安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石井準一議員の質問にお答えをいたします。
 台風十五号からの復旧復興についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、今般の台風第十五号による被災地の被害は深刻であり、政府においては、同台風による災害を激甚災害に指定することとしました。
 また、暴風雨により極めて多くの家屋に被害が生じ、被災者の方々の日常生活に著しい支障が生じたことから、住宅の被害認定調査を弾力的に行うとともに、災害救助法の制度を拡充して、一部損壊の住宅のうち、屋根等に日常生活に支障を来す程度の被害が生じた住宅については、支援の対象とすることとしました。
 引き続き、被災者の皆様が一日も早く安心した生活を取り戻せるよう、被災自治体と緊密に連携しながら、被災者の皆様に寄り添った復旧復興支援に全力を尽くしてまいります。
 その上で、今般の災害から得られた教訓を十分に踏まえ、ハードとソフトを適切に組み合わせた対策を総動員して防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいります。
 台風第十五号への初動対応についてお尋ねがありました。
 政府においては、台風の接近前から、防災担当大臣が出席して関係省庁災害警戒会議を開催したほか、停電の解消に時間を要している状況等を踏まえ、関係省庁災害対策会議を計十五回開催し、閣僚懇談会でも議論するなど、関係省庁が緊密に連携して切れ目のない対応に当たってきたところです。
 そうした中で、内閣府や経済産業省等の連絡員や専門的な知識を有する者を順次、千葉県庁や各市町村に派遣したほか、食料品等のプッシュ型支援、自衛隊員延べ五万四千人を動員しての倒木除去作業やブルーシートの展張作業、被災地への自治体職員の広域応援派遣を行うなど、被災地のニーズを踏まえた様々な支援策を講じてまいりました。
 このように、今回の台風への初動対応については迅速、適切に行われてきたものと認識しておりますが、今回の台風においては、長期間にわたる停電及びその復旧プロセスなどの様々な課題が認められました。それらの課題を検証、検討するため、先般、官房副長官をトップとする検証チームを立ち上げました。
 今後、このチームの下に設置した実務者検討会において、メンバーである防災分野等の有識者五名の御意見も伺いながら、徹底的かつ客観的に検証を行い、今後の防災・減災対策の一層の改善につなげてまいります。
 森林資源の状況と土地の管理についてお尋ねがありました。
 我が国の森林は、戦後植林されたものが本格的な利用期を迎え、十分な蓄積量がある一方、適切な管理が行われていない森林も多く、このような森林では災害等の発生リスクが高まります。
 このため、森林バンクを活用し、意欲と能力ある経営者に森林を集積、集約化するとともに、所有者のみでは手入れが行き届かない森林については、公的管理を行うことにより健全な森林の育成を図ります。
 さらに、今年度から森林環境譲与税が市町村に譲与されるところであり、予算措置と併せ、市町村等による森林整備をしっかりと加速します。
 また、議員御指摘のように、事前防災の支障ともなる所有者不明土地等についても、設置した関係閣僚会議等において、その課題と対応の検討を進めてまいります。
 今回の台風においては、長期間にわたる停電及びその復旧プロセスなど様々な課題が認められました。それらの課題を検証、検討するための検証チームを立ち上げ、原因や対策について徹底的かつ客観的に検証してまいります。
 国土強靱化についてお尋ねがありました。
 平成の時代は大きな自然災害が相次ぎ、昨年から今年にかけても、集中豪雨、地震、激しい暴風、異常な猛暑など、異次元の災害が相次いでいます。災害への対応は、もはやこれまでの経験や備えだけでは通用せず、命に関わる事態を想定外と片付けるわけにもいきません。
 このため、昨年末に、これまで培ってきた最新の知見を踏まえ、中長期的な目標や方針を明らかにする国土強靱化基本計画を見直すとともに、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を取りまとめ、集中的な取組を進めることとしています。
 今年の災害対応から得られた知見も生かしながら、今後とも、国土強靱化基本計画に基づき、必要な予算を計上した上で、オールジャパンで国土強靱化を強力に進め、国家百年の大計として災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土をつくり上げてまいります。
 自衛隊の役割や能力を遺憾なく発揮するための取組についてお尋ねがありました。
 政府の最も重大な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことです。自然災害への対応を含め、自らの主体的、自主的な努力によってその責務を果たしていくことが、安全保障、危機管理の根幹です。
 安倍政権では、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、平和安全法制を整備し、自衛隊があらゆる事態に切れ目なく対応できるよう、その法的基盤をしっかりと整備しました。その上で、政府としては、現下の情勢を踏まえ、防衛力を抜本的に強化するため、昨年十二月に防衛計画の大綱を策定したところであり、防衛力の質及び量を必要かつ十分に確保していくこととしています。
 とりわけ、大規模災害を含む各種事態により実効的に対処できるよう、機動展開能力や後方分野も含めた防衛力の持続性、強靱性の強化といった取組を進めるとともに、防衛力の中核は自衛隊員であることを踏まえ、人的基盤の強化もこれまで以上に推進していく方針です。
 こうした取組を通じ、自然災害においても部隊を迅速に輸送、展開させ、初動対応に万全を期すとともに、活動の長期化にも十分耐え得るような防衛力を構築し、人命救助から生活支援に至るまで、被災された方々のニーズに丁寧に対応してまいります。
 いずれにせよ、政府としては、国民の命と平和な暮らしを守るため、従来とは抜本的に異なる速度で防衛力の強化を図っていく考えであり、私としても、自衛隊の最高指揮官として、自衛隊がその能力を十全に発揮し、国民から負託された使命を果たしていくべく、しっかりと取り組んでいく決意です。
 地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 我が国は、パリ協定に基づく削減目標の実現に向けて、基準年の二〇一三年以来、四年連続で温室効果ガスの排出量を削減しています。合計で八%を超える削減は、G7の中でも英国に次ぐ大きさです。
 さらに、本年六月、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現することを目指すとした、パリ協定に基づく長期戦略を閣議決定いたしました。脱炭素社会の実現は、これまでの延長線上の取組では困難であり、非連続なイノベーションを起こすことが不可欠です。このため、本年中に、水素社会の実現や人工光合成の実用化等に向けて、具体的なターゲットと工程表を定めた革新的環境イノベーション戦略を策定する考えです。
 また、今週、世界トップレベルの研究者、産業界、金融界が一堂に会するグリーンイノベーションサミットを我が国で初めて開催します。環境と成長の好循環を一層加速しながら、世界の英知を結集することで、世界の脱炭素化という究極の目標に向かって、我が国はこれからもリーダーシップを発揮してまいります。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 弾道ミサイル発射が安保理決議違反であることは明白であり、こうした立場について、例えば、先般のG7の際に行った日米首脳会談で、冒頭私から、北朝鮮の短距離弾道ミサイルの発射は安保理決議違反であり極めて遺憾である旨述べ、トランプ大統領から完全に理解する旨の発言があるなど、累次の機会に確認してきたところです。引き続き、米国と緊密に連携し、安保理決議の完全な履行に努めてまいります。
 日本海大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船による操業は極めて問題であり、政府としては、引き続き、我が国排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止のため、毅然として対応してまいります。
 拉致問題の解決に向けては、我が国自身、主体的に取り組むことが重要です。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、引き続き、米国等と緊密に連携しながら、冷静な分析の上にあらゆるチャンスを逃すことなく果断に行動してまいります。
 いずれにせよ、今後とも、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指してまいります。
 国民の安全、安心を守り抜く覚悟と対策についてお尋ねがありました。
 国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは、これは政府の最も重大な責務です。昨年末に与党でも精力的な御議論をいただいた結果、新たな防衛計画の大綱を策定しました。
 この中では、社会全般が宇宙空間やサイバー空間への依存を高めていく傾向等を踏まえ、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における防衛力を抜本的に強化することとしています。
 また、電力、通信といった国民生活に重要なインフラやサイバー空間を守るための施策を進めるなど、政府一体となって、さらには地方公共団体、民間団体等とも協力し、我が国が持てる力を総合する防衛体制を構築することとしています。
 政府としては、今後とも、従来とは抜本的に異なる速度で変革を図っていく考えであり、安全保障の現実から目をそらすことなく、真正面から向き合い、我が国の安全保障にとって真に必要なオールジャパンの体制により、国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。
 児童虐待への対応についてお尋ねがありました。
 子供たちの命を守るのは、私たち大人全員の責任です。
 この強い決意の下、昨年十二月に策定した新たなプランの下で、これまで三千名体制の児童福祉司を今年度一気に千名増やし、そして、二〇二二年度には五千名体制とすることや、児童心理司を八百名増員すること、全市町村への身近な相談拠点を設置することなどを決定し、体制の抜本的強化を進めているところです。
 また、さきの通常国会で成立した児童福祉法の改正法に基づき、体罰禁止の法定化や児童相談所における弁護士等の配置促進、DV対策の連携強化など、実効性のある対策を進めてまいります。
 何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くし、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。
 パラリンピック東京大会のレガシーについてお尋ねがありました。
 パラリンピック東京大会の開催は、障害の有無にかかわらず、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を実現する絶好の機会です。
 これまで政府としては、障害者の方々の意見に基づき、ユニバーサルデザインの町づくり、学校、企業など国民全体に向けた心のバリアフリーの普及を図るとともに、海外のパラリンピック選手との交流を契機とした共生社会ホストタウンなどの取組を全国各地で展開してまいりました。
 今後とも、将来に受け継がれるレガシーとして、共生社会の実現に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣菅原一秀君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120015254X00320191009_017

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2019-10-09

院: 参議院

会議名: 本会議