荒井聰の発言 (国土交通委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○荒井委員 旧河川局、お尋ねします。
今回の球磨川については先ほど質疑がありましたけれども、今回、一級河川の最上川が溢水した。これは恥ずかしいことだ、今まで何をやっていたのかと。特に最上川上流にある水窪ダムというのが、私が農水省に入って最初に設計と監理をした、工事をしたときのダムなんですね。東北で、利水ダムとしては最大の利水ダムだったと思いますけれども、そこが治水に貢献していればうまくいったのではないだろうかという思いがあるぐらいなので、私は、この二月に流域治水という考え方を打ち出したというのは画期的な治水政策の転換だと思います。それがうまくまだ使われていないのではないか、そういう思いを持っています。
きょう本当は言いたかったのは、磯田道史さんという災害歴史学者がいます。その方が、日本の治水についてテレビで特集番組を組んでいまして、その中で、治水三傑という、三人の著名人を挙げています。武田信玄、津田永忠、金原明善という三人です。これはいずれも、日本の雨の降り方やあるいは地理の関係、そういうものと関係して治水政策をずっと進めたんですね。
武田信玄がすごいのは、信玄堤という話がよく出てくるんですけれども、信玄堤をつくったことがすばらしいのではなくて、その堤をずっと守れる仕組みをつくったことなんです。信玄堤のすぐそばに住んでいる人たちの税金を免除して、絶えずその堤が、堤防が良好に守られているかどうかということを監視するシステムを地域につくり上げたんです。したがって、そこはなかなか破れなかった。破れなかったというか、溢水も破堤もしなかったんですね。そういう仕組みが今の日本につくれないのか。僕はつくれると思うんですよ。
今の河川堤防で危ないところというのは、危ないところを全部悉皆調査をやったらいいですよ、一級河川について。溢水するところ、破堤するところ、そういうところについては監視が行き届くような仕組みというのをつくるべきだと思います。
それから、津田永忠という人は児島湾干拓の開祖ですよね。単なる治水だけではだめだ、それが結果的にはその地域に、農民にプラスになるような、経済的メリットを与えるような仕組みをつくらないとだめだということで干拓事業と結びつけたんです。諫早湾干拓なんかもそうですね。諫早は、あそこも洪水常襲地ですよ、干拓をすることによって洪水常襲地が免れたんです。
金原明善という人、この人は天竜川の治水事業で極めて影響のあった方です、功績のあった方です。その方は天竜川周辺の森林の整備をやったんです、植林をやったんです。そのことによって、あの暴れ川と言われている天竜川がうまくいくようになったんです。
私は、旧河川局に、何となく親近感を感じていますので絶えず言っているのは、治水を扱う人は、何らかの経済的なメリットが与えられるような、そういうものと組み合わせなければ本当の治水にならない、今まで日本の成功した治水技術者というのはそういうことに着目して治水事業をやってきたじゃないかという話をしております。
まあ、上下流の水問題というのは物すごく難しくて、アフガニスタンで殺された中村哲さん、あの方は極めてすばらしい仕事をアフガニスタンでしたのに殺されました。なぜかというのはいまだわからないんですけれども、でも、中村哲さんがあそこで水をとれば、下の人は水が足りなくなって困っちゃうんですよね。だから、上流では偉人であっても下流では悪人になるんですよ。
治水事業というのもそういうところがあって、上流でダムをつくっても、そのメリットを受けるのは下流なんですよ。上流でメリットを受けるような仕組みをつくらない限り本当の流域治水にならないということを私は指摘して、大臣、最後に何か御意見がございましたら。