安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小池晃議員にお答えをいたします。
関西電力の問題、原発の再稼働についてお尋ねがありました。
原発の再稼働については、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。
その上で、電気事業者たるものは、原子力に関わるものか否かをかかわらず、その事業全体について、電気料金を支払う利用者の皆さんから不信を持たれることのないよう、常に適正な事業運営に努めるべきは当然であります。
そうした観点から、今回の問題について、電気事業法に基づき、所管する経済産業省から関西電力に対して、事実関係や他の類似事案の有無などの報告徴収命令を既に出しており、これを受けて、関西電力は独立した第三者委員会の下で調査を行うこととしたものと承知しております。
まずは、第三者の目を入れて徹底的に全容を解明することが不可欠であり、その上で、経営問題も含め、再発防止等の措置を講ずることで利用者の皆さんの信頼回復に努めることが必要であると考えています。
消費税率の引上げ等についてお尋ねがありました。
安倍政権では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、デフレではない状況をつくり出す中で、今年度予算における国の税収は過去最高となりました。
今般の消費税率の引上げは、少子高齢化という国難に正面から取り組むに当たり、お年寄りも若者も安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換していく安定財源を確保するためのものであり、御提案のような減税は全く考えておりません。
その上で、今回の引上げに当たっては、教育の無償化や軽減税率に加え、思い切ったポイント還元、プレミアム付き商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対策を実施することとしています。これらの制度を円滑に実施し、政府一丸となって対応することで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えしてまいります。
こうした需要変動対策を行った上で、さらに、米中間の貿易摩擦、英国のEUからの離脱など、不透明さを増す世界経済の先行きをしっかりと注視し、下振れリスクが顕在化する場合には、ちゅうちょすることなく機動的かつ万全の対策を講じ、経済の成長軌道を確かなものとしてまいります。
法人課税や富裕層への個人所得課税の強化と社会保障財源等についてお尋ねがありました。
企業に対する税制については、国際競争力への影響を踏まえ、慎重に検討する必要があります。安倍政権では、租税特別措置の縮減、廃止等により課税ベースを拡大しつつ法人税率を引き下げるなど、成長志向の法人税改革に取り組んできました。また、これまで、所得再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや金融所得課税の見直しにより税率を一〇%から二〇%に倍増するなどの施策を既に講じてきたところです。
その上で、消費税については、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置付けています。少子高齢化に正面から取り組むに当たり、全世代型社会保障制度へと転換するために、消費税率を一〇%に引き上げたところであります。
いずれにせよ、公平、中立、簡素の三原則を踏まえつつ、今後の税制の在り方については不断の検討を行ってまいります。
高等教育の修学支援制度と国立大学授業料との関係についてお尋ねがありました。
高等教育の修学支援新制度は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要な子供たちの高等教育への進学を後押しするものです。
一方、国立大学では、現在、各大学が独自の基準に基づき授業料免除を行っており、現に支援を受けている学生のうち、比較的所得の高い世帯に属する方については、新制度導入により対象外になったり支援額が減少したりする場合もあり得ますが、こうした学生に……(発言する者あり)ここからが重要でございますから、よく聞いていただきます。こうした学生に対し、継続的な学びを支援する観点からいかなる対応が可能か、来年の制度施行に間に合うよう早急に検討してまいります。
また、大学の授業料は、学生の充実した教育研究環境を整える観点から、各大学が適切に定めるべきものと認識しています。その際、授業料の値上げによって真に支援が必要な学生が学ぶ機会を逸することがないよう配慮することが重要と考えております。
高齢者の医療の窓口負担についてお尋ねがありました。
今後、年金、医療、介護、労働など、社会保障全般にわたって人生百年時代を見据えた改革を進める中で、後期高齢者医療制度における給付と負担の在り方についても適切に検討してまいります。
安心できる年金制度の構築についてお尋ねがありました。
国民の老後所得の中心となる公的年金制度については、将来世代の負担を過重にしないため、保険料水準を固定した上で、長期的な給付と負担の均衡を図るマクロ経済スライドにより一定の給付水準を確保することを前提に持続可能性を確保しています。
先般公表した財政検証の結果によれば、マクロ経済スライドの調整期間は若干長期化したものの、調整が終了した後の所得代替率は前回よりも悪化するのではないかとの一部の臆測に反し、代表的なケースでは、前回検証時の五〇・六%に対し五〇・八%と改善しています。また、基礎年金は、物価上昇分を割り戻した実質価格で見て、おおむね横ばいとなっています。
国民年金のみに加入されている方についても、まずは経済を強くすることで年金の財政基盤を確かなものとし、さらに、厚生年金の適用拡大など、老後の安心を支える不断の制度改革を推し進めることで生活の安定を図ってまいります。
最低賃金引上げに向けた中小企業支援についてお尋ねがありました。
最低賃金は、労働者の賃金、生計費、企業の支払能力の地域差等の実情を考慮し、地域ごとに定めているものです。安倍政権では、政権発足以降の七年間で、全国加重平均で百五十二円の引上げを行っております。今年度は二十七円の引上げで、昭和五十三年度に目安制度が始まって以降最大の上げ幅となっています。また、地域ごとの最高額に対する最低額の金額差も十六年ぶりに改善し、地域間格差も縮小しております。
最低賃金引上げに当たっては、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備を進めることが重要であり、生産性向上に向けた設備投資等に対する助成、賃上げに積極的な企業への税制支援、下請企業の取引条件の改善などに政府一丸となって取り組んでいるところです。
また、御指摘の業務改善助成金についても、申請件数は近年増加傾向にあり、引き続き利用促進に取り組んでまいります。
なお、賃金の持続的引上げを可能とするためには生産性の向上が不可欠でありますが、御提案のように社会保険料等の人件費を単に公費で穴埋めするだけでは、こうした生産性の向上につながらないという点にも留意が必要です。
日米の貿易協定についてお尋ねがありました。
今回の協定により、我が国の幅広い工業品について、米国の関税削減、撤廃が実現します。
また、日本の自動車、自動車部品に対し、二三二条に基づく追加関税は課されないことを直接トランプ大統領から確認しました。これについては、既に我が国の自動車工業会から、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されるものであるとの評価が既に発表されており、今回の協定は勤労者に利益をもたらすものであります。
農林水産物については、過去の経済連携協定で約束したものが最大限であるとした昨年九月の共同声明に沿った結論が得られました。とりわけ、我が国にとって大切な米について、関税削減の対象から完全に除外いたしました。さらには、米国への牛肉輸出に係る低関税枠が大きく拡大するなど新しいチャンスも生まれています。
これについては、JA全中からも、中家会長の談話として、合意内容は昨年九月の日米共同声明の内容を踏まえた結論と受け止め、特に米については米国への関税割当て枠の設置が見送られることとなり、生産現場は安心できるものと考えているとの評価が発表されており、今回の協定は生産者にも利益をもたらすものです。
さらに、関税が引き下げられ価格が安くなることは消費者にとっても大きな利益であり、今回の日米貿易協定は、私が先般申し上げたとおり、消費者あるいは生産者、勤労者、全ての国民に利益をもたらす合意であると考えております。
経済効果分析については、既に作業に着手したところであり、できるだけ早く情報提供をさせていただきます。
今後について、今回の共同声明では、どのような分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしており、FTAのような協定を結ぶかも含め、今後について予断を持って申し上げることは差し控えます。
なお、過去の協議に際して、私がFTA交渉でもFTAの予備協議でもないと申し上げてきた最大の理由は、国内の農林漁業者の皆さんにTPP以上の関税引下げが行われるのではないかとの懸念があったためであります。しかしながら、今回の協定では、農林水産品について、先ほど申し上げたとおり、まさに国益にかなう結論が得られたと考えており、我が国の本である農業は必ずや守り抜いてまいります。
普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
沖縄における米軍施設・区域の形成過程については、普天間飛行場を含め、国際法に照らして様々な議論があることは承知しています。いずれにせよ、これらの沖縄の米軍施設・区域は、昭和四十七年の沖縄の本土復帰以降、米国が日米地位協定の下で我が国から適法に提供を受け使用しているものであり、このことについては国際法上も何ら問題はありません。
他方、沖縄に米軍基地が集中する現状は到底是認できません。沖縄の負担軽減は、政府の大きな責任です。
その中で、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思います。
これからも、地元の皆様と対話を積み重ね、御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
夫婦の別氏の問題については、家族の在り方に深く関わる事柄であり、国民の大方の理解を得て行うべきものと考えていますが、平成二十九年の世論調査の結果でも国民の意見が大きく分かれている状況です。引き続き、国民各層の様々な意見を幅広く聞きながら、慎重に対応を検討してまいります。
歴史認識についてお尋ねがありました。
安倍内閣としては、日韓パートナーシップ宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。
安倍内閣の歴史認識については、戦後七十周年の機会に発表した内閣総理大臣談話にあるとおりです。その上で、累次申し上げてきたように、歴史の問題については、政治家は謙虚でなければならず、歴史家や専門家に任せるべきものであると考えています。
日韓関係については、韓国が日韓関係の根本を成す日韓請求権協定の違反状態を放置するなど信頼関係を損なう行為を続けており、韓国に対し、まずは国際法に基づき、国と国との約束を遵守することにより、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけをつくることを求めます。(拍手)
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