坂本哲志の発言 (農林水産委員会)

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○坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。
 今回、四十分の質問の時間をいただきました。理事の皆さん方に心から感謝を申し上げたいと思います。
 まず、酪農におきますヘルパー制度についてお伺いをいたしたいと思います。
 我が国の酪農、とりわけ都府県酪農は、厳しい局面を迎えております。この十年間の動向を見ましても、十年前の平成二十二年の都府県の酪農家の戸数は一万四千三百戸でございました。昨年、平成三十一年、令和元年の都府県酪農の農家戸数は九千百戸ということで、この十年間で五千二百戸も減少をいたしております。
 高額の設備投資やふん尿処理対策、そして年間平均の労働時間の長さ、こういったものが大きな障害となっているところであります。もし都府県酪農の中で、年間労働時間という働き方問題、そして流通コスト、さらには環境対策のこの三点が改善されれば、都府県酪農はこれほどの減少にはならないと思います。
 世界の各国でも、この三点につきましてはさまざまな試行錯誤が行われ、酪農業の維持に努めているところであります。このうち今回は、働き方改革の問題もありまして、労働時間をできるだけ短縮するためのヘルパー制度について取り上げてみたいと思います。
 酪農の先進地でございますヨーロッパの酪農は、企業型大規模経営を中心とするイギリスやフランスの酪農と、それから家族経営を中心といたしますスイス、ドイツ、フィンランドなど、二極化になっております。
 イギリスは、十六―十八世紀に行われました囲い込み運動によりまして、多くの農民の方々が都市工場の労働者として供給をされました。その結果として、空洞化した農村部では結果的に大規模酪農が行われることになりました。フランスにおきましても、広大な農地を活用して大型酪農が進められております。
 しかし一方、ドイツ、スイス、フィンランド等は家族経営中心で、家族経営に対してさまざまな支援策を行っているところであります。特にスイスにおきましては、景観保護の観点から、憲法で家族経営を規定しております。草地の面積や飼養頭数において、一定の直接支払いを実施する規模を規定いたしまして、農家に交付金を交付をいたしております。逆に、一定の規模以上になるとこれらの交付金が打ち切られるという徹底したものであります。
 これら家族経営を重視する国で最も力を入れている制度が、ヘルパー制度でございます。家族の負担を少しでも減らし、家族経営を持続させることによって、国民一人一人の酪農業への意識を高め、景観や草地、国土を守るという気宇壮大な国家政策に基づいているからであります。
 家族経営を重視する国のヘルパー制度の特徴は、まず、社会保障制度の枠組みの中で行われているということであります。そして、ヘルパー制度におきまして、ヘルパー専門の労働者として一定の所得が保障されているということであります。我が国も、近い将来、ヘルパー制度を社会保障制度の一環として位置づけ、ヘルパーの方々の所得を確保し、誇りあるヘルパー事業者として制度を確立させる必要があると思います。
 そこで、我が国が最も取り入れ可能な制度として、フィンランドのヘルパー制度を紹介をいたしたいと思います。
 フィンランドは、国土面積が三十三万八千平方キロメートルでありますので、三十七万平方キロメートルの我が国とほとんど変わりません。人口は五百五十万人で、我が国の二十四分の一であります。国土は平たんでありますけれども、四分の一が北極圏にあり、作物の作付が不可能と言ってもよい国土であります。国の七割が森林に覆われ、十八万もの湖沼があります。まさに我が国の森林面積割合と同じであり、湖沼の数も、我が国も二十二万と言われますため池の数と酷似をしているところであります。
 ヘルパーの運営主体は、Melaと呼ばれます農業者社会保険組合で運営をされております。農業者の健康増進と酪農経営の持続性を維持することを目的としております。全国で四十二支部、そして職員数が百六十人。四十二支部は自治体単位であり、ヘルパーは、Melaと自治体が連携をして運営をしております。Melaの年間予算は十億ユーロ、日本円にいたしまして約千五百億円でございます。加入農家数は四万五千戸、農業従事者五万九千人、そして農業年金受給者十一万九千人となっているところであります。加入者は、農家、それから漁師、あるいはトナカイ等の牧畜家、そして林業家でございます。予算規模の十億ユーロのうち、年金徴収は一五%であり、残りは税収から補填をされております。
 ヘルパー部門は、一九七四年にスタートいたしました。現在、四十六年が経過をしているところであります。現場マネジャーは、一地区一人の四十二人。現場チーフは、全国で二百人。フルタイムヘルパーが三千二百人、パートタイムヘルパーは千人登録をされております。
 ヘルパー利用の手順は、まず、利用希望農家から、四十二地区のそれぞれの自治体に申請をいたします。自治体が、現場マネジャーと相談をして、必ず一人のベテランを加えて、二、三人のヘルパーを酪農家に派遣するということになっております。
 フィンランドでは年間二十六日の有給休暇をとることが義務づけられておりますので、二十六日間のヘルパー派遣は無料であります。農家の傷病時の利用としては、原則として有料になります。
 ヘルパーの収入は、時間当たり三十ユーロ、四千五百円であります。フルタイムヘルパーの平均年齢は五十歳、パートヘルパーは若者が多いと言われております。フルタイムヘルパーは、月収で四十万程度になりますので、専業が大部分を占めております。パートタイムヘルパーは、新規就農の希望を持つ者が多いというふうに言われております。
 ただ、ヘルパー人材の確保の難しさは、フィンランドも日本も同じであります。Melaでは、自治体と連携をして人材確保のPRをしているところでありますけれども、給与確保が課題ということであります。ヘルパーの給与は、ヘルパー労働組合と自治体の交渉で決まるため、Melaは関与をいたしません。フルとパートの賃金割合も、自治体の予算によって割り振られます。労働時間が変則的であるために、ヘルパーの確保が今後フィンランドという国の生乳生産量の鍵を握るというふうにも言われております。
 これが、フィンランドのヘルパー制度の概要であります。
 それに対しまして、我が国のヘルパー制度はどういうふうになっているんでしょうか。
 我が国の、一般社団法人酪農ヘルパー全国協会によりますと、全国のヘルパーの利用組合数は、平成三十年で二百八十八組合、北海道が八十六組合、都府県が二百二組合であります。組合組織の形態は、都府県の二百二組合でいえば、任意組合が百六十八、農協関連が三十一、それから法人が三であります。八割以上が任意の組合で、酪農家によってヘルパー制度が守られていると言っていいと思います。
 ヘルパー要員は、平成三十年で専任が全国で千六十二人、臨時が八百二十六人の合計千八百八十八人であります。このうち都府県は、専任が五百五十九人、臨時が四百七十八人で、臨時の割合が非常に多くなっております。
 一回当たりの派遣人数と利用料金は、全国平均で、派遣人数が一・六九人、一日の利用料金が二万三千九百七十二円。つまり、一人当たりの利用料金は一万四千六十円ということになりますが、これは利用料金でありますので、この中からヘルパーの給与が支払われるということになります。この金額は都府県も北海道も余り変わりませんし、一戸当たりの年間の利用日数は二十三・二日というふうになっております。
 財源は、ほとんどが酪農家の拠出によるものであります。中には農協が補助したり、自治体が補助している例もありますけれども、その実態はさまざまであります。
 つまり、我が国のヘルパー制度は、各農家による任意の利用組合で成り立っている。時給もヨーロッパに比べて低く、非常に不安定な仕組みであるということが浮き彫りになってまいります。このような制度の実態が続くならば、酪農の働き方改革はほど遠く、酪農家の減少、とりわけ都府県酪農の減少が続いていくことは間違いありません。
 そこで、我が国の今後の酪農、とりわけ都府県酪農を持続させていくために、新たな視点に立った公的ヘルパー制度の確立が必要であるというふうに考えております。
 まず、現在のように、各酪農家の任意による利用組合でいいのかという問題があります。各ブロックの指定団体を中心として、公的にヘルパーを組織をして、ヘルパーとの雇用契約を結ぶべきではないでしょうか。
 二番目に、今回、国の働き方改革で、雇用契約を結んでいる一般企業につきましては年五日の有給休暇が義務づけられることになりました。その国の方針を酪農家にも当てはめるべきであります。まず、年間五日間については農家が無料でヘルパー利用を可能とすべきではないかというふうに考えます。
 そして、三番目に、その財源としてALICからの補助が考えられないのでしょうか。あわせて、酪農家の利用料金を増加させるとともに、ヘルパーの時給もふやすべきであるというふうに考えますけれども、御答弁をお願いいたしたいと思います。

発言情報

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発言者: 坂本哲志

speaker_id: 471

日付: 2020-03-19

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会