多々見良三の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(多々見良三君) 舞鶴市長の多々見良三です。
まずもって、本日は、参議院国際経済・外交に関する調査会において発言の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
私からは、さきに事前資料として提出しました「海洋国家「日本」における「造船業」のあり方を問う」について、資料提出以降に新型コロナウイルス感染症による社会変化等も見られ、造船業を含む製造業、海上輸送を含む物流業界等の産業振興を始め、多くの産業が新たな生活様式による学び、働き、暮らすを実践する上で地方都市の役割が大きく増していることを地方の最前線で実感していることなども含めて、説明申し上げたいと思います。
お手元の事前資料を御覧ください。また、添付しております参考資料も適宜御参照いただければ幸いに存じます。
さて、先ほど申し上げましたとおり、今、我々は新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、社会システムの大きな変革への挑戦が求められているところでありますが、かつて明治時代が始まりました十九世紀後半においても、我が国は大きな変革に挑戦し、近代国家日本をつくり上げた歴史を有することは御承知のとおりであります。
近代国家日本を確立させた歴史の上で大きな役割を果たし、以降、現在まで約百二十年にわたって日本海側の重要港湾都市としての役割を果たし続けている舞鶴市の首長としての思いを述べさせていただきます。
御高承のとおり、我が国は、十九世紀、欧米列強によるアジア植民地支配が進む中、近代国家日本としての存亡を懸け、海軍力を強化するため、横須賀、呉、佐世保に鎮守府を置き、そしてロシアの脅威を強く意識する中で、日本海側の国防の要として、明治二十二年に鎮守府条例において舞鶴への鎮守府設置を決定し、一九〇一年、明治三十四年に舞鶴鎮守府が開庁され、一九〇三年、明治三十六年には海軍の艦船等を開発、建造する海軍直営の工場として舞鶴海軍工廠駆逐艦建造所が開設されました。
参考資料にも記載しておりますが、明治二十二年当時、枢密院議長であった伊藤博文が記した鎮守府配置の理由及び目的にも、国防上、舞鶴に日本海側の防衛拠点を置くことの重要性を述べられているところであります。
以来、舞鶴市は、今日まで、海上自衛隊舞鶴地方隊や日本海側唯一の海上自衛隊ヘリコプター基地が所在する日本海側の国防の重要拠点として海洋国家日本を守り、支え続けてまいりました。
こうした歴史的背景や地勢的優位性を踏まえ、現在、海上自衛隊舞鶴地方総監部と第八管区海上保安本部が共に所在する国内で唯一の自治体であり、日本海側の国防と海の安全の最重要拠点であるとともに、国防という崇高な使命を担う人材を育成する海上自衛隊舞鶴教育隊、また全国の海の安全を守る海上保安官、約一万四千人おられますが、その七割、約一万人の海上保安官がこの舞鶴にあります海上保安学校で勉強した若者であります。まさに、舞鶴市は我が国にとってなくてならない都市であるということを御理解いただければ幸いであります。
また、舞鶴海軍工廠に由来するジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所は、艦船を始め大型船を建造することのできる日本海側で唯一の造船所として長年にわたり国防、海の安全を支えるとともに、金属加工や塗装、運輸、電気、食品等といった幅広い市内関連企業を束ねる基幹産業として地域産業を牽引し続けていただいてきたところであります。
しかしながら、御承知のとおり、我が国の造船業は戦後幾度となく不況、経営危機に見舞われてきたところであり、ジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所においても、戦後、艦船修理等の事業を継承した飯野産業、飯野重工業が昭和三十八年に日立造船の系列下に入り舞鶴重工業となり、昭和四十六年には日立造船と合併、さらに平成十四年には日立造船と日本鋼管の船舶・海洋部門が統合しユニバーサル造船を設立、さらに平成二十五年には石川島播磨重工業と住友重機械工業の艦艇事業部門等の統合により設立されたアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドと合併し、現在のジャパンマリンユナイテッドとなったものであります。このように合併を繰り返してきている状況であります。
そして、今般、今治造船との資本業務提携が進む中で、舞鶴事業所は艦船修理事業に特化されることが発表されたところであります。
こうした合併、統合等の動きは、ジャパンマリンユナイテッドに限ったものではなく、造船業界全体のものではありますが、合併、統合による対策だけでは国際競争に打ち勝つための抜本的な構造改革に至っていないと感じております。
本日、私からは、新たな戦略の検討が必要ではないかということを、海洋国家日本において重要な役割を担う自治体の首長として、我が国の未来の発展を願い、今造船業において何が起きているのか、それが我が国においてどのような影響を及ぼすのか、現地、現場でしか感じることができない実態を国全体に伝え、まさに国会議員の先生方に提案するものであります。
海洋国家日本における造船業の重要性でありますが、申すまでもなく、造船業は我が国の近代化において極めて重要な役割を果たした産業であります。船を造る技術が機械工業や電子産業等を創出、発展させてきたところであり、造船業は現在の物づくり大国日本のルーツ、源流となる産業と言えるかと存じます。
現在の日本の貿易の九九・六%は海上輸送が占めております。国内貨物輸送の約四割、産業基礎物資では八割を海上輸送に頼っているところであり、海運産業を支える造船業は国民経済の基盤と言っても過言ではありません。
また、四方を海に囲まれた海洋国家日本において、海上輸送を支える商船建造はもとより、海上自衛隊の艦船や海上保安庁の巡視船を建造する造船業は、国防、海の安全の観点からも重要な産業であります。
加えて、造船業を基幹産業とする地域では、さきに述べましたとおり、歴史的経緯から地域に造船所を中心とする関連産業の集中が根付いており、また、造船業を支えている物づくり中小企業が高い技術力を生かして新たな事業を展開しているところであり、造船業の衰退は地域産業全体に大きな影響を及ぼし、ひいては町全体の活力を奪うものであることを御理解いただきたく存じます。
日本の造船業界は、海洋国家日本として、歴史的に国を守る艦船を建造する技術を継承し、それを商船部門にも発展させ、一九九〇年代までは世界市場においてトップシェアを誇ってきましたが、各造船所においては時代に合った設備投資が十分行われてこなかったこともあり、昨今、国策で支援を受ける中国や韓国の企業に商船部門のシェアを大きく奪われ、世界市場の競争で大苦戦していることは御承知のとおりであります。今朝の日本経済新聞で書いてありましたが、韓国造船三社、二兆円を受注との見出しで報道もされております。
また、自衛隊艦船の建造については、国の防衛費全体は増加しているものの、航空機や装備品の調達に係る予算比重が高くなる中で艦船建造等に関する予算は減少しており、各造船企業が安定的に艦船建造等を受注できない状況となっております。私は、四方を海に囲まれた我が国にとっての国防は、海と空を守る組合せが万全であってこそ機能するものであると考えておりまして、艦船建造力が低下するということは国防上においてもゆゆしき事態であると考えております。
こうした商船、艦船建造を取り巻く状況において、国内の各造船企業においては、企業経営の観点から設計部門や建造施設の集約などの合理化を進められておりますが、それらの動きが抜本的な解決に結び付かず、かえって国全体の造船技術力を低下させるのみならず、造船業が育てた優秀な技術人材が海外の方へ出ていく、そういった心配もしているところであります。
そのような中、さきにも少し触れましたが、昨年十一月には国内建造量首位の今治造船と二位のジャパンマリンユナイテッドが資本業務提携に合意し、本年二月に、これまで中型商船の新造と自衛隊艦船の修繕を行ってきたジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所について、日本の造船業界の業績が悪化する状況の中で経営の効率化を図るため、商船事業から撤退し、艦船修繕事業に特化することが発表されました。
こうした造船企業の経営効率化の動きは全国各地で同様のことが起こっており、三菱重工業が長崎造船所香焼工場を大島造船に譲渡する、また、三井E&Sホールディングスが一千人規模のリストラ、配置転換を検討するなど、海洋国家日本においては国力を表すとも言える造船業界が今存続の危機に直面し、この先、自国で国防や安全保障に関わる自衛隊艦船や海上保安庁巡視船を建造できなくなる可能性もあるのではないかと危惧しているところであります。
ただいま申し上げましたこと、危機感というのは、国内全体にはなかなか伝わっていないということを思っております。日々、国防、海の安全に身命を賭して職務に従事されている海上自衛隊員や海上保安官に日々接し、また、造船所において建造、修繕されている艦船や商船を身近に見ているからこそ実感できる現実でありますが、今、我が国に間違いなく大きな危機的状況が発生しているということを御理解いただきたいと思いますし、国に対しては、未来の造船業のビジョンを早急に明示していただかねば海洋国家日本の国力は大きく損なわれるということを強く申し上げておきたいと思うのであります。
そこで、未来の造船業のビジョンについて、何点か提案を申し上げます。
一つは、国防、海の安全の機能強化であります。
日本の国防、海の安全を将来にわたって維持していくためには、自国で機密性の高い自衛隊艦船等を建造できる技術基盤の強化と技術人材の育成が重要であり、拠点となる造船所において定期的に自衛隊艦船等の新造、修繕を受注できるようにすることが必要であると考えております。
造船業に限らず何事においてもですが、一からつくり上げるプロセスを経て全体を理解することができるのであって、できてしまったものに手を加える、いわゆる修繕事業だけでは真の力は身に付かないというふうに思っております。このままでは、いずれ自国の力だけでは船を建造できない、物づくりを行えないといったことが起こるのではないかと危惧しているところであります。
そのためには、例えば、海上自衛隊、海上保安庁が所在するエリアにおいて、エリアごとに重要拠点造船所を指定し、また、新たな入札制度を導入することで、重要拠点造船所が安定的に新造、修繕の受注機会を得ることができるようにすることなど、国を守る産業を、それを支える技術人材を育成する観点から是非とも御検討いただきたく思います。
私は、合理化を否定しているわけではありません。経営の合理化という点では、海上コンテナ輸送を担う日本の大手海運三社、日本郵船、商船三井、川崎汽船が、世界の強豪と競い合うためにノウハウを結集し、コンテナ船事業を統合して新会社オーシャンネットワークエクスプレス、通称ONEを設立した例もございます。統合により国際競争力を得られる、足し算、掛け算となる仕組みが必要でありますが、現在の造船業の再編の動きにつきましては、一足す一が二になっていないような印象を持っております。
そうした観点を持って、国防の要となる自衛艦の建造については、経営改善中の造船企業間を競争させるのではなく、アライアンス等により英知を結集した一つの企業体に受注させる仕組みづくり、また、市場として韓国や中国は海外を対象にしておりますが、日本においても市場として海外も対象となる仕組みづくりの検討もお願いするものであります。
御承知のとおり、国際情勢は目まぐるしく変化し、殊に日本海側においては、北朝鮮によるミサイル発射事案や大和堆周辺海域での違法操業など、現実的な危機事象が頻回に発生している状況の中、海上自衛隊、海上保安庁の任務、果たす役割は更に大きくなっているところであります。そうした状況からも、自衛隊艦船、海上保安庁巡視船等の建造、修繕に高い技術力を持って現地、現場に近接するエリアにおいて迅速かつ効果的に対応できる環境を整えることは、国にとって最優先されるべき事案ではないでしょうか。日本海側で危機事象が発生し、艦船等の修繕が必要になった際に太平洋側において対応するといったことが現実的なものであるのか、こういったこと、百三十年前に伊藤博文公が指摘されたとおりではないでしょうか。
また、この機会に申し上げておきたいのですが、国防、海の安全を担う海上自衛隊員や、また海上保安官、現在、募集しても定員が埋まりません。十分集まりません。こういった職業に就く皆さんが家族とともに安心して暮らすためには、緊急の対応が必要な疾患、心臓疾患、脳疾患、未熟児などの周産期対応、また交通外傷、こういった血管に関するそういう治療や、そして高度な医療が必要とする、こういった医療体制が整うこと、また、充実した教育が受けられる都市機能を持つためには、どうしても二十万人規模の都市でなければなりません。そのような町づくりをしなければ、国を守る、海を守る自衛官、海上保安官に単身赴任になってくれと、今でも集まらないのに、そういった人たちの将来が、単身赴任になる、医療も受けれない、教育も十分受けれない、そういうようなところで働かすのかということを地元で強く感じているところであります。
舞鶴市と同様に、かつて海軍鎮守府が所在し、現在も海上防衛という重要な役割を担い続けている横須賀市、呉市、佐世保市、この舞鶴市を旧軍港四市と言うことは御存じかと思いますが、横須賀市は三十九万人、呉市は二十一万人、佐世保市は二十五万人と単独で二十万人以上の人口を有している中、舞鶴市の人口は現在約八万人でありまして、京都府北部圏域で三十万人都市を形成し連携することで人口規模の維持確保を図っているところであります。
国内において人口減少が進み、自衛隊員、海上保安官を志す人材の確保が年々厳しくなる中で、家族とともに安心して暮らすことができる充実した環境を提供することは一層重要になっております。そうした観点からも、基幹産業である造船業の安定は重要なものであることを認識していただきたく存じます。
また、先ほど申し上げましたとおり、日本海側において艦船を始め大型船を建造することのできる造船所は、唯一、舞鶴市しかありません。現在、日本の主要造船所は太平洋側に集中しており、近い将来に発生が予測される南海トラフ地震により太平洋側の造船所が被害を受けた場合、日本の造船機能は間違いなく低下いたします。この国防、海の安全機能の強化のみならず、国土強靱化の観点においても、国として日本海側に強固な造船機能のリダンダンシーを確保することの重要性を申し添えておきたいと思います。
二つ目には、造船技術の継承と発展であります。
国防、海の安全を担う艦船の建造には、常時最新の高度な技術力が求められております。技術力、またそれを担う人材育成には、商船を始め、多種多様な船を国内において数多く建造していくことが必要と考えます。多様な船を建造することによって技術力は維持向上することはもとより、技術の転用、新産業の創出につながるものと考えます。
国内の造船企業の苦戦は、設備投資が遅れていることが一つの原因であるというふうに思っております。日本の将来の造船業の姿を見据え、国として造船企業の設備投資を促進するための財政支援、優遇税制の導入など、既成概念にとらわれない積極的な支援策を講じることが必要ではないでしょうか。
また、国家の公的支援を受けた中国、韓国造船所の安価な船価提示等により日本の海運企業の造船発注も国外に流れており、国内造船企業の受注割合はこの二十年間で二〇%減少、一九九五年は九六%、二〇一六年は七七%と、二〇%も国内造船事業所の受注割合は減っております。企業経営の観点から当然コストを重視することも一定理解できることではありますが、国内企業が国内の物づくり産業を弱体化させ、海外の物づくり産業を支えるような発注が果たして我が国の国益に資するものなのでしょうか。
日本の造船業が有する高い技術力と優秀な人材を海外に流出させないためにも、国全体で国内造船業を発展させるために、国として日本の海運企業の国内建造発注率を高める方策の検討も必要なのではないでしょうか。国内でしっかりと商船等を建造することで優秀な人材を育成し、高い造船技術が維持されるものと考えるところであります。
かつて昭和の造船不況において、造船企業は、高度な造船技術を生かしたメカトロ技術等によって新分野を開拓し、海中無人作業機械や原子力熱交換器、自衛隊の新型水中装備品の開発など、苦境を技術力で乗り越え、イノベーションを起こされました。造船業はもとより、物づくり大国日本の持続的発展可能性を高めるための鍵はここにあるのではないでしょうか。このままでは必要なものが必要なときに国内で製造できない、既にそうした事象を今回の新型コロナウイルス災害において実感する場面があったのではないでしょうか。そうした点も踏まえ、是非、国において、造船企業の新事業への進出、展開を積極的に後押しする方策を検討していただきたいと思います。
私が申し上げるのは僣越な部分であろうかと思いますけれども、中国、韓国における造船企業への過大な公的支援に対し、これまでから我が国においては政府による対話やルール作りの働きかけが行われていることは十分理解しております。しかしながら、造船業界に改善の兆しが見えない中で、更に一歩踏み込んで、我が国の造船業界が世界マーケットにおいて正常な競争力が機能するよう、粘り強い外交対応をお願いする次第であります。
私は、平成二十三年に市長と就任して以来、ただいま申し上げましたとおり、舞鶴市が、長年にわたり国防、海の安全の拠点、またそれらを支える造船業を始めとする物づくりの拠点が所在すること、また、関西経済圏を支える電気を供給するエネルギーの拠点が所在すること、さらには、それらの拠点機能と、人工防波堤も要らない天然の良港で、千年に一度の津波想定にも耐え得る災害に強い京都舞鶴港を有し、太平洋側をバックアップする高いリダンダンシー機能を持ち合わせるという、国において極めて重要な自治体の首長であるということを強く認識し、また、舞鶴市が未来にわたってそのような責務を果たしていくためには何をすべきかを常に考え、市政の推進に取り組んでまいりました。
全てを申し上げることはかないませんが、舞鶴に住む自衛隊員とその家族が住みやすく働きやすい環境をつくることを目的に、自衛官の募集や緊急登庁時における留守家族支援、退職時の再就職支援という入口から出口までを総合的に支援する海上自衛隊舞鶴在籍部隊隊員とその家族に関する総合支援協定を締結し、また、海上保安学校へのバス路線の延伸など、国防、海の安全という崇高な使命を担う皆さんが働きやすい、学びやすい環境づくりといった取組や、国土交通省、京都府と連携した京都舞鶴港の機能強化やエネルギー拠点化に向けた施策の推進、また、都市としての機能、活力を維持するため、京都府北部五市二町の圏域があたかも一つの三十万人都市圏として機能するための水平連携を軸とした広域連携の取組の展開、強固な日本海側国土軸を形成するための重要拠点を結ぶ新幹線の誘致活動など、多様な連携を生かしながら取り組んできたところであります。
今、我々は、人口減少、新型コロナウイルス感染症という災害に直面するという、いまだかつて経験したことのない時代の中で、これまで以上に多様な連携を生かし、持続可能な社会をいかに構築していくかという命題を突き付けられています。
二〇〇二年にSARS感染症、二〇〇九年に新型インフルエンザ、二〇一二年にMERS感染症の発生が懸念され、そして今回、新型コロナウイルス感染症の怖さを体験することになりました。この二十年間で四回の感染症の危険を感じているところであります。
皆さん同様の思いを抱かれたと思いますが、今般の新型コロナウイルス感染症を経験し、現在の東京を始めとする大都市を中心とした三密の中で成り立っている社会活動、経済活動のシステムは、感染症災害に対して脆弱であることが明らかになりました。
これまで日本は海によって感染症から守られてきましたが、人、物が世界中とつながる時代にあって、こうした事象は常に身近にあり、新型コロナウイルス感染症と同様の事象が今後いつ起きても不思議ではない、今回の新型コロナウイルスをたとえ克服したとしても感染症災害はいずれ再び間違いなく訪れるという前提の下に、我々は、大都市と地方都市が連携、共生し、感染症に対応できる未来型の持続可能な国づくりを見直さねばならない重要な局面に立たされています。
そのためには、食料、物資、エネルギー等々を国内で生産する力、国内自給力を高めるための生産現場の国内回帰、そして、大都市と地方都市を結ぶ高速鉄道ネットワーク、強固な海上輸送ネットワークの確立が重要になると考えております。余りにも生産力の多くを国外に頼った結果、今回のような必要なものが国内に生産できない、調達できないといった事象を招かないようにしなければならないというふうに思っています。
そうしたことから、私は、海洋国家日本の物づくり拠点、物流拠点を港を核に再整備し、大量輸送に適した海上輸送、鉄道輸送の強化を図るための港湾機能の整備、拠点都市と拠点都市を高速で結ぶ新幹線の整備促進を提案するものであります。
いろいろお話しさせていただきましたが、冒頭に触れましたとおり、我々は、百五十年前、欧米列強の猛威にさらされ、植民地化することもあり得る状況の中で、国を挙げて見事に近代化を果たし、世界に冠たる日本を築きました。いま一度、我々は、近代化を果たしたときと同様に、国を挙げてこの国難に立ち向かう覚悟と決意を持って、持続発展可能な海洋国家日本のオリジナルのシステムをつくり上げるべきと考えております。
ありがとうございます。