秋山哲男の発言 (国土交通委員会)

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○秋山参考人 中央大学の秋山と申します。
 最初に簡単に自己紹介だけして中に入りたいと思いますが、私は、都立大学におきまして三十数年間、アクセシビリティーとそれからモビリティーの研究をずっとやってまいりました。その間、博士論文もこの分野でとりまして、なおかつ国や地方自治体のさまざまな計画に携わってきました。
 今回、ここでバリアフリーの法案について御意見を述べさせていただくのに、合計四点ほどメモに書きました。一つは、国際的な比較を通して日本のバリアフリーがどういう形になっているか。二点目は、今までのバリアフリーがどうなっていたか。三点目が、今回の法律の概要。そして四点目に、その評価という流れでお話をしていきたいと思います。
 最初に、一番目に、国際的な比較を通した日本のバリアフリーの評価ですが、一の一で、「欧米の努力が日本に影響したもの」ということで、米国、ここにスウェーデンが抜けていますが、スウェーデンについてはきょう割愛しました、ノーマライゼーションの極めて重要な国ということですが、それから、英国、そして国連と、三つ書きました。
 最初に、米国は、やはり、ベトナム戦争以後の、建築物をバリアフリーにしないといけないという建築障壁撤廃に関する法律がつくられた。各国とも、同様に、この時期にほとんどの建築の法律が欧州などではつくられています。
 それから、リハビリテーション法は、これは公共交通をバリアフリーにしなさいということで、予算が政府が補助あるいは自治体が補助したものについては全てバリアフリーにしなさいという法律でした。
 それから、ユニバーサルデザインは、アーキテクチャル・バリアズ・アクトという一九六八年の法律が出たけれども、これがやはり、余り障害者に使いよくないとか、デザイン的に悪いというので、ユニバーサルデザインという考え方が出てきたわけです。
 そして、その後ですけれども、ADAと呼ばれる障害を持つアメリカ国民法ができて、これが国連の障害者差別禁止法にも影響をしております。そして、日本には、もちろんバリアフリー法への影響とかユニバーサルデザインの影響に至っております。
 そして、英国については、DPTAC、これは日本にはないんですが、障害者が全体の平均、十五名いましたら八名以上を障害者の委員で占めるという全国的な組織でございます。これによってガイドラインを決めていくという英国の独特のやり方を通したということで、今でもこれが続いております。障害者の差別禁止法も英国ではつくられています。
 そして、国連は二〇〇六年に、恐らく米国などの動きとか英国とかさまざまな動きを総括する中で、差別禁止法、二〇〇六年にできまして、日本が二〇一三年に批准をしたわけです。
 そして、日本への影響というのは、このときに社会モデルそれから合理的配慮、これは米国のADAの中にリーズナブルアコモデーションとして既に一九九〇年代には載っていたんですね、それから、障害者差別解消法、これは日本でつくられたものです、こういう影響がまずあった。
 二点目ですけれども、日本のバリアフリー対策を区分で見ますと、一九七〇年代から二〇〇〇年ぐらいまではこれは手探りの努力の時代だったということで、最初に福祉が頑張って、次に建築に影響が出て、次に交通という、そういう手順になってきたと思います。
 そして、二番目に、自立して動き始めたのが二〇〇〇年の交通バリアフリー法からというふうに考えていただきたいと思います。
 三番目に、独自の努力に入り始めた時代というのは、二〇一〇年からと書いていますが、実質はオリパラ以降と思います。オリパラは、かなりのエネルギーを持ってバリアフリーが進んだ一つと理解をしております。
 一の三の、二〇二〇年までの成果ですけれども、例一で、公共交通のバリアフリーがかなり進んだというところです。施設では、大体八割から九割という整備率で進んできた。車両については、船舶はまだ五割を満たしていませんが、ノンステップバス、鉄軌道、航空機などの整備が進んできております。
 二つ目としては、空港のバリアフリーが世界トップクラスになったということです。これは、スカイトラックスという英国の会社なんですが、空港を評価する部門で、初めて移動困難者の部門が、PRMと呼びますが、そこでできた評価の結果、羽田が第一位で、二位が成田、関西が三位です。十位以上に六社も入っております。そして、ほかの分野ですと百位以内にやっと四つぐらいしか入っていない。そういう状況を考えますと、かなりバリアフリーの水準が高いということがわかります。
 二の、今までのバリアフリーの流れですけれども、二〇〇六年に、対象施設の拡大で路外駐車、都市公園、建築物、そして対象者の拡大が行われました。そして、二〇一八年には、共生社会の実現という基本理念をかなり大事にした考え方を示したり、社会的障壁の除去という。それから、二つ目に、貸切りバス、遊覧船も対象として入れないといけないということで車両を拡大したこと。三点目は、バリアフリーの重点的、一体的整備をやるわけですけれども、こういうことを市域全体、都市全体に拡大したということがあります。そして四点目に、心のバリアフリー、当事者による評価とか評価会議などがスタートしましたけれども、心のバリアフリーは、多分、今回の法案にかなり依存する、そういう形でつくられたように思います。
 そして、次のページの、「今回の法律の概要」ですけれども、皆さん御存じだと思いますので、今回の法律の大きな点はソフト的対策の取組をやったということで、四番目から行きたいと思いますが、今回の法律の特徴というのは、二〇一八年で基本理念を示して、ハード中心であったバリアフリー化に対して、二〇二〇年の法律は心のバリアフリーや公共交通事業者のソフト基準とか協議応諾義務などのソフト面も加えて、高齢者、障害者等の対応をいかに図っていこうかという努力の特徴がありました。
 そして、その中で、四の二の、「今回のバリアフリー法改訂で評価できること」というのは、一つはソフト施策を重視したこと。これについては、中身については、我が国のバリアフリーはハードでは国際的に遜色ないレベルまで達しています。例えば、二年ほど前に欧米の空港の調査をして、ハード面では私どもの評価は四点か五点だったんですね、五点満点で。
 ところが、ソフト面がどうも、二点とか三点とか、やや心もとないということで、ハードをやはり日本は重視してきたねということで、今回は、ソフト面に力を入れる必要があるんだということを気づいていただいたという、重要な法案であるというふうに思います。
 それから、二つ目は、公立小中学校のバリアフリーに踏み込んだこと。これは、今まで文科省は、ここをずっとバリアフリーをやらないで来たんですが、ようやくやる努力をするという流れの中に大きく入った。これはとても重要なことで、今後これをスピード感を持ってやれば、災害時にとってもとても役に立つ対策の避難所としての役割も十分担えるんじゃないかというふうに思います。
 三点目ですけれども、「バスターミナル機能を有する道路施設を対象としたこと」ということですが、道路法によってバスターミナルがつくられたのがバスタ新宿なんですが、評価をずっとしてやってきたんですが、やはり使いにくいんですね。空港と比べると格段にレベルが落ちます。これは、バリアフリーの水準というよりは、一般的な都市の水準より落ちるので、やはりこういう法律があることによってバスタ新宿はもっとよくなるはずであるという理解をしました、今回の法律の評価については。
 今後の期待ですけれども、一つ目は調査段階から当事者参加を入れるということで、インクルーシブデザインの研究者でジャムさんという英国の人は、調査の設計表から障害者が入っていくことが大事であるということを言っております。
 それから、国連の権利条約で、藤井克徳さんから伺っておりますけれども、私たち抜きで私たちのことを決めないでという言葉が国連のところでいかにたくさん出てきたか。
 それから、成田空港で、私が座長をやっております、インクルーシブデザインを実践していくことが必要だと考えて二年ほど実践をしてきました。そのルールは下の方に書いてございます。そして、できた成果も、やはりインクルーシブをやるとこんなに違うんだということをある程度見てとれると思います。
 それから二つ目に、心のバリアフリーの仕組みが必要というのは、心のバリアフリーのかけ声はとても大事だし今後やるべきだと思うんですが、英国あるいは海外の空港の調査をしたときに、向こうには仕組みがちゃんとある、日本はまだ仕組みがこれからだという。今回、その仕組みの一歩を何とか踏み出そうとする努力は見られるんですが、やはり仕組みがあるのとないのとでは大違いである。
 具体的に申しますと、JALとANAとエジプト空港があるとすると、そこの間にはサービスの差があるはずだ、したがって、一元化してやらないとだめだよというのが欧州あるいはアメリカの政策です。日本はそこがまだばらばらのサービスなんです。これでは、エジプト航空に乗った人はサービスが非常に悪くて、JAL、ANAはとてもいいじゃ話にならない。
 これは、IPCの理念、IPCというのはインターナショナル・パラリンピック・コミッティーが、ガイドラインを各国ともつくりなさいと言ったときに、英国あるいはブラジルそして日本、それぞれ独自でつくっているのは、各国ともでこぼこ、バリアフリーにでこぼこがあってはいけないんだ、そういう考え方です。
 したがって、航空間もでこぼこがあってはいけないんだ、あるいは鉄道間もでこぼこがあってはいけないんだ。そのところがかなり重要ですので、そういったことを意識して心のバリアフリーの仕組みをつくっていただきたい。
 三点目は、地方の鉄道の無人化とか人口低密度地域のモビリティーとアクセシビリティーが両方とも壊れかけている。壊れかけているというかやれていない。これについて積極的な関与がどうしても必要である。
 私は、ある鳥取の田舎町に行って高齢者のドライバーの調査をしたら、九割の人が運転をして、今後やめるつもりがない。そして、これをどうするかというお話もなかなかまだまだ先の話で。そして、なおかつバリアフリーとあわせて一体的にやらないといけないというのが、この三番の問題というふうに考えております。
 あと、参考についてはお読みいただければと思います。これについては、羽田空港と成田空港はパンフレットがちゃんと、五十ページ近くにわたるパンフレットがそれぞれありますので、いつでも御提供いたしたいと思います。
 以上です。(拍手)

発言情報

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発言者: 秋山哲男

speaker_id: 19552

日付: 2020-03-31

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会