山花郁夫の発言 (憲法審査会)

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○山花委員 森団長、お疲れさまでございました。
 今の団長の御報告に、私自身の所見も加えまして、若干補足的に発言をさせていただきたいと思います。
 まず、ドイツに関してです。
 ドイツの連邦議会は、不祥事などの問題を解明するために、公開の審議において必要な証拠を取り調べる調査委員会を設置する権利というものを有し、調査終了後に連邦議会に報告書が提出されるという制度がございます。
 日本国憲法に置きかえた場合、これは国政調査権に類する制度と言えるのではないかと思いますが、しかし、国政調査権は、衆議院、参議院、この院の権能とされておりますので、院議をもって、つまり多数決によらなければその発動はできないことになっています。
 現代立憲主義において、議会による行政統制が重要な役割を担うべきところ、議院内閣制のもとでは、そもそも議会の多数派が内閣を構成しているわけですから、その内閣をチェックするために多数決をもって国政調査権を発動するということは実は困難であるということは、ここ数年の国会運営を見ても明らかなことと思われます。
 この点、ドイツでは、総議員の四分の一以上が要求する場合には調査委員会の設置が義務づけられ、少数者調査権と呼ばれる制度が注目されます。
 ただ、私自身は、この制度について若干の疑問を持って渡航いたしました。と申しますのも、もし四分の一という少数で調査委員会を設置をしたとしても、例えば議会による多数派が委員長を握って、理事会も多数決原理によるのだとすると、実効性は期待できないのではないかというような疑問を持っていました。
 先ほど団長からも御紹介がありましたフンボルト大学のクリストフ・メラース教授の御回答は、政府は議員の情報取得権に誠実に応えなければならないのがルールだというものでございました。そして、仮に与党が議長になったというケースであったとしても、不誠実なことはできないのだ、おかしなことをすれば、最終的には憲法裁判所で判断をするのだというようなお話を伺いました。
 法治主義ということが非常に貫徹されているということと、立憲主義の精神が生かされているということを感じてまいりました。
 次に、国民投票制度について発言いたします。
 ウクライナの国民投票は、税金、予算及び恩赦に関する法律案を除き、あらゆる課題について、国民発案、イニシアチブが認められているという特徴。
 リトアニアの国民投票は、拘束的及び諮問的な国民投票の二種類があって、いずれも最低投票率、絶対得票率の要件があること、また、有権者によるイニシアチブも認められております。
 エストニアの国民投票は、予算、租税、国の財政問題、国際条約の批准及び破棄、非常事態の宣言及びその終結、国防を除いて、国会の議決により国民投票が行われるというものでありました。
 ドイツは国民投票の制度がありませんが、全体を通じて共通しておりますのは、憲法改正とは別に、国民投票という制度が非常に重視をされていて、また、しばしば行われているということであります。これは、選挙が終われば全て白紙委任ということではなくて、間接民主制の補完原理がしばしば発動しているというふうに評価をすることができるのではないでしょうか。
 また、形式的には憲法改正といっても、テーマを見ると、日本国憲法に置きかえた場合、そのほとんどが法律事項や予算措置で済むものが見受けられます。
 国民投票制度のないドイツの例ではありますけれども、さきの第六十三回目の改正は、教育インフラの向上のため、また社会的弱者のための住宅建設について、連邦から地方自治体への財政支援を可能にするという内容であります。
 ほかの国でも、EU加盟についてはさすがに日本国憲法に置きかえても憲法改正に相当するような内容と言えましょうけれども、先ほど団長からも報告がありました、国会議員の定数であるとか地方議員の任期などが憲法に規定されておりまして、これを改めるためには憲法改正の手続が必要とされるわけでありますが、日本では、国会法や地方自治法など、法律改正によって対処しているものがほとんどでありました。
 間接民主制の補完原理としての国民投票という観点から申し上げますと、我が国の国民投票法の附則第五項に「必要な措置を講ずるもの」と定められ、平成二十六年改正時の衆議院憲法審査会における附帯決議において結論を得るように努めることとされ、当審査会ではまだ履行されていない宿題であります一般的国民投票に類することが、ドイツを除く訪問国でしばしば行われているということがよく理解できたと感じております。
 なお、ドイツにおいて、緊急事態条項のお話がございましたが、先ほどございましたメラース教授からは、緊急事態においては、絶対に民主主義を壊さない規定の仕方が必要である旨の指摘があったということ、また、ウクライナにおいては、国立戦略研究所のリトヴィネンコ所長から、緊急事態においては、人権制限について最小限度であるべき旨の発言があったことも補足をしたいと思います。
 比較法的に見ますと、大陸法系の国では憲法裁判所を設置したりとか緊急事態条項を持つ国が多いのに対して、英米法の国では司法型の憲法裁判を行い、緊急事態を持たないというのが一般的な分類です。日本は後者に属すると思いますが、今回の海外調査は大陸法系の国が中心であり、今後、この課題については、英米法系の国での海外調査を行うことが望まれると考えます。
 以上です。

発言情報

speech_id: 120004183X00220191107_004

発言者: 山花郁夫

speaker_id: 324

日付: 2019-11-07

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会