石田茂資の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(石田茂資君) 佐賀大学の石田でございます。
今日はこのような席にお招きいただきまして、ありがとうございます。手際よく進めたいと思います。(資料映写)
これは、今日御出席の先生方は御覧になったことがあるんじゃないかと思うんですけれども、日本のエネルギー自給率は一〇%で、電力に限りましても再エネの割合は主要国に比べて低いと。それから、赤で書いておりますけれども、導入目標がちょっとそもそも低めであるということを指摘させていただきたいと思います。
本日、海洋のエネルギーということでございますので、我が国の海洋における発電ポテンシャルということで、これはちょっと古くて十年ぐらい前のデータでございますし、エネルギーによって算出方法がちょっと違ってきますので倍半分ぐらいすぐ違っちゃうんですけれども、一目見て風力が圧倒的に大きいということはよく分かると思います。
一応千六百ギガワットという数字になっていますけれども、比べるものとして、例えば原発一基が普通一ギガワットというふうに言われております。それから、日本の発電、日本全体ですね、設備容量二百六十ギガワットということなので、非常に大きなポテンシャルを持っていると。あとのエネルギーはもうちょっと小さいんですけれども、そうはいっても、変動が少ないとかいろいろな特徴がございますので、うまく組み合わせていくことが必要ではないかなというふうに思っている次第です。
この風車の千六百ギガワットというのは、EEZ全部計算したとかではございませんで、右下にちょっと書いてありますけれども、大体離岸距離三十キロメートル未満ということでございまして、EEZ全体ですともっと膨大な風力エネルギーがあるということでございます。
ちょっと関連するものとしては、これ、洋上だけじゃないんですけれども、国内の風車設置のトレンドということでグラフを載せております。これ、二〇〇七年から二〇一六年までの年間のどれだけ風車を建てたかということでございますけれども、非常に大きな変動をしているということがお分かりになると思います。
幾つか要因があるんですけれども、二〇〇七年から補助金が三三%ですかね、出るようになったのが非常に大きいと。そして、二〇一一年にがくっと落ちていますけれども、これは環境アセスが強制化されたことによるものでして、環境アセスは風車に対しては非常に厳しくて、短くて三年、長くて五年掛かるというようなことで、その間は停滞したと。それで、二〇一四年ぐらいからは固定価格買取り制度ございましたのでまた伸び出しているということで、右の四角に書いてございますけれども、昨年末現在の累積導入量は大体四ギガワットということでございます。このグラフでいうと、ちょうど一番てっぺんのところまで行くわけですけれども、このように、政策や規制によって非常に大きく影響を受けるということが分かっていただけると思います。
じゃ、その政策ということでいきますと、長期エネルギー需給見通しというのがあるわけですけれども、風力のところは、その真ん中のところの紫、一・七%程度と。これが二〇三〇年のめどということになっているわけですけれども、欧米の方にこれを見せますと、これは一七%の間違いなんじゃないかというふうなことを言われる、余りに低いんじゃないかということを言われるわけですけれども。
右の方に赤く囲ってございますけれども、具体的には一千万キロワット、十ギガワットということでございまして、そのうち洋上は十分の一以下の八十二万キロワットということになっておるわけですけれども、現在の実際の動きを見てみますと、洋上の風力発電で環境アセスメントに既に入っているものが十三ギガワットございます。さっきの二〇三〇年度の洋上八十二万キロワットのもう既に十六倍がアセスに入っているというようなことで、こういった実態を見据えた見直しが早急に必要ではないかというふうに思います。
それから、去年の四月に施行されました再エネ海域利用法というのがございます。これは、三十年間、港湾区域以外の一般海域をその再エネ、具体的にはほとんど風力だと思いますが、風力のために使っていいという枠組みをつくるための法律でございますが、そこに手を挙げているところが既に、まだ一年たたないうちにこれだけございまして、五島市沖におきましては促進区域の第一号に指定されました。この海域は風車用に使ってよろしいということが早くもオーソライズされたというようなことでございます。
これを受けまして、民間投資が一部で活発化しています。一部といいますのは、ここに書いてあるようにマリコンさんなどの方ですけれども、例えば、一番右上に書いてあります清水建設の方は世界最大級の作業船を今建造中でございまして、価格はたしか三百億円だか四百億円だかという投資をなさっているということでございます。
真ん中のところに書いてありますけれども、これは港湾法、港湾区域を開発するための法律ですね、の改正、あるいは再エネ海域利用法によって三十年間その海域を風車のために使えるよという枠組みができたことと、それから現在FITが洋上風力三十六円でございますので、今設置すればこれを高い価格でずっと買ってもらえるということなので、チャンスと見て非常に民間が動き出しているわけでございますが、FITが高いということは、それだけ国民の皆さんに高い電気料金を負担してもらうということになりますので、これはいつまでも続けるわけにはいきませんので、脱FITを見据えた長期的な政策や産業育成が必要だということでございます。
その黄色の中ほどに書いてありますけれども、ヨーロッパの洋上風力では既に陸電、従来の電力とほとんど同じレベルまで価格が下がっているということなので、それを教科書というか、参考にしながら日本も進めていく必要があるだろうというふうに思うわけでございます。
こちら、風車産業の産業面ということで、一つの予想でございますけれども、二〇四〇年までに、左側の絵は全エネルギーに対する投資の予想ということで、風力が石油とかガスとかよりも大きくて、二・五兆ドルというふうに予想されています。右はその地域別のグラフでございますけれども、何といっても紫の中国が大きいんですけれども、そこを中心に非常に伸びていくだろうというようなことが予想されているわけでございます。
これは国内の予想で、これは今日、サブの資料でもお配りしました風力発電協会さんの予測で、一種の業界団体なので多少割り引いて考えないといけないかもしれませんが、非常に増えていくだろうと。特に、建設費もそうなんですけど、OアンドM、つまり維持管理の方がどんどん増えていくんじゃないかという予想になっております。
先ほど申しましたように、建設するところが非常に活気付いているんですけれども、じゃ、風車そのものはどうかといいますと、こちらは世界のそういった主な風車のメーンのパーツをどこで造っているかというものでございますが、欧米が圧倒的だったんですけど、最近は中国が非常に大きくなっておりまして、日本は日立製作所、一か所ちょろっと高くなっているということでございます。
上の黄色のところに書いてございますけれども、日立はドイツメーカーと協業と書いてありますけれども、要は、もう自分のものは自前では造らぬよという宣言をされました。それから、日本製鋼所さんも事業撤退を発表されて、日立さんが今受注している分を造り終わった後は日本でメガワット級の風車を造る会社はなくなります。
じゃ、部品の方はどうかといいますと、このグラフは横軸が国内出荷額、縦軸が海外輸出額でございますけれども、軸受は非常に元気なんですけれども、そのほかは横軸に張り付いていると。ほとんど国内消費だけで、しかも丸が小さいということは余り元気がないということでございます。
それから、こちらは人材のグラフですけれども、これも非常に、一番外側の円が八百人ということなので非常に心細いということでございまして、よく風車というのは、自動車ほどではないけれども、非常に多数の部品を使う総合産業で裾野も広いと言われるんですが、それを支える国内は非常に心細い状態になっているということで、赤字で書いておりますけれども、これから日本にも洋上風車が建っていくんだけれども、風車本体はもう全部輸入ということが予想されるわけでございます。
ちょっと時間もあれなので、ここはパスします。
次は、洋上風車の事業費ということでございますけれども、陸上と違って洋上風車は海上工事が多いということなので、そこの風車本体ではなくてその他の部分で頑張っていく余地があるだろうということで、一番下のオレンジ色のところは基礎工事と書いておりますけれども、先ほど申し上げたように、その分野では非常に投資が今行われているという現状にあります。
ここでちょっと技術的な話ですけれども、洋上風車というのは大きく二通りに分かれまして、まず着床式というのは、これは海底に基礎を置いて、そこから海の上に基礎を出して、その上に風車を建てるという方式でございます。これは水深が大体六十メートルぐらいが限界と言われております。
日本は比較的遠浅の海岸が少なくて、ちょっと離れると深くなってしまいますので、そういったところは浮体式というのがございまして、こちらは、ここに一部例を載せておりますけれども、世界的に研究を見ますと三十ぐらいは出てくると思うんですけれども、物すごいアイデアがあって、今どれがいいかというのが競っている最中と言ってよろしいかと思います。日本も、ちょっと赤い四角で出しておりますけれども、今三つの実証が動いておりますので、この面では是非世界をリードしていきたいと、そういう状態だろうというふうに思います。
ということで、洋上風車の基礎のまとめということでございますけれども、ヨーロッパは遠浅の海が広大で、海底地質が比較的フラットで、ほとんどの風車が、モノパイルといって直径十メートルぐらいのくいをがんがんと海底に三十メートルぐらい打ち込んで、そこに風車を建てるという方式でございます。
参考として右の方に載せておりますけれども、世界最大の洋上ウインドファームというのが今工事中でございます。イギリスの地図が薄く載っておりますけれども、東の方に約百二十キロ離れたところに百七十四基、一・二ギガワットの設備を今造っている最中でございます。驚くべきは、百二十キロ離れても水深が二、三十メーターしかないということで、ちょっと日本ではあり得ないような条件があるからこそできるというところがございます。
日本の場合は、黄色のところの下の方ですけれども、遠浅の海岸が狭いということがございます。あと、結構堆積層が少なくてすぐ岩に当たってしまうとかいういろいろな条件がございますので、日本は日本の独自の工夫をしなくてはいけない、そして、更に大規模にやるためには浮体式が不可欠だということだろうと思います。今のところ、浮体式は着床式よりもちょっと建造コストが更に高くなるということが大体分かっておりますので、どうやって安いものを造るかということが技術的な開発競争の中心になっているかということでございます。
ということで、洋上風力発電発展への提言ということでございます。よく業界の人とかに聞くと、まず一にも二にもマーケットだと、マーケットが大きければその分民間も投資するし、技術開発も進むし、その分コストも下がるというような話を聞いております。これに対しては、先ほど一・七%という目標が余りに小さいと申しましたけれども、この辺を早急に引き上げて、明確化、そして具体化していくということが大事かなと思います。
サブの資料をちょっとお配りさせていただいたんですけれども、その十一枚目をちょっと見ていただきたいんですが、参考としまして、イギリスの洋上風力セクターディールの概要というのがございますけれども、これは、イギリス政府とそれから洋上風力の産業界がある合意をしたということでございまして、その下の四角の方に具体的な内容が書いてありますけれども、どれぐらい、何ギガワットぐらい入れるかと。それで、政府もある程度、幾らぐらいの支援を行うと。それから、あと調達比率ですね、国内の調達比率をどのぐらいにするとか、その代わり風車メーカーの方はとにかく値段を下げるとか、そういったようなことで合意をしているわけですけれども、こういったような非常に具体的なものがばんと出てきますと、日本でも非常に投資がしやすくなるし、活気付くんじゃないかなというふうに思います。
元のスライドに戻っていただきまして、二番目に国内マーケットの拡大とコスト削減のための環境整備ということで、ちょっと余り時間もありませんので具体的には余り申し上げられないんですけれども、まず最初のセントラル方式というのは、これはサブ資料の方の九番目のスライドを後で見ていただきたいと思います。
それから、スライドの二の四番目のポツなんですけれども、再エネ海域法は、今、促進海域を領海の中、つまり離岸距離でいうと大体二十数キロぐらいの中で風車を設置する海域としてできるんですけれども、さっきのイギリスほどではございませんけれども、ある程度離れたところにも拡大して大規模にやりたいと、その方がコストが下がるというニーズは当然あるわけでございまして、せっかくEEZがあるわけですので、この十二海里という領海という制限を取り払って、もう少し沖までできるようにしたらよろしいんではないかなというふうに思います。
このスライドのセントラル方式の説明のちょっと上の、括弧してございますけれども、スピード感が重要ということなんですが、実は今、台湾の方で五・五ギガワットぐらいの洋上風力を着々と進めております。二〇二五年には五・五ギガワットができます。それで、台湾もやっぱり調達比率ということをいろいろやっていて、それはやっぱりマーケットが大きいから言えるわけですね。ヨーロッパの風車メーカーが工場を幾つか台湾にも造りつつあるということも聞いております。
要するに、何を言いたいかというと、中国に非常に大きなパワーがあって、台湾もそういうことでだんだん力を付けてきて、韓国も付けてくるということになると、もう日本に風力を投資しようと、更に工場を造るというニーズがもうなくなってきてしまいますということもございまして、もう日本は本当に風車はどんどん建つんだけれども全部輸入ということになりかねないということになりますので、是非スピード感が必要だということも御理解いただきたいなというふうに思っております。
時間が参りましたので、その他のエネルギーはちょっと軽く触れるだけになるんですけれども、その他が潮流・海流発電ということで、これも世界的にいろんなところがいろんなことをやっております。国内でもやっております。
それから、次のスライドで波力発電ですね。これもいろいろな試みが国内外でされております。
それから、海洋温度差発電ですね。これは深層水と表層の温度差を使って発電するというわけですけれども、これは、右上にある久米島実証プラントというのが、これが一応世界のトップクラスということでやっております。いろいろやっているんですけど、まだなかなか価格的にペイするところまでは行っていないということで、もう少し長期的に見ていただかないといけないんじゃないかなというふうに思います。
風力除く、まとめなんですけれども、とにかく単価を下げるための技術開発をする必要があるということが共通課題でございます。
それから、個別課題についてはちょっと細かく説明する時間がございませんけれども、それぞれ特徴がございますので、ポテンシャルは必ずしも大きくなくても地産地消で使うとか変動性の少ない電力として使うとか、いろいろ得意なところもありますので、そういった中長期的な観点でもう少しやっていく必要があるというふうに思います。
これ最後ですけれども、風車とか置こうとすると、よく漁業の邪魔になるとかいう話もあるので、やっぱり地方との、元々その海域のステークホルダーだった方々の共生ということが非常に重要になると思います。これは、今、五島に浮いている風車ですけれども、右下の写真はそれを下から見たところですけれども、非常に豊かな生態系、単に魚が寄ってくるだけではなく、非常に豊かな生態系ができているという写真でございます。こういった共存関係をしっかり見ていくことも必要です。
それから、海洋温度差発電は海洋から大量の深層水をくみ上げるわけですけれども、これを発電に使うだけではなく、実際に今ある久米島ではいろいろなところに、冷暖房に使うところから、いろいろな養殖に使うところから、非常にきれいで栄養に富んでいるという特性がございますので、こういったことで、久米島ではもっとたくさん欲しいということで大型化するという動きもあるやに聞いておりますけれども、そういった道も考えながら発展させていく必要があると思います。
以上でございます。