山地憲治の発言 (経済産業委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○山地参考人 御紹介いただきました地球環境産業技術研究機構、英語の略称のRITEとよく呼ばれていますが、そのRITEの副理事長と研究所長を務めております山地でございます。
私は、今回の法案に関して、幾つかの審議会にかかわってまいりました。直接関係するのは再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委、よく主力化小委と略称していますが、それと持続可能な電力システム構築小委、これは構築小委という略称ですが、両方の委員長を務めております。
まず、再エネ特措法改正に関するものですけれども、これはFIT、再エネ電気固定価格買取り制度の抜本見直しを行うものであります。
FITは、先行するものとしては二〇〇九年十一月から施行、これは前の自公政権時代に決まったものですけれども、家庭用の太陽電池の余剰電力を固定価格で買い取ることから始まりまして、それから、二〇一二年七月から現在の再エネの全量固定価格買取りというのが始まったわけであります。
これは非常に、私、当時から、劇薬だ、強力な政策だけれども副作用が大きいと申し上げておりまして、現実に、太陽光発電は今、ほぼ六千万キロワット程度になっております。これはFIT施行前から考えると、十倍という水準でございます。
ただ、同時に、大きな課題もございまして、国民負担ということでございますが、まずは賦課金というものがございます。これは、電気の価値は電力のコストなんですけれども、それ以外の部分、買取りは高いですから、それを電力の消費者が一律に負担するもの、これが年間二・四兆円というレベルに達しております。ここ数年続いております。
それから、系統制約、電力系統の中につなげなきゃいけないんですけれども、エリア全体の需給バランスをとるとか、あるいは送電の容量のバランスとの関係とか、それが顕在化している。
それから、FITによっていろいろな業種の方が発電に参加されたものですから、なかなか安定的な事業運営、もっと厳しく言えば、事業規律が十分確立していない、こういう問題がある。
ということで、まず改正FIT法、これは二〇一六年に決めていただいて、二〇一七年四月から施行ですけれども、これでまず入札をして、当初、太陽光の方は二千キロワット以上ですが、拡大していってコストを下げていく。
それから、未稼働案件がある。高い価格の買取りで認定を受けたんだけれどもなかなか運転しない、こういうものを抑制していく。
それから、事業規律を求めていくということで、まず事業を認定するということにして、系統と接続契約ができた段階で認定する。
それから、二〇一六年八月以降の接続契約については三年の運転期限を設けるとしたわけですけれども、なかなか未稼働案件の整理がつかないというのが続きました。それで、二〇一七年の十二月から、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会というのを設けまして、まず未稼働案件、これは運転開始のタイミング、要するに、運転開始期限がないものもあるんですけれども、そのタイミングに合わせた買取り価格を、運転開始の二年前の買取り価格、つまり、当初のものよりは安い買取り価格にして運転開始を促すということをやりました。
また、系統接続問題が出てきたものですから、既存系統を徹底活用するということで、日本版コネクト・アンド・マネージということで、あきを見つけてそこでつなげていこう、そういうことをやりました。
また、北海道と本州の連系線のところの増強のところでも費用便益分析をして、それで効率的なものを決めて、負担は便益に応じて、つまり、再エネの便益なら再エネの便益において全国で負担する、そういう方式を出しました。
そして、今回の主力化小委とか構築小委で今回の法案ということになったわけですが、大事な点は、まず、再エネ電源を競争電源と地域活用電源という、タイプを二つ分けようと。
競争電源というのは、大規模太陽光とか風力とか大規模なものですけれども、これは、卸電力市場の価格と連動して、それにプレミアムを交付するという形、これをフィード・イン・プレミアムと言っていますけれども、これを導入するという案であります。FIP価格、フィード・イン・プレミアムの略ですけれども、これは多分入札で決めるんですけれども、それと、市場価格から決める参照価格を決めて、FIPと参照価格の差分をプレミアムに乗せる。その参照価格の設定で、いろいろ柔軟的な運用ができます。
それから、地域活用電源というのは、地域活用要件というのを確認してFIT制度を継続する。自家消費型と地域一体型があるというわけで、まず、今年度から五十キロワット未満の事業用太陽光発電について自家消費型を求める。ちゃんと三〇%自家消費するという計画を立ててもらって、買取り価格については、五〇%を自家消費ということで買取り価格を決める。キロワットアワー十二円ということになりました。それから、入札の範囲も拡大していくということになっております。
もう一つ、事業規律がございまして、これは、情報の開示あるいは未稼働案件を更に整理していくということはありますが、特に注目されるのは、廃棄費用の外部積立てということでございます。
それから、先ほどもちょっと言いましたけれども、これはむしろ電事法改正に関連しますけれども、費用便益分析をして系統の整備をする、再エネメリット分というのは賦課金方式で費用を回収する。
それからもう一つ、分散グリッドを推進するということで、いろいろと、地域一体型とか、そういうものを推進するということで、配電ライセンスとかアグリゲーターライセンスを導入する。
電事法改正につきましては、まずは災害時の連携を強化するということで災害時連携計画というのをつくっていただく、また、仮復旧の費用を積み立てておいて相互扶助をする、電力データを活用する。
それから、もう一つ非常に重要なのは、計画的に系統整備をするということで、プッシュ型と言っていますけれども、今まで、接続した人が申し込んでそれに対応する、あるいは、複数いる場合には募集プロセスだったんですけれども、むしろ系統側から一括検討を持ちかけて速やかにやっていこうと。また、マスタープランと言っていますけれども、広域の系統整備計画をつくる。
それから、託送料金ですけれども、公益部門、送配電も公益部門ですから総括原価で決めていくわけですけれども、その部分にインセンティブを入れようということで、レベニューキャップのインセンティブ規制にする。そうすると、効率化すると利益が出る、その分を、社内でも使えるけれども利用者にも還元。あと、既存設備を計画的に更新するとか、あるいは、送配電は固定費の塊ですから、基本料金の部分をもっとふやしていこう、そういうようなやり方。
もう一つ重要なのが分散電力システムで、よく審議会では、広域化する送電、分散化する配電、そういう言い方をしているんですけれども、配電事業ライセンスというのを設けて、デジタル化によってビジネス展開をしていこうというのと、これはいろいろあって、あるいは遠隔地の場合、配電独立というのもあり得るだろう、そういうことができるようにする。
それから、アグリゲーター、法律用語で特定卸供給事業と言っていますけれども、このアグリゲーターもライセンス化して、需要側の分散資源を活用しよう、そういうこと。
それと、それに伴うことでありますが、電気計量、計量法に基づいて縛られているんですけれども、分散型設備を使った電力取引とかデータ活用になりますと、計量を一定程度緩めていこう、もちろん一定の条件を課すんですけれども、従来ほど厳しくない、緩和をするということが内容です。
もう時間ですので、私の意見をまとめて言いますと、まず、FITの抜本見直しも電力システム改革も、私は道半ばだと考えております。
今回の再エネ特措法の改正というのは、経済的に自立した再エネを主力電源化するための重要な一歩と考えています。経済的自立には、電源のコストだけじゃなくて、調整力も含めた系統コストの低減も必要だ。また、需給調整には、デジタル社会を実現して需要側の設備を活用するということも期待される。
電力システム改革については、まず、今、電気の安定供給という言葉があるんですけれども、その安定供給を市場で実現しようとしている。容量市場とか需給調整市場、これは整備の途中です。こういうのを通して安定供給の価値も市場で取引する。
ただ、市場取引がふえると、いわゆる取引費用というコストがかかります、これは経済学用語ですけれども。それを抑えるために、デジタル技術を活用して取引費用をできるだけ抑えないと、さまざまな市場が、非常に社会的コストがかかる。
それから、基幹送電網は、より広域に系統を整備して運用をする必要があると思います。
もう一つは、しかし、エネルギーインフラ形成というのは長期的な視点からの投資が必要でありますが、市場はどうしても短期重視ということになります。固定費をいかに回収するか、その確実性を増して、長期投資の予見性を高める必要があります。これは今後の課題だと私は思っている。
もう一方は、先ほどの広域化する送電と分散化する配電で、需要側にはさまざまなエネルギーに関連する資源がありますから、配電系統には、それを取り込んだ新しいビジネスを展開するプラットフォームの機能を持たせるというようなことを考えております。
いずれも非常に大きなエネルギーシステムの転換を目指すものであって、共通するのは、デジタル技術を使った社会システムイノベーションというものをベースにすべきだというふうに考えております。
以上です。(拍手)