黒田東彦の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(黒田東彦君) このカーニー総裁の構想というものは、複数の法定通貨を裏付けとしたデジタル通貨を中央銀行が協力して発行するという構想のようであります。
 御案内のように、IMFにSDRという国際通貨がありまして、これはもう五十年ぐらい続いているわけですけれども、現在は、SDRの構成バスケットというのはドル、ユーロ、円、ポンド、そして人民元という五つの通貨の一定の割合でSDRというものをつくって、それを国際決済、各国間の国際決済に使えるようにしているわけでありますが、このSDRについて市場でも使えるようにしたらどうかという意見が昔からあったんですが、これは結実しておりません。
 カーニー総裁の発想は、このSDRを実際に民間の人たちがデジタル化した形で使えるようにするという構想とよく似ていると思うんですけれども、そういう意味で全く何か変わったことを言われたというのではなくて、従来からあるドルだけに依存した国際通貨体制を、もう少しバランスよく幾つかの主要な通貨のバスケットのようなものを、SDRのようなものを国際的な取引に幅広く使うことによって、ドルに対する過度な依存が、一方で米国に恩恵も与えているんですけれども負担も与えていると、それが、国際通貨体制が米国の財政金融政策によって大きく影響を受けるということを是正しようという動きが従来からあるわけですが、カーニー総裁の話は、そういったことの流れの中で、リブラが出てきたということもあって、公的なところでそういうことをしてはどうかという話だと思うんです。
 大変興味深い話ではあるんですが、先ほど来申し上げたように、SDR自体、もうずっとつくられて五十年ぐらいたっているんですけれども、各国間の決済には使われているんですけれども、ある程度、しかし、民間では使われていないし、残高も、リーマン・ショックの後に倍増したと思いますけれども、その後余り大きく伸びていないということですので、この構想が実際に何か実現するという可能性はなかなか難しいのかなと思います。思いますが、こういった技術革新の成果を中央銀行が活用して世界の安定につなげていくということ自体は大変結構なことだと思います。
 そういった意味で、日本銀行としては、先ほど申し上げたECBとの共同研究、さらには、今、香港金融管理当局とクロスボーダーのDVPリンクの構築を進めております。こういったことも含めて、日本銀行としては、デジタル社会にふさわしい中央銀行間の協力を今後とも更に高めていきたいというふうに考えております。

発言情報

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発言者: 黒田東彦

speaker_id: 19167

日付: 2019-11-19

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会