藤野保史の発言 (原子力問題調査特別委員会)
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○藤野委員 今回は回復どころか信頼を損ねているというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。
先ほど来お話ありますけれども、今回問題になったのは、二つの案のうちどっちをとったか。一つの案をとれば基準が不適合になる、そういう道に開いていくような案です。もう一つは適合になっていく、そういう案なんですね。こういうまさにぎりぎりのところで適合を選択し、不適合を選択しなかった。
私は、今回の経緯を見ていると、国会事故調の報告書を思い出すんです。国会の事故調の報告書には、既存炉の、既存で動いている炉の運転に影響のある、そういう新知見を認識しても避けたという記述が、津波についても地震についても繰り返し繰り返し出てくるんです。まさに既存炉の運転に影響を与える、今バックフィットというお話がありましたけれども、幾らそういうことを強調されても、まさにそういうクリティカルな、ぎりぎりの局面でそういう選択が今回行われたのではないかということが音声データで浮き彫りになっているわけでありまして、本当にこれは大変な問題だと思います。
もう一つ思い出したのは、田中前委員長がこの間、雑誌とか新聞のインタビューで、例えば、核燃料サイクルは回るんだというような、そういうことはうそだったと率直におっしゃって、原発はそういううそに基づいて推進されてきたんだという旨の発言を繰り返されております。
関電の問題もあります。今からもさせていただきますが、今、宮川委員からもありました日本原電等々の改ざんの問題もあります。そういうことに加えて、あろうことか、規制委員会までもがこういうことをやったのではないかと。国民の信頼に対する影響というのは甚大なものがあると。
逆に言えば、こうしないと原発というのは動かせないんだと。事業者も改ざんする、規制側もそういう選択をしていく、こうしないと原発というのは動いていかないんだということを、はしなくも、事業者も、そして規制側もみずから示したのが今回の事案ではないかと思っております。私は、こういう原発はもうやめるべきだということを改めて強く主張したいと思います。
その上で、関電の問題について質問させていただきます。
三月十四日に第三者委員会の報告書が出されました。これはまさに、国策で進められた原発の関連工事をめぐって、電気料金を原資とする多額の原発マネーが還流して、森山氏と関電幹部の異常な関係が温存し、拡大されてきたという実態、その一部を浮き彫りにしたものであります。
ただ、この問題の闇は、私はまだまだ解明されていないというふうに思うんですね。報告書自身も、例えば十九ページには、わざわざ本報告書の前提、限界という章を設けて、過去における本件問題の背景事情、これらを知る上で限界があった、限界、制約等が存したというふうに明記をされております。
我が党は全国各地に支部がありまして、高浜町にもあるんです。そして、高浜原発一号機、二号機、当初、立地当時から、まさに原発関連の工事をめぐる水増しとか空工事というのは地元で大問題になっているんですね。この問題を地元の支部の皆さんが分析してきた記録もあります。
また、現在、高浜町議会には、七〇年代、八〇年代から活動されている渡辺孝さんという我が党の議員もいらっしゃるんですね。今回私は、こうした方々から当時の様子をお聞きして、現地も調査してまいりました。その一部について質問させていただきます。
〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
配付資料の一をごらんいただければと思うんですが、これは高浜原発と大飯原発の真ん中ぐらいにある青戸入江というところの地図及びそれを拡大したものであります。
この青戸入江で、実は、高浜原発一号機当初から、建設と時期を同じくして、入り江の水面の埋立工事というのが盛んに行われたんですね。これでいいますと、赤とか青とか黄色の陸側の部分までずっと海だったんですけれども、これがずっと埋め立てられて今のようになっているということであります。これは公有水面なんです。
公有水面とは何かということを配付資料の二で、これは国交省のガイドラインなんですけれども、紹介させていただいております。
公有水面というのは、国の所有に属する公共用財産であり、国民共有の財産であるということなんですね。埋立てとか用地変更とか時々あるんですけれども、用地変更というのは、そういう国民共有の財産の帰趨にかかわる重要問題だから、しっかりチェックしなきゃいけないよというのが後半に書かれておりまして、そこに、黄色で塗っていますのは、「転売される等により利権化に繋がりかねないことから慎重な判断が必要である。」というふうに国交省のガイドラインに書かれている。
では、この青戸入江はどうだったのかということなんであります。
配付資料の三を見ていただきますと、これは、私どもが登記簿を調べて、配付資料の一でいう安土2、3、4、そして水明という土地についての所有者の移転についてお示しをしたものであります。
これによりますと、例えば一番上の安土2という地盤でいえば、埋立てを出願したのは若狭開発株式会社、埋立てが竣工したのは一九六九年二月、そのときは所有者が福放、これは福井放送なんですけれども、両者はいずれも代表者が同じ加藤尚氏であります。その後、余り時期を経ずに、その年あるいは翌年に関西電力に売却されております。
安土3という土地も安土4という土地も、ちょっと時間の関係で省略しますが、ほぼ同じ構造で関電の所有物になっているということであります。
私、青戸入江というのは何回も行ったんですが、これは、関電の社員寮とか、あるいは関電の原発訓練センターとか体育館とか、もうまさにこの地域は関電の専用の土地のような状況になっております。
配付資料の四を見ていただきますと、これは、今回、第三者委員会の報告書で、百四十九ページ、百五十ページを抜粋させていただいております。
「関電不動産開発による吉田開発への発注に関する問題点」というところで、関電不動産開発が、遅くとも二〇〇〇年ごろから、おおむね一年に一度、森山氏に対し、口頭又は書面により次年度に吉田開発に発注する予定の工事に関する情報の提供を行っていた、こういう指摘があります。この吉田開発に発注する予定の工事というのは、この関電不動産開発に限って言えば、ほぼ社宅や社員寮なんですね。
配付資料の四の右側に、平成二十九年度の計画工事というのが例として挙げられていますけれども、これは平成二十九年だけなんですが、私どもが吉田開発の工事経歴書を調べたところ、この吉田開発と関電不動産開発の関係の工事の全てがこの地域にある関電関連の社宅や寮でありました。
報告書によると、この社宅の工事に対して森山氏から、ことしは幾らくらいいけそうやというふうに聞かれて、いや、三千数百万円ですと答えたら、森山氏がもうちょっと何とかならぬかと強く要求して、それによって三千数百万円だったのが六千二百万円にふえたという生々しい記述もこの中に、報告書ではされております。
そもそも、なぜここが関電の社宅になったのかというところに私はきょう焦点を当てたいと思っておりまして、配付資料の五を見ていただきますと、これは、一九七〇年の九月二十八日に、若狭開発株式会社の加藤尚、先ほど言いました福放の、福井放送の代表取締役でもある加藤尚氏が、福井県知事の、当時の中川平太夫知事に提出した公有水面埋立免許申請書であります。
これによりますと、黄色で示しているところですが、「一部公益事業たる関西電力株式会社高浜原子力発電所建設の為めの従業員宿舎並に外人宿舎敷地としての強い要請に基き、公共用地として犠牲的に分譲せしにより代替地として御免許の程此の点充分御賢察賜わり度」、こういう趣旨なんです。
配付資料一に戻っていただきますと、例えば赤で囲っている安土3、2ですけれども、安土3、ここが、犠牲的にと書かれている、若狭開発が関電に犠牲的に分譲した土地だと。
ちなみに、外国人宿舎というのは、これは、高浜原発一、二号機の建設に協力していたウェスチングハウスの外国人技術者のことであります。
そして、この赤の2の横にあるのが安土なんですね、青いの。この安土4というのが、このときに加藤尚氏が代替地として、つまり、赤を犠牲的に関電に渡したんだから、青を今度また新たに埋立てさせてくれという要求をしているということなんですね。結局、この青も関電の所有地になっていきます。
この若狭開発株式会社の加藤尚氏というのは大変興味深い方でありまして、「二十世紀ふくい群像」という本によりますと、でっち奉公から大富豪になったという方なんですね。織物をもとに一代で財をなした、東京の一等地にも土地を持ち、終戦直後、全国長者番付の日本一位、福井の方なんですけれども、長者番付の一位になったという方、それぐらい大もうけされた方なんですね。
同時に、この「二十世紀ふくい群像」などには、福井の妖怪とか怪物、政商であったというような、そういう記述もあったり、実に虚実が渦巻いた人物だったという記載がされております。
配付資料の六を見ていただきますと、その一端なんですが、これは、加藤尚伝刊行会という委員会がつくった「評伝加藤尚 一念不動」という。米寿を祝う会というのをやったそうなんですが、開会の辞は福井銀行頭取、発起人代表が福井県知事、そして衆議院議員代表福田一さん、参議院議員代表熊谷太三郎さん、祝電披露は、内閣総理大臣中曽根康弘、郵政大臣、大蔵大臣竹下登さんと並んで外務大臣安倍晋太郎さんまで出てくる、自民党の最高顧問福田赳夫さんとか、日本民間放送連盟会長、読売新聞社社長、朝日新聞社社長など、まさに日本の政財界のトップが勢ぞろいしている。
配付資料の七を見ていただきますと、これは同じ伝記からなんですが、加藤氏と原発のかかわりを描いた部分なんですね。彼は、この原発によって本当に発展していくんだということでこの開発に乗り出したということが赤裸々に書かれております。
経産副大臣にお聞きしたいんですが、要するに、公共の財産、国民共有の財産である公有水面の埋立地が次々と関電のものになっていったそのプロセスに、中央財界とも、政財界とも深いつながりのあった福井財界のトップが直接深く関与していたわけですね。これは森山氏が登場する以前なんです。
ですから、今回の調査、これはこれで一つの調査だと思いますが、しかし、やはり事の真相を明らかにしようとすれば、森山氏以前、しかも、国とか政治家の関係を含めて調べないと、これはやはり本当の真相はわからないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕