西村祐二の発言 (文教科学委員会)

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○参考人(西村祐二君) 岐阜県の公立高校教員、西村祐二と申します。
 私は、斉藤ひでみという仮名で、昨年二月末から給特法の抜本見直しを求めるインターネット署名を開始し、本日時点で三万九千五十人分の声を集めております。さらに、過労死家族の会の工藤祥子さんとともに、今年の九月十六日より変形労働時間制の撤回を求めるインターネット署名を開始し、本日までの二か月半で三万四千二百八十人分の声を集めております。こうした声に立脚しつつ、現場感覚を基に自身の考えを述べさせていただきます。
 お話ししたいことは、一年単位の変形労働時間制についてです。
 率直に言って、大変憤っております。まず、これは政府の言うように教員の長時間労働を改善するための方策ではありません。むしろ、現場実感として業務を増やす可能性が大きいです。それゆえ、大多数の教員はこれを望んでいないと考えます。また、教職の魅力を向上させるものにもなりません。
 ある大学生はこう言いました、今の公立学校は沈みかけた船だと。変形労働は、その船に積荷を更に積むようなものです。大学生たちは、国がこうした制度について話合いをしている時点で、教員になるのをやめる、その踏ん切りが付いたと言います。現職の教員からも、この法律ができたら辞めざるを得ないという声をたくさんいただいています。
 このような反応が出る理由は幾つもあります。例えば、閑散期とされている八月は、これ実際は閑散期と呼べるようなものではないんですが、仮に閑散期と仮定するなら、四月、五月の疲れは八月に癒やせ、九月、十月の疲れも八月に癒やせ、一月、二月の疲れも八月に癒やせ、そういった設計です。教員はロボットではありません。確実に死者が増えます。
 命令可能な時間が一、二時間増えるということも恐ろしい話です。定時が一時間延長されるとします。さて、これまで八時間分の仕事を命令されてきた。今度、その八時間分の仕事を九時間掛けてやってくださいねということになるでしょうか。勤務時間みっちり仕事が割り振られるのが学校現場なんです。これは、残業が自主的と定義され、何ら規制が掛けられていないことに大きく関係しています。ともかく、業務は確実に増えます。
 今、教員倍率は下がる一方ですが、志望者が減り、退職者も増えると更に低下します。このまま誰でもなれる職業となると、教師の質が保てません。
 また、定時が延ばされ、その後の残業時間で授業準備をとなると、くたくたで授業の質も保証できません。精神的、時間的にゆとりのない中では、生徒がクラス内のトラブルで困っていても十分に手を差し伸べてあげられないかもしれない。教師の質、授業の質、日常の生徒対応、公教育の質がもはや保証できませんと強く言いたいです。現場の人間がこういうことを言わないといけないことを重く受け止めてもらいたいです。
 とりわけ不安なのは、私は高校教員ですから、部活動の位置付けです。変形労働によって部活動が固定化される危惧を表明します。附帯決議では部活動の外部化を促進させる旨が書かれてありますが、部活動を学校内に温存させるために、つまり教員に部活顧問を命令、強制するための方策として変形労働が用いられる可能性が考えられます。学校は果たして何をするところか、ますます分からなくなります。
 私は、国のため、社会のためになりたいと思って教育公務員になりました。公務員としてこの国の行く末を案じて発言しております。私は、五十年前に制定された給特法がどのような結果をもたらしたのかと見るにつけて、変形労働が制定された後、五十年後の教育現場が不安でいっぱいです。変形労働は、国の想定を超えて必ず暴走すると思います。国がどんなガイドライン、モデルケース、指針を示しても、強制力を伴わないと歯止めにならないのが教育現場の実際なんです。この法律制定は、総力戦で挑む働き方改革の一里塚ではなく、公教育崩壊のポイント・オブ・ノーリターンだったと記憶されると思います。
 そもそも、一年の中の夏の二週間の休みを自治体ごとにどうするかというのは、今はどうだっていいんです。十一か月の勤務をせめてほかの職業と同じようにしてくれという、それが最優先なんです。
 変形労働には断固反対です。しかし、仮に変形労働が通るのであれば、せめて被害を最小限にするための五つの提案をいたします。
 一、自治体が変形労働を条例化する前に、必ず勤務実態調査を行ってください。月四十五、年三百六十を超える残業が発生した場合、導入は不可としてください。二年後に変形労働で三年後に勤務実態調査、この順番が逆なんです。
 二、一日八時間労働が原則であると明記し、大幅な、年五日を超える変形が加わらないように、超勤四項目のように、どういった場合に変形労働を加えられるのか、四十時間分に相当する限定事項をはっきりさせてください。試みに、私は高校教員ですから、高校であれば、四月の新学期の新学期準備、これに六時間、定期テスト六回分、この採点で三十時間、高校入試業務で四時間、これで四十時間になります。
 三、変形労働が導入されるからといって、部活顧問を望まない教員にこれを職務命令で押し付けることができないと明記してください。それに伴い、学習指導要領からは、部活動は学校教育の一環であると、これは削除すべきです。
 四、授業準備も労働であると明記してください。この授業準備の時間が定時内に確保されるようにしてください。
 五、定時後の残業に絶対の歯止めを掛けてください。そのために、残業は管理職が命じた労働であると、その責任の所在をはっきりし、上限を超えた場合は管理職に罰則を付けてください。
 なお、給特法の見直しにおいては残業を労働と認めることが必須であり、教職調整額を増やすだけ、この改正は認めません。
 以上です。

発言情報

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発言者: 西村祐二

speaker_id: 4919

日付: 2019-11-28

院: 参議院

会議名: 文教科学委員会