安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 泉議員にお答えいたします。
台風十五号への災害対応についてお尋ねがありました。
政府においては、台風の接近前から防災担当大臣が出席をして、関係省庁災害警戒会議を開催したほか、停電の解消に時間を要している状況等を踏まえ、関係省庁災害対策会議を合計十四回開催し、閣僚懇談会でも議論するなど、関係省庁が緊密に連携して切れ目のない対応に当たってきたところです。
そうした中で、内閣府や経済産業省等の連絡員や専門的な知識を有する者を順次千葉県庁や各市町村に派遣したほか、食料品等のプッシュ型支援、自衛隊員延べ五万四千人を動員しての倒木除去作業やブルーシートの展張作業、被災地への自治体職員の広域応援派遣を行うなど、被災地のニーズを踏まえたさまざまな支援策を講じてまいりました。
このように、今回の台風への初動対応については、迅速、適切に行われてきたものと認識しておりますが、今回の台風においては、長期間にわたる停電及びその復旧プロセスなどのさまざまな課題が認められました。それらの課題を検証、検討するため、先般、官房副長官をトップとする検証チームを立ち上げました。
今後、このチームのもとに設置した実務者検討会において、メンバーである防災分野等の有識者五名の御意見も伺いながら、徹底的かつ客観的に検証してまいります。
被害想定地域の代替電源・通信の事前確保についてお尋ねがありました。
現在、政府による検証を行っているところでありますが、その中では、当然、今回の被害発生後の代替電源・通信の確保状況についても検証を行う考えです。
その上で、この検証結果を踏まえ、御指摘のマニュアルを策定することも含め、必要な対応をしっかりと検討してまいります。
豚コレラ及びアフリカ豚コレラに対する対策についてお尋ねがありました。
豚コレラに対する予防的なワクチン接種については、御提案のような、希望する養豚業者を対象とした接種を行った場合、感染豚の発見を困難にし、近隣の非接種農家への発生拡大の防止に支障を来すこととなります。
このため、政府においては、感染リスクの高い地域をワクチン接種推奨地域に設定し、当該地域内の全ての豚にワクチンを予防接種することを検討しているところです。
また、アフリカ豚コレラについては、我が国への侵入を防止すべく、関係省庁一体となって水際対策を講じているところです。
その一環として、家畜防疫検査官の大幅増員や検疫探知犬を三年間で倍増するなど、継続的に検査体制の強化を図っているところです。
また、違法な持込みに対しては、違反者のデータベース管理や、家畜伝染病予防法又は関税法に基づき告発や検挙を行うなど、持込禁止肉製品を所持する者が入国しないよう、対応を厳格化しているところであります。
こうした体制整備や制度の厳格的運用により、水際での抑止力が確保できているものと考えていますが、今後も、アフリカ豚コレラに対しては、最高レベルの警戒体制をしき、万全の体制を、対応をとってまいります。
食料自給率についてお尋ねがございました。
食料の安全供給を将来にわたって確保していくことは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つです。
このため、安倍内閣では、農地バンクによる農地集積や輸出促進など、生産面において前向きな政策を強化してまいりました。これにより、生産農業所得は三年連続で増加して九千億円も拡大し、農林水産品の輸出は六年連続で過去最高を更新し、九千億円を超えました。
また、消費面でも、民間企業との連携による米の消費拡大など、国産食材の消費拡大に取り組んでいます。
引き続き、こうした生産面、消費面での取組を更に力強く進めることにより、食料自給率と食料自給力をともに向上させ、農業の持つ食料の安全供給の機能をしっかり発揮できるようにしてまいります。
ポイント還元制度についてお尋ねがありました。
ポイント還元の対象店舗については、消費者の皆さんが一目でわかるよう、還元率や対象となる決済手段を明記したポスターを店頭に張っていただくなどの取組を進めています。
私としては、本年二月、戸越銀座商店街に伺い、キャッシュレス決済を体験した際に、こうした取組についても説明を受けたところです。
他方、実際の運用開始から一週間がたち、利用した方々などからの声がたくさん寄せられており、経済産業省においては、現在、一覧性の高い地図アプリについて、誤表示の修正作業に加え、消費者の使いやすさや機能の向上にも取り組んでいると承知しています。
今後も、引き続き、さまざまな御指摘や御意見にしっかりと耳を傾けながら、経済産業省において、消費者の皆さんにとって更にわかりやすい広報、運用面での改善に取り組ませたいと考えております。
ポイント還元への参加店舗についてお尋ねがありました。
九月六日までに申請のあった中小店舗のうち、十月一日から開始できなかった、これは約九万店でありますが、九万店については、当時、一日一万店ものペースで申請が増加する中、決済事業者による審査対応が十分に追いつかず、その結果、登録に遅延が生じたものであります。
今後、責任を持って、決済事業者による審査体制の強化を進め、できるだけ早く事業に参加いただけるよう、取り組んでまいります。
金融政策と補正予算についてお尋ねがありました。
政権交代後、デフレ脱却に向けて、アベノミクスの三本の矢で取り組み、名目GDPは一割以上成長し、もはやデフレではないという状況をつくり出しました。
現時点では、企業や家計のデフレマインドが根強く残るもとで、二%の物価安定目標の達成に時間がかかっているものの、黒田総裁は、できるだけ早期に実現することを目指すと説明しており、私は黒田総裁の手腕を信頼しています。
金融政策の具体的な手法は日本銀行に委ねられるべきと考えておりますが、政府としては、日本銀行が二%の物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待しています。
なお、世界経済の先行きにもしっかりと注視をし、下振れリスクが顕在化する場合には、機動的かつ万全の対策を講じることとしていますが、補正予算の編成について、現段階において具体的に想定しているものではありません。
経済政策についてお尋ねがありました。
これまでのアベノミクスの取組の結果、名目GDPが一割以上成長し過去最高となる中で、昨年度の税収も過去最高となりました。国民生活に直接かかわる雇用・所得環境も大きく改善し、成長と分配の好循環が着実に進んでいます。
具体的には、二〇一八年までの六年間で就業者数は三百八十万人増加し、正規雇用者数も百三十万人増加をしました。賃上げは、連合の調査によれば、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが六年連続で実現し、最低賃金も、安倍政権が誕生する前の十年間では八十六円の引上げにとどまっていましたが、この七年間で百五十二円引き上げるなど、雇用・所得環境が大きく改善し、名目の家計可処分所得も五年連続で増加しています。
この中で、個人消費は、二〇一六年後半以降、持ち直しを続けています。
さらに、今回の消費税率引上げに当たっては、教育の無償化による家計負担の軽減や、低年金者への最大年六万円の給付、軽減税率に加え、思い切ったポイント還元、プレミアムつき商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十分な対策を講じているところです。
こうした施策を円滑に実行することで、経済の大宗を占める家計消費をしっかりと下支えし、経済の好循環を確保してまいります。
今後の消費税率等についてお尋ねがありました。
人口減少、少子高齢化が進む中で、全世代型社会保障制度の構築に向けてしっかりと議論してまいります。将来の給付と負担のあり方については、国民の安心を支える社会保障制度を次世代に引き渡す観点から、そのバランスを見据え、判断していくべき課題だと考えています。
その上で申し上げれば、私の任期以降について責任を持つことはできませんが、昨年度の税収がバブル期を超え過去最高水準となる中で、安定的な経済再生と財政健全化に一体的に取り組むことにより、例えば、今後十年程度は消費税率を引き上げる必要はないのではないかというのが私の考えであります。
企業に対する税制については、国際競争力への影響を踏まえ、慎重に検討する必要があります。安倍政権では、課税ベースを拡大しつつ法人税率を引き下げるなど、成長志向の法人税改革に取り組んできました。
また、これまで、所得再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや、金融所得課税の見直しにより税率を一〇%から二〇%に倍増するなどの施策を既に講じてきたところです。
今後の税制のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ、検討する必要があると考えています。
年金の財政検証についてお尋ねがありました。
財政検証における経済の前提に関しては、経済、金融の専門家で構成される専門委員会における検討を経て設定した前提を用いており、客観的で公正なものです。
その上で、財政検証が今後百年を見通すものであることを勘案すると、過去三十年間の実績を単純に将来投影するような論法は、平成の時代のデフレ状態がこの先百年にわたって継続するという議論であり、率直に申し上げて、余りにも悲観が過ぎるのではないかと思います。(発言する者あり)