
じゃ、最後まとめます。
安定継続のための課題なんですが、二十六ページ以降です。二%の物価の達成の見通しがなかなか立たないですよね。そうなるのかどうかも分からない。だけども、よその国を見ると、二十九ページにありますように、FEDだって二%になるまで待っているわけでは決してないんです。やっぱり抱えるリスクが大きいんです。
ですから、最後のところ、三十ページですけれども、私が思いますのは、やっぱりこの国の経済財政運営、安定的に継続させていくためには、やっぱり日銀による事実上の財政ファイナンス、非常に大きなリスクをこの国にとってもたらすものです。やはりこれをできるだけ収束の方向に向かってやっていかなきゃいけないんじゃないか。そして、財政再建に、毎年度のフローベース、ストックベースの両面できちんと取り組んでいくことが必要なんじゃないのかなというふうに思います。
財政再建の目標って、二〇二五年プライマリーバランス黒字化でいいんですか。何か、この国全体として、過去に借りた借金はもうそのままでいいと、一回借りたらもういい、そんなことないんじゃないですか。日銀が崩れたら、もう一気に来ますよ、危機が来ますよ。それじゃまずい。やっぱり財政収支を目標にすべきなんじゃないか。そして、先ほどもちょっと申し上げた六十年ルール、償還ルールというのはきちんと見直すべき、特に特例公債見直す方向で考えていくべきなんじゃないかと思います。
最後に、三十一ページ、日本の経常収支のグラフを御覧ください。
経常収支、黒字のうちは大丈夫というふうによく言われますけれども、これ内訳別に御覧になると、貿易収支、かつてこれが稼ぎ頭でしたね。今もう本当に風前のともしびなんです。第一次所得収支が本当に大きいですよね。
これ、何ですか。企業みんな結構何かもう冷静なんですよね。こんな政策運営していてこの国続くかという話を、実際に私が伺うこともあります。海外にどんどん移転しちゃっているんです。今はまだ本社が日本にあるから、収益を日本に持ってくるから第一次所得収支が膨らむ。個人の方で海外の金融資産に投資している方もいらっしゃるでしょうね。そういう結果がこう出ています。これって、いざ危ないとなれば、本当にこれ資金流出が起こる予備軍じゃないかなというふうに思っています。やっぱりそれぐらい危ない上にこの国の経済財政運営やっているということがあるんじゃないかなというふうに思いますので、何としても、子供たちのためにも安定的な経済運営、財政運営ができるような、そういった議論をお願いしたいというふうに思います。
済みません、オーバーしてしまって申し訳ございません。以上でございます。