安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
日中関係の深化についてお尋ねがありました。
政党間の交流は日中関係の発展を支える重要な柱であり、これまで山口代表を始めとする公明党訪中団が日中関係の強化に果たされてきた役割に敬意を表します。
昨年、日中関係は完全に正常な軌道に戻りました。来年の桜の咲く頃には習近平国家主席を国賓としてお迎えし、首脳間の往来だけでなく、経済交流、青少年交流など、あらゆるレベルでの交流を拡大し、日中関係を新たな段階へ押し上げ、日中新時代を切り開いていく決意です。
トルコとの関係強化についてお尋ねがありました。
経済連携協定については、引き続き精力的に取り組み、七月の首脳会談で一致したとおり、早期妥結に向け更に交渉を加速してまいります。
第三国協力については、TICAD7での議論も踏まえ、質の高いインフラ投資を始め地政学的に重要であるトルコと協力をしていきます。
今後とも、戦略的パートナーであるトルコと幅広い分野での関係強化を図ってまいります。
TICAD7の成果とアフリカ支援の今後の取組についてお尋ねがありました。
まず、山口代表が、TICAD7の全体会合においてSDGs達成に向けた発言を行われ、七か国の首脳等と会談されるなど、会議の成功に貢献していただいたことに謝意を表します。
TICAD7では、過去最高となる四十二名のアフリカの首脳級の参加を得て、経済、社会、平和と安定という三つの柱に基づき、アフリカ開発の在り方について議論を行いました。この結果、自由で開かれたインド太平洋構想も明記された横浜宣言二〇一九が採択されました。
TICAD7を通じ、日本政府として、今後三年間で民間投資を二百億ドル規模以上へ拡大し、ABEイニシアティブ三・〇を通じて産業人材を六年間で三千人育成すること、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを三百万人へ拡大し、質の高い教育を三百万人の子供たちへ提供すること、司法、警察、治安維持等の分野を担う六万人の人材を育成することといった取組により、日本がダイナミックに発展するアフリカのパートナーとなっていくことを表明しました。
政府としては、山口代表の御指摘も踏まえつつ、引き続き、日本の強みや日本らしさを生かした取組を通じ、アフリカとの関係を強化し、アフリカ自身が主導する発展を力強く後押ししてまいります。
核廃絶に向けた取組と自律型致死兵器システムへの対応についてお尋ねがありました。
我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードしていく使命を有しています。これは私の揺るぎない信念であり、我が国の確固たる方針です。
近年、核軍縮をめぐっては、核兵器国と非核兵器国のみならず、非核兵器国同士、さらには核兵器国同士の間で各国の立場の隔たりが拡大しています。我が国は、唯一の戦争被爆国として、これらの国々の橋渡しに努め、各国の共通の基盤の形成、相互の関与や対話を粘り強く促していく考えです。
我が国は、核軍縮の実質的な進展のための賢人会議における議論の成果もしっかりと活用しながら、核軍縮の進展に向けた国際的な議論を積極的にリードしてまいります。
特に、来年は五年に一度のNPT運用検討会議が開催される予定です。政府として、この会議が意義ある成果を上げるものとなるよう、軍縮・不拡散イニシアティブの取組等を通じて議論に積極的に貢献していく決意です。
自律型致死兵器システム、LAWSに関しては、有意な人間の関与が必須であり、国際人道法が適用されるべきとの点について共通認識が形成されつつありますが、その定義や人間の関与の在り方等の論点について各国の立場に引き続き隔たりがある状況です。
我が国は、完全な自律型の致死性を有する兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を明確にしてきています。人道と安全保障の視点を勘案したバランスの取れた議論が行われるよう、引き続き国際的なルール作りに積極的かつ建設的に参加してまいります。
気候変動対策及び海洋プラスチックごみ対策についてお尋ねがありました。
先般の大阪サミットでは、気候変動や海洋プラスチックごみ問題といった地球規模課題の解決に向けて、G20としての決意を共有しました。
脱炭素社会の実現は、これまでの延長線上の発想や取組では困難であり、人工光合成の実用化や水素社会の実現など、非連続的なイノベーションを起こすことが不可欠です。
このため、大阪サミットでは、G20の研究機関を結び、世界の英知を結集するRD20の創設に合意し、まさに今週、世界トップレベルの研究者、産業界、金融界が一堂に会するグリーンイノベーションサミットを我が国で初めて開催いたします。
海洋プラスチックごみについても、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを共有し、その実現に向けた具体的な実施の枠組みに合意したことは、この問題の解決に向けた大きな一歩です。今後は、ごみの適正管理、回収、海で分解される新素材の開発などで、途上国支援も含め、世界的な取組をリードしてまいります。また、本年五月に決定したプラスチック資源環境戦略に基づき、プラスチック資源の使用合理化やバイオプラスチックへの転換、リサイクル設備の増強などにも取り組んでまいります。
児童教育の無償化などの取組についてお尋ねがありました。
いよいよ今月から児童教育、保育の無償化がスタートしました。これに伴い、既存の施設に対しては、質の向上を伴わない理由なき利用料の値上げを行わないよう指導を強化するとともに、地域や保護者のニーズに応えている幼児教育類似施設について、国と地方が協力した支援の在り方について検討を行っているところです。
また、来年四月からは、御党から御提案いただいた私立高校の授業料の実質無償化とともに、真に支援が必要な子供たちの高等教育の無償化を着実に実施できるよう万全の準備を進めています。その中で、大学等については、子供の数も踏まえて支援対象の基準となる所得を算定するなど多子世帯への配慮を行うとともに、中間所得層におけるアクセスの機会均等について引き続き検討してまいります。
今後とも、政府としては、子育て世代の負担を減らし、子供たちの誰もが家庭の経済状況にかかわらず自らの夢に向かって頑張ることができる社会をつくり上げるため、全力で取り組んでまいります。
高齢者、障害者など、多様な働き方の環境整備についてお尋ねがありました。
少子高齢化という我が国最大のチャレンジを克服していくためには、働く意欲のある高齢者が年齢にかかわらず働くことができる環境を整えることが重要です。このため、七十歳までの就業機会の確保の法制化を図るとともに、転倒や腰痛などの労働災害の防止対策を進めてまいります。
在職老齢年金制度については、人生百年時代を見据えて、公平性にも留意しつつ、高齢者の就労意欲を阻害しない観点からの見直しに向けた検討を進めてまいります。
障害者雇用については、公務部門や中小企業における活躍の場の拡大に関する措置を盛り込んだ改正障害者雇用促進法の円滑な施行に取り組みます。また、通勤や職場での介助を必要とする障害者の就労支援を含め、労働施設と福祉施設の連携の強化に向けて検討を進めてまいります。
就職氷河期世代への支援についてお尋ねがありました。
雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った就職氷河期世代の方々への対応は、我が国の将来に関わる重要な課題です。先般定めた三年間の集中プログラムに基づき、きめ細かな伴走型の就職相談体制の確立や、受けやすく即効性のあるリカレント教育の確立といった支援策により、この世代の正規雇用者について、これまでの二倍のペースとなる三十万人の増加を目指します。また、社会参加への支援が特に必要な方々には、相談支援機関のアウトリーチ機能を強化するなどして、息長く寄り添った支援を行ってまいります。
支援の実効性を高めるため、社会的機運を醸成するとともに、具体的な数値目標を立てて、官民一体となって集中的に取り組んでまいります。
軽減税率の定着に向けた取組についてお尋ねがありました。
中小企業・小規模事業者が軽減税率に対応するためレジを導入した場合の補助や、また、レジを導入しない場合でも簡便に経理を行う方法などについてきめ細やかに支援や情報提供を行ってきたところであり、引き続き、中小企業団体の個別訪問等により、現場に寄り添った丁寧な対応をしてまいります。
さらに、軽減税率制度の適正かつ安定的な運用のため、確定申告における丁寧な相談対応など、必要な体制整備を含め、万全を期してまいります。
これらを含め、今後とも、軽減税率制度の円滑な実施、定着に向け、周知、広報などきめ細やかな取組を進めてまいります。
日本経済の持続的な成長に向けた取組についてお尋ねがありました。
AI、IoT、ビッグデータ。世界は今、第四次産業革命の真っただ中にあります。こうした変化を先取りして、我が国においてソサエティー五・〇を世界に先駆けて実現することこそ、持続的な成長の鍵であると考えています。
そのためにも、革新的なイノベーションの創出に向けた若手研究者の活躍促進を始め、我が国研究力の抜本的な強化、時代遅れとなった規制の見直し、新しい時代のデジタル市場のルール整備など、未来を見据えた規制・制度改革、イノベーションの速やかな社会実装、生産性の向上に向けた設備や人材への大胆な投資などに取り組んでまいります。
本年、令和の新しい時代が幕を開けましたが、年が明ければ東京オリンピック・パラリンピック、二〇二五年には大阪・関西万博が開催します。新しい時代への躍動感あふれるこのタイミングを生かし、大胆な成長戦略を実行することで、日本経済の持続的な成長を確かなものとしてまいります。
台風十五号からの復旧復興等についてお尋ねがありました。
台風十五号における災害においては、極めて多くの家屋に被害が生じ、被災者の方々の日常生活に著しい支障が生じたことから、災害救助法の制度を拡充し、恒久的制度として、一部損壊の住宅のうち、屋根等に日常的に支障を来す程度の被害が生じた住宅については支援の対象とすることとしました。
災害廃棄物の処理については、引き続き千葉県や関係団体と連携し、応援職員やごみの収集車両の派遣、広域処理先の確保、財政支援といったあらゆる側面から被災自治体を支えてまいります。
また、被災された中小企業・小規模事業者に対しては災害復旧貸付け等を実施するとともに、停電が長期にわたった千葉県の市町村においては、災害復旧貸付けの一部の金利引下げ等を行っております。
一方、今回の台風においては、長期間にわたる停電及びその復旧プロセスなどの様々な課題が認められました。これらの課題を検証、検討するため、先般、官房副長官をトップとする検証チームを立ち上げました。今後、このチームの下に設置した実務者検討会において、メンバーである防災分野等の有識者五名の御意見も伺いながら、徹底的かつ客観的に検証を行い、今後の防災・減災対策の一層の改善に努めてまいります。
政府において、九州北部での豪雨や台風第十五号等により被災した自治体が財政上安心して復旧復興に取り組むことができるよう、普通交付税の繰上げ交付を実施しました。また、台風第十五号を含む八月から九月の前線等に伴う大雨による災害を激甚災害に指定することとしました。
政府の防災体制と防災・減災対策の強化についてお尋ねがありました。
政府の防災体制の充実強化は、極めて重要な課題であると認識しています。現在、内閣府が中心となって、地域における防災計画の策定や民間企業との防災協定の締結、国民全体の防災意識の向上など、事前防災の取組を進めております。また、災害発災時には、内閣総理大臣の指揮の下に、内閣官房や内閣府が中心となって、関係省庁や地方自治体との緊密な連携の下、災害応急対策やその後の被災地の復旧復興に取り組んでおります。
今後とも、関係省庁や地方自治体、民間の方々との連携の在り方等について不断の見直しを行い、万全の危機管理体制の確保に努めてまいります。
首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模災害が懸念される中、御指摘のとおり、防災・減災対策の推進は我が国にとって重要かつ喫緊の課題であります。そのため、政府としては、現在、防災・減災、国土強靱化のためのハード、ソフト両面での対策を三年間で集中的に実施しているところです。
通学路等のブロック塀対策と体育館のエアコン設置についてお尋ねがありました。
通学路等のブロック塀については、避難路に面する箇所の耐震診断の義務付け、防災・安全交付金等による改修、撤去費用に対する財政支援など、規制や支援制度を総動員して安全対策に全力で取り組んでまいります。
また、避難所に指定されている公立学校の体育館へのエアコン設置については、来年度までを期限とする緊急防災・減災事業債の活用をまずは促すとともに、その後の対応についても適切に検討してまいります。
ドクターヘリについてお尋ねがありました。
多様な医療アクセスの手段を確保し、必要な救急医療を受けられる体制を構築するため、ドクターヘリは欠かせないものです。そのため、運用の主体となる都道府県に対し必要なデータの提供や運航経費の補助などを行い、広域連携を含めたドクターヘリの導入支援を進めています。
特に、災害地等の運用経験を都道府県間で共有することで、ドクターヘリの効果的活用と安定的運用を促していくことが重要であり、こうした取組に対し、国としても支援を行ってまいります。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてお尋ねがありました。
東京大会における暑さ対策は極めて重要であり、各競技大会での暑さ対策とともに、多様な情報発信の実施や救護医療体制の整備など、ハード、ソフト両面での取組を進めてまいります。
大会時の輸送については、円滑な大会輸送と経済活動、市民生活を共存させるため、道路交通や公共交通の影響の緩和に向けた対策を総合的に推進してまいります。
さらに、パラリンピック開催を絶好の機会と捉え、ユニバーサルデザインの町づくりや心のバリアフリーによる共存社会の実現に向けて取り組んでまいります。
政府としては、東京都、大会組織委員会、関係自治体等と連携し、東京大会の成功に向けて万全の準備を進めてまいります。
今後とも、二十年を迎えた自公連立政権の盤石な基盤の下に、しっかりと結果を出してまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕