加藤勝信の発言 (厚生労働委員会)
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○国務大臣(加藤勝信君) 厚生労働委員会の開催に当たり、私の所信を申し上げます。
国民の皆さんの安全、安心の確保に万全を期すとともに、我が国の経済社会の発展に寄与すべく、厚生労働行政の諸課題に全力で取り組みます。
今般の新型コロナウイルスに関連した感染症については、国民の皆様の健康と命を守るため、これまで水際対策と国内の感染拡大防止策の強化を図ってきました。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号については、三月一日、全ての乗客乗員の下船が完了しましたが、引き続き、下船した乗客乗員の健康管理を適切に行ってまいります。これまでのクルーズ船における対応についてはしっかりと検証を行い、今後の対応につなげてまいります。また、現在、国内の複数の地域で感染経路が明らかでない患者が散発的に発生し、小規模な患者の集団が把握されており、まさに今が今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で極めて重要な時期です。政府としては、今後の状況の進展を見据えて、国民の皆様や企業に対する情報提供、サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制等について、現在講じている対策と今後の状況の進展を見据えて講じていくべき対策を整理し、基本方針として取りまとめました。基本方針等を踏まえた対応を実施していくとともに、雇用調整助成金を始めとする必要な支援を速やかに実施してまいります。
また、各地の自治体とも一層緊密に連携して、国民の皆様の御理解と御協力を得ながら、あらゆる事態を想定して必要な対応を図り、国民の皆様の安全、安心に万全を期してまいります。
あわせて、今夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けて感染症の検疫体制を強化し、発生動向の調査、監視を徹底するとともに、風疹の抗体検査及び予防接種を着実に実施するため、企業への働きかけや国民の皆様に向けた広報の強化に取り組みます。
昨年は、台風や記録的な大雨による甚大な被害が全国各地で発生しました。改めまして、亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災された方々が一日も早く安全、安心な生活を取り戻せるよう、スピード感を持って令和元年度補正予算に基づく対策等を講じるとともに、相次ぐ自然災害から国民生活を守れるよう、医療、福祉、水道施設等の強靱化に取り組みます。
また、東日本大震災の発生からもうすぐ九年が経過します。引き続き、私自身も復興大臣であるとの強い意識の下、被災者の心のケア、医療・介護提供体制の整備、雇用対策などに全力で取り組みます。
人生百年時代の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて、年金、医療、介護など社会保障全般にわたる改革を進めてまいります。これにより、現役世代の負担上昇を抑えながら、未来をしっかりと見据えた、全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度を構築してまいります。
昨年九月に、安倍総理を議長とする全世代型社会保障検討会議が設置され、年末には中間報告を取りまとめました。まずは、この中間報告を基に、高齢者雇用や年金の法的整備を進めます。
また、医療についても、七十五歳以上で一定以上の所得がある方の窓口負担割合を新たに二割負担とすることや、かかりつけ医機能の強化等を図るために大病院受診時の定額負担を拡充することについて検討を進め、今夏の最終報告に向けて関係審議会等での議論を本格化します。
少子高齢化が進む中で、高齢者、複数就業者等に対応したセーフティーネットの整備や就業機会の確保等を図り、誰もが安心して活躍できる環境の整備を進めることが重要です。このため、七十歳までの就業機会の確保、兼業や副業を行っている労働者等に関するセーフティーネットの整備、大企業に対する中途採用比率の公表義務化、雇用保険制度の見直し等を内容とする改正法案を今国会に提出しました。また、高齢者が安心して安全に働けるよう、増加する転倒災害の防止等の労働安全衛生対策にも取り組みます。
いわゆる就職氷河期世代の方々に対しては、お一人お一人の事情に即した支援が求められています。支援に携わる関係者等を構成員とするプラットフォームを全ての都道府県に設置し、働くことや社会参加を支援します。
年金制度については、老後生活の基本を支える公的年金の安定的運営と充実に努めるとともに、老後生活の多様なニーズに対応する私的年金の普及促進を図ってきましたが、高齢期でも働く意欲のある方が増えるなど、社会経済の変化に対応した制度を構築する必要があります。昨年の財政検証結果を踏まえ、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、年金受給開始時期の選択肢の拡大を図るとともに、確定拠出年金の加入可能要件を見直すなど、年金制度の機能強化のための改正法案を今国会に提出しました。
年金事業運営については、日本年金機構の第三期中期目標・中期計画に基づき、国民年金保険料の収納対策、厚生年金保険の適用促進など、事務の適切な実施に引き続き努めるとともに、年金生活者支援給付金制度を着実に実施します。
医療分野では、二〇二五年の地域のニーズをしっかりと把握し、地域における病床機能の最適化を目指す地域医療構想、医療現場における長時間労働の是正を目指す医師の働き方改革、医師の最適な配置により地域間、診療科間の医師偏在解消を目指す医師偏在対策を一体的に進めます。また、本年四月に予定されている診療報酬改定を通じ、患者、国民の皆様にとって身近で、安全、安心な質の高い医療を実現してまいります。
あわせて、健康寿命の延伸を図るため、ナッジ理論などの行動経済学の知見も活用するとともに、国保の保険者努力支援制度を抜本的に強化し、予防、健康づくりを推進します。
さらに、ゲノム医療、AI等の最先端技術の活用など、データヘルス改革を推進します。特に、昨年成立した健康保険法等改正法に基づき、医療保険のオンライン資格確認の導入や、マイナンバーカードの健康保険証利用等の円滑な施行を進めていきます。
医薬品、医療機器産業については、革新的な医薬品等の開発を促進する環境の整備に取り組むとともに、後発医薬品の使用促進やベンチャー企業への支援を実施します。また、昨年成立した医薬品医療機器等改正法に基づき、先駆け審査指定制度や条件付早期承認制度、機能別薬局の認定制度等について、円滑な施行を進めていきます。
人口減少、地域社会の変容が進む中で、地域社会とのつながりを失い孤立するケースや、家庭の中で複合的な生活課題を抱えるケースが生じています。こうしたケースに対応するため、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援の三つの支援を内容とする包括的な支援体制の構築を推進し、地域共生社会の実現に向けて取り組みます。
また、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設など、希望する法人が円滑に連携・協働化に進めるような環境整備を進めます。
介護保険制度については、地域包括ケアシステムを推進するため、介護予防、地域づくりの推進や、共生と予防を車の両輪とした認知症施策の推進、地域特性等に応じた介護基盤の整備、生産性の向上、医療、介護のデータ基盤の整備等に取り組みます。
こうした取組を通じて、地域共生社会を実現するため、関連法案を今国会に提出しました。
さらに、介護の受皿を五十万人分増やすとともに、介護職員の処遇改善、高齢者等の介護就労への参入促進、介護という仕事の魅力発信などの総合的な人材確保対策や、仕事と介護の両立が可能な働き方の普及に取り組み、介護離職ゼロを目指します。
一億総活躍社会の実現に向けて、働き方改革関連法の円滑な施行に努めます。特に、本年四月以降、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を図る同一労働同一賃金に関するルールが順次施行されるとともに、中小企業において時間外労働の上限規制が施行されます。このため、制度改正に関する丁寧な周知に加え、生産性向上や非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善に取り組む中小企業に対し、きめ細やかな支援等を行います。
経済の好循環を実現するためには、賃金の引上げが重要です。最低賃金については、昨年、全国加重平均で二十七円引き上げて九百一円となり、昭和五十三年度に目安制度が始まって以降で最大の引上げ幅となりました。また、最低賃金額の地域間格差について、十六年ぶりに改善しました。今後も、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備するとともに、景気や物価動向を見つつ、地域間格差にも配慮しながら、最低賃金がより早期に全国加重平均千円となることを目指します。
あわせて、全ての方がその能力を存分に発揮できる社会や個々人の主体的なキャリア形成が可能となる社会を実現するため、リカレント教育を始めとした人材育成の強化、女性、若者、高齢者、障害者等の就労支援、柔軟な働き方がしやすい環境整備の推進、雇用類似の働き方に関する検討等に取り組みます。
本年六月以降、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務が大企業から施行されるため、本年一月に策定した指針の内容などについて、企業への周知に努め、その円滑な施行に取り組みます。
また、公務部門における障害者活躍推進計画の作成、公表義務化など、昨年成立した改正障害者雇用促進法の円滑な施行に取り組み、障害のある方が希望や能力に応じて生き生きと活躍できる社会の実現を目指します。
我が国で就労する外国人労働者が増加する中で、その能力を有効に発揮できる環境を整備するとともに、技能実習制度については、悪質な送り出し機関の排除や、外国人技能実習機能の実地検査能力の強化等により、運用の適正化に努めます。
さらに、本年四月から施行される改正民法を踏まえ、賃金請求権の消滅時効期間の延長等を内容とする労働基準法改正法案を今国会に提出しました。
戦没者遺骨収集事業において、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されながら、長年にわたり適切な対応が行われてこなかったことについて、深い反省と、二度と繰り返さないという強い信念の下、有識者会議からの意見等を踏まえて、遺骨収集の方法等の改善に努めるとともに、事業実施体制を抜本的に見直します。
また、公的統計をめぐる不適切な取扱いにより、行政に対する信頼を損なう事案を生じさせたことについても真摯に反省し、厚生労働省のガバナンス強化や業務改革、統計改革等に全力で取り組みます。
待機児童の解消に向けて、子育て安心プランに基づき、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を整備し、保育人材の確保等を進めるとともに、市町村の特性に応じて重点的に支援していきます。
放課後児童対策についても、待機児童の解消に向けて、新・放課後子ども総合プランに基づき、二〇二三年度末までに約三十万人分の受皿を整備します。
幼児教育、保育の無償化について、関係府省とも緊密に連携し、施行の状況について引き続き注視するとともに、保育の質の確保、向上についても一層取り組みます。
子供たちの健やかな成育を確保するため、成育基本法に基づく基本方針の策定に向けた検討を進めるとともに、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援するため、子育て世代包括支援センターの全国展開を進めます。また、昨年成立した母子保健法改正法を踏まえた産後ケアの充実や、若年妊婦への支援等にも取り組みます。
児童虐待の防止については、子供の命を守ることを最優先に、全力を尽くします。具体的には、昨年成立した児童福祉法等改正法や、昨年三月に関係閣僚会議で決定された児童虐待防止対策の抜本的強化について等に基づき、保護者等による体罰の禁止、児童相談所の体制強化、設置促進、関係機関の連携強化等に取り組みます。
虐待などの事情により親元で暮らせない子供たちも、温かい家庭的な環境で育まれるよう、里親制度の広報啓発や里親家庭に対する相談支援の充実に努めます。また、児童養護施設等の小規模・地域分散化や退所児童等の自立支援体制の強化などを推進します。
子供の貧困対策については、昨年の子どもの貧困対策の推進に関する法律の改正を踏まえて策定した新たな大綱等に基づき、支援が届きにくい家庭の早期発見、早期対策など、関係施策の一層の充実に向けてしっかりと取り組みます。
受動喫煙対策については、本年四月の改正健康増進法の全面施行が円滑に行われるよう、国民や事業者への周知啓発、設備の整備に対する支援等に取り組みます。
がん対策については、第三期基本計画に基づき、がんゲノム医療の体制整備、治療と仕事の両立支援等を推進します。また、循環器病対策基本法に基づき、基本計画の策定に向けて議論を進めます。さらに、難病対策についても、法施行後五年の検討規定に基づき、関係審議会における議論の結果を踏まえ、必要な対策を講じます。
国際保健の分野においても、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進のほか、高齢化及び薬剤耐性を含む健康危機への対応等のグローバルな課題に的確に対応します。
また、改正食品衛生法に基づき、広域的な食中毒事案への体制強化等に引き続き取り組みます。
昨年十月に施行された改正水道法に基づき、広域連携、水道事業者の適切な資産管理、多様な官民連携の推進により、水道の基盤強化に取り組みます。
ハンセン病については、昨年十一月に施行された元患者の御家族への補償制度を着実に実施するとともに、ハンセン病に対する偏見、差別の解消に全力で取り組みます。
障害のある方々が生き生きと地域生活を営むことができるよう、日常生活の支援、グループホームの整備、文化芸術活動や視覚障害のある方々等の読書環境の整備の推進などに取り組むとともに、重度の障害がある方々の通勤や職場等における支援を含め、労働施策と福祉施策において切れ目のない支援の確立を目指します。また、精神障害のある方々が地域の一員として自分らしい暮らしができるよう、包括的な支援を受けられる仕組みづくりを進めます。さらに、障害福祉の人材確保のための取組を拡充します。
アルコール健康障害やギャンブル等依存症などの依存症対策については、医療相談体制の整備や民間団体の活動支援等に取り組みます。
生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度については、それぞれの改正法に基づき、就労、家計、住まい等に関する包括的な支援体制の強化に向けた取組等を着実に進めます。
自殺対策については、大綱等に基づき、SNSを活用した相談対応等、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた取組を推進します。
成年後見制度の利用促進については、基本計画に基づき、昨年五月に設定したKPIを踏まえ、中核機関の整備や市町村計画の策定等の取組を推進します。
委員長、理事を始め委員の皆様、国民の皆様に一層の御理解と御協力を賜りますようお願いいたします。