安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 林幹雄議員にお答えをいたします。
日本海大和堆での北朝鮮籍と思われる船舶と水産庁取締り船の衝突事案についてお尋ねがありました。
本日午前九時七分ごろ、日本海の大和堆の我が国排他的経済水域内において、水産庁取締り船と北朝鮮籍と思われる船舶が衝突をし、水産庁取締り船が乗組員の救助に当たっているとの報告を受けています。
政府としては、事案発生後、関係省庁で情報共有等を図るとともに、全力で救助等の対応に当たっているところであり、事案の詳細については、今後しっかりと調査してまいります。
なお、政府としては、引き続き、我が国排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止のため、毅然と対応してまいります。
台風十五号からの復旧復興や災害対応の課題についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、今般の台風第十五号による被災地の被害は深刻であり、政府においては、同台風による被害を激甚災害に指定することとしました。
また、暴風雨により極めて多くの家屋に被害が生じ、被災者の方々の日常生活に著しい障害が生じたことから、災害救助法の制度を拡充して、一部損壊の住宅のうち、屋根等に日常生活に支障を来す程度の被害が生じた住宅については、支援の対象とすることとします。
農林水産業については、一日も早い経営再開に向けて、災害復旧事業の早期実施、農業用ハウス再建への支援、停電対策を主とした総合的な農林漁業者への支援策を決定し、周知を図っています。
観光業については、宿泊事業者のための特別相談窓口を設置し、被害状況の実態把握と早期復旧、営業再開に向けた個別相談を行っているほか、各施設の営業状況に関する正確な情報発信に取り組んでおり、引き続き、必要な対応を行ってまいります。
災害廃棄物の処理については、引き続き、千葉県や関係団体と連携し、応援職員やごみの収集車両の派遣、広域処理先の確保、財政支援といったあらゆる側面から被災自治体を支えてまいります。
一方、今回の台風においては、長期間にわたる停電及びその復旧プロセスなどのさまざまな課題が認められました。それらの課題を検証、検討するため、先般、官房副長官をトップとする検証チームを立ち上げました。
今後、このチームのもとに設置した実務者検討会において、メンバーである防災分野等の有識者五名の御意見も伺いながら、長期停電の原因及びその復旧プロセス、通信障害に関する関係者間の情報共有、復旧プロセス、国、地方自治体の初動対応、災害対応にふなれな自治体への支援等について、徹底的かつ客観的に検証してまいります。
発生した災害から得られた教訓を踏まえ、防災・減災対策を不断に見直していくことが重要です。
防災ヘリコプターやドローンについては、今後とも、迅速な災害状況の把握等のため、積極的に活用してまいります。
また、被災自治体への人的支援を速やかに実施するため、今回、災害自治体に直接支援要請を働きかけるなどしましたが、引き続き、プッシュ型の人道支援の充実に努めてまいります。
航空政策については、空港での滞留者を少なくするための航空機の発着の弾力化や非常時の外国人への情報提供のあり方の見直しなど、全国の空港で災害対策を強化してまいります。
国土強靱化の取組を実効性あるものとするためには、地域の強靱化の推進が極めて重要です。
地方公共団体による国土強靱化地域計画の策定を促進し、地域計画に沿った事業や取組により、地域の強靱化を図り、災害に屈しない、強さとしなやかさを備えた国土をつくり上げてまいります。
経営者の個人保証についてお尋ねがありました。
一度失敗すると全てを失ってしまう個人保証の慣行は、断ち切らなければなりません。
このため、安倍内閣では、五年前から経営者保証に関するガイドラインの運用を開始し、政権として、個人保証に依存しない融資の推進に積極的に取り組んでまいりました。その結果、昨年度までに、民間金融機関では新規融資の二割、日本政策金融公庫と商工中金では十兆円を上回る融資が個人保証なしで実施されています。
とりわけ、事業承継の際には、個人保証を求められることが後継者確保の大きな障害になっているとの切実な声があります。
このため、先般、個人保証脱却・政策パッケージを取りまとめたところであり、先代経営者と後継者からの保証の二重取りの原則禁止、事業承継時に個人保証を不要とする新たな信用保証制度の創設などの施策に、個人保証の慣行は今の世代で必ずや断ち切るとの強い決意を持って取り組んでまいります。
デジタル市場に関する取組についてお尋ねがありました。
デジタル経済の進展は、中小・小規模事業者等を中心に、海外も含めた広大なマーケットへのアクセスを飛躍的に高めるなど、成長のチャンスです。
他方、御指摘のように、巨大IT企業との関係では、個別交渉が困難、規約が一方的に変更される、利用料が高いといった声も聞かれます。
こうした課題を踏まえ、政府として、今般、デジタル市場競争本部を設置したところであり、デジタル市場の新たなルール整備について、具体的な検討を既に開始しています。
中小・小規模事業者等との取引透明化や個人情報保護のあり方などについて、年内に結論を得て、速やかに実行に移すことで、デジタル市場の活性化を我が国経済の成長につなげてまいります。
消費税率引上げの影響とその対策についてお尋ねがありました。
今回の消費税率引上げに当たっては、教育の無償化や軽減税率に加え、思い切ったポイント還元、プレミアムつき商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対策を実施してきたところであります。
今後とも、引上げによる影響に十分目配りをするとともに、これらの制度が円滑に実施されるよう、その周知や利用促進に政府一丸となって対応することで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えし、経済の好循環を確保してまいります。
エネルギーの安定供給についてお尋ねがありました。
資源に乏しい我が国にとって、エネルギーの安定的かつ低廉な供給を確保するためには、徹底した省エネに加え、エネルギー源の多様化や調達先の多角化を進めていくことが必要です。
こうした観点から、引き続き、資源利用の高効率化、再エネの最大限の導入などを通じ、エネルギーミックスの確実な実現を図り、化石燃料への依存度引下げに取り組むとともに、化石燃料についても、原油だけでなく天然ガスなどへのシフト、幅広い地域における権益確保など、調達の多角化に取り組んでまいります。
他方、現状において、我が国の原油の八割以上を中東地域に依存しており、この地域の平和と安定は、我が国にとって死活的に重要です。こうした中で、先般のサウジアラビアの石油施設への攻撃などにより、中東情勢が深刻の度を増していることを強く懸念しています。
本年六月のイラン訪問に続き、先月の国連総会でもローハニ大統領と首脳会談を行いました。その際、イランは核兵器を含む全ての大量破壊兵器に反対するとの明確な発言がローハニ大統領からあり、この地域の平和と安定に向けた意思を改めて確認いたしました。
また、ニューヨークでは、トランプ大統領との首脳会談でも、中東情勢、その緊張緩和に向けた方策について、率直な話合いを行いました。
厳しい情勢であればこそ、米国と同盟関係にあり、同時にイランと長年良好な関係を維持してきた日本ならではのかじ取りが求められています。これからも、この地域の緊張緩和、平和と安定の実現に向けて、我が国は粘り強い外交を継続してまいります。
日米貿易協定についてお尋ねがありました。
今般、米国との貿易協定が最終合意に至りました。
我が国の幅広い工業品については、米国の関税削減、撤廃が実現します。日本の自動車・自動車部品に対しては、二三二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しました。
農林水産物については、過去の経済連携協定で約束したものが最大限であるとした昨年九月の共同声明に沿った結論が得られました。
とりわけ、我が国にとって大切な米について、関税削減の対象から完全に除外いたしました。
さらには、米国への牛肉輸出に係る低関税枠が大きく拡大するなど新しいチャンスも生まれ、国益にかなう結果が得られたと考えています。
それでもなお残る農家の皆さんの不安に対しても、万全の対策を講じてまいります。
年末に向けて、与党のお力もかりながら、総合的なTPP等関連政策大綱を改正する考えです。
新たな市場の開拓や生産基盤の強化などに取り組むことで、今回の協定を、全国津々浦々、我が国経済のさらなる成長につなげてまいりたいと考えています。
多国間外交の成果についてお尋ねがありました。
G20大阪サミットでは、貿易について、自由、公正、無差別、透明性、公正な競争条件などの大原則を確認したこと、信頼性のあるデータの自由な流通を確保するための国際的なルールづくりをWTOのもとで推進するため、大阪トラックの開始を、トランプ大統領、習近平主席を始めG20の数多くの首脳の出席を得て宣言したこと、インフラ投資に関して、開放性、透明性、経済性、債務の持続可能性といった原則を、質の高いインフラ投資に関するG20原則として全てのメンバーの承認を得たこと、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を二〇五〇年までにゼロにすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンに一致したことなど、世界の諸課題に団結して取り組んでいくとの力強いメッセージを世界に発信することができました。
TICAD7では、過去最高の四十二名のアフリカの首脳級の参加を得て、経済、社会、平和と安定という三つの柱に基づき、アフリカ開発のあり方について、民間ビジネスの活力を最大限に活用する観点から活発な議論を行い、横浜宣言二〇一九を発表しました。
TICAD7を通じ、日本政府として、経済の柱では、今後三年間で民間投資を二百億ドル規模以上へ拡大し、ABEイニシアチブ三・〇を通じて産業人材を六年間で三千人育成すること、社会の柱では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを三百万人へ拡大し、質の高い教育を三百万人の子供たちへ提供すること、平和と安定の柱では、司法、警察、治安維持等の分野を担う六万人の人材を育成することといった取組により、日本がダイナミックに発展するアフリカのパートナーとなっていくことを表明しました。
今後も、日本として、多国間外交の分野でリーダーシップを発揮し、国際社会が協調してさまざまな課題に取り組んでいくよう尽力してまいります。
ハンセン病の患者、元患者の御家族への補償等についてお尋ねがありました。
かつてとられた施設入所施策のもと、ハンセン病の患者、元患者の御家族の皆様に、極めて厳しい偏見、差別が存在したことは、厳然たる事実です。
そのことを率直に認め、訴訟への参加、不参加を問わず、新たな補償の措置を早急に実施します。
また、患者、元患者とその御家族の皆様に寄り添いながら、差別、偏見の根絶に向けて、政府一丸となって全力を尽くしてまいります。
過疎対策についてお尋ねがありました。
過疎地域は、国土の保全や食料、水の供給など国民全体の生活にかかわる重要な公益的機能を有している一方で、著しい人口減少と高齢化の進展、存続困難な集落の発生など、さまざまな課題に直面していると認識しています。
安倍内閣においては、地方創生の旗を高く掲げ、地方創生推進交付金などを活用し、魅力あふれる地方大学づくりや地域おこし協力隊の拡充、地方へ移住し、起業、就業をスタートする際に最大三百万円を支給する制度によって、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの背中を後押ししているところです。
引き続き、過疎地域を始め地域の課題に総力を挙げて取り組み、地方への人の流れを大きくしてまいります。
御指摘の過疎対策法は、これまで議員立法として制定されてきた経緯があります。現行の過疎対策法が令和三年三月に失効することを踏まえ、現在、政府としては、総務省の有識者会議において新たな過疎対策について議論をしているところであり、今後の各党各会派の議論にも資することとなるよう、しっかりと検討を進めてまいります。
豚コレラについてお尋ねがありました。
豚コレラは、中部地方を中心に感染が拡大し、先月には新たに埼玉県、長野県の養豚場でも感染が確認されるなど、各地で発生が続いています。
こうした事態の一刻も早い終結に向けて、あらゆる対策を総動員します。衛生管理の徹底や野生イノシシ対策の強化を図るとともに、ワクチン接種に向けた準備を早急に進めます。
また、発生農家の皆様に対しては、殺処分した豚への補償、技術指導、経営再開する場合の支援金の交付など、万全の支援策を講じてまいります。
水産政策の改革についてお尋ねがありました。
水産政策の改革については、昨年成立した改正漁業法を円滑に実施するため、現在、新たな資源管理制度の導入等に向け準備を進めているところです。
この制度は、漁獲量による資源管理を導入し、漁船の大型化や省エネ化により漁業の生産性を高めます。同時に、三千億円の予算措置で、新しい漁船や漁具の導入など、浜の皆さんの生産性向上への取組もしっかりと支援しているところです。
こうした改革を、漁業者の皆様の声を真摯に伺いながら着実に進めることにより、水産資源の減少に歯どめをかけ、漁業者の所得向上と、若者に魅力ある水産業を実現していく決意です。
観光政策についてお尋ねがありました。
観光は、我が国の成長戦略の柱であり、地方創生の切り札です。安倍内閣では、できることは全て行うとの方針のもと、観光立国の実現に向けて精力的に取り組んでまいりました。
その結果、昨年、日本を訪れる外国人観光客が三千万人の大台に乗り、その消費額は四兆五千億円となりました。
今後は、オリンピック、パラリンピックに向けて、より多くの誘客を官民一体となって進めるとともに、町ぐるみでの観光客受入れの環境整備を進めてまいります。
その中で、御指摘のオーバーツーリズムといった課題に対しても、混雑情報の事前発信など、地域と連携しながら取組を強化してまいります。
他方、我が国の旅行消費額全体の約八割を占める国内観光の振興を図ることも引き続き重要です。外国人のみならず、日本人にとっても魅力ある観光地域づくりを進めることにより、地方へのさらなる誘客を進めてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇〕