安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 斉藤鉄夫議員にお答えをいたします。
 消費税率引上げと景気の下振れリスクを乗り越える取組についてお尋ねがありました。
 今回の消費税率引上げに当たっては、教育の無償化や軽減税率に加え、思い切ったポイント還元、プレミアムつき商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対策を講じています。
 今後とも、引上げによる影響に十分目配りをするとともに、これらの制度が円滑に実施されるよう、その周知や利用促進に政府一丸となって対応することで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えし、経済の好循環を確保してまいります。
 また、米中間の貿易摩擦、英国のEUからの離脱など、不透明さを増す世界経済の先行きをしっかりと注視し、下振れリスクが顕在化する場合には、ちゅうちょすることなく機動的かつ万全の対策を講じ、経済の成長軌道を確かなものとします。
 中小企業の賃上げや事業承継などの支援についてのお尋ねがありました。
 経済の好循環を実現し、多様で柔軟な働き方を実現するためには、中小企業の賃上げや働き方改革に向けた環境整備を行うことが重要であります。
 そのため、生産性向上に向けた設備投資やITツールの導入支援、六百名体制へと強化した下請や転嫁のGメンによる取引慣行の監視、取締り、納期負担の是正などを盛り込んだ新たな振興基準の遵守を大企業に徹底するなど、政府一丸となって取り組んでまいります。
 また、雇用保険料率については、骨太の方針も踏まえ、時限的な引下げの継続等について検討してまいります。
 後継者不足の問題に対しては、全国四十七都道府県に設置した事業引継ぎ支援センターによるマッチング支援を行うなど、第三者承継も含めて、引き続き、きめ細かな支援を行ってまいります。
 事業承継については、とりわけ、個人保証を求められることが後継者確保の大きな障害になっているとの切実な声があります。
 このため、先般、個人保証脱却・政策パッケージを取りまとめたところであり、先代経営者と後継者からの保証の二重取りの原則禁止、事業承継時に個人保証を不要とする新たな信用保証制度の創設などの施策に、個人保証の慣行は今の世代で必ずや断ち切るとの強い決意を持って取り組んでまいります。
 農林水産業の活性化と豚コレラ対策の強化についてお尋ねがありました。
 水産業については、昨年成立した改正漁業法に基づき、収益性をしっかりと向上させながら、水産資源の持続的な利用を確保することで、漁業者の所得向上の実現を目指します。
 加えて、三千億円の予算措置で、新しい漁船や漁具の導入、水産加工業の生産性向上など、浜の皆さんの取組をしっかりと支援していきます。
 また、漁業収入安定対策については、新たな資源管理制度の導入に合わせ、その機能強化を検討してまいります。
 こうした水産政策改革を始め、新しい農林水産業を切り開くための政策を更に力強く展開し、農林水産業の活性化と農林漁業者の所得向上を実現してまいります。
 豚コレラについては、その一刻も早い終結に向け、あらゆる対策を総動員します。衛生管理の徹底や、防護柵の設置支援など野生イノシシ対策の強化を図るとともに、ワクチン接種に向けた準備を早急に進めてまいります。
 また、発生農家の皆様に対しては、殺処分した豚への補償、技術指導、経営再開する場合の支援金の交付などの支援策を講じるとともに、消費者への情報発信など、風評被害対策にもしっかりと取り組んでまいります。
 全世代型社会保障改革についてお尋ねがありました。
 全世代型社会保障への改革は、安倍内閣の最重要課題です。
 少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、子供からお年寄りまで全ての世代が安心できる社会保障制度へ改革を進めていく必要があります。
 その大きな第一歩として、消費税の使い道を見直し、十月一日から、三歳から五歳まで全ての子供たちの幼児教育、保育を無償化しました。来年四月からは、真に必要な子供たちの高等教育を無償化します。
 今後、国民の声にしっかりと向き合いながら、年金、医療、介護、労働など社会保障全般にわたって、人生百年時代を見据えた改革を果断に進め、令和の時代にふさわしい、誰もが安心できる社会保障制度を大胆に構想してまいります。
 年金制度の改善についてお尋ねがありました。
 先般公表した財政検証の結果によれば、マクロ経済スライドによる調整が終了した後の所得代替率は、前回よりも悪化するのではないかとの一部の臆測に反し、代表的なケースでは、前回検証時の五〇・六%に対して、五〇・八%と改善したところです。
 国民年金のみに加入されている方についても、まずは、経済を強くすることで年金の財政基盤を確かなものとし、さらに、年金の適用拡大など老後の安心を支える不断の制度改革を推し進めることで、生活の安定を図ってまいります。
 認知症施策についてお尋ねがありました。
 認知症施策については、本年六月、共生と予防の取組を車の両輪として施策を推進する認知症施策推進大綱を取りまとめたところです。
 地域共生社会を構築するためには、認知症サポーターの養成や地域における活躍の場を広げることが重要であると考えています。このため、大綱では、認知症サポーターの量的な拡大を図ることに加え、認知症の方の支援ニーズと認知症サポーターをつなげていく仕組みであるチームオレンジを地域ごとに構築することとしています。
 今後とも、御党の御提案も踏まえながら、認知症の方を支えるための地域コミュニティーづくりなど、必要な施策を政府一丸となって推進してまいります。
 がん対策についてお尋ねがありました。
 がん患者が安心して治療を受けながら、自分らしく生き生きと働ける環境を整備することは重要です。
 このため、第三期がん対策推進基本計画に基づき、両立支援コーディネーターの育成を順次進めており、当初の計画を上回るペースで養成が進んでいます。また、がん相談支援センターについても、議員御指摘のアピアランスケアなどの課題にも対応できるよう、機能強化を図っているところです。さらに、傷病手当制度についても、支給要件の改善などの見直しの検討を進めているところです。
 今後とも、治療と仕事の両立支援等、がん対策の充実に取り組んでまいります。
 台風十五号の被災者への支援制度等についてお尋ねがありました。
 政府としては、被災自治体が財政上安心して復旧復興に取り組むことができるよう、普通交付税の繰上げ交付を決定したほか、台風十五号による災害を激甚災害に指定することとしました。
 また、御指摘のとおり、今般の台風十五号による災害においては、極めて多くの家屋に被害が生じ、被災者の方々の日常生活に著しい支障が生じたことから、災害救助法の制度を拡充し、恒久的制度とし、一部損壊の住宅のうち、屋根等に日常生活に支障を来す程度の被害が生じた住宅については、支援の対象とすることとしました。
 今後は、地方自治体や建設業団体とも連携して、制度の周知や業者情報の提供等に努め、一日も早い被災者の生活再建に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。
 台風第十五号の教訓等を踏まえた再発防止策についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、今回の台風においては、長期間にわたる停電及びその復旧プロセスなどのさまざまな課題が認められました。それらの課題を検証、検討するため、先般、官房副長官をトップとする検証チームを立ち上げました。
 今後、このチームのもとに設置した実務者検討会において、メンバーである防災分野等の有識者五名の御意見も伺いながら、長期停電の原因、その復旧プロセス及び鉄塔等送電網のハード対策、通信障害に関する関係者間の情報共有プロセス、国、地方自治体の初動対応、災害対応にふなれな自治体への支援等について、徹底的かつ客観的に検証してまいります。
 また、鉄道の計画運休については、運転再開についての情報提供のあり方や企業の対応等について、現在、国土交通省において、鉄道事業者の参加を得て、検証を行っております。
 今回の災害から得られた教訓を踏まえ、防災・減災対策を不断に見直し、国民の生命、暮らしを守るための対策に万全を期してまいります。
 復興・創生期間後の方針についてお尋ねがありました。
 本年三月の閣議決定において、復興庁の後継組織を置くこととし、復興・創生期間後も対応が必要な事業や復興を支える仕組みについて検討することとしています。
 政治の責任とリーダーシップのもとで復興をなし遂げるため、被災地の実績も踏まえ、年内にその基本方針を定めることとし、先日の復興推進会議において、各大臣に対して対応を指示したところです。
 これまでの安倍政権の外交の成果及び今後の方針についてお尋ねがありました。
 日本の外交、安全保障の基軸である日米同盟は、平和安全法制により、お互いに守り合うことができる同盟となり、そのきずなは格段と強くなりました。私とトランプ大統領との強固な信頼関係のもと、日米同盟はかつてないほど盤石です。今後とも、日米同盟を一層強化し、アジア太平洋の平和と繁栄をリードしていく決意です。
 我が国が提唱した自由で開かれたインド太平洋というビジョンに対する理解と支持は、米国、ASEAN、インド、豪州、太平洋島嶼国のみならず、ヨーロッパ、アフリカ諸国まで広がっており、議員御指摘のとおり、アジアや世界における日本の存在感は高まったと考えています。
 保護主義の広がり等、国際社会がさまざまな課題に直面する中、G20大阪サミットやTICAD7では、主催国として、世界の課題解決に向けたリーダーシップを示すことができました。引き続き、地球儀を俯瞰する外交を活発に展開し、世界の平和と繁栄に貢献してまいります。
 SDGsについてお尋ねがありました。
 SDGsが目指す、誰一人取り残さない社会の実現は、重要な課題です。
 SDGサミットでは、私より、G20大阪サミットやTICAD7での具体的な成果を紹介するとともに、日本として、民間企業、NGO、地方公共団体などの取組を後押ししてきたことを強調しました。
 環境と成長の好循環をつくっていくことが重要との認識のもと、十二月までにSDGs実施指針を改定し、進化した日本のSDGsモデルを示していきます。
 SDGs先進国を目指す我が国として、来年の東京オリンピック・パラリンピック開催も踏まえ、議員御指摘の点も参考にしつつ、引き続き、SDGsの実現に主導的役割を果たしていくとの日本の姿を国際社会に示してまいります。
 日米協定及び自由貿易などの拡大に向けた取組についてお尋ねがありました。
 世界的に保護主義への懸念が高まっている今こそ、日本が自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく経済圏を世界へと広げていくことが重要です。
 既に発効しているTPP11、欧州とのEPAに加え、今回の日米貿易協定によって、世界経済の六割を占める自由貿易圏が日本を中心として誕生することとなります。
 さらに、ASEANに中国、インド、豪州などを加えたRCEP交渉や、TPP参加国の拡大など、今後とも我が国は自由貿易の推進に主導的な役割を果たしてまいります。
 日韓関係についてお尋ねがありました。
 韓国は重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め、日韓、日米韓の連携が重要です。
 日韓関係の根本をなす日韓請求権協定の違反状態を放置するなど、信頼関係を損なう行為を続ける韓国に対し、まずは、国際法に基づき、国と国との約束を遵守することにより、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくることを求めます。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 弾道ミサイル発射が安保理決議違反であることは明白であり、こうした立場について、例えば、先般のG7の際に行った日米首脳会談で、冒頭、私から、北朝鮮の短距離弾道ミサイルの発射は安保理決議違反であり極めて遺憾である旨述べ、トランプ大統領から、完全に理解する旨の発言があるなど、累次の機会に確認してきたところです。
 引き続き米国と緊密に連携し、安保理決議の完全な履行に努めてまいります。
 拉致問題について、昨年六月及び本年二月の米朝首脳会談において、トランプ大統領が私の考えを直接金正恩国務委員長に伝えてくれたことは大きな成果でした。
 五月にトランプ大統領が国賓で訪日した際には、拉致被害者の御家族と再び時間をとって会ってもらい、御家族の皆様の話にじっくりと耳を傾けていただきました。その際、拉致被害者の御家族から手紙をお渡しし、それに対し、後日、トランプ大統領から、御家族を勇気づける直筆の返事が送られてきました。これを御家族は大変温かい気持ちで受けとめておられます。
 九月の国連総会の際の日米首脳会談では、私から、このことに言及しつつ、大統領の拉致問題への一貫した支持に謝意を表し、今後とも日米間で緊密に連携していくことを確認しました。
 また、G20の際に行われた日中首脳会談においては、習近平主席から、六月の中朝首脳会談において、日朝関係に関する私の考えを金正恩委員長に伝えたとの発言があり、その上で、習主席から、拉致問題を含め、日朝関係改善への強い支持を得ました。
 韓国も、昨年四月の南北首脳会談を始めとする累次の機会において、北朝鮮に対して拉致問題を提起しています。
 拉致問題の解決に向けて、我が国自身が主体的に取り組むことが重要です。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向けて、引き続き米国等と緊密に連携しながら、冷静な分析の上に、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。
 今後とも、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指してまいります。
 高齢ドライバーの運転支援や安全対策等についてお尋ねがありました。
 政府においては、昨今の相次ぐ痛ましい交通事故を受けて、本年六月の関係閣僚会議において決定した交通安全緊急対策に基づき、現在、高齢運転者の交通安全対策を強力に推進しているところです。
 具体的には、安全運転サポート車の普及や、既販車への安全運転支援装置の設置を更に促進させるため、支援装置の性能認定制度を創設するほか、安全運転支援機能を有する自動車を前提とした運転免許制度等の検討を加速させてまいります。
 また、歩道の設置、拡充、防護柵の設置等、子供や高齢者などの歩行者の安心、安全な歩行空間の整備を行うほか、交差点改良を始めとした幹線道路対策などを着実に実施してまいります。
 高齢化の進展への適切な対処が強く要請される中、時代のニーズに応える交通安全対策に政府一丸となって迅速に取り組んでまいります。
 あおり運転についてお尋ねがありました。
 いわゆるあおり運転は、意図的に危険を生じさせる極めて悪質な行為であり、その抑止を図るため、引き続き、あらゆる刑罰法令を適用して、厳正な取締り等に努めてまいります。
 その上で、御指摘の罰則の強化等についても、引き続き検討を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣赤羽一嘉君登壇〕

発言情報

speech_id: 120005254X00320191008_010

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2019-10-08

院: 衆議院

会議名: 本会議