安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
参院選の結果についてお尋ねがありました。
提案型野党として日頃から努力を重ねておられる片山代表を始め日本維新の会の皆さんに心から敬意を表します。
ただ批判だけに終始するのではなく、具体的な政策を有権者に訴え、選挙が終われば実行に移すために努力する、これが政党としての有権者への責任であると考えます。
さきの参院選では、我が党も、教育の無償化、全世代型社会保障改革、さらには憲法改正など、具体的な政策を訴えました。そして、連立与党で改選議席の過半数を大きく上回る議席をいただくことができました。
今後、安定した政治基盤の上にお約束を一つ一つ実行してまいります。この国会の場を通じて、日本維新の会の皆さんと切磋琢磨しながら、国民への負託に全力で応えていく決意です。
憲法改正についてお尋ねがありました。
日本維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表したいと思います。
憲法審査会の運営については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
その上で、お尋ねですのであえて申し上げれば、憲法改正は国会が発議し、最終的に主権者である国民の皆様が国民投票で決めるものです。それゆえ、御指摘のとおり、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆様の理解を深めていくことが私たち国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えております。
自民党は、既に憲法改正のたたき台を提示しています。立憲民主党を始め野党各党においても、それぞれの案を持ち寄っていただき、憲法審査会の場で国民の期待に応える活発な議論を行っていただきたいと思います。
消費税の逆進性対策についてお尋ねがありました。
給付付き税額控除は、軽減税率制度とともに、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮の観点から検討課題の一つとされていましたが、消費税の逆進性の緩和を図りつつ、消費者が日々の生活の中で痛税感の緩和を実感できることが特に重要であるとの判断により、軽減税率制度を導入することといたしました。
給付付き税額控除は、所得把握の問題、過誤、不正受給の問題があることから、消費税率引上げに伴う低所得者対策として実施することは考えておりません。
消費税率の見直し及び軽減税率制度の停止についてお尋ねがありました。
今回の消費税率引上げに当たっては、教育の無償化、軽減税率に加え、思い切ったポイント還元、プレミアム付き商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対策を講じます。
今後とも、引上げによる経済への影響には十分目配りするとともに、軽減税率制度も含め、これらの制度が十分に理解され円滑に実施されるよう、その周知、利用促進に政府一丸となって対応してまいります。
今後の消費税率等についてお尋ねがありました。
人口減少、少子高齢化が進む中、全世代型社会保障制度の構築に向けてしっかりと議論してまいります。将来の給付と負担の在り方については、こうした議論の中で、国民の安心を支える社会保障制度を次世代に引き渡す観点から、そのバランスを見据え、判断していくべき課題だと考えます。
その上で申し上げれば、私の任期以降について責任を持つことはできませんが、昨年度の税収がバブル期を超え過去最高水準となる中で、安定的な経済再生と財政健全化に一体的に取り組むことにより、例えば、今後十年程度は消費税率を引き上げる必要はないのではないかというのが私の考えです。
台風十五号への対応についてお尋ねがありました。
政府においては、台風十五号による停電の解消に時間を要している状況等を踏まえ、関係省庁災害対策会議を合計十五回開催し、関係閣僚懇談会でも議論するなど、関係省庁が緊密に連携して切れ目のない対応に当たってきたところです。
そうした中で、内閣府や経済産業省等の連絡員や専門的な知識を有する者を順次千葉県庁や各市町村に派遣し、被災地のニーズを踏まえた様々な支援策を講じてきたほか、政府の過去の災害経験を踏まえて被災自治体の初動体制の確立に向けた助言等も行ってまいりました。
このように、今回の台風への初動対応については迅速、適切に行われてきたものと認識しておりますが、今回の台風においては、長期間にわたる停電及びその復旧プロセスなどの様々な課題が認められました。それらの課題を検証、検討するため、先般、官房副長官をトップとする検証チームを立ち上げました。
今後、このチームの下に設置した実務者検討会において、メンバーである防災分野等の有識者五名の御意見もいただきながら、伺いながら、長期停電の原因、その復旧プロセス及び鉄塔等送電網のハード対策、通信障害に関する関係者間の情報共有、復旧プロセス、国、地方自治体の初動対応、災害対応に不慣れな自治体への支援等について徹底的かつ客観的に検討、検証してまいります。
避難に関する情報の発信についてお尋ねがありました。
昨年の西日本豪雨を踏まえ、住民が避難行動を容易に取れるよう、様々な機関が発信する防災情報を災害の切迫度に応じて五段階に整理し、分かりやすく提供することとしたところであります。
御指摘のとおり、警戒レベル四の中に住民の方々への行動を促す情報として避難指示と避難勧告が分類されておりますが、避難勧告の段階でより切迫性が高い避難指示の発令を待たずに避難していただくことが安全上求められることから、全員避難を前提とする警戒レベル四の中に両者を含め、避難を強く促すこととしたものです。
政府としては、五段階の警戒レベルに関する住民の方々の理解を促進するとともに、災害に備えての避難訓練の充実等に努めてまいります。
応急仮設住宅の供与についてお尋ねがありました。
応急仮設住宅は、災害により居住する住家がなくなった被災者に対し一時的な住まいを確保するために提供されるものであり、原則として二年間の供与が可能とされています。
御指摘の西日本豪雨や北海道胆振東部地震の被災者で応急仮設住宅にお住まいの皆様の御意見について、まずは自治体を通じてしっかりと把握してまいります。
また、岡山県倉敷市の被災者の方の応急仮設住宅の住み替えについては、まず地元の自治体と協議をしていただいた上で、自治体から国に個別に協議していただくことになると認識しております。
鉄道の計画運休や災害時の訪日外国人等への情報提供についてお尋ねがありました。
先般、計画運休実施時には、一部で利用者集中による混乱が発生しました。現在、国土交通省において鉄道事業者による情報提供の在り方や企業等の対応について検証を行っているところであり、テレワークや時差出勤等による輸送需要の抑制も含め、より適切な形で計画運休及び運転再開が行われるよう取り組んでまいります。
また、災害等の非常時においては、外国人観光客に対しても正確な情報発信を行うことが重要です。政府としては、来年のオリンピック・パラリンピックも見据え、災害情報の外国語による提供など、外国人観光客の安全、安心の確保に全力で取り組んでまいります。
人への投資についてお尋ねがありました。
安倍政権では、我が国が力強い成長を続けていくため、一人一人の人材の質を高める人づくり革命として、真に必要な子供たちへの高等教育の無償化、時代のニーズ等に合った教育機関へと変革するための大学改革、人生百年時代における学び直しの重要性に鑑みたリカレント教育の充実などに取り組んでまいります。
こうした取組に加え、AIやビッグデータといった第四次産業革命のスキルを活用できる人材の育成、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現といった働き方改革、企業の生産性向上に向けた支援等による付加価値の高い雇用の拡大等を推進するとともに、成長と分配の好循環を更に推し進め、六年連続で今世紀に入って最も高い水準に当たる賃上げの流れを一層力強いものとしてまいります。
これらの取組を通じ、国内労働者の賃金上昇を促進し、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会の実現に取り組んでまいります。
年齢等にかかわらず働き続けることができる社会についてお尋ねがありました。
人生百年時代においては、年齢にかかわらず能力や成果に応じてキャリアアップできる多様なルートを構築していくことが重要です。このため、リカレント教育の充実を図ることに加え、企業の採用、報酬制度の見直しを促すとともに、中途採用比率の情報公表を求めるなどの対応により、中途採用に関する環境整備に取り組んでまいります。
また、高齢化の進展により、介護をしながら働く方の増加が見込まれ、仕事と介護を両立できる職場環境の整備が一層重要となります。育児・介護休業法では、就業場所の変更を伴う配置の転換に当たり労働者の介護の状況等に配慮するよう求めており、こうした仕事と介護の両立に配慮した職場が増えていくよう、育児・介護休業法の周知や助成金による支援を引き続き進めてまいります。
なお、解雇無効時の金銭救済制度について、金銭を支払えば自由に解雇できるとの事前型の制度を導入しないことを前提に、労働者の保護等の観点から検討を進めています。
待機児童対策の権限と財源の地方への移譲についてお尋ねがありました。
待機児童の解消に向けた保育の受皿の整備については、その必要量の把握から計画の策定、実施等に至るまで、市町村が主体的な役割を担っております。保育の質の確保、向上も重要な課題であり、最低限遵守すべき基準を設けておりますが、地域の実情を踏まえた柔軟な取扱いにも努めてまいります。待機児童の解消は待ったなしの課題であることから、国としても市町村をきめ細かく支援し、全力で取り組んでまいります。
年金制度改革についてお尋ねがありました。
御指摘の年金制度の積立方式への切替えについて、若い世代を含む全世代が自分の積立てに加えて現在の高齢者の給付を賄うこととなるいわゆる二重負担の問題があり、これを克服するには難しい課題があると考えています。
また、年金の受給開始時期については、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、より柔軟な受給方法を選択できるよう、七十歳以降も選択可能にすることを検討しております。
なお、こうした受給開始時期の選択肢の拡大を検討する一方で、年金の支給開始年齢の引上げは考えておりません。
関西電力の問題、他の電力会社の調査、脱原発依存についてお尋ねがありました。
電気事業者たるものは、原子力に関わるものか否かにかかわらず、その事業全体について、電気料金を支払う利用者の皆さんから不信を持たれることのないよう、常に適正な事業運営に努めるべきは当然であります。
そうした観点から、今回の問題について、電気事業法に基づき、所管する経済産業省から関西電力に対して、事実関係や他の類似事案の有無などの報告徴収命令を既に出しています。これを受けて、関西電力は独立した第三者委員会の下で調査を行うこととしたものと承知しております。
まずは、第三者の目を入れて徹底的に全容を解明することが不可欠であり、その上で、経営問題も含め、再発防止等の措置を講ずることで利用者の皆さんの信頼回復に努めることが必要であると考えています。
さらに、今般の事案の発生を受け、経済産業省から関西電力以外の電力会社に対してもコンプライアンスの遵守を徹底するよう指示したところであり、これを受けて各電力会社による調査が行われたと承知しています。
いずれにせよ、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入を図り、原発依存度を可能な限り低減するという政府の方針に変わりはありません。
日本郵政グループについてお尋ねがありました。
かんぽ生命をめぐる一連の問題については、現在、総務省及び金融庁において実態解明に向けて立入検査等を実施しているものと承知しています。
なお、日本郵政グループとNHKとの間の個別のやり取りについてコメントすることは差し控えます。
日米貿易協定についてお尋ねがありました。
工業品については、本協定により、我が国の幅広い品目について米国の関税削減、撤廃が実現します。自動車及び自動車部品についても、更なる交渉による関税撤廃を明記しているほか、二三二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しました。
このような交渉結果については、我が国の自動車工業会から、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されるものであるとの評価が既に発表されております。まさに、国益にかなう結果を得ることができたと考えています。
その上で、今回の協定では、デジタル貿易ルール以外の投資、サービス、ルール等は含まれていません。こうした中で、TPP11協定のハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくことは、地域の安定と繁栄に大きな意義があります。こうした観点から、我が国としては、米国を含めて、できるだけ多くの国・地域がTPPに参加することが最善であると考えています。
日韓関係についてお尋ねがありました。
韓国は重要な隣国であり、北朝鮮問題を始め日韓、日米韓の連携が重要であります。
日韓関係の根本を成す日韓請求権協定の違反状態を放置するなど、信頼関係を損なう行為を続ける韓国に対し、まずは国際法に基づき、国と国との約束を遵守することにより、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくることを求めます。
対中外交及び米中関係についてお尋ねがありました。
尖閣諸島周辺海域を含む東シナ海における一方的な現状変更の試みについては、引き続き冷静かつ毅然と対応してまいります。私自身、首脳会談において、東シナ海の安定なくして日中関係の真の改善はないとの認識に基づき、日本側の強い懸念を伝えてきています。
一帯一路については、インフラの開放性、透明性、経済性、債務の持続可能性といった国際社会共通の考え方を十分に取り入れた形で実施されることで、地域と世界の平和と繁栄に前向きに貢献していくことを期待しています。
米中間で安定的な経済関係が構築されることは、日本のみならず、世界全体の持続的な経済成長に不可欠です。貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもなりません。我が国は、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考えています。こうした日本の基本的な立場については、これまでもトランプ大統領や習近平主席を始め米国及び中国の双方に対して、私自身を含め様々なレベルで伝えてきています。
北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
弾道ミサイル発射が安保理決議違反であることは明白であり、こうした立場については、例えば先般のG7の際に行った日米首脳会談で、冒頭、私から北朝鮮の短距離弾道ミサイルの発射は安保理決議違反であり極めて遺憾である旨述べ、トランプ大統領から完全に理解する旨の発言があるなど、累次の機会に確認してきたところであります。引き続き、米国と緊密に連携し、安保理決議の完全な履行に努めてまいります。
同時に、我が国としても、弾道ミサイルの発射を始めとする北朝鮮の軍事動向について、引き続き米国等と緊密に連携しながら、必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げるとともに、ミサイル防衛能力の強化を着実に進めてまいります。
日本海大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船による操業は極めて問題であり、政府としては、引き続き、我が国排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止のため、毅然として対応してまいります。
拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であり、私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、引き続き、米国等と緊密に連携しながら、冷静な分析の上にあらゆるチャンスを逃すことなく果断に行動してまいります。
いずれにせよ、今後とも、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指してまいります。(拍手)