堀内丸恵の発言 (文部科学委員会)

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○堀内参考人 出版広報センターで副センター長を務めております、集英社の堀内でございます。
 本日はこういう機会を与えていただきまして、御礼申し上げます。
 本日は、インターネット上の海賊版サイトがもたらす深刻な被害実態を御説明した後、被害を防ぐための法改正が必要と考える理由などについて意見を申し上げます。
 なお、申し上げる内容は、出版社と一枚岩となって海賊版に対峙してきた漫画家を含めた権利者側の総意でもございます。
 まず、私ども出版社と漫画家は、海賊版対策を推し進めるため、緊密に連携をしております。具体的には、出版九団体の横断的組織である出版広報センターと、漫画家の主要団体である公益社団法人日本漫画家協会とがその連携の中心となって活動しております。ちなみに、出版広報センターの概要については、配付資料一を御参照いただければと思います。
 こうした連携に基づいた具体的アクションを御紹介いたします。
 出版広報センターと日本漫画家協会は、昨年九月に、海賊版対策のための侵害コンテンツのダウンロード違法化とリーチサイト対策を求める声明を共同で発表いたしました。配付資料二がこれに当たります。
 この声明では、脱法行為を容易に招かず、かつ、善良なユーザーに過度な萎縮が生じない、バランスのとれた法整備を両者がそろって要望いたしました。パブリックコメントでも、この趣旨に沿って、それぞれから政府に意見をお届けしました。
 さらに、法整備の具体化に向けて、昨年十一月から文化庁のもとで開催された政府有識者検討会の構成員として、私堀内が出版社を代表する形、そして、漫画家であり日本漫画家協会常務理事の赤松健さんが漫画家を代表する形で、詳細な要件設定を含む議論に参加させていただきました。
 この有識者検討会の後、ことし二月には、今国会での迅速な法改正を求めて二度目の共同声明を発表しました。こちらが配付資料三でございます。
 このように出版社と漫画家とが連携を続けてきた経緯を踏まえ、本日は、この後の質疑も含めて、漫画家の思いも私が代弁できればと思っております。
 さて、二〇一七年秋から二〇一八年春にかけて猛威を振るった巨大海賊版サイトの漫画村は先生方も御存じかと思います。およそ三千二百億円相当の漫画がただ読みされたと試算される漫画村は、既に閉鎖され、運営者とされる人物は逮捕に至り、現在は裁判中です。
 しかし、今もってなお多数の海賊版サイトがばっこし、その被害は重大かつ深刻です。出版社や漫画家だけでなく、電子取次、電子書店など、正規版コンテンツの流通にかかわる全ての当事者にとって、今や死活問題でもございます。
 漫画村はもう存在しないんだから海賊版対策はそれほど必要ないというようなことは、実態に即していません。今、こうしてお話ししている瞬間にも、海賊版サイトが悪質な被害を生じさせているのが実態です。
 四月末の時点のデータを御紹介しますと、出版広報センターが把握しているだけでも、重立った海賊版サイトはおよそ五百サイトございます。この五百サイトのうち、アクセス数上位の十サイト合計で、四月、延べ八千八百万近くのアクセスがございました。また、この上位十サイトのうち、月間アクセス数が延べ一千万を超えるサイトが四つございます。その四つのうち三つがダウンロード型海賊版サイトでございます。
 ダウンロード型海賊版サイトとは、ユーザー自身の端末に海賊版コンテンツのダウンロードと保存をさせた上で、ユーザーに閲覧させることを目的としたサイトのことです。したがって、現在の海賊版サイトによる被害は、主にダウンロード型海賊版サイトによるものというように御理解いただければと思います。
 深刻な被害を受けているのは、漫画に限りません。定期刊行されている雑誌、あるいは有名作家の文芸書、また、人気タレントの写真集ほか、最近では辞書など、多くの出版物が、特殊な方法を用いることなくダウンロードできる状況が続いております。
 ダウンロード型海賊版サイトは、サイト運営者だけでなく、サイトを利用するユーザーにも都合がよいものです。ユーザーが海賊版コンテンツを一旦ダウンロードしてしまえば、そのサイトが閉鎖されても、その後も、自身の端末に保存されている海賊版コンテンツを引き続き閲覧できます。
 つまり、ダウンロード型海賊版サイトを抑え込むには、サイト運営者への対策だけでは不十分で、海賊版と知りつつダウンロード行為を試みるユーザーへの対策の組合せこそ、十分な実効性が確保されます。
 したがって、海賊版コンテンツをダウンロードする行為を防ぐには、そのような行為を違法とすることが欠かせません。なおかつ、海賊版サイトや海賊版コンテンツにアクセスしやすくする悪質な行為を防ぐため、リーチサイト対策も欠かせません。この二つの法整備が組み合わされることによって実効性の高い海賊版対策が進むものと確信しております。
 ここで、漫画家の赤松健さんの訴えを御紹介します。赤松さんは、私とともに有識者検討会での議論に参加しましたが、御自身が漫画家である立場から、海賊版の被害をわかりやすく、繰り返し訴えられております。
 すなわち、正規版コンテンツ発売開始の翌日には、早速海賊版サイトに御自身の作品がアップロードされてしまうこと、それが正規版コンテンツ並みの高画質であること、さらに、もっと重要なのは、電子版のみで活動している新人、若手漫画家が海賊版サイトによって収入源を断たれ、筆を折らざるを得ない。こういった訴えは創作者として悲痛な叫びに近いものでした。
 赤松さんの訴えからわかるのは、ダウンロード型に限らず海賊版サイトというのは、今後の漫画文化それ自体を回復不能なまでに破壊するということです。これから時代や国を超えて多くのファンに愛される作品を新たに生み出す漫画家は、今の新人、若手漫画家の中にこそいるはずだからです。彼らの才能や夢が大きく花開く前に、海賊版によって根こそぎ奪われるようなことがあってはならないと思います。
 また、コンテンツ産業という面から見ても、海賊版サイトが奪うのは漫画の単行本の売上げや利益だけではありません。今や漫画は、アニメ、映画、ドラマ、ゲーム、グッズ、イベント、舞台など立体的でグローバルなコンテンツ展開の基盤となっています。漫画の海賊版がはびこれば、この基盤を失い、日本のコンテンツエコシステム全体にも悪影響が及びます。
 このように文化、産業の両面で海賊版が及ぼす影響が極めて深刻であることをぜひ御理解いただきたいと思います。
 私ども出版社や漫画家は、海賊版撲滅のための自主的努力として、海賊版コンテンツの削除要請や国内外での訴訟提起を始め、一般ユーザーへの普及啓発活動、また、正規版コンテンツであることを示すABJマーク、オーソライズド・ブックス・ジャパンを略してABJマークというのを正規版に今つけております、の創設、運用など、さまざまな取組を重ねてまいりました。こうした取組を今後もより一層強化していく一方、海賊版に対峙する被害当事者の背中を強力に後押しする内容の法改正と、この法改正によって効果的な海賊版対策が進むことを心から希望しています。
 最後に、御審議いただく著作権法改正案の内容につきましては、かねてより出版社と漫画家が一貫して求めてきた、脱法行為を容易に招かず、かつ、善良なユーザーに過度な萎縮が生じない、バランスに配慮された適切な内容と受けとめております。御審議の後、一刻も早く成立することを切望しております。
 私からの陳述は以上です。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 堀内丸恵

speaker_id: 365

日付: 2020-05-20

院: 衆議院

会議名: 文部科学委員会