国際経済・外交に関する調査会
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会
会議録情報#0
令和二年六月三日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
高橋 光男君 塩田 博昭君
六月二日
辞任 補欠選任
木戸口英司君 芳賀 道也君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 鶴保 庸介君
理 事
小野田紀美君
柘植 芳文君
二之湯 智君
小林 正夫君
新妻 秀規君
柳ヶ瀬裕文君
伊藤 岳君
委 員
朝日健太郎君
猪口 邦子君
河井あんり君
中西 健治君
中西 哲君
松川 るい君
吉川ゆうみ君
石川 大我君
小沼 巧君
田島麻衣子君
芳賀 道也君
浜口 誠君
牧山ひろえ君
秋野 公造君
塩田 博昭君
伊波 洋一君
事務局側
第一特別調査室
長 清野 和彦君
参考人
東京大学大学院
経済学研究科教
授
同大学ものづく
り経営研究セン
ター長 藤本 隆宏君
一般社団法人日
本造船工業会副
会長 上田 孝君
舞鶴市長 多々見良三君
─────────────
本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
(「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
ち、我が国が海洋立国として国際社会を牽引す
るための取組と役割(海事産業の基盤強化)に
ついて)
(海を通じて世界とともに生きる日本について
)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
高橋 光男君 塩田 博昭君
六月二日
辞任 補欠選任
木戸口英司君 芳賀 道也君
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出席者は左のとおり。
会 長 鶴保 庸介君
理 事
小野田紀美君
柘植 芳文君
二之湯 智君
小林 正夫君
新妻 秀規君
柳ヶ瀬裕文君
伊藤 岳君
委 員
朝日健太郎君
猪口 邦子君
河井あんり君
中西 健治君
中西 哲君
松川 るい君
吉川ゆうみ君
石川 大我君
小沼 巧君
田島麻衣子君
芳賀 道也君
浜口 誠君
牧山ひろえ君
秋野 公造君
塩田 博昭君
伊波 洋一君
事務局側
第一特別調査室
長 清野 和彦君
参考人
東京大学大学院
経済学研究科教
授
同大学ものづく
り経営研究セン
ター長 藤本 隆宏君
一般社団法人日
本造船工業会副
会長 上田 孝君
舞鶴市長 多々見良三君
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本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
(「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
ち、我が国が海洋立国として国際社会を牽引す
るための取組と役割(海事産業の基盤強化)に
ついて)
(海を通じて世界とともに生きる日本について
)
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鶴
鶴保庸介#1
○会長(鶴保庸介君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、高橋光男君及び木戸口英司君が委員を辞任され、その補欠として塩田博昭君及び芳賀道也君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、高橋光男君及び木戸口英司君が委員を辞任され、その補欠として塩田博昭君及び芳賀道也君が選任されました。
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鶴
鶴保庸介#2
○会長(鶴保庸介君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
本日は、まず、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「我が国が海洋立国として国際社会を牽引するための取組と役割」に関し、「海事産業の基盤強化」について三人の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、東京大学大学院経済学研究科教授・同大学ものづくり経営研究センター長藤本隆宏君、一般社団法人日本造船工業会副会長上田孝君及び舞鶴市長多々見良三君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、ありがとうございます。特にコロナウイルスのこんな状況のときに押して御無理をいただきましたこと、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、藤本参考人、上田参考人、多々見参考人の順にお一人様二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず藤本参考人からお願いをいたします。藤本参考人。
この発言だけを見る →本日は、まず、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「我が国が海洋立国として国際社会を牽引するための取組と役割」に関し、「海事産業の基盤強化」について三人の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、東京大学大学院経済学研究科教授・同大学ものづくり経営研究センター長藤本隆宏君、一般社団法人日本造船工業会副会長上田孝君及び舞鶴市長多々見良三君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、ありがとうございます。特にコロナウイルスのこんな状況のときに押して御無理をいただきましたこと、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、藤本参考人、上田参考人、多々見参考人の順にお一人様二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず藤本参考人からお願いをいたします。藤本参考人。
藤
藤本隆宏#3
○参考人(藤本隆宏君) 東京大学の藤本と申します。マスクをして失礼いたします。(資料映写)
私は、この造船業の、あるいは海運の専門家ではありませんので、どうして呼ばれたのかというのはちょっと思ったんですけれども、それなりに、こういった形で、いわゆる生産管理、技術管理が私の分野ですので、現場を見るというところから始める学問であります。ですから、大体例年五十か所ぐらいの場所は、工場を回っているという感じです。造船も恐らく三十か所ぐらいは見ていると思います。漁船から大きなところまで見ております。その辺の話を中心にお話をしたいというふうに思います。
ですから、本当は私はおまけですので、本当は最後におまけでしゃべるのがよかったんですけど、その辺の話、上田さん、舞鶴市長さん、あれですね、後から直していただきたいと思っております。
まず、現状ですけれども、これはもう国土交通省さんのデータがありますので、どんどん飛ばしていきますけど、GDPの一%程度の産業であって、かなり地域に対する貢献が大きいんです、産業。非常に雇用が安定しているということは特筆されますね。
荷動きはかなりいいんですが、今はやっぱり船が少し余っていて、非常に今厳しい状態にあるということは間違いないと思います。
新造船の建造量ですけれども、ここにありますように、実は、日本が輝いていたと言われているいわゆる七〇年代、この頃三千万総トンぐらいだったんですね。これが一億トンまで行く。これ、ちょっと異常であります、ある意味では。異常値が多分数年続いたわけですけれども、そこからまた下りて、今六千万トンぐらいだと思います。
その中の二五%を日本が何とか確保していると。まだ一応三大造船国の中には入っている、日中韓ですね、であります。これ、だから、長い五十年ぐらいの周期で見ますと、自動車と造船というのはしぶとい産業だと言えると思います。ずっと見ると、何か、駄目だ駄目だ駄目だというのがずっと続いているんですね。ここはやっぱり、暗いお話ばかりではなくて、しぶといということは申し上げられるというふうに思います。
ただし、大手は韓国、中国、これはまあ彼らは補助金付きで追っかけてきますので、どうしてもやっぱり対等な競争にならないですね。なのでやっぱりやられちゃっていまして、なかなか厳しい。逃げるんだけど追いかけられて、ちょっと逃げ疲れちゃっている感じがあります。
それに対して、いわゆる中手がこれはやっぱり潮目を読む、ビジネスモデルを考える、やっぱり経営者の方々、優れた方が多いということ、それからトヨタ的な物づくりがかなり入っております。こういったことでかなり健闘をして、特にこれ、バルク船ですね、いわゆるばら積み船で非常に強いという特徴を持っています。
むしろ、韓国が高付加価値船の方に行っているわけですね、ドリルシップだとかLNGタンカーだとか、そっちへ行っていて、日本はむしろその裏を取って、その下を取りに行っているという、後でこの話はまたしますけれども、こういう状態にありますので、今までの常識、日本、韓国、中国の順番に高級なものを造っているという話ではもはやないということが大きな話。
それから、舶用でやはり設計情報をヨーロッパに握られているということ、これがやはりかなり大きいので、日本の海事クラスターは非常に結束が強くてよいというふうに言われていますが、私から見ると、若干、四面楚歌とまで言わないけれども、三面ぐらい取られている感じがあると。だから、ここをどういうふうにするかというのが大きな問題、戦略論的な問題じゃないかというふうに私は思っております。
済みません、私は業界のことを本当に知りませんので、済みません、好き勝手に私の意見だけ述べますので、もうそういうことだと思ってください。
大事なのは、これ後で出ますが、アーキテクチャー、つまり設計思想をどう考えるか。どうしても技術で強い弱いという話をするんですけど、技術だけ追っかけても、大体、日本の産業が失敗するのは、技術を追っかけて設計思想を見ていないということなんですね。だから、設計思想からしっかり見て戦略を立てていくということが大事だということと、それからもう一つは、地道に物づくりの流れをつくることですよ。今、世界最高の生産性の造船所と言われているのは日本にあります。これはアメリカの大学の調査ではそうなっております。九州の方にあります。ですから、日本の企業は依然として生産性は高い、しかし、コストで、やはり先ほど言ったフェアな競争になっていないかもしれないということはあるんですけれども、まあ二〇%ぐらいは恐らく安い船が中国で造られていて、でも性能は日本が二〇%いいと。だから、性能の方に世の中が動けば日本は有利、コストに動けば日本は不利と、こういう今状況にあるというふうに思っております。
もう一つ特筆すべきは、地域への貢献でありまして、これは後で出てきますけれども、やはり雇用の安定ですね、これ八万人ぐらい、非常に安定していますね。このやっぱり地域の雇用への貢献というのは特筆すべきものであって、やっぱり造船というのは日本になくてはならない産業であるというふうに、ここに来たからじゃありませんけど、私は平生から思っております。
これがいわゆる海事クラスターと言われているものでありますが、造船が左下の方にありますね。ここは今頑張って、特に中手が頑張って、商売は中手、技術は大手みたいな感じだと思いますけれども。
この下の舶用のところですね、ここを欧州勢が非常にうまいというか、ライセンスで、作らないで設計情報を握って、そこでかなり好きにやられちゃうんで、自動車のように自分たちだけで省エネルギーをやることができないという、ここがちょっと弱いところですね。
それから、右上に行きますと、ここに港湾がありまして、これ港湾が余り言われていませんけど、これ港湾のターミナルオペレーターというのはもう海外に完全に取られていまして、日本が余り強くないですね。だから、ここでかなりその標準を握られている。逆に言うと、それについて、例えば自動搬送車みたいなものを港湾に売ろうとしている日本のメーカーさんがいますけれども、やはりここも、やっぱり標準を握られちゃっているんでなかなか入り込めないということがこれありますね。ですから、その辺も含めて少し大きめに海事クラスター考える必要があると思うんですね。
それから、このオペレーター、ここは、日本は海運強いところがありますから、ここはかなり強くて、ここで海事クラスターが強いと言われているわけですけれども、ここも一つ間違うと、もうこういう時代だから安い方へ行っちゃおうという話になりますと、この海事クラスター崩れる可能性があります。だから、ここも要注意ですし。
その真ん中に挟まっているこの船舶オーナーですね、ここに、例えば中東とかギリシャとか、こういう方々、転売目的で買っているような方々がいて、こういう方々はやっぱり安いものを買って回したいというところがありますので、この方々、特にギリシャの船主の方々が相当船の標準に発言力を持っていますので、この人たちをはっきり言って黙らせないといかぬと思っています。だから、SDGの時代だと、そういう、それに反するようないいかげんなことを言ってもらっちゃ困るというようなことは、これは国連を錦の御旗にやるべきじゃないかと。
要するに、これを見ますと、造船は頑張っていて、オペレーターもかなり頑張っているんだけど、ここの結束が崩れますと、もうある意味じゃ三・五面楚歌ぐらいにもうなっていまして、これ下手すると四面楚歌になっちゃうというようなことです。ですから、これは造船だけ頑張ってもしようがないというようなことは申し上げておきたいと思います。
ここで、じゃ、その中でどこが頑張っているかですけれども、やはり御承知のように、中手造船所と言われているところが頑張っています。今、専業という言い方になっていると思いますけれども。
これ、三社ほど私これ全部行って、私、見ていますので、行ったところのお話をしますけれども、これA社、これは一番大きなところで有名なところです。ここは、とにかく司令塔があって、ここの指示の早さがすごいです。びっくりします。
小型のばら積み船を造っていまして、同じ船型二百隻ぐらい。私、これ、いわゆる造船のスーパーカブだというふうに私は申し上げているんですけどね。五杯で大体もうブレークイーブンと言われているところ、二百ぐらい造っているんですからね。ですから、ここは本当にすごいわけでありますが。
私が震災直後に行ったときに、その直前までは、いや、船の値段はいろいろ変わるので、タンカーとかコンテナ船とかばら積み船、いろんなものを造って、ポートフォリオで安定化させるんですよという話をしていたんですけどね。ところが、私が行った二〇一二年かな、いや、もう今、うち九〇%石炭ばら積み船ですと。これ、だから指令がどこかから行って一斉に瀬戸内中の造船所が動くという。もうすごいと思いましたね。
こういう動き方ができる、何というか、造船所がまだ日本にあるということで、これは競争力であります。ですから、ここを、このまさに潮目を読み切ると。別に皆様が海賊の末裔だとは言いませんけれども、本当に潮目を読み切って迅速にかじを切るということができているというのがこの中手。まあ技術力がやっぱりちょっとまだ足りないところがあるんだけれども、この商売する力というのは物すごいと思います。これは全産業見ていても、私はここはすごいなと思いますね。
それから、B社、ここは今ちょっと調子悪いんですけれども、一時期すごかったです。これは、あるお客さんにもう完全に特化してカスタムした、もうそのお客さんだけが使う船を造ったんですね。これは鉄鉱石ばら積み船です。だから、やっていることは全くA社とは違います。全く違います、はっきり言って。
これは、ここにちょっとぞろぞろ書きましたけれども、要するに、これ、社長が全部この絵を頭の中で描いたそうですね。要するに、中国が鉄鉱石を爆食している、ということは、パースと上海の航路は鉄鉱石ばら積み船が何隻あっても足りない状態なはずだと。ところで、パースの港は遠浅だと、何で知っているか分かりませんが、遠浅だと。したがって、大きな船が入れなくて困っているはずだと。ところで、うちは三十万トンタンカーを造るドックがあると、したがって二十五万トンぐらいの大きなものは造れると。しかも、買ってくれるリオティントというこの鉄鉱石メジャーはお金を持っていると、だから恐らく幾らでも買ってくれると。したがって、リオティントが泣いて喜ぶような船を、うち三百人しかいないけど、韓国勢に比べたらはるかに劣勢であるけれども、集中してこれを造れという指示が出たそうであります。そこで集中してやったら、まさにリオティントが喜んで五、六十隻まとめて買ってくれたと。つまり、五、六年分の受注残であります。
こういう、これもすごいですね、本当にね。ここまでの連立方程式を一人の頭の中で考えるという人が、日本にもこういう経営者がいるということがすごいと思います。これ、この後、ちょっと今、次がなくてちょっと雌伏の状態でありますけれども。私は、こういう造船所が日本にあるということですね。
それから、C社、これ九州の方ですけれども、ここは世界最高の生産性と言われております。
ここもやはり潮目を読む社長が昔からずっといたわけであって、これ、やっぱり三十万トンタンカーを造ろうと思って九州行ったんですけれども、結局、石油ショックで受注が全く来ない。ところが、なぜかここの社長さんが、元の社長さんですね、七十メーターあればいい幅を八十メーターにしろと言って、全員反対するんだけど、いいからやれと、八十メーターの幅にする。さあ、それでタンカーの仕事が来ない。そしたら、要するに、これを田の字に切ってみろと、田の字に切れば四隻入ると。といって、四隻の小型ばら積み船を造るという形でやっていますので、船のドック期間というのは大体一か月ですから、毎週進水式という大量生産体制を確立して、しかもトヨタ方式がここは入っていますので、世界最高の生産性と一応言われています。多分中国の三倍以上の生産性で行っていると思います。今賃金は中国の三倍程度ですから、これだったらコストで勝てるわけですね。少なくとも、タイの勝負やったら勝てるわけですよ、今ちょっとタイの勝負になっていない気がしますけれども。
ということで、とにかくここもしぶとくやってきたけど、ここで特筆すべきは、私もよく飲むんですけれども、ここは焼酎造っています。これは要するに、本当に造船不況で人が要らなくなったときに代わりに焼酎造ろうといって、隣で焼酎造っているんですね。こういう、要するに雇用のためにはいろいろやるよという、ああ、芋も作っていますね、芋畑もありますね。こういう、これがやっぱり日本の造船業の一つの社会的価値だと私は思っております。
ということで、この三方よしというのはよく言われますけれども、日本の宝であります。経済は産業と企業と地域の集まりでありますけど、この三つに対して、全部に対して良いことをすることを三方よしと言いますが、特に雇用よしですね、雇用よし、利益よし、お客様の顧客満足よしと、この三つを両方やっていくと先ほどの焼酎の話が出てくるわけであります。
ということで、私は現場を見るのにこういった見方をしております。現場と現物から見ていく。現場の組織能力、例えばトヨタ生産方式の能力。そして、現物のアーキテクチャー、これは設計思想ですが、これを見ていくということであります。技術が高い弱いだけ見ていますと、よく政策失敗すると思うんです。この設計思想から見ていく戦略が非常に重要であります。
まず、競争力から見ていきます。これ、その二つの相性が良いと競争力が付いて日本の産業は残るという考え方なんですけれども。
ここを見ていくと、これ、日本の例えば自動車で見てみますと、裏の競争力というこの現場の競争力のところ、左から二つ目ですが、ここを見ていきますけれども。
自動車は日本は依然として世界一です。これ小さいほどいいんですけど、この数字は。日本はいいんです。じゃ、造船はというと、造船も大体、ちょっと前までは中国の三倍から五倍ぐらいの生産性と言われていました。今は彼らも追い付いてきます。だから、彼らは賃金でも追い付いてきているし、生産性でも追い付いてきていて、コスト競争力が非常に微妙です。どっちが勝っているかよく分かりませんけど、大負けしているわけじゃないというふうに私は見ております。
それから、能力ですね。
このエンジニアリングチェーンとサプライチェーンをぐるぐるよく回していますね。これが非常にお上手だというふうに思います。特に、トヨタ方式というのは二百ぐらいのルーチンから成り立っていて簡単にまねできないんですけど、これ入っています。皮肉なことに、これ入った一つの会社では理由は、造船不況のときに、自分のところで首切りたくないので、応援で中京地域の自動車メーカーにたくさん人を出したんですね。この連中がトヨタ方式を持って帰ってくるわけであります。世の中どうなるか分からないですね。
これが、今見ている、造船の場合のこれは工程フロー図であります。これをやっぱり丹念に改善していく必要があるんですけど、特にボトルネックがこのドックにあります。船台、ドック、特にクレーン能力ですね、この辺りがボトルネックになりますので、これをうまく処理しながら全体の流れを良くしていくということ、これはまだまだやれることはいっぱいあると思います。生産性二倍、三倍はほかの産業でできていますから、これはできると思います。
それから、開発の方も、これは一応自動車と同じような開発のプロセスでやっておりますけれども、これも恐らくバーチャルエンジニアリング、デジタル化ですね、こちらの方向に大いに振れていくんじゃないかなというふうに思っております。
それから、今度はアーキテクチャーですね。
こちらの方ですけれども、アーキテクチャーというのは、例えば船でも自動車でも何でもいいんですけれども、ある製品には機能と構造がございます。この構造と機能の関係を具体的に見るとテクノロジーになるんですけれども、これを抽象的に見ていくとアーキテクチャーになります。つまり、設計思想ですね。この設計思想が極めて大事であります。技術ばっかり見ているといかぬのですね、はっきり言って。だから、技術がいいのに何で負けちゃうんだというのは、大体アーキテクチャーで負けているわけであります。設計思想で負けています。
上はモジュラー型、これはすっきりしていますね、構造、機能関係が一対一関係です。これ、アメリカが得意なのはこれです。それから、中国が得意なのもこれです。アメリカ、中国が何でけんかしているかというと、この同じところでバッティングしているからけんかしているわけであります。
ところが、日本は、この下のぐちゃぐちゃなやつ、こういうのが日本は得意なんですよ、ややこしいやつ。決して技術は強くないかもしれないけど、このややこしい設計をやっているものは日本が強い。そして、つまり、そういった非常に厳しい状況で造っている船というのは大体これになります。
ただし、自動車みたいに簡単じゃないところがちょっとあるんですね。ということで、このクローズドインテグラル、この自動車型、これは日本が強いパターンで、船の船殻は大体この形でいけると思います。ところが、このオープンモジュラーという、これ日本は全然駄目ですね、こういう寄せ集めでできちゃうものは。ですから、デジタルが駄目、自動車強い、これは当たり前であって、設計思想の問題であります。
ただ、これ、船のややこしいところは、一部舶用のところだけはオープンアーキテクチャーになっているわけであります。ここは弱いんですね。だから、こちら側の顔が出てくると日本の造船は弱くなるし、こっちの顔が出てくると日本の造船は強いわけです。だから、これは何とも言えない、今勝負どころなわけですね。
これ、実際に描いてみますと、機関部、船体、居住区とあって、特にこの機関部ですね、ここにしわ寄せがうんと行きます。なぜならば、この下に舶用がぶら下がっているからであります。
こんなふうに、描くと、実際なるんですね。これ実際に描いてみると、この下の機関設計に物すごいしわ寄せが行っているところが分かるんですね。ですから、ここのアーキテクチャーをどうしていくかということで、皆さん、多分造船メーカーさんは大変今工夫をしているところだと思います。
それを見るときに、こういう戦略論で考えるんですね。自分の製品のアーキテクチャーとお客様のアーキテクチャーと両方を考えます。それがすり合わせ型か寄せ集め型かというところで描くと四つになりますね。
これ、それぞれ戦い方が違います。左上は価格設定力を持つこと、右上はシェア一番取ること、左下はビジネスモデルで勝負すること、右下は、これは大体中国さんが強いから余り行かない方がいいと、こうなっています。
実際見てみると、さっきの絵を見ると、A社の小型標準、スーパーカブみたいなやつは、これはもう右上であります。そして、逆に、C社の機関室の中を非常にモジュール化して工夫している、これ多分ほかの会社もありますけど、これは左下になります。そして、B社の先ほどのばら積み船はこの左上なんですね。だから、ほぼ、これで確かに戦略論的にも正しいことをやっていたので、うまくいっていると。だから、別にこんなものを描いてやられたわけじゃないと思いますけれども、実は非常にうまくやっている。
それから、設計の中見ても、船体そのもの、例えば、先ほどA社の船体は右上で、これはインテルと同じ、あるいはシマノと同じ場所ですから、うまくやれば二〇%利益が出る場所であります。左上は船殻設計、ここはお金が掛かりますけれども、お金が取れれば勝てると。左下に機関設計で、ここが一番苦労します。左下の機関設計のところが勝負だというふうに私は思いますね。右上の居住区、ここはちょっとなかなか勝負できないところかもしれません。
ということで、実際見ていくと日本は、これ経産省と一緒に東大で調査をやったんですけれども、実際、すり合わせ度が高いほど日本の輸出比率は高いです。これは統計的に有意であります。
これを見て考えますと、日本はやはりこういった統合力、まとめる力が強い。多能工のチームワークでやっていくから、すり合わせ型製品が強い。だから、船がすり合わせ型製品でいてくれれば造船はまだ勝てます。船が完全モジュラー化しちゃったら恐らく勝てません。だから、ここの勝負だというふうに考えます。
その勝負の行方は、やはりSDG、いかに厳しい環境規制を船に対して出してもらえるかであります。油断していると、ヨーロッパや中国の人たちは、まあいいじゃないですかということを言ってきます。それを許さぬということでありますね。これをちょっと厳しい方へ行くのがまさに、国連が錦の御旗だと、SDGだということであります。
こう見てきますと、中国、韓国、日本って大体この順番に並んでいまして、日本が一番上で、韓国、中国の順番だとなっているんですけれども、実際に調べてみたら、もう韓国が上行っています。彼らは千人以上の造船エンジニアがいますから完全に上に行ってまして、ここに大手はのみ込まれているわけであります。
ところが、下の方に行きますと、この下、黄色いところが日本なんですけどね、これ、裏取っているわけですよ。この下に中国がいますけれども、要するに、先行かせて裏取っちゃっているんですね、これサッカーと一緒です。極めて巧みですね。だから、これで大変利益を出してきたというふうに、少なくともこれまでは、思っております。だから、これがこれから続くかどうかですね。
絵で描くとこうなっています。要するに、韓国、中国が補助金付きでどんどん追っかけてきます。それに対して、この間の隙間のところに入って中手が巧みにこれまで商売やってきた。上のハイテクに行ったんだけど、上がもうなくて、ちょっと寸詰まりな、せっちん詰めになっちゃっているのが大手でありまして、大手はちょっと上で苦しいと。当然これ、上に行かないと中国が追っかけてきますから、上に中手も行かなきゃいけないんですけど、そのときに明らかに大手と中手が結んで、中手が商売力、大手が技術力という形で出し合えばこれはまだ勝機があるというふうに、少なくとも戦略論的に見ればこれは明らかですね、この絵から見れば、ということであります。
ということで、造船で見られる裏取り戦略というのがあります。この裏を取る、まさにサッカーと一緒ですね。中手の造船所がこれをやっております。ほかに、半導体や実は電子回路のこういうしぶとい企業が日本にあります。みんな裏を取っています。
だから、とにかく追っかけられたら逃げりゃいいという話じゃなくて、逃げ切れるか逃げ切れないかは分かりません。逃げ切れれば逃げ切る戦略、逃げ切れなければ裏を取る戦略と、これが実は日本の今したたかな企業はこれをやっているというふうに思います。
ということで、済みません長くなりましたが、日本は現場を鍛えて設計立国で行くべきであると私は思っています。今のグローバル化、それから国際分業型の産業構造、そして微細な細かいところでの産業内貿易、設計に対する厳しい制約条件、これですね、特に四番、これ次第であります、造船は。で、デジタルプラットフォーム化の支配ですね、それからグローバル大災害、今の。
これらの時代にやはり勝っていくためには、まずやっぱり現場をしっかり日本に残すこと。そして、現場と相性のいい、その現場と相性のいい製品で勝負する。それで勝負できるような環境を世界的につくっていくということ。そのために産学官が一緒になって設計立国を目指していく。面倒くさい設計は日本に任せちゃえと、面倒くさいからと、そういうふうに世界中から言ってもらえるようになれば、あらゆる産業で日本はまだ勝機があるというふうに思っております。
以上で終わります。済みませんでした、長くなりました。
この発言だけを見る →私は、この造船業の、あるいは海運の専門家ではありませんので、どうして呼ばれたのかというのはちょっと思ったんですけれども、それなりに、こういった形で、いわゆる生産管理、技術管理が私の分野ですので、現場を見るというところから始める学問であります。ですから、大体例年五十か所ぐらいの場所は、工場を回っているという感じです。造船も恐らく三十か所ぐらいは見ていると思います。漁船から大きなところまで見ております。その辺の話を中心にお話をしたいというふうに思います。
ですから、本当は私はおまけですので、本当は最後におまけでしゃべるのがよかったんですけど、その辺の話、上田さん、舞鶴市長さん、あれですね、後から直していただきたいと思っております。
まず、現状ですけれども、これはもう国土交通省さんのデータがありますので、どんどん飛ばしていきますけど、GDPの一%程度の産業であって、かなり地域に対する貢献が大きいんです、産業。非常に雇用が安定しているということは特筆されますね。
荷動きはかなりいいんですが、今はやっぱり船が少し余っていて、非常に今厳しい状態にあるということは間違いないと思います。
新造船の建造量ですけれども、ここにありますように、実は、日本が輝いていたと言われているいわゆる七〇年代、この頃三千万総トンぐらいだったんですね。これが一億トンまで行く。これ、ちょっと異常であります、ある意味では。異常値が多分数年続いたわけですけれども、そこからまた下りて、今六千万トンぐらいだと思います。
その中の二五%を日本が何とか確保していると。まだ一応三大造船国の中には入っている、日中韓ですね、であります。これ、だから、長い五十年ぐらいの周期で見ますと、自動車と造船というのはしぶとい産業だと言えると思います。ずっと見ると、何か、駄目だ駄目だ駄目だというのがずっと続いているんですね。ここはやっぱり、暗いお話ばかりではなくて、しぶといということは申し上げられるというふうに思います。
ただし、大手は韓国、中国、これはまあ彼らは補助金付きで追っかけてきますので、どうしてもやっぱり対等な競争にならないですね。なのでやっぱりやられちゃっていまして、なかなか厳しい。逃げるんだけど追いかけられて、ちょっと逃げ疲れちゃっている感じがあります。
それに対して、いわゆる中手がこれはやっぱり潮目を読む、ビジネスモデルを考える、やっぱり経営者の方々、優れた方が多いということ、それからトヨタ的な物づくりがかなり入っております。こういったことでかなり健闘をして、特にこれ、バルク船ですね、いわゆるばら積み船で非常に強いという特徴を持っています。
むしろ、韓国が高付加価値船の方に行っているわけですね、ドリルシップだとかLNGタンカーだとか、そっちへ行っていて、日本はむしろその裏を取って、その下を取りに行っているという、後でこの話はまたしますけれども、こういう状態にありますので、今までの常識、日本、韓国、中国の順番に高級なものを造っているという話ではもはやないということが大きな話。
それから、舶用でやはり設計情報をヨーロッパに握られているということ、これがやはりかなり大きいので、日本の海事クラスターは非常に結束が強くてよいというふうに言われていますが、私から見ると、若干、四面楚歌とまで言わないけれども、三面ぐらい取られている感じがあると。だから、ここをどういうふうにするかというのが大きな問題、戦略論的な問題じゃないかというふうに私は思っております。
済みません、私は業界のことを本当に知りませんので、済みません、好き勝手に私の意見だけ述べますので、もうそういうことだと思ってください。
大事なのは、これ後で出ますが、アーキテクチャー、つまり設計思想をどう考えるか。どうしても技術で強い弱いという話をするんですけど、技術だけ追っかけても、大体、日本の産業が失敗するのは、技術を追っかけて設計思想を見ていないということなんですね。だから、設計思想からしっかり見て戦略を立てていくということが大事だということと、それからもう一つは、地道に物づくりの流れをつくることですよ。今、世界最高の生産性の造船所と言われているのは日本にあります。これはアメリカの大学の調査ではそうなっております。九州の方にあります。ですから、日本の企業は依然として生産性は高い、しかし、コストで、やはり先ほど言ったフェアな競争になっていないかもしれないということはあるんですけれども、まあ二〇%ぐらいは恐らく安い船が中国で造られていて、でも性能は日本が二〇%いいと。だから、性能の方に世の中が動けば日本は有利、コストに動けば日本は不利と、こういう今状況にあるというふうに思っております。
もう一つ特筆すべきは、地域への貢献でありまして、これは後で出てきますけれども、やはり雇用の安定ですね、これ八万人ぐらい、非常に安定していますね。このやっぱり地域の雇用への貢献というのは特筆すべきものであって、やっぱり造船というのは日本になくてはならない産業であるというふうに、ここに来たからじゃありませんけど、私は平生から思っております。
これがいわゆる海事クラスターと言われているものでありますが、造船が左下の方にありますね。ここは今頑張って、特に中手が頑張って、商売は中手、技術は大手みたいな感じだと思いますけれども。
この下の舶用のところですね、ここを欧州勢が非常にうまいというか、ライセンスで、作らないで設計情報を握って、そこでかなり好きにやられちゃうんで、自動車のように自分たちだけで省エネルギーをやることができないという、ここがちょっと弱いところですね。
それから、右上に行きますと、ここに港湾がありまして、これ港湾が余り言われていませんけど、これ港湾のターミナルオペレーターというのはもう海外に完全に取られていまして、日本が余り強くないですね。だから、ここでかなりその標準を握られている。逆に言うと、それについて、例えば自動搬送車みたいなものを港湾に売ろうとしている日本のメーカーさんがいますけれども、やはりここも、やっぱり標準を握られちゃっているんでなかなか入り込めないということがこれありますね。ですから、その辺も含めて少し大きめに海事クラスター考える必要があると思うんですね。
それから、このオペレーター、ここは、日本は海運強いところがありますから、ここはかなり強くて、ここで海事クラスターが強いと言われているわけですけれども、ここも一つ間違うと、もうこういう時代だから安い方へ行っちゃおうという話になりますと、この海事クラスター崩れる可能性があります。だから、ここも要注意ですし。
その真ん中に挟まっているこの船舶オーナーですね、ここに、例えば中東とかギリシャとか、こういう方々、転売目的で買っているような方々がいて、こういう方々はやっぱり安いものを買って回したいというところがありますので、この方々、特にギリシャの船主の方々が相当船の標準に発言力を持っていますので、この人たちをはっきり言って黙らせないといかぬと思っています。だから、SDGの時代だと、そういう、それに反するようないいかげんなことを言ってもらっちゃ困るというようなことは、これは国連を錦の御旗にやるべきじゃないかと。
要するに、これを見ますと、造船は頑張っていて、オペレーターもかなり頑張っているんだけど、ここの結束が崩れますと、もうある意味じゃ三・五面楚歌ぐらいにもうなっていまして、これ下手すると四面楚歌になっちゃうというようなことです。ですから、これは造船だけ頑張ってもしようがないというようなことは申し上げておきたいと思います。
ここで、じゃ、その中でどこが頑張っているかですけれども、やはり御承知のように、中手造船所と言われているところが頑張っています。今、専業という言い方になっていると思いますけれども。
これ、三社ほど私これ全部行って、私、見ていますので、行ったところのお話をしますけれども、これA社、これは一番大きなところで有名なところです。ここは、とにかく司令塔があって、ここの指示の早さがすごいです。びっくりします。
小型のばら積み船を造っていまして、同じ船型二百隻ぐらい。私、これ、いわゆる造船のスーパーカブだというふうに私は申し上げているんですけどね。五杯で大体もうブレークイーブンと言われているところ、二百ぐらい造っているんですからね。ですから、ここは本当にすごいわけでありますが。
私が震災直後に行ったときに、その直前までは、いや、船の値段はいろいろ変わるので、タンカーとかコンテナ船とかばら積み船、いろんなものを造って、ポートフォリオで安定化させるんですよという話をしていたんですけどね。ところが、私が行った二〇一二年かな、いや、もう今、うち九〇%石炭ばら積み船ですと。これ、だから指令がどこかから行って一斉に瀬戸内中の造船所が動くという。もうすごいと思いましたね。
こういう動き方ができる、何というか、造船所がまだ日本にあるということで、これは競争力であります。ですから、ここを、このまさに潮目を読み切ると。別に皆様が海賊の末裔だとは言いませんけれども、本当に潮目を読み切って迅速にかじを切るということができているというのがこの中手。まあ技術力がやっぱりちょっとまだ足りないところがあるんだけれども、この商売する力というのは物すごいと思います。これは全産業見ていても、私はここはすごいなと思いますね。
それから、B社、ここは今ちょっと調子悪いんですけれども、一時期すごかったです。これは、あるお客さんにもう完全に特化してカスタムした、もうそのお客さんだけが使う船を造ったんですね。これは鉄鉱石ばら積み船です。だから、やっていることは全くA社とは違います。全く違います、はっきり言って。
これは、ここにちょっとぞろぞろ書きましたけれども、要するに、これ、社長が全部この絵を頭の中で描いたそうですね。要するに、中国が鉄鉱石を爆食している、ということは、パースと上海の航路は鉄鉱石ばら積み船が何隻あっても足りない状態なはずだと。ところで、パースの港は遠浅だと、何で知っているか分かりませんが、遠浅だと。したがって、大きな船が入れなくて困っているはずだと。ところで、うちは三十万トンタンカーを造るドックがあると、したがって二十五万トンぐらいの大きなものは造れると。しかも、買ってくれるリオティントというこの鉄鉱石メジャーはお金を持っていると、だから恐らく幾らでも買ってくれると。したがって、リオティントが泣いて喜ぶような船を、うち三百人しかいないけど、韓国勢に比べたらはるかに劣勢であるけれども、集中してこれを造れという指示が出たそうであります。そこで集中してやったら、まさにリオティントが喜んで五、六十隻まとめて買ってくれたと。つまり、五、六年分の受注残であります。
こういう、これもすごいですね、本当にね。ここまでの連立方程式を一人の頭の中で考えるという人が、日本にもこういう経営者がいるということがすごいと思います。これ、この後、ちょっと今、次がなくてちょっと雌伏の状態でありますけれども。私は、こういう造船所が日本にあるということですね。
それから、C社、これ九州の方ですけれども、ここは世界最高の生産性と言われております。
ここもやはり潮目を読む社長が昔からずっといたわけであって、これ、やっぱり三十万トンタンカーを造ろうと思って九州行ったんですけれども、結局、石油ショックで受注が全く来ない。ところが、なぜかここの社長さんが、元の社長さんですね、七十メーターあればいい幅を八十メーターにしろと言って、全員反対するんだけど、いいからやれと、八十メーターの幅にする。さあ、それでタンカーの仕事が来ない。そしたら、要するに、これを田の字に切ってみろと、田の字に切れば四隻入ると。といって、四隻の小型ばら積み船を造るという形でやっていますので、船のドック期間というのは大体一か月ですから、毎週進水式という大量生産体制を確立して、しかもトヨタ方式がここは入っていますので、世界最高の生産性と一応言われています。多分中国の三倍以上の生産性で行っていると思います。今賃金は中国の三倍程度ですから、これだったらコストで勝てるわけですね。少なくとも、タイの勝負やったら勝てるわけですよ、今ちょっとタイの勝負になっていない気がしますけれども。
ということで、とにかくここもしぶとくやってきたけど、ここで特筆すべきは、私もよく飲むんですけれども、ここは焼酎造っています。これは要するに、本当に造船不況で人が要らなくなったときに代わりに焼酎造ろうといって、隣で焼酎造っているんですね。こういう、要するに雇用のためにはいろいろやるよという、ああ、芋も作っていますね、芋畑もありますね。こういう、これがやっぱり日本の造船業の一つの社会的価値だと私は思っております。
ということで、この三方よしというのはよく言われますけれども、日本の宝であります。経済は産業と企業と地域の集まりでありますけど、この三つに対して、全部に対して良いことをすることを三方よしと言いますが、特に雇用よしですね、雇用よし、利益よし、お客様の顧客満足よしと、この三つを両方やっていくと先ほどの焼酎の話が出てくるわけであります。
ということで、私は現場を見るのにこういった見方をしております。現場と現物から見ていく。現場の組織能力、例えばトヨタ生産方式の能力。そして、現物のアーキテクチャー、これは設計思想ですが、これを見ていくということであります。技術が高い弱いだけ見ていますと、よく政策失敗すると思うんです。この設計思想から見ていく戦略が非常に重要であります。
まず、競争力から見ていきます。これ、その二つの相性が良いと競争力が付いて日本の産業は残るという考え方なんですけれども。
ここを見ていくと、これ、日本の例えば自動車で見てみますと、裏の競争力というこの現場の競争力のところ、左から二つ目ですが、ここを見ていきますけれども。
自動車は日本は依然として世界一です。これ小さいほどいいんですけど、この数字は。日本はいいんです。じゃ、造船はというと、造船も大体、ちょっと前までは中国の三倍から五倍ぐらいの生産性と言われていました。今は彼らも追い付いてきます。だから、彼らは賃金でも追い付いてきているし、生産性でも追い付いてきていて、コスト競争力が非常に微妙です。どっちが勝っているかよく分かりませんけど、大負けしているわけじゃないというふうに私は見ております。
それから、能力ですね。
このエンジニアリングチェーンとサプライチェーンをぐるぐるよく回していますね。これが非常にお上手だというふうに思います。特に、トヨタ方式というのは二百ぐらいのルーチンから成り立っていて簡単にまねできないんですけど、これ入っています。皮肉なことに、これ入った一つの会社では理由は、造船不況のときに、自分のところで首切りたくないので、応援で中京地域の自動車メーカーにたくさん人を出したんですね。この連中がトヨタ方式を持って帰ってくるわけであります。世の中どうなるか分からないですね。
これが、今見ている、造船の場合のこれは工程フロー図であります。これをやっぱり丹念に改善していく必要があるんですけど、特にボトルネックがこのドックにあります。船台、ドック、特にクレーン能力ですね、この辺りがボトルネックになりますので、これをうまく処理しながら全体の流れを良くしていくということ、これはまだまだやれることはいっぱいあると思います。生産性二倍、三倍はほかの産業でできていますから、これはできると思います。
それから、開発の方も、これは一応自動車と同じような開発のプロセスでやっておりますけれども、これも恐らくバーチャルエンジニアリング、デジタル化ですね、こちらの方向に大いに振れていくんじゃないかなというふうに思っております。
それから、今度はアーキテクチャーですね。
こちらの方ですけれども、アーキテクチャーというのは、例えば船でも自動車でも何でもいいんですけれども、ある製品には機能と構造がございます。この構造と機能の関係を具体的に見るとテクノロジーになるんですけれども、これを抽象的に見ていくとアーキテクチャーになります。つまり、設計思想ですね。この設計思想が極めて大事であります。技術ばっかり見ているといかぬのですね、はっきり言って。だから、技術がいいのに何で負けちゃうんだというのは、大体アーキテクチャーで負けているわけであります。設計思想で負けています。
上はモジュラー型、これはすっきりしていますね、構造、機能関係が一対一関係です。これ、アメリカが得意なのはこれです。それから、中国が得意なのもこれです。アメリカ、中国が何でけんかしているかというと、この同じところでバッティングしているからけんかしているわけであります。
ところが、日本は、この下のぐちゃぐちゃなやつ、こういうのが日本は得意なんですよ、ややこしいやつ。決して技術は強くないかもしれないけど、このややこしい設計をやっているものは日本が強い。そして、つまり、そういった非常に厳しい状況で造っている船というのは大体これになります。
ただし、自動車みたいに簡単じゃないところがちょっとあるんですね。ということで、このクローズドインテグラル、この自動車型、これは日本が強いパターンで、船の船殻は大体この形でいけると思います。ところが、このオープンモジュラーという、これ日本は全然駄目ですね、こういう寄せ集めでできちゃうものは。ですから、デジタルが駄目、自動車強い、これは当たり前であって、設計思想の問題であります。
ただ、これ、船のややこしいところは、一部舶用のところだけはオープンアーキテクチャーになっているわけであります。ここは弱いんですね。だから、こちら側の顔が出てくると日本の造船は弱くなるし、こっちの顔が出てくると日本の造船は強いわけです。だから、これは何とも言えない、今勝負どころなわけですね。
これ、実際に描いてみますと、機関部、船体、居住区とあって、特にこの機関部ですね、ここにしわ寄せがうんと行きます。なぜならば、この下に舶用がぶら下がっているからであります。
こんなふうに、描くと、実際なるんですね。これ実際に描いてみると、この下の機関設計に物すごいしわ寄せが行っているところが分かるんですね。ですから、ここのアーキテクチャーをどうしていくかということで、皆さん、多分造船メーカーさんは大変今工夫をしているところだと思います。
それを見るときに、こういう戦略論で考えるんですね。自分の製品のアーキテクチャーとお客様のアーキテクチャーと両方を考えます。それがすり合わせ型か寄せ集め型かというところで描くと四つになりますね。
これ、それぞれ戦い方が違います。左上は価格設定力を持つこと、右上はシェア一番取ること、左下はビジネスモデルで勝負すること、右下は、これは大体中国さんが強いから余り行かない方がいいと、こうなっています。
実際見てみると、さっきの絵を見ると、A社の小型標準、スーパーカブみたいなやつは、これはもう右上であります。そして、逆に、C社の機関室の中を非常にモジュール化して工夫している、これ多分ほかの会社もありますけど、これは左下になります。そして、B社の先ほどのばら積み船はこの左上なんですね。だから、ほぼ、これで確かに戦略論的にも正しいことをやっていたので、うまくいっていると。だから、別にこんなものを描いてやられたわけじゃないと思いますけれども、実は非常にうまくやっている。
それから、設計の中見ても、船体そのもの、例えば、先ほどA社の船体は右上で、これはインテルと同じ、あるいはシマノと同じ場所ですから、うまくやれば二〇%利益が出る場所であります。左上は船殻設計、ここはお金が掛かりますけれども、お金が取れれば勝てると。左下に機関設計で、ここが一番苦労します。左下の機関設計のところが勝負だというふうに私は思いますね。右上の居住区、ここはちょっとなかなか勝負できないところかもしれません。
ということで、実際見ていくと日本は、これ経産省と一緒に東大で調査をやったんですけれども、実際、すり合わせ度が高いほど日本の輸出比率は高いです。これは統計的に有意であります。
これを見て考えますと、日本はやはりこういった統合力、まとめる力が強い。多能工のチームワークでやっていくから、すり合わせ型製品が強い。だから、船がすり合わせ型製品でいてくれれば造船はまだ勝てます。船が完全モジュラー化しちゃったら恐らく勝てません。だから、ここの勝負だというふうに考えます。
その勝負の行方は、やはりSDG、いかに厳しい環境規制を船に対して出してもらえるかであります。油断していると、ヨーロッパや中国の人たちは、まあいいじゃないですかということを言ってきます。それを許さぬということでありますね。これをちょっと厳しい方へ行くのがまさに、国連が錦の御旗だと、SDGだということであります。
こう見てきますと、中国、韓国、日本って大体この順番に並んでいまして、日本が一番上で、韓国、中国の順番だとなっているんですけれども、実際に調べてみたら、もう韓国が上行っています。彼らは千人以上の造船エンジニアがいますから完全に上に行ってまして、ここに大手はのみ込まれているわけであります。
ところが、下の方に行きますと、この下、黄色いところが日本なんですけどね、これ、裏取っているわけですよ。この下に中国がいますけれども、要するに、先行かせて裏取っちゃっているんですね、これサッカーと一緒です。極めて巧みですね。だから、これで大変利益を出してきたというふうに、少なくともこれまでは、思っております。だから、これがこれから続くかどうかですね。
絵で描くとこうなっています。要するに、韓国、中国が補助金付きでどんどん追っかけてきます。それに対して、この間の隙間のところに入って中手が巧みにこれまで商売やってきた。上のハイテクに行ったんだけど、上がもうなくて、ちょっと寸詰まりな、せっちん詰めになっちゃっているのが大手でありまして、大手はちょっと上で苦しいと。当然これ、上に行かないと中国が追っかけてきますから、上に中手も行かなきゃいけないんですけど、そのときに明らかに大手と中手が結んで、中手が商売力、大手が技術力という形で出し合えばこれはまだ勝機があるというふうに、少なくとも戦略論的に見ればこれは明らかですね、この絵から見れば、ということであります。
ということで、造船で見られる裏取り戦略というのがあります。この裏を取る、まさにサッカーと一緒ですね。中手の造船所がこれをやっております。ほかに、半導体や実は電子回路のこういうしぶとい企業が日本にあります。みんな裏を取っています。
だから、とにかく追っかけられたら逃げりゃいいという話じゃなくて、逃げ切れるか逃げ切れないかは分かりません。逃げ切れれば逃げ切る戦略、逃げ切れなければ裏を取る戦略と、これが実は日本の今したたかな企業はこれをやっているというふうに思います。
ということで、済みません長くなりましたが、日本は現場を鍛えて設計立国で行くべきであると私は思っています。今のグローバル化、それから国際分業型の産業構造、そして微細な細かいところでの産業内貿易、設計に対する厳しい制約条件、これですね、特に四番、これ次第であります、造船は。で、デジタルプラットフォーム化の支配ですね、それからグローバル大災害、今の。
これらの時代にやはり勝っていくためには、まずやっぱり現場をしっかり日本に残すこと。そして、現場と相性のいい、その現場と相性のいい製品で勝負する。それで勝負できるような環境を世界的につくっていくということ。そのために産学官が一緒になって設計立国を目指していく。面倒くさい設計は日本に任せちゃえと、面倒くさいからと、そういうふうに世界中から言ってもらえるようになれば、あらゆる産業で日本はまだ勝機があるというふうに思っております。
以上で終わります。済みませんでした、長くなりました。
鶴
上
上田孝#5
○参考人(上田孝君) 日本造船工業会の副会長をしております、サノヤス造船の上田でございます。
本日は、造船業の現況等を説明させていただく機会を頂戴しまして感謝申し上げます。造船や海運業は、自動車や航空機産業とは異なり、一般市民の目に触れる機会が少ないため、実態を御存じない方も少なくございません。しかしながら、社会インフラを縁の下で支え、国の重要な基幹を成す産業でありまして、このことを御理解いただければ幸いでございます。
ただいま藤本先生から我々に対してエールを送っていただきましたことに感謝申し上げます。造船なかんずく中手が頑張っているというエールをいただきまして、ありがとうございます。
加えて、海事クラスターもっと頑張れという話だったんですが、この中手という言葉とクラスターという言葉が、私もこの造船会社に入りまして十二年たつんですが、全くこれが世間に通じない言葉を業界で使っております。
内弁慶じゃないかと反省しているんですが、中手というのは、三菱さん始めとする大手上場会社の船舶部門を大手といいまして、中手は今出ているA社、B社、C社、私どもはそれに入っていませんのでFぐらいのところにいますが、そういう会社を中手という言い方します。ただし、日本で最大の造船会社は今治造船さんなんで、これを中では強手という、強い手という。いずれにしても、中手だ何だかんだという表現がちょっと違和感を感じておられるかもしれません。
それから、クラスター。今このクラスターを使うと、造船クラスターなんて、海事クラスターって何か使い勝手悪いですから。ちょっと、私のペーパーもそうなっていますけれど、ちょっとそういう特殊な言葉を業界では使うことになっています。(資料映写)
今日のお話は、一章、二章、三章ということで、そこに書きましたとおりの話を申し上げますが、原稿にはないんですが、一九八五年にプラザ合意というのがございまして、その直後に造船の大不況が、戦後二回目の大不況がございました、造船会社が潰れ、リストラをやるという。それで、その一九八七年頃なんですが、それから見て三十三年ぶりの造船大不況が今襲っております。今、藤本先生からエールを頂戴しましたが、今の状況はその三十数年ぶりの大不況が襲っているんだという前提で今日の私のお話を聞いていただければ幸いでございます。
造船を支える。ここはもう先ほど来出ているとおりでありまして、造船業の前に船舶というものがどういうものだということでございます。暮らしに欠かせないもの、鉄鉱石、石炭、原油、天然ガス等のエネルギー資源をほぼ一〇〇%海外に依存しておるわけでありまして、したがって、日本経済が回っていくために必要な物資、この九九・六%が海上輸送、すなわち全てが船で運ばれております。この九九・六という数字は、もちろん金額ベースに直しますと多分七割とか七〇%ぐらいになると思うんですが、量でいったらそういうことでございます。
次に、造船業のその物づくりの特徴についてお話を申し上げます。
船は最古の乗り物と言われておりまして、人類の歴史とともに発展してきました。材質は木から鋼、そして推進力は人力、風、そして石炭から石油と、そういう変遷を取りまして、現在、今後はLNG、その先にはCO2を排出しない環境に優しい水素等へ進化していくというふうに言われております。
船は、大きいものですと長さが四百メートル、一船ごとの受注生産でありまして、自動車や二輪車のように大量生産が可能な一般消費者向け商品とは異なります。船の積荷、用途、就航航路に応じた大きさ、形状、備え付けられた機能等々、様々でございます。
造船所は、IT化やオートメーション、ロボット化等を入れまして、また先端技術を取り入れて頑張っておりますが、まだまだ多くのワーカーを必要とする労働集約型産業でございます。したがって、地域経済、雇用に貢献しているというところにつながるわけでございます。
船は世界どこでも航海ができます。その船を建造する造船業も世界単一マーケットで競争しております。ライバルでございます中国、韓国と同じ土俵で戦っているはずなのですが、彼らは政府支援が手厚く、公平な競争条件であるとは言えないのが実情でございます。
建造現場、これは多分先生の方がよく御存じかもしれません。機械化が進みにくいところがございます。例えば、船を御覧になったときに、船首あるいは船尾部分、あの丸く曲線を成しております。あの曲線を作る技術は実は人の、たくみの技術です。ぎょう鉄という作業なんですが、あのぎょう鉄の作業はまさにたくみの技でございます。そのたくみの技を使っているというのがやっぱり日本人の日本人たるその器用さというのが反映しているんじゃないかと思います。
そして、船の大きさによるんですけど、非常にたくさんの部品を組み上げる、アッセンブルの、究極のアッセンブル産業です。スケジュールどおりに建造してきっちりとした仕事をこなしていくというのが、真面目で勤勉な日本人の特性にマッチしているというふうに考えてもよろしいんではないかと思っております。造船業は日本の、日本人の気質に合った産業ではないかと、そういうふうに自負しております。
この図を見ていただくと、海運・造船業は右肩上がりの成長産業だということでございます。世界経済の成長に合わせて海上荷動き量は拡大を続けておりまして、これからもその傾向は続くと見込まれています。決して一部のマスコミ等で言われているような斜陽産業あるいは衰退産業ではございません。この点御理解いただきたいんですが、ただ、今成長産業と言いましたが、これ、言葉としての成長産業というのは正しい表現かどうかは私も自信ございません。ひょっとしたら成熟産業という言い方がいいのかもしれないし、ちょっとここに誤解を与えている可能性があると思っております。
世界貿易を支えます船舶を供給する造船業、経済、雇用、防衛の観点から、日本にとって不可欠な産業であると。特に地方においては、地域経済を支え、就業機会の確保に大きく貢献しています。さらに、艦艇や巡視船艇の建造を通じて国の安全保障にも寄与していると思っております。また、船を構成するエンジン、航海機器始めたくさんのいわゆる部品、舶用機器、これを主に国内の舶用メーカーから調達しておりまして、多数の中小事業者に支えられている産業でございます。裾野の広い産業だと思います。
このグラフはもうよく出てくる表なんですが、大きな波を打っております。造船業は好不況の波が他産業に比べて非常に激しいということでございます。船は一度建造すると大体二、三十年使用されます。貨物の荷動き量の増減に合わせた柔軟な供給体制を取ることが困難でございまして、契約をして船が完成するまでに二、三年掛かる。そうすると、将来の好景気を見込んで先行発注したものが、そのときに荷物がなくなって、完成した頃には船が余っているということが起こっております。したがって新規の発注量が途絶えていくというのが、この景気の連動に合わせて、それがこのグラフに表れているとおり、景気が良くなった、船を造ろう、船の発注があった、でも、でき上がった頃には景気がおかしくなって船が余ってくると、この繰り返しをやっております。石油危機の、一九七五年、第一次の世界危機の直後の船舶需要が激減した時代、そして現在もそういうことは繰り返しております。
リーマン・ショック前、これは大量に発注されました。もう世界貿易が激増しました。そのときに、船も必要だということでどんどん船の発注がございました。これを、業界では時々、海運バブルとか造船バブルという表現を取るんですけれど、私は、バブルという言葉は金融でよく使うバブルなんですが、これはバブルというよりもブームが来ていました。世界、地球レベルの経済成長のブームが来ていました。ブームに合わせて船を持って荷物を運ぶ、それで船が欲しいから船を発注するというブームが来ていました。しかし、ブームというのは意外と簡単に終わっちゃったわけです。終わったので、ここに、表にございます、グラフにございますように、右側の山ですね、このときは本当に、リーマン・ショックの直前にブームで乗ってどんどん発注がありまして、造りました。造ったときのピークが一億グロトンという数字なんですが、そのときに造った船が、実はでき上がった後に余っちゃったんです。余ったから次の発注はしないというような状況が続いてきたの繰り返しをしております。
先ほど先生から生産性の議論が出ました。生産性議論をしますと、我々の中で統計データあるんです。一人当たりどのぐらいの船の工事量をやっているかという数字なんですが、確かに、七五年辺りから見て、第一次のピークの辺りから見ましても、ここの折れ線グラフですね、三倍のレベルに上がってはおります。確かに昔は、船造るのに、機械もなければ、本当にたくさんの人手を掛けていたのは事実でございます。今はそれは、設計にしろ現場にしろ、相当数が、例えば溶接一つ取りましても、今は自動溶接といいまして、普通の平板、普通のところはもう自動でやっちゃいます。曲がった箇所とかややこしいところだけ人間の技でございます。そんなことで三倍に上がっているんですが、先生から三倍上がった、いいと言っていただいているんですが、この程度という自戒の念もあります。もっと上げなきゃいかぬのじゃないかと、将来に向かってという感じはございます。
次のページ。この海事クラスターのいろんなここの話は先ほども出ておりますので、全体に、関連メーカー等を含めまして、我々、造船・舶用工業十三万人の雇用、売上げは三・四兆円になっているということです。四十年前、五十年前はこれが多分三倍、四倍ですから、四、五十万ぐらいの雇用はやっていたはずです。それは、いわゆる自助努力で生産性を上げて、現在この数字になっているというふうに思います。
ところで、船の話をしますと、私の家族なんかもそうなんですが、ニュース見ていましてパナマの船が何か事故起こしたよという話が出てきて、もう先生方は当然御存じでしょうけれど、パナマの船がパナマの船ですかというんじゃなくて、実は、日本は実質支配している船が日本船籍じゃないということでございまして、御承知のとおりだと思います。日本は、実質支配している船は世界の約一割強を持っております。ですから、パナマ船籍の船がどうというのは、実は日本の郵商K、日本郵船さん、商船三井さん、川崎汽船さんなどの日本の大手の船会社さんが所有されているとか、あるいは瀬戸内海の地域に根差した多数の船舶オーナーがございます。この方々が所有されています。だから、国籍は違うんだけど日本の船です。このことが非常に分かりにくいテーマでしたので、ちょっとそこをコメントさせていただきます。
その次の表ですが、これは日本の造船所が西に多いということを書いておるんです。
ちょっとちっちゃいですが、岡山県倉敷市、水島コンビナートに私どものサノヤスドックがございます。サノヤス造船の大きさは約十万坪、最も小さな最もコンパクトなヤードでございますが、そこで千人働いております。
その次の表、これがよく使われる表ですが、造船業の歴史、これ御覧いただいたとおり、確実に二〇〇〇年頃から右肩上がりにどおっと来ています。これは貿易、世界貿易量が増えたからです。中国を中心に世界貿易量がどんどん増えたからです。
それに合わせて造船所ができました。二〇〇〇年頃の、赤色を御覧いただきましたら、中国の造船のウエートなんというのはもう本当に微々たるものです。でも、自国に入ってくる貿易を見ていて、それが日本の船だと、だったら造船所を造ろうじゃないかと。データでいったら多分二千社ぐらい造船所が、にわか造船所ができまして、それがこの勢いでもっていました。そこが、先ほども申し上げた造船ブームの、海運・造船ブームが二〇一〇年、一一年、この頃です。リーマン・ショック直後に、リーマン・ショック前に発注された船がここで実現して、出てきております。
実は、このシェア表はいろいろ考え方あるんですが、〇八年、二〇〇八年は、世界ナンバーワンプレーヤーは韓国、そして二番が日本、三番に中国でした。翌年、韓国、中国、日本に変わります。そして、歴史的に我々非常に強く印象に残っているのは二〇一〇年でございまして、二〇一〇年はGDP、名目GDPが日本が中国に抜かれた年であります。この年に世界ナンバーワン造船大国は中国に取って代わるわけです。したがって、中国、韓国、日本という順番になったのがこの二〇一〇年でございます。
次は、そういう、じゃ、他国の状況を拝見しますと、ここにシェア表ございます。中国の大手、韓国の大手というのがありまして、韓国は現代重工業、大宇造船海洋の買収によって世界ナンバーワン、世界シェア三割の企業が誕生しようとしています。これについては現在、中国、日本、ヨーロッパ、EU等の公正取引委員会が審査を行っているところでございます。また、中国では二大国営企業の統合により、巨大造船所、そこの赤色の部分です。十数%のシェアを持つ強豪が誕生します。それに対して日本は、御案内のとおり、今治造船さんとJMUさんの統合が十一月、去年の十一月に設計、営業の共同会社を設立というのが発表されましたので、そこが今進んでいく過程でございます。
業界としまして、今後も、経営の安定化、世界市場での影響力の保持のため、こういった意味での集約、事業提携を推進していく必要があると。これは造船工業会として、あるいはお国、政府の方もそういう御方針ですし、我々一企業人としましてもその考え方はまさにそうだと思っております。
その次ですね、公的資金のWTO問題があるんですが、今、韓国が、御案内のとおり、リーマン・ショック後の落ち込みが激しいときに経営が危なくなった大手の造船所がございまして、そこに大変大きな額の公的助成、行いました。これ、ドライに言えば、本来ならば市場から撤退すべき事業者だと僕は思います。日本だって四十年、三十数年前に、まさにマーケットから出ていった会社がたくさんあるわけでして、それが国によって救われ、世界の造船市場の需給バランスを、ブームの後の需給バランスを回復しようとしたところがバランス崩れたままの状況になったのは、悪いですがこういうことの過保護だったと思っています。
現在、これに関しましては、日本政府によって、不公正な政府支援を正して公正な国際競争環境を取り戻すために、韓国政府による自国造船業の公的資金に対してWTO提訴いたしました。現在、二国間協議を実施している段階でございます。我々日本の造船業界、当然ながら政府の対応を支持いたしまして、所要の協力を行っております。
ここからは少し技術の話になっていくんですが、船の世界でいろいろ環境規制等々の話が出てくるんです。書いていますように、一番悩ましいのはCO2の排出量の問題でして、IMO、国際海事機関によってGHGの削減ということがルールが決まりましたので、今現に使われている船が、二〇三〇年になると、こういうルールに適合しない場合は駄目よと退出を命じられるわけです。したがって、このルールに従った船を造らなきゃいかぬということで、今現在、業界としても最大限の取組をしているところでございます。
ちなみに、このCO2の問題でも、私がこういう造船の仕事を始めましたときに、私どもの船でC重油というのを使って船を動かすんですが、当時、私どものパナマックスバルクキャリアでC重油って一日当たりどのぐらい使うんですかといったときに、私の記憶では三十八トン、一日使用量が、そういう船を造っていて、それを省エネ船に替えていこうというので、本当に自分たちで努力をしましてどんどんどんどんレベルアップしました。多分、今二十数トンにまで、いわゆる機能といいますか、性能がアップしています。今回のこのGHGの問題は、それでは耐えられません、新しい大きなテーマです。
その次に、船の、GHGゼロ排出に向けたいろんな船の研究、省エネ、脱炭素技術の展開ということを、ここに書きましたような形で行っております。LNGの燃料というのは、今もう既に、我々でも既に俎上に上がっていますが、さらに二〇五〇年に向かっては水素かアンモニアかというような議論が起こっております。
したがって、技術論でいったら、まさに技術革命が起こるんだろうと、また起こさないとここで退場を命じられるかも分からないという、そういう意味で、冒頭に不況だと申し上げましたが、新しい戦いに勝つためにここの大きなハードルが待っているということでございます。
船舶の、今申し上げた流れでございまして、自動運航船、こういったことも研究テーマでございまして、ヒューマンエラー、船の問題が起こるときによくあるのはヒューマンエラーです。船員によるミスだとか、いろんな問題が起こっているんですが、じゃ、そういうものが起こらないような、海難事故が起こらないようないわゆる技術というものをもっとふんだんに取り入れた船ができないだろうか。そういったことについて、日本の技術優位性を生かして、そういうレベルの船を造ることで勝てるんではないかということを展望して、今、これは個別各社の問題というよりも、海運会社さんと造船各社と、あるいは連合軍としてのそういう研究機関等合わせてこういったことの研究を鋭意進めております。
今後の業界見通しであります。
この表は、グラフは、受注産業と申し上げました、受注産業ですので、通常、契約をいただいて、そこから設計の細部を打合せをし、エンジン始めいろんな資機材を買います、そして造ります。大体二年、最低二年必要だというふうにまず御理解ください。二年ぐらいが必要なときに、その受注が今どうなっているかということでございます。最近の世界の受注別と書いていますが、このブルー、日本ですが、もう激減しているのがここで一目瞭然であります。
その次の表がもっと端的に分かります。先ほど申し上げた造船ブームのときは、私どもの会社でもそうでしたし、全社的に多分四、五年分の受注を抱えました。本当にたくさんのオーダーをいただきました。ところが、それが大体三年に落ち、二年に落ちた。それが何と、ここに書いてあるとおり、昨年末、二〇一九年十二月には一・五年、一年半分しかないと。現在、コロナの影響で商談が完全にストップしている関係で、現在一・二年分です。もちろん平均値ですから、各社各様いろいろな考え方があるんですが、もう完全にここでいわゆるアラームが出ているという感じでございます。
ですから、今日は、私冒頭に申し上げたように、本当に今、造船の、全体としても不況なんだけど、今この足下、コロナ禍の影響を受けてもう完全にダブルパンチで大変な状況になっておるというのが現在の状況でございます。仕事量がないということで、雇用を抱えた造船各社が一体どうしたらいいんだということを、今、各企業、そして造船工業会始め、あるいは海事局の御指導を得て、今それを鋭意いろいろな角度から取り組んでおります。これは歴史的に見て、この二年を切るような状態は二〇〇〇年頃に一回あったようです。そして、その前は四十年前、三十数年前です。
ここ、次のページが一番大事なところ、私もう時間切れでここを言い逃したら造船工業会の事務局から怒られますので、これを申し上げます。
今、そのような状況で、経営の安定化策、対策が、これは我々企業、そして造船工業会会員企業、そして皆さんといろいろな議論をした結果、ここに集約されましたようなことを今具体的に一つずつ押さえていっております。競争力を維持する、あるいは向上していくためにどうすればいいんだろうと、GHGの大幅削減のようなこういうニーズに対してどうすればいいんだろうと、そんなことを我々は今考えておるわけです。
この一つ一つについて御説明することは差し控えますが、もう足下のこの状況ですから、今、足下で、例えばこの中の一番上のうちの六つ目、つなぎ対策と書いていますね。コロナ対応で、我々は例えば売上高は全然落ちていません、足下。受注残が激減しています。売上高基準でいくと全然コロナ影響を受けていない、しかし受注残は先が全くおかしくなったというようなことを含めて、例えばつなぎ融資のことを書いてございます。
最後、国に、皆さんに御要請申し上げたいことです。五項目ございます。
今申し上げたことを含めて、つなぎの資金に関する御支援、船主の発注意欲を促進する、買手を支えていただく。そして、仕事量の確保を図るための民間船舶、官公庁船の発注増加への支援。企業の連携、再編等に伴う集約化、生産性向上等の資金支援。公正な市場の確保、これは対外、グローバルの面です。そして最後に、大型研究開発及び海洋開発促進への御支援。こういったものについて御支援を賜れば有り難いと存じます。
ただ、企業を経営していまして、日本の場合、中国、韓国を私企業と呼んでいいのかどうか、プライベートカンパニーというか、私企業と呼んでいいのかどうか、非常に私は疑問に思っています。
日本は、先ほど出ていますように、大手さん五社、まあ六社というカウントもしますが、中手は十一社ございます。その下に舶用、もっと小さな会社がたくさんあります。基本的に今、自助努力というのは自分たちで必死になって頑張ります。これがやっぱり最低限の条件だろうと思っています。我々は本当に自分たちでまず頑張らないかぬと、しかし、できれば、今日先生方にもお話聞いていただいて、我々について御理解賜りまして、是非国からも御理解とそして御支援を頂戴できれば幸いでございます。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →本日は、造船業の現況等を説明させていただく機会を頂戴しまして感謝申し上げます。造船や海運業は、自動車や航空機産業とは異なり、一般市民の目に触れる機会が少ないため、実態を御存じない方も少なくございません。しかしながら、社会インフラを縁の下で支え、国の重要な基幹を成す産業でありまして、このことを御理解いただければ幸いでございます。
ただいま藤本先生から我々に対してエールを送っていただきましたことに感謝申し上げます。造船なかんずく中手が頑張っているというエールをいただきまして、ありがとうございます。
加えて、海事クラスターもっと頑張れという話だったんですが、この中手という言葉とクラスターという言葉が、私もこの造船会社に入りまして十二年たつんですが、全くこれが世間に通じない言葉を業界で使っております。
内弁慶じゃないかと反省しているんですが、中手というのは、三菱さん始めとする大手上場会社の船舶部門を大手といいまして、中手は今出ているA社、B社、C社、私どもはそれに入っていませんのでFぐらいのところにいますが、そういう会社を中手という言い方します。ただし、日本で最大の造船会社は今治造船さんなんで、これを中では強手という、強い手という。いずれにしても、中手だ何だかんだという表現がちょっと違和感を感じておられるかもしれません。
それから、クラスター。今このクラスターを使うと、造船クラスターなんて、海事クラスターって何か使い勝手悪いですから。ちょっと、私のペーパーもそうなっていますけれど、ちょっとそういう特殊な言葉を業界では使うことになっています。(資料映写)
今日のお話は、一章、二章、三章ということで、そこに書きましたとおりの話を申し上げますが、原稿にはないんですが、一九八五年にプラザ合意というのがございまして、その直後に造船の大不況が、戦後二回目の大不況がございました、造船会社が潰れ、リストラをやるという。それで、その一九八七年頃なんですが、それから見て三十三年ぶりの造船大不況が今襲っております。今、藤本先生からエールを頂戴しましたが、今の状況はその三十数年ぶりの大不況が襲っているんだという前提で今日の私のお話を聞いていただければ幸いでございます。
造船を支える。ここはもう先ほど来出ているとおりでありまして、造船業の前に船舶というものがどういうものだということでございます。暮らしに欠かせないもの、鉄鉱石、石炭、原油、天然ガス等のエネルギー資源をほぼ一〇〇%海外に依存しておるわけでありまして、したがって、日本経済が回っていくために必要な物資、この九九・六%が海上輸送、すなわち全てが船で運ばれております。この九九・六という数字は、もちろん金額ベースに直しますと多分七割とか七〇%ぐらいになると思うんですが、量でいったらそういうことでございます。
次に、造船業のその物づくりの特徴についてお話を申し上げます。
船は最古の乗り物と言われておりまして、人類の歴史とともに発展してきました。材質は木から鋼、そして推進力は人力、風、そして石炭から石油と、そういう変遷を取りまして、現在、今後はLNG、その先にはCO2を排出しない環境に優しい水素等へ進化していくというふうに言われております。
船は、大きいものですと長さが四百メートル、一船ごとの受注生産でありまして、自動車や二輪車のように大量生産が可能な一般消費者向け商品とは異なります。船の積荷、用途、就航航路に応じた大きさ、形状、備え付けられた機能等々、様々でございます。
造船所は、IT化やオートメーション、ロボット化等を入れまして、また先端技術を取り入れて頑張っておりますが、まだまだ多くのワーカーを必要とする労働集約型産業でございます。したがって、地域経済、雇用に貢献しているというところにつながるわけでございます。
船は世界どこでも航海ができます。その船を建造する造船業も世界単一マーケットで競争しております。ライバルでございます中国、韓国と同じ土俵で戦っているはずなのですが、彼らは政府支援が手厚く、公平な競争条件であるとは言えないのが実情でございます。
建造現場、これは多分先生の方がよく御存じかもしれません。機械化が進みにくいところがございます。例えば、船を御覧になったときに、船首あるいは船尾部分、あの丸く曲線を成しております。あの曲線を作る技術は実は人の、たくみの技術です。ぎょう鉄という作業なんですが、あのぎょう鉄の作業はまさにたくみの技でございます。そのたくみの技を使っているというのがやっぱり日本人の日本人たるその器用さというのが反映しているんじゃないかと思います。
そして、船の大きさによるんですけど、非常にたくさんの部品を組み上げる、アッセンブルの、究極のアッセンブル産業です。スケジュールどおりに建造してきっちりとした仕事をこなしていくというのが、真面目で勤勉な日本人の特性にマッチしているというふうに考えてもよろしいんではないかと思っております。造船業は日本の、日本人の気質に合った産業ではないかと、そういうふうに自負しております。
この図を見ていただくと、海運・造船業は右肩上がりの成長産業だということでございます。世界経済の成長に合わせて海上荷動き量は拡大を続けておりまして、これからもその傾向は続くと見込まれています。決して一部のマスコミ等で言われているような斜陽産業あるいは衰退産業ではございません。この点御理解いただきたいんですが、ただ、今成長産業と言いましたが、これ、言葉としての成長産業というのは正しい表現かどうかは私も自信ございません。ひょっとしたら成熟産業という言い方がいいのかもしれないし、ちょっとここに誤解を与えている可能性があると思っております。
世界貿易を支えます船舶を供給する造船業、経済、雇用、防衛の観点から、日本にとって不可欠な産業であると。特に地方においては、地域経済を支え、就業機会の確保に大きく貢献しています。さらに、艦艇や巡視船艇の建造を通じて国の安全保障にも寄与していると思っております。また、船を構成するエンジン、航海機器始めたくさんのいわゆる部品、舶用機器、これを主に国内の舶用メーカーから調達しておりまして、多数の中小事業者に支えられている産業でございます。裾野の広い産業だと思います。
このグラフはもうよく出てくる表なんですが、大きな波を打っております。造船業は好不況の波が他産業に比べて非常に激しいということでございます。船は一度建造すると大体二、三十年使用されます。貨物の荷動き量の増減に合わせた柔軟な供給体制を取ることが困難でございまして、契約をして船が完成するまでに二、三年掛かる。そうすると、将来の好景気を見込んで先行発注したものが、そのときに荷物がなくなって、完成した頃には船が余っているということが起こっております。したがって新規の発注量が途絶えていくというのが、この景気の連動に合わせて、それがこのグラフに表れているとおり、景気が良くなった、船を造ろう、船の発注があった、でも、でき上がった頃には景気がおかしくなって船が余ってくると、この繰り返しをやっております。石油危機の、一九七五年、第一次の世界危機の直後の船舶需要が激減した時代、そして現在もそういうことは繰り返しております。
リーマン・ショック前、これは大量に発注されました。もう世界貿易が激増しました。そのときに、船も必要だということでどんどん船の発注がございました。これを、業界では時々、海運バブルとか造船バブルという表現を取るんですけれど、私は、バブルという言葉は金融でよく使うバブルなんですが、これはバブルというよりもブームが来ていました。世界、地球レベルの経済成長のブームが来ていました。ブームに合わせて船を持って荷物を運ぶ、それで船が欲しいから船を発注するというブームが来ていました。しかし、ブームというのは意外と簡単に終わっちゃったわけです。終わったので、ここに、表にございます、グラフにございますように、右側の山ですね、このときは本当に、リーマン・ショックの直前にブームで乗ってどんどん発注がありまして、造りました。造ったときのピークが一億グロトンという数字なんですが、そのときに造った船が、実はでき上がった後に余っちゃったんです。余ったから次の発注はしないというような状況が続いてきたの繰り返しをしております。
先ほど先生から生産性の議論が出ました。生産性議論をしますと、我々の中で統計データあるんです。一人当たりどのぐらいの船の工事量をやっているかという数字なんですが、確かに、七五年辺りから見て、第一次のピークの辺りから見ましても、ここの折れ線グラフですね、三倍のレベルに上がってはおります。確かに昔は、船造るのに、機械もなければ、本当にたくさんの人手を掛けていたのは事実でございます。今はそれは、設計にしろ現場にしろ、相当数が、例えば溶接一つ取りましても、今は自動溶接といいまして、普通の平板、普通のところはもう自動でやっちゃいます。曲がった箇所とかややこしいところだけ人間の技でございます。そんなことで三倍に上がっているんですが、先生から三倍上がった、いいと言っていただいているんですが、この程度という自戒の念もあります。もっと上げなきゃいかぬのじゃないかと、将来に向かってという感じはございます。
次のページ。この海事クラスターのいろんなここの話は先ほども出ておりますので、全体に、関連メーカー等を含めまして、我々、造船・舶用工業十三万人の雇用、売上げは三・四兆円になっているということです。四十年前、五十年前はこれが多分三倍、四倍ですから、四、五十万ぐらいの雇用はやっていたはずです。それは、いわゆる自助努力で生産性を上げて、現在この数字になっているというふうに思います。
ところで、船の話をしますと、私の家族なんかもそうなんですが、ニュース見ていましてパナマの船が何か事故起こしたよという話が出てきて、もう先生方は当然御存じでしょうけれど、パナマの船がパナマの船ですかというんじゃなくて、実は、日本は実質支配している船が日本船籍じゃないということでございまして、御承知のとおりだと思います。日本は、実質支配している船は世界の約一割強を持っております。ですから、パナマ船籍の船がどうというのは、実は日本の郵商K、日本郵船さん、商船三井さん、川崎汽船さんなどの日本の大手の船会社さんが所有されているとか、あるいは瀬戸内海の地域に根差した多数の船舶オーナーがございます。この方々が所有されています。だから、国籍は違うんだけど日本の船です。このことが非常に分かりにくいテーマでしたので、ちょっとそこをコメントさせていただきます。
その次の表ですが、これは日本の造船所が西に多いということを書いておるんです。
ちょっとちっちゃいですが、岡山県倉敷市、水島コンビナートに私どものサノヤスドックがございます。サノヤス造船の大きさは約十万坪、最も小さな最もコンパクトなヤードでございますが、そこで千人働いております。
その次の表、これがよく使われる表ですが、造船業の歴史、これ御覧いただいたとおり、確実に二〇〇〇年頃から右肩上がりにどおっと来ています。これは貿易、世界貿易量が増えたからです。中国を中心に世界貿易量がどんどん増えたからです。
それに合わせて造船所ができました。二〇〇〇年頃の、赤色を御覧いただきましたら、中国の造船のウエートなんというのはもう本当に微々たるものです。でも、自国に入ってくる貿易を見ていて、それが日本の船だと、だったら造船所を造ろうじゃないかと。データでいったら多分二千社ぐらい造船所が、にわか造船所ができまして、それがこの勢いでもっていました。そこが、先ほども申し上げた造船ブームの、海運・造船ブームが二〇一〇年、一一年、この頃です。リーマン・ショック直後に、リーマン・ショック前に発注された船がここで実現して、出てきております。
実は、このシェア表はいろいろ考え方あるんですが、〇八年、二〇〇八年は、世界ナンバーワンプレーヤーは韓国、そして二番が日本、三番に中国でした。翌年、韓国、中国、日本に変わります。そして、歴史的に我々非常に強く印象に残っているのは二〇一〇年でございまして、二〇一〇年はGDP、名目GDPが日本が中国に抜かれた年であります。この年に世界ナンバーワン造船大国は中国に取って代わるわけです。したがって、中国、韓国、日本という順番になったのがこの二〇一〇年でございます。
次は、そういう、じゃ、他国の状況を拝見しますと、ここにシェア表ございます。中国の大手、韓国の大手というのがありまして、韓国は現代重工業、大宇造船海洋の買収によって世界ナンバーワン、世界シェア三割の企業が誕生しようとしています。これについては現在、中国、日本、ヨーロッパ、EU等の公正取引委員会が審査を行っているところでございます。また、中国では二大国営企業の統合により、巨大造船所、そこの赤色の部分です。十数%のシェアを持つ強豪が誕生します。それに対して日本は、御案内のとおり、今治造船さんとJMUさんの統合が十一月、去年の十一月に設計、営業の共同会社を設立というのが発表されましたので、そこが今進んでいく過程でございます。
業界としまして、今後も、経営の安定化、世界市場での影響力の保持のため、こういった意味での集約、事業提携を推進していく必要があると。これは造船工業会として、あるいはお国、政府の方もそういう御方針ですし、我々一企業人としましてもその考え方はまさにそうだと思っております。
その次ですね、公的資金のWTO問題があるんですが、今、韓国が、御案内のとおり、リーマン・ショック後の落ち込みが激しいときに経営が危なくなった大手の造船所がございまして、そこに大変大きな額の公的助成、行いました。これ、ドライに言えば、本来ならば市場から撤退すべき事業者だと僕は思います。日本だって四十年、三十数年前に、まさにマーケットから出ていった会社がたくさんあるわけでして、それが国によって救われ、世界の造船市場の需給バランスを、ブームの後の需給バランスを回復しようとしたところがバランス崩れたままの状況になったのは、悪いですがこういうことの過保護だったと思っています。
現在、これに関しましては、日本政府によって、不公正な政府支援を正して公正な国際競争環境を取り戻すために、韓国政府による自国造船業の公的資金に対してWTO提訴いたしました。現在、二国間協議を実施している段階でございます。我々日本の造船業界、当然ながら政府の対応を支持いたしまして、所要の協力を行っております。
ここからは少し技術の話になっていくんですが、船の世界でいろいろ環境規制等々の話が出てくるんです。書いていますように、一番悩ましいのはCO2の排出量の問題でして、IMO、国際海事機関によってGHGの削減ということがルールが決まりましたので、今現に使われている船が、二〇三〇年になると、こういうルールに適合しない場合は駄目よと退出を命じられるわけです。したがって、このルールに従った船を造らなきゃいかぬということで、今現在、業界としても最大限の取組をしているところでございます。
ちなみに、このCO2の問題でも、私がこういう造船の仕事を始めましたときに、私どもの船でC重油というのを使って船を動かすんですが、当時、私どものパナマックスバルクキャリアでC重油って一日当たりどのぐらい使うんですかといったときに、私の記憶では三十八トン、一日使用量が、そういう船を造っていて、それを省エネ船に替えていこうというので、本当に自分たちで努力をしましてどんどんどんどんレベルアップしました。多分、今二十数トンにまで、いわゆる機能といいますか、性能がアップしています。今回のこのGHGの問題は、それでは耐えられません、新しい大きなテーマです。
その次に、船の、GHGゼロ排出に向けたいろんな船の研究、省エネ、脱炭素技術の展開ということを、ここに書きましたような形で行っております。LNGの燃料というのは、今もう既に、我々でも既に俎上に上がっていますが、さらに二〇五〇年に向かっては水素かアンモニアかというような議論が起こっております。
したがって、技術論でいったら、まさに技術革命が起こるんだろうと、また起こさないとここで退場を命じられるかも分からないという、そういう意味で、冒頭に不況だと申し上げましたが、新しい戦いに勝つためにここの大きなハードルが待っているということでございます。
船舶の、今申し上げた流れでございまして、自動運航船、こういったことも研究テーマでございまして、ヒューマンエラー、船の問題が起こるときによくあるのはヒューマンエラーです。船員によるミスだとか、いろんな問題が起こっているんですが、じゃ、そういうものが起こらないような、海難事故が起こらないようないわゆる技術というものをもっとふんだんに取り入れた船ができないだろうか。そういったことについて、日本の技術優位性を生かして、そういうレベルの船を造ることで勝てるんではないかということを展望して、今、これは個別各社の問題というよりも、海運会社さんと造船各社と、あるいは連合軍としてのそういう研究機関等合わせてこういったことの研究を鋭意進めております。
今後の業界見通しであります。
この表は、グラフは、受注産業と申し上げました、受注産業ですので、通常、契約をいただいて、そこから設計の細部を打合せをし、エンジン始めいろんな資機材を買います、そして造ります。大体二年、最低二年必要だというふうにまず御理解ください。二年ぐらいが必要なときに、その受注が今どうなっているかということでございます。最近の世界の受注別と書いていますが、このブルー、日本ですが、もう激減しているのがここで一目瞭然であります。
その次の表がもっと端的に分かります。先ほど申し上げた造船ブームのときは、私どもの会社でもそうでしたし、全社的に多分四、五年分の受注を抱えました。本当にたくさんのオーダーをいただきました。ところが、それが大体三年に落ち、二年に落ちた。それが何と、ここに書いてあるとおり、昨年末、二〇一九年十二月には一・五年、一年半分しかないと。現在、コロナの影響で商談が完全にストップしている関係で、現在一・二年分です。もちろん平均値ですから、各社各様いろいろな考え方があるんですが、もう完全にここでいわゆるアラームが出ているという感じでございます。
ですから、今日は、私冒頭に申し上げたように、本当に今、造船の、全体としても不況なんだけど、今この足下、コロナ禍の影響を受けてもう完全にダブルパンチで大変な状況になっておるというのが現在の状況でございます。仕事量がないということで、雇用を抱えた造船各社が一体どうしたらいいんだということを、今、各企業、そして造船工業会始め、あるいは海事局の御指導を得て、今それを鋭意いろいろな角度から取り組んでおります。これは歴史的に見て、この二年を切るような状態は二〇〇〇年頃に一回あったようです。そして、その前は四十年前、三十数年前です。
ここ、次のページが一番大事なところ、私もう時間切れでここを言い逃したら造船工業会の事務局から怒られますので、これを申し上げます。
今、そのような状況で、経営の安定化策、対策が、これは我々企業、そして造船工業会会員企業、そして皆さんといろいろな議論をした結果、ここに集約されましたようなことを今具体的に一つずつ押さえていっております。競争力を維持する、あるいは向上していくためにどうすればいいんだろうと、GHGの大幅削減のようなこういうニーズに対してどうすればいいんだろうと、そんなことを我々は今考えておるわけです。
この一つ一つについて御説明することは差し控えますが、もう足下のこの状況ですから、今、足下で、例えばこの中の一番上のうちの六つ目、つなぎ対策と書いていますね。コロナ対応で、我々は例えば売上高は全然落ちていません、足下。受注残が激減しています。売上高基準でいくと全然コロナ影響を受けていない、しかし受注残は先が全くおかしくなったというようなことを含めて、例えばつなぎ融資のことを書いてございます。
最後、国に、皆さんに御要請申し上げたいことです。五項目ございます。
今申し上げたことを含めて、つなぎの資金に関する御支援、船主の発注意欲を促進する、買手を支えていただく。そして、仕事量の確保を図るための民間船舶、官公庁船の発注増加への支援。企業の連携、再編等に伴う集約化、生産性向上等の資金支援。公正な市場の確保、これは対外、グローバルの面です。そして最後に、大型研究開発及び海洋開発促進への御支援。こういったものについて御支援を賜れば有り難いと存じます。
ただ、企業を経営していまして、日本の場合、中国、韓国を私企業と呼んでいいのかどうか、プライベートカンパニーというか、私企業と呼んでいいのかどうか、非常に私は疑問に思っています。
日本は、先ほど出ていますように、大手さん五社、まあ六社というカウントもしますが、中手は十一社ございます。その下に舶用、もっと小さな会社がたくさんあります。基本的に今、自助努力というのは自分たちで必死になって頑張ります。これがやっぱり最低限の条件だろうと思っています。我々は本当に自分たちでまず頑張らないかぬと、しかし、できれば、今日先生方にもお話聞いていただいて、我々について御理解賜りまして、是非国からも御理解とそして御支援を頂戴できれば幸いでございます。
ありがとうございます。
鶴
多
多々見良三#7
○参考人(多々見良三君) 舞鶴市長の多々見良三です。
まずもって、本日は、参議院国際経済・外交に関する調査会において発言の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
私からは、さきに事前資料として提出しました「海洋国家「日本」における「造船業」のあり方を問う」について、資料提出以降に新型コロナウイルス感染症による社会変化等も見られ、造船業を含む製造業、海上輸送を含む物流業界等の産業振興を始め、多くの産業が新たな生活様式による学び、働き、暮らすを実践する上で地方都市の役割が大きく増していることを地方の最前線で実感していることなども含めて、説明申し上げたいと思います。
お手元の事前資料を御覧ください。また、添付しております参考資料も適宜御参照いただければ幸いに存じます。
さて、先ほど申し上げましたとおり、今、我々は新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、社会システムの大きな変革への挑戦が求められているところでありますが、かつて明治時代が始まりました十九世紀後半においても、我が国は大きな変革に挑戦し、近代国家日本をつくり上げた歴史を有することは御承知のとおりであります。
近代国家日本を確立させた歴史の上で大きな役割を果たし、以降、現在まで約百二十年にわたって日本海側の重要港湾都市としての役割を果たし続けている舞鶴市の首長としての思いを述べさせていただきます。
御高承のとおり、我が国は、十九世紀、欧米列強によるアジア植民地支配が進む中、近代国家日本としての存亡を懸け、海軍力を強化するため、横須賀、呉、佐世保に鎮守府を置き、そしてロシアの脅威を強く意識する中で、日本海側の国防の要として、明治二十二年に鎮守府条例において舞鶴への鎮守府設置を決定し、一九〇一年、明治三十四年に舞鶴鎮守府が開庁され、一九〇三年、明治三十六年には海軍の艦船等を開発、建造する海軍直営の工場として舞鶴海軍工廠駆逐艦建造所が開設されました。
参考資料にも記載しておりますが、明治二十二年当時、枢密院議長であった伊藤博文が記した鎮守府配置の理由及び目的にも、国防上、舞鶴に日本海側の防衛拠点を置くことの重要性を述べられているところであります。
以来、舞鶴市は、今日まで、海上自衛隊舞鶴地方隊や日本海側唯一の海上自衛隊ヘリコプター基地が所在する日本海側の国防の重要拠点として海洋国家日本を守り、支え続けてまいりました。
こうした歴史的背景や地勢的優位性を踏まえ、現在、海上自衛隊舞鶴地方総監部と第八管区海上保安本部が共に所在する国内で唯一の自治体であり、日本海側の国防と海の安全の最重要拠点であるとともに、国防という崇高な使命を担う人材を育成する海上自衛隊舞鶴教育隊、また全国の海の安全を守る海上保安官、約一万四千人おられますが、その七割、約一万人の海上保安官がこの舞鶴にあります海上保安学校で勉強した若者であります。まさに、舞鶴市は我が国にとってなくてならない都市であるということを御理解いただければ幸いであります。
また、舞鶴海軍工廠に由来するジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所は、艦船を始め大型船を建造することのできる日本海側で唯一の造船所として長年にわたり国防、海の安全を支えるとともに、金属加工や塗装、運輸、電気、食品等といった幅広い市内関連企業を束ねる基幹産業として地域産業を牽引し続けていただいてきたところであります。
しかしながら、御承知のとおり、我が国の造船業は戦後幾度となく不況、経営危機に見舞われてきたところであり、ジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所においても、戦後、艦船修理等の事業を継承した飯野産業、飯野重工業が昭和三十八年に日立造船の系列下に入り舞鶴重工業となり、昭和四十六年には日立造船と合併、さらに平成十四年には日立造船と日本鋼管の船舶・海洋部門が統合しユニバーサル造船を設立、さらに平成二十五年には石川島播磨重工業と住友重機械工業の艦艇事業部門等の統合により設立されたアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドと合併し、現在のジャパンマリンユナイテッドとなったものであります。このように合併を繰り返してきている状況であります。
そして、今般、今治造船との資本業務提携が進む中で、舞鶴事業所は艦船修理事業に特化されることが発表されたところであります。
こうした合併、統合等の動きは、ジャパンマリンユナイテッドに限ったものではなく、造船業界全体のものではありますが、合併、統合による対策だけでは国際競争に打ち勝つための抜本的な構造改革に至っていないと感じております。
本日、私からは、新たな戦略の検討が必要ではないかということを、海洋国家日本において重要な役割を担う自治体の首長として、我が国の未来の発展を願い、今造船業において何が起きているのか、それが我が国においてどのような影響を及ぼすのか、現地、現場でしか感じることができない実態を国全体に伝え、まさに国会議員の先生方に提案するものであります。
海洋国家日本における造船業の重要性でありますが、申すまでもなく、造船業は我が国の近代化において極めて重要な役割を果たした産業であります。船を造る技術が機械工業や電子産業等を創出、発展させてきたところであり、造船業は現在の物づくり大国日本のルーツ、源流となる産業と言えるかと存じます。
現在の日本の貿易の九九・六%は海上輸送が占めております。国内貨物輸送の約四割、産業基礎物資では八割を海上輸送に頼っているところであり、海運産業を支える造船業は国民経済の基盤と言っても過言ではありません。
また、四方を海に囲まれた海洋国家日本において、海上輸送を支える商船建造はもとより、海上自衛隊の艦船や海上保安庁の巡視船を建造する造船業は、国防、海の安全の観点からも重要な産業であります。
加えて、造船業を基幹産業とする地域では、さきに述べましたとおり、歴史的経緯から地域に造船所を中心とする関連産業の集中が根付いており、また、造船業を支えている物づくり中小企業が高い技術力を生かして新たな事業を展開しているところであり、造船業の衰退は地域産業全体に大きな影響を及ぼし、ひいては町全体の活力を奪うものであることを御理解いただきたく存じます。
日本の造船業界は、海洋国家日本として、歴史的に国を守る艦船を建造する技術を継承し、それを商船部門にも発展させ、一九九〇年代までは世界市場においてトップシェアを誇ってきましたが、各造船所においては時代に合った設備投資が十分行われてこなかったこともあり、昨今、国策で支援を受ける中国や韓国の企業に商船部門のシェアを大きく奪われ、世界市場の競争で大苦戦していることは御承知のとおりであります。今朝の日本経済新聞で書いてありましたが、韓国造船三社、二兆円を受注との見出しで報道もされております。
また、自衛隊艦船の建造については、国の防衛費全体は増加しているものの、航空機や装備品の調達に係る予算比重が高くなる中で艦船建造等に関する予算は減少しており、各造船企業が安定的に艦船建造等を受注できない状況となっております。私は、四方を海に囲まれた我が国にとっての国防は、海と空を守る組合せが万全であってこそ機能するものであると考えておりまして、艦船建造力が低下するということは国防上においてもゆゆしき事態であると考えております。
こうした商船、艦船建造を取り巻く状況において、国内の各造船企業においては、企業経営の観点から設計部門や建造施設の集約などの合理化を進められておりますが、それらの動きが抜本的な解決に結び付かず、かえって国全体の造船技術力を低下させるのみならず、造船業が育てた優秀な技術人材が海外の方へ出ていく、そういった心配もしているところであります。
そのような中、さきにも少し触れましたが、昨年十一月には国内建造量首位の今治造船と二位のジャパンマリンユナイテッドが資本業務提携に合意し、本年二月に、これまで中型商船の新造と自衛隊艦船の修繕を行ってきたジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所について、日本の造船業界の業績が悪化する状況の中で経営の効率化を図るため、商船事業から撤退し、艦船修繕事業に特化することが発表されました。
こうした造船企業の経営効率化の動きは全国各地で同様のことが起こっており、三菱重工業が長崎造船所香焼工場を大島造船に譲渡する、また、三井E&Sホールディングスが一千人規模のリストラ、配置転換を検討するなど、海洋国家日本においては国力を表すとも言える造船業界が今存続の危機に直面し、この先、自国で国防や安全保障に関わる自衛隊艦船や海上保安庁巡視船を建造できなくなる可能性もあるのではないかと危惧しているところであります。
ただいま申し上げましたこと、危機感というのは、国内全体にはなかなか伝わっていないということを思っております。日々、国防、海の安全に身命を賭して職務に従事されている海上自衛隊員や海上保安官に日々接し、また、造船所において建造、修繕されている艦船や商船を身近に見ているからこそ実感できる現実でありますが、今、我が国に間違いなく大きな危機的状況が発生しているということを御理解いただきたいと思いますし、国に対しては、未来の造船業のビジョンを早急に明示していただかねば海洋国家日本の国力は大きく損なわれるということを強く申し上げておきたいと思うのであります。
そこで、未来の造船業のビジョンについて、何点か提案を申し上げます。
一つは、国防、海の安全の機能強化であります。
日本の国防、海の安全を将来にわたって維持していくためには、自国で機密性の高い自衛隊艦船等を建造できる技術基盤の強化と技術人材の育成が重要であり、拠点となる造船所において定期的に自衛隊艦船等の新造、修繕を受注できるようにすることが必要であると考えております。
造船業に限らず何事においてもですが、一からつくり上げるプロセスを経て全体を理解することができるのであって、できてしまったものに手を加える、いわゆる修繕事業だけでは真の力は身に付かないというふうに思っております。このままでは、いずれ自国の力だけでは船を建造できない、物づくりを行えないといったことが起こるのではないかと危惧しているところであります。
そのためには、例えば、海上自衛隊、海上保安庁が所在するエリアにおいて、エリアごとに重要拠点造船所を指定し、また、新たな入札制度を導入することで、重要拠点造船所が安定的に新造、修繕の受注機会を得ることができるようにすることなど、国を守る産業を、それを支える技術人材を育成する観点から是非とも御検討いただきたく思います。
私は、合理化を否定しているわけではありません。経営の合理化という点では、海上コンテナ輸送を担う日本の大手海運三社、日本郵船、商船三井、川崎汽船が、世界の強豪と競い合うためにノウハウを結集し、コンテナ船事業を統合して新会社オーシャンネットワークエクスプレス、通称ONEを設立した例もございます。統合により国際競争力を得られる、足し算、掛け算となる仕組みが必要でありますが、現在の造船業の再編の動きにつきましては、一足す一が二になっていないような印象を持っております。
そうした観点を持って、国防の要となる自衛艦の建造については、経営改善中の造船企業間を競争させるのではなく、アライアンス等により英知を結集した一つの企業体に受注させる仕組みづくり、また、市場として韓国や中国は海外を対象にしておりますが、日本においても市場として海外も対象となる仕組みづくりの検討もお願いするものであります。
御承知のとおり、国際情勢は目まぐるしく変化し、殊に日本海側においては、北朝鮮によるミサイル発射事案や大和堆周辺海域での違法操業など、現実的な危機事象が頻回に発生している状況の中、海上自衛隊、海上保安庁の任務、果たす役割は更に大きくなっているところであります。そうした状況からも、自衛隊艦船、海上保安庁巡視船等の建造、修繕に高い技術力を持って現地、現場に近接するエリアにおいて迅速かつ効果的に対応できる環境を整えることは、国にとって最優先されるべき事案ではないでしょうか。日本海側で危機事象が発生し、艦船等の修繕が必要になった際に太平洋側において対応するといったことが現実的なものであるのか、こういったこと、百三十年前に伊藤博文公が指摘されたとおりではないでしょうか。
また、この機会に申し上げておきたいのですが、国防、海の安全を担う海上自衛隊員や、また海上保安官、現在、募集しても定員が埋まりません。十分集まりません。こういった職業に就く皆さんが家族とともに安心して暮らすためには、緊急の対応が必要な疾患、心臓疾患、脳疾患、未熟児などの周産期対応、また交通外傷、こういった血管に関するそういう治療や、そして高度な医療が必要とする、こういった医療体制が整うこと、また、充実した教育が受けられる都市機能を持つためには、どうしても二十万人規模の都市でなければなりません。そのような町づくりをしなければ、国を守る、海を守る自衛官、海上保安官に単身赴任になってくれと、今でも集まらないのに、そういった人たちの将来が、単身赴任になる、医療も受けれない、教育も十分受けれない、そういうようなところで働かすのかということを地元で強く感じているところであります。
舞鶴市と同様に、かつて海軍鎮守府が所在し、現在も海上防衛という重要な役割を担い続けている横須賀市、呉市、佐世保市、この舞鶴市を旧軍港四市と言うことは御存じかと思いますが、横須賀市は三十九万人、呉市は二十一万人、佐世保市は二十五万人と単独で二十万人以上の人口を有している中、舞鶴市の人口は現在約八万人でありまして、京都府北部圏域で三十万人都市を形成し連携することで人口規模の維持確保を図っているところであります。
国内において人口減少が進み、自衛隊員、海上保安官を志す人材の確保が年々厳しくなる中で、家族とともに安心して暮らすことができる充実した環境を提供することは一層重要になっております。そうした観点からも、基幹産業である造船業の安定は重要なものであることを認識していただきたく存じます。
また、先ほど申し上げましたとおり、日本海側において艦船を始め大型船を建造することのできる造船所は、唯一、舞鶴市しかありません。現在、日本の主要造船所は太平洋側に集中しており、近い将来に発生が予測される南海トラフ地震により太平洋側の造船所が被害を受けた場合、日本の造船機能は間違いなく低下いたします。この国防、海の安全機能の強化のみならず、国土強靱化の観点においても、国として日本海側に強固な造船機能のリダンダンシーを確保することの重要性を申し添えておきたいと思います。
二つ目には、造船技術の継承と発展であります。
国防、海の安全を担う艦船の建造には、常時最新の高度な技術力が求められております。技術力、またそれを担う人材育成には、商船を始め、多種多様な船を国内において数多く建造していくことが必要と考えます。多様な船を建造することによって技術力は維持向上することはもとより、技術の転用、新産業の創出につながるものと考えます。
国内の造船企業の苦戦は、設備投資が遅れていることが一つの原因であるというふうに思っております。日本の将来の造船業の姿を見据え、国として造船企業の設備投資を促進するための財政支援、優遇税制の導入など、既成概念にとらわれない積極的な支援策を講じることが必要ではないでしょうか。
また、国家の公的支援を受けた中国、韓国造船所の安価な船価提示等により日本の海運企業の造船発注も国外に流れており、国内造船企業の受注割合はこの二十年間で二〇%減少、一九九五年は九六%、二〇一六年は七七%と、二〇%も国内造船事業所の受注割合は減っております。企業経営の観点から当然コストを重視することも一定理解できることではありますが、国内企業が国内の物づくり産業を弱体化させ、海外の物づくり産業を支えるような発注が果たして我が国の国益に資するものなのでしょうか。
日本の造船業が有する高い技術力と優秀な人材を海外に流出させないためにも、国全体で国内造船業を発展させるために、国として日本の海運企業の国内建造発注率を高める方策の検討も必要なのではないでしょうか。国内でしっかりと商船等を建造することで優秀な人材を育成し、高い造船技術が維持されるものと考えるところであります。
かつて昭和の造船不況において、造船企業は、高度な造船技術を生かしたメカトロ技術等によって新分野を開拓し、海中無人作業機械や原子力熱交換器、自衛隊の新型水中装備品の開発など、苦境を技術力で乗り越え、イノベーションを起こされました。造船業はもとより、物づくり大国日本の持続的発展可能性を高めるための鍵はここにあるのではないでしょうか。このままでは必要なものが必要なときに国内で製造できない、既にそうした事象を今回の新型コロナウイルス災害において実感する場面があったのではないでしょうか。そうした点も踏まえ、是非、国において、造船企業の新事業への進出、展開を積極的に後押しする方策を検討していただきたいと思います。
私が申し上げるのは僣越な部分であろうかと思いますけれども、中国、韓国における造船企業への過大な公的支援に対し、これまでから我が国においては政府による対話やルール作りの働きかけが行われていることは十分理解しております。しかしながら、造船業界に改善の兆しが見えない中で、更に一歩踏み込んで、我が国の造船業界が世界マーケットにおいて正常な競争力が機能するよう、粘り強い外交対応をお願いする次第であります。
私は、平成二十三年に市長と就任して以来、ただいま申し上げましたとおり、舞鶴市が、長年にわたり国防、海の安全の拠点、またそれらを支える造船業を始めとする物づくりの拠点が所在すること、また、関西経済圏を支える電気を供給するエネルギーの拠点が所在すること、さらには、それらの拠点機能と、人工防波堤も要らない天然の良港で、千年に一度の津波想定にも耐え得る災害に強い京都舞鶴港を有し、太平洋側をバックアップする高いリダンダンシー機能を持ち合わせるという、国において極めて重要な自治体の首長であるということを強く認識し、また、舞鶴市が未来にわたってそのような責務を果たしていくためには何をすべきかを常に考え、市政の推進に取り組んでまいりました。
全てを申し上げることはかないませんが、舞鶴に住む自衛隊員とその家族が住みやすく働きやすい環境をつくることを目的に、自衛官の募集や緊急登庁時における留守家族支援、退職時の再就職支援という入口から出口までを総合的に支援する海上自衛隊舞鶴在籍部隊隊員とその家族に関する総合支援協定を締結し、また、海上保安学校へのバス路線の延伸など、国防、海の安全という崇高な使命を担う皆さんが働きやすい、学びやすい環境づくりといった取組や、国土交通省、京都府と連携した京都舞鶴港の機能強化やエネルギー拠点化に向けた施策の推進、また、都市としての機能、活力を維持するため、京都府北部五市二町の圏域があたかも一つの三十万人都市圏として機能するための水平連携を軸とした広域連携の取組の展開、強固な日本海側国土軸を形成するための重要拠点を結ぶ新幹線の誘致活動など、多様な連携を生かしながら取り組んできたところであります。
今、我々は、人口減少、新型コロナウイルス感染症という災害に直面するという、いまだかつて経験したことのない時代の中で、これまで以上に多様な連携を生かし、持続可能な社会をいかに構築していくかという命題を突き付けられています。
二〇〇二年にSARS感染症、二〇〇九年に新型インフルエンザ、二〇一二年にMERS感染症の発生が懸念され、そして今回、新型コロナウイルス感染症の怖さを体験することになりました。この二十年間で四回の感染症の危険を感じているところであります。
皆さん同様の思いを抱かれたと思いますが、今般の新型コロナウイルス感染症を経験し、現在の東京を始めとする大都市を中心とした三密の中で成り立っている社会活動、経済活動のシステムは、感染症災害に対して脆弱であることが明らかになりました。
これまで日本は海によって感染症から守られてきましたが、人、物が世界中とつながる時代にあって、こうした事象は常に身近にあり、新型コロナウイルス感染症と同様の事象が今後いつ起きても不思議ではない、今回の新型コロナウイルスをたとえ克服したとしても感染症災害はいずれ再び間違いなく訪れるという前提の下に、我々は、大都市と地方都市が連携、共生し、感染症に対応できる未来型の持続可能な国づくりを見直さねばならない重要な局面に立たされています。
そのためには、食料、物資、エネルギー等々を国内で生産する力、国内自給力を高めるための生産現場の国内回帰、そして、大都市と地方都市を結ぶ高速鉄道ネットワーク、強固な海上輸送ネットワークの確立が重要になると考えております。余りにも生産力の多くを国外に頼った結果、今回のような必要なものが国内に生産できない、調達できないといった事象を招かないようにしなければならないというふうに思っています。
そうしたことから、私は、海洋国家日本の物づくり拠点、物流拠点を港を核に再整備し、大量輸送に適した海上輸送、鉄道輸送の強化を図るための港湾機能の整備、拠点都市と拠点都市を高速で結ぶ新幹線の整備促進を提案するものであります。
いろいろお話しさせていただきましたが、冒頭に触れましたとおり、我々は、百五十年前、欧米列強の猛威にさらされ、植民地化することもあり得る状況の中で、国を挙げて見事に近代化を果たし、世界に冠たる日本を築きました。いま一度、我々は、近代化を果たしたときと同様に、国を挙げてこの国難に立ち向かう覚悟と決意を持って、持続発展可能な海洋国家日本のオリジナルのシステムをつくり上げるべきと考えております。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →まずもって、本日は、参議院国際経済・外交に関する調査会において発言の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
私からは、さきに事前資料として提出しました「海洋国家「日本」における「造船業」のあり方を問う」について、資料提出以降に新型コロナウイルス感染症による社会変化等も見られ、造船業を含む製造業、海上輸送を含む物流業界等の産業振興を始め、多くの産業が新たな生活様式による学び、働き、暮らすを実践する上で地方都市の役割が大きく増していることを地方の最前線で実感していることなども含めて、説明申し上げたいと思います。
お手元の事前資料を御覧ください。また、添付しております参考資料も適宜御参照いただければ幸いに存じます。
さて、先ほど申し上げましたとおり、今、我々は新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、社会システムの大きな変革への挑戦が求められているところでありますが、かつて明治時代が始まりました十九世紀後半においても、我が国は大きな変革に挑戦し、近代国家日本をつくり上げた歴史を有することは御承知のとおりであります。
近代国家日本を確立させた歴史の上で大きな役割を果たし、以降、現在まで約百二十年にわたって日本海側の重要港湾都市としての役割を果たし続けている舞鶴市の首長としての思いを述べさせていただきます。
御高承のとおり、我が国は、十九世紀、欧米列強によるアジア植民地支配が進む中、近代国家日本としての存亡を懸け、海軍力を強化するため、横須賀、呉、佐世保に鎮守府を置き、そしてロシアの脅威を強く意識する中で、日本海側の国防の要として、明治二十二年に鎮守府条例において舞鶴への鎮守府設置を決定し、一九〇一年、明治三十四年に舞鶴鎮守府が開庁され、一九〇三年、明治三十六年には海軍の艦船等を開発、建造する海軍直営の工場として舞鶴海軍工廠駆逐艦建造所が開設されました。
参考資料にも記載しておりますが、明治二十二年当時、枢密院議長であった伊藤博文が記した鎮守府配置の理由及び目的にも、国防上、舞鶴に日本海側の防衛拠点を置くことの重要性を述べられているところであります。
以来、舞鶴市は、今日まで、海上自衛隊舞鶴地方隊や日本海側唯一の海上自衛隊ヘリコプター基地が所在する日本海側の国防の重要拠点として海洋国家日本を守り、支え続けてまいりました。
こうした歴史的背景や地勢的優位性を踏まえ、現在、海上自衛隊舞鶴地方総監部と第八管区海上保安本部が共に所在する国内で唯一の自治体であり、日本海側の国防と海の安全の最重要拠点であるとともに、国防という崇高な使命を担う人材を育成する海上自衛隊舞鶴教育隊、また全国の海の安全を守る海上保安官、約一万四千人おられますが、その七割、約一万人の海上保安官がこの舞鶴にあります海上保安学校で勉強した若者であります。まさに、舞鶴市は我が国にとってなくてならない都市であるということを御理解いただければ幸いであります。
また、舞鶴海軍工廠に由来するジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所は、艦船を始め大型船を建造することのできる日本海側で唯一の造船所として長年にわたり国防、海の安全を支えるとともに、金属加工や塗装、運輸、電気、食品等といった幅広い市内関連企業を束ねる基幹産業として地域産業を牽引し続けていただいてきたところであります。
しかしながら、御承知のとおり、我が国の造船業は戦後幾度となく不況、経営危機に見舞われてきたところであり、ジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所においても、戦後、艦船修理等の事業を継承した飯野産業、飯野重工業が昭和三十八年に日立造船の系列下に入り舞鶴重工業となり、昭和四十六年には日立造船と合併、さらに平成十四年には日立造船と日本鋼管の船舶・海洋部門が統合しユニバーサル造船を設立、さらに平成二十五年には石川島播磨重工業と住友重機械工業の艦艇事業部門等の統合により設立されたアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドと合併し、現在のジャパンマリンユナイテッドとなったものであります。このように合併を繰り返してきている状況であります。
そして、今般、今治造船との資本業務提携が進む中で、舞鶴事業所は艦船修理事業に特化されることが発表されたところであります。
こうした合併、統合等の動きは、ジャパンマリンユナイテッドに限ったものではなく、造船業界全体のものではありますが、合併、統合による対策だけでは国際競争に打ち勝つための抜本的な構造改革に至っていないと感じております。
本日、私からは、新たな戦略の検討が必要ではないかということを、海洋国家日本において重要な役割を担う自治体の首長として、我が国の未来の発展を願い、今造船業において何が起きているのか、それが我が国においてどのような影響を及ぼすのか、現地、現場でしか感じることができない実態を国全体に伝え、まさに国会議員の先生方に提案するものであります。
海洋国家日本における造船業の重要性でありますが、申すまでもなく、造船業は我が国の近代化において極めて重要な役割を果たした産業であります。船を造る技術が機械工業や電子産業等を創出、発展させてきたところであり、造船業は現在の物づくり大国日本のルーツ、源流となる産業と言えるかと存じます。
現在の日本の貿易の九九・六%は海上輸送が占めております。国内貨物輸送の約四割、産業基礎物資では八割を海上輸送に頼っているところであり、海運産業を支える造船業は国民経済の基盤と言っても過言ではありません。
また、四方を海に囲まれた海洋国家日本において、海上輸送を支える商船建造はもとより、海上自衛隊の艦船や海上保安庁の巡視船を建造する造船業は、国防、海の安全の観点からも重要な産業であります。
加えて、造船業を基幹産業とする地域では、さきに述べましたとおり、歴史的経緯から地域に造船所を中心とする関連産業の集中が根付いており、また、造船業を支えている物づくり中小企業が高い技術力を生かして新たな事業を展開しているところであり、造船業の衰退は地域産業全体に大きな影響を及ぼし、ひいては町全体の活力を奪うものであることを御理解いただきたく存じます。
日本の造船業界は、海洋国家日本として、歴史的に国を守る艦船を建造する技術を継承し、それを商船部門にも発展させ、一九九〇年代までは世界市場においてトップシェアを誇ってきましたが、各造船所においては時代に合った設備投資が十分行われてこなかったこともあり、昨今、国策で支援を受ける中国や韓国の企業に商船部門のシェアを大きく奪われ、世界市場の競争で大苦戦していることは御承知のとおりであります。今朝の日本経済新聞で書いてありましたが、韓国造船三社、二兆円を受注との見出しで報道もされております。
また、自衛隊艦船の建造については、国の防衛費全体は増加しているものの、航空機や装備品の調達に係る予算比重が高くなる中で艦船建造等に関する予算は減少しており、各造船企業が安定的に艦船建造等を受注できない状況となっております。私は、四方を海に囲まれた我が国にとっての国防は、海と空を守る組合せが万全であってこそ機能するものであると考えておりまして、艦船建造力が低下するということは国防上においてもゆゆしき事態であると考えております。
こうした商船、艦船建造を取り巻く状況において、国内の各造船企業においては、企業経営の観点から設計部門や建造施設の集約などの合理化を進められておりますが、それらの動きが抜本的な解決に結び付かず、かえって国全体の造船技術力を低下させるのみならず、造船業が育てた優秀な技術人材が海外の方へ出ていく、そういった心配もしているところであります。
そのような中、さきにも少し触れましたが、昨年十一月には国内建造量首位の今治造船と二位のジャパンマリンユナイテッドが資本業務提携に合意し、本年二月に、これまで中型商船の新造と自衛隊艦船の修繕を行ってきたジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所について、日本の造船業界の業績が悪化する状況の中で経営の効率化を図るため、商船事業から撤退し、艦船修繕事業に特化することが発表されました。
こうした造船企業の経営効率化の動きは全国各地で同様のことが起こっており、三菱重工業が長崎造船所香焼工場を大島造船に譲渡する、また、三井E&Sホールディングスが一千人規模のリストラ、配置転換を検討するなど、海洋国家日本においては国力を表すとも言える造船業界が今存続の危機に直面し、この先、自国で国防や安全保障に関わる自衛隊艦船や海上保安庁巡視船を建造できなくなる可能性もあるのではないかと危惧しているところであります。
ただいま申し上げましたこと、危機感というのは、国内全体にはなかなか伝わっていないということを思っております。日々、国防、海の安全に身命を賭して職務に従事されている海上自衛隊員や海上保安官に日々接し、また、造船所において建造、修繕されている艦船や商船を身近に見ているからこそ実感できる現実でありますが、今、我が国に間違いなく大きな危機的状況が発生しているということを御理解いただきたいと思いますし、国に対しては、未来の造船業のビジョンを早急に明示していただかねば海洋国家日本の国力は大きく損なわれるということを強く申し上げておきたいと思うのであります。
そこで、未来の造船業のビジョンについて、何点か提案を申し上げます。
一つは、国防、海の安全の機能強化であります。
日本の国防、海の安全を将来にわたって維持していくためには、自国で機密性の高い自衛隊艦船等を建造できる技術基盤の強化と技術人材の育成が重要であり、拠点となる造船所において定期的に自衛隊艦船等の新造、修繕を受注できるようにすることが必要であると考えております。
造船業に限らず何事においてもですが、一からつくり上げるプロセスを経て全体を理解することができるのであって、できてしまったものに手を加える、いわゆる修繕事業だけでは真の力は身に付かないというふうに思っております。このままでは、いずれ自国の力だけでは船を建造できない、物づくりを行えないといったことが起こるのではないかと危惧しているところであります。
そのためには、例えば、海上自衛隊、海上保安庁が所在するエリアにおいて、エリアごとに重要拠点造船所を指定し、また、新たな入札制度を導入することで、重要拠点造船所が安定的に新造、修繕の受注機会を得ることができるようにすることなど、国を守る産業を、それを支える技術人材を育成する観点から是非とも御検討いただきたく思います。
私は、合理化を否定しているわけではありません。経営の合理化という点では、海上コンテナ輸送を担う日本の大手海運三社、日本郵船、商船三井、川崎汽船が、世界の強豪と競い合うためにノウハウを結集し、コンテナ船事業を統合して新会社オーシャンネットワークエクスプレス、通称ONEを設立した例もございます。統合により国際競争力を得られる、足し算、掛け算となる仕組みが必要でありますが、現在の造船業の再編の動きにつきましては、一足す一が二になっていないような印象を持っております。
そうした観点を持って、国防の要となる自衛艦の建造については、経営改善中の造船企業間を競争させるのではなく、アライアンス等により英知を結集した一つの企業体に受注させる仕組みづくり、また、市場として韓国や中国は海外を対象にしておりますが、日本においても市場として海外も対象となる仕組みづくりの検討もお願いするものであります。
御承知のとおり、国際情勢は目まぐるしく変化し、殊に日本海側においては、北朝鮮によるミサイル発射事案や大和堆周辺海域での違法操業など、現実的な危機事象が頻回に発生している状況の中、海上自衛隊、海上保安庁の任務、果たす役割は更に大きくなっているところであります。そうした状況からも、自衛隊艦船、海上保安庁巡視船等の建造、修繕に高い技術力を持って現地、現場に近接するエリアにおいて迅速かつ効果的に対応できる環境を整えることは、国にとって最優先されるべき事案ではないでしょうか。日本海側で危機事象が発生し、艦船等の修繕が必要になった際に太平洋側において対応するといったことが現実的なものであるのか、こういったこと、百三十年前に伊藤博文公が指摘されたとおりではないでしょうか。
また、この機会に申し上げておきたいのですが、国防、海の安全を担う海上自衛隊員や、また海上保安官、現在、募集しても定員が埋まりません。十分集まりません。こういった職業に就く皆さんが家族とともに安心して暮らすためには、緊急の対応が必要な疾患、心臓疾患、脳疾患、未熟児などの周産期対応、また交通外傷、こういった血管に関するそういう治療や、そして高度な医療が必要とする、こういった医療体制が整うこと、また、充実した教育が受けられる都市機能を持つためには、どうしても二十万人規模の都市でなければなりません。そのような町づくりをしなければ、国を守る、海を守る自衛官、海上保安官に単身赴任になってくれと、今でも集まらないのに、そういった人たちの将来が、単身赴任になる、医療も受けれない、教育も十分受けれない、そういうようなところで働かすのかということを地元で強く感じているところであります。
舞鶴市と同様に、かつて海軍鎮守府が所在し、現在も海上防衛という重要な役割を担い続けている横須賀市、呉市、佐世保市、この舞鶴市を旧軍港四市と言うことは御存じかと思いますが、横須賀市は三十九万人、呉市は二十一万人、佐世保市は二十五万人と単独で二十万人以上の人口を有している中、舞鶴市の人口は現在約八万人でありまして、京都府北部圏域で三十万人都市を形成し連携することで人口規模の維持確保を図っているところであります。
国内において人口減少が進み、自衛隊員、海上保安官を志す人材の確保が年々厳しくなる中で、家族とともに安心して暮らすことができる充実した環境を提供することは一層重要になっております。そうした観点からも、基幹産業である造船業の安定は重要なものであることを認識していただきたく存じます。
また、先ほど申し上げましたとおり、日本海側において艦船を始め大型船を建造することのできる造船所は、唯一、舞鶴市しかありません。現在、日本の主要造船所は太平洋側に集中しており、近い将来に発生が予測される南海トラフ地震により太平洋側の造船所が被害を受けた場合、日本の造船機能は間違いなく低下いたします。この国防、海の安全機能の強化のみならず、国土強靱化の観点においても、国として日本海側に強固な造船機能のリダンダンシーを確保することの重要性を申し添えておきたいと思います。
二つ目には、造船技術の継承と発展であります。
国防、海の安全を担う艦船の建造には、常時最新の高度な技術力が求められております。技術力、またそれを担う人材育成には、商船を始め、多種多様な船を国内において数多く建造していくことが必要と考えます。多様な船を建造することによって技術力は維持向上することはもとより、技術の転用、新産業の創出につながるものと考えます。
国内の造船企業の苦戦は、設備投資が遅れていることが一つの原因であるというふうに思っております。日本の将来の造船業の姿を見据え、国として造船企業の設備投資を促進するための財政支援、優遇税制の導入など、既成概念にとらわれない積極的な支援策を講じることが必要ではないでしょうか。
また、国家の公的支援を受けた中国、韓国造船所の安価な船価提示等により日本の海運企業の造船発注も国外に流れており、国内造船企業の受注割合はこの二十年間で二〇%減少、一九九五年は九六%、二〇一六年は七七%と、二〇%も国内造船事業所の受注割合は減っております。企業経営の観点から当然コストを重視することも一定理解できることではありますが、国内企業が国内の物づくり産業を弱体化させ、海外の物づくり産業を支えるような発注が果たして我が国の国益に資するものなのでしょうか。
日本の造船業が有する高い技術力と優秀な人材を海外に流出させないためにも、国全体で国内造船業を発展させるために、国として日本の海運企業の国内建造発注率を高める方策の検討も必要なのではないでしょうか。国内でしっかりと商船等を建造することで優秀な人材を育成し、高い造船技術が維持されるものと考えるところであります。
かつて昭和の造船不況において、造船企業は、高度な造船技術を生かしたメカトロ技術等によって新分野を開拓し、海中無人作業機械や原子力熱交換器、自衛隊の新型水中装備品の開発など、苦境を技術力で乗り越え、イノベーションを起こされました。造船業はもとより、物づくり大国日本の持続的発展可能性を高めるための鍵はここにあるのではないでしょうか。このままでは必要なものが必要なときに国内で製造できない、既にそうした事象を今回の新型コロナウイルス災害において実感する場面があったのではないでしょうか。そうした点も踏まえ、是非、国において、造船企業の新事業への進出、展開を積極的に後押しする方策を検討していただきたいと思います。
私が申し上げるのは僣越な部分であろうかと思いますけれども、中国、韓国における造船企業への過大な公的支援に対し、これまでから我が国においては政府による対話やルール作りの働きかけが行われていることは十分理解しております。しかしながら、造船業界に改善の兆しが見えない中で、更に一歩踏み込んで、我が国の造船業界が世界マーケットにおいて正常な競争力が機能するよう、粘り強い外交対応をお願いする次第であります。
私は、平成二十三年に市長と就任して以来、ただいま申し上げましたとおり、舞鶴市が、長年にわたり国防、海の安全の拠点、またそれらを支える造船業を始めとする物づくりの拠点が所在すること、また、関西経済圏を支える電気を供給するエネルギーの拠点が所在すること、さらには、それらの拠点機能と、人工防波堤も要らない天然の良港で、千年に一度の津波想定にも耐え得る災害に強い京都舞鶴港を有し、太平洋側をバックアップする高いリダンダンシー機能を持ち合わせるという、国において極めて重要な自治体の首長であるということを強く認識し、また、舞鶴市が未来にわたってそのような責務を果たしていくためには何をすべきかを常に考え、市政の推進に取り組んでまいりました。
全てを申し上げることはかないませんが、舞鶴に住む自衛隊員とその家族が住みやすく働きやすい環境をつくることを目的に、自衛官の募集や緊急登庁時における留守家族支援、退職時の再就職支援という入口から出口までを総合的に支援する海上自衛隊舞鶴在籍部隊隊員とその家族に関する総合支援協定を締結し、また、海上保安学校へのバス路線の延伸など、国防、海の安全という崇高な使命を担う皆さんが働きやすい、学びやすい環境づくりといった取組や、国土交通省、京都府と連携した京都舞鶴港の機能強化やエネルギー拠点化に向けた施策の推進、また、都市としての機能、活力を維持するため、京都府北部五市二町の圏域があたかも一つの三十万人都市圏として機能するための水平連携を軸とした広域連携の取組の展開、強固な日本海側国土軸を形成するための重要拠点を結ぶ新幹線の誘致活動など、多様な連携を生かしながら取り組んできたところであります。
今、我々は、人口減少、新型コロナウイルス感染症という災害に直面するという、いまだかつて経験したことのない時代の中で、これまで以上に多様な連携を生かし、持続可能な社会をいかに構築していくかという命題を突き付けられています。
二〇〇二年にSARS感染症、二〇〇九年に新型インフルエンザ、二〇一二年にMERS感染症の発生が懸念され、そして今回、新型コロナウイルス感染症の怖さを体験することになりました。この二十年間で四回の感染症の危険を感じているところであります。
皆さん同様の思いを抱かれたと思いますが、今般の新型コロナウイルス感染症を経験し、現在の東京を始めとする大都市を中心とした三密の中で成り立っている社会活動、経済活動のシステムは、感染症災害に対して脆弱であることが明らかになりました。
これまで日本は海によって感染症から守られてきましたが、人、物が世界中とつながる時代にあって、こうした事象は常に身近にあり、新型コロナウイルス感染症と同様の事象が今後いつ起きても不思議ではない、今回の新型コロナウイルスをたとえ克服したとしても感染症災害はいずれ再び間違いなく訪れるという前提の下に、我々は、大都市と地方都市が連携、共生し、感染症に対応できる未来型の持続可能な国づくりを見直さねばならない重要な局面に立たされています。
そのためには、食料、物資、エネルギー等々を国内で生産する力、国内自給力を高めるための生産現場の国内回帰、そして、大都市と地方都市を結ぶ高速鉄道ネットワーク、強固な海上輸送ネットワークの確立が重要になると考えております。余りにも生産力の多くを国外に頼った結果、今回のような必要なものが国内に生産できない、調達できないといった事象を招かないようにしなければならないというふうに思っています。
そうしたことから、私は、海洋国家日本の物づくり拠点、物流拠点を港を核に再整備し、大量輸送に適した海上輸送、鉄道輸送の強化を図るための港湾機能の整備、拠点都市と拠点都市を高速で結ぶ新幹線の整備促進を提案するものであります。
いろいろお話しさせていただきましたが、冒頭に触れましたとおり、我々は、百五十年前、欧米列強の猛威にさらされ、植民地化することもあり得る状況の中で、国を挙げて見事に近代化を果たし、世界に冠たる日本を築きました。いま一度、我々は、近代化を果たしたときと同様に、国を挙げてこの国難に立ち向かう覚悟と決意を持って、持続発展可能な海洋国家日本のオリジナルのシステムをつくり上げるべきと考えております。
ありがとうございます。
鶴
鶴保庸介#8
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いをいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
中西健治君。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いをいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
中西健治君。
中
中西健治#9
○中西健治君 自由民主党の中西健治です。
三人の参考人の方々、本日は本当にありがとうございました。大変参考になりました。
中手という言葉も知りませんでしたので、ましてや強手というのは初めて聞きました。そして、藤本参考人が日本の造船業はしぶといんだと、こうおっしゃっていただいた、このことはしっかり信じて、胸に刻んで信じていきたいと、こう思っているところでございます。
まず、上田参考人と藤本参考人にお伺いしたいなと思うんですが、先ほど多々見市長も紹介されていましたけれども、カタールで韓国が百隻分LNG船を受注して今後七年間分もう工場が塞がるというようなことだということなんですが、こうしたことというのは、やっぱり公的資金が入っていて価格競争力が強いがゆえなのか、それとも、ほかにも要因があってこうした受注ができているのかというようなところをまずお伺いしたいんですが。
というのも、韓国といえば例えば原発の輸出を国を挙げて一生懸命やっていた時期もあって、李明博大統領が大統領だったときには、もう自分でどんどんどんどんセールスに行って原発を売り込んでいったと。日本も見習うべきだなんて、そんな声も当時はあったんですけれども、そうしたこととか、国を挙げての売り込み姿勢だとか、そうしたこともあるのか。それとも、もう性能というところで韓国が一歩先を行ってしまっているのか。そこら辺について上田参考人と藤本参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →三人の参考人の方々、本日は本当にありがとうございました。大変参考になりました。
中手という言葉も知りませんでしたので、ましてや強手というのは初めて聞きました。そして、藤本参考人が日本の造船業はしぶといんだと、こうおっしゃっていただいた、このことはしっかり信じて、胸に刻んで信じていきたいと、こう思っているところでございます。
まず、上田参考人と藤本参考人にお伺いしたいなと思うんですが、先ほど多々見市長も紹介されていましたけれども、カタールで韓国が百隻分LNG船を受注して今後七年間分もう工場が塞がるというようなことだということなんですが、こうしたことというのは、やっぱり公的資金が入っていて価格競争力が強いがゆえなのか、それとも、ほかにも要因があってこうした受注ができているのかというようなところをまずお伺いしたいんですが。
というのも、韓国といえば例えば原発の輸出を国を挙げて一生懸命やっていた時期もあって、李明博大統領が大統領だったときには、もう自分でどんどんどんどんセールスに行って原発を売り込んでいったと。日本も見習うべきだなんて、そんな声も当時はあったんですけれども、そうしたこととか、国を挙げての売り込み姿勢だとか、そうしたこともあるのか。それとも、もう性能というところで韓国が一歩先を行ってしまっているのか。そこら辺について上田参考人と藤本参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
上
上田孝#10
○参考人(上田孝君) ありがとうございます。
今、今回のLNGの大量発注の話がございました。これ非常に、どういう言い方をするのが正しいのか、今先生のお話に出ている価格競争力だとかいう話の中でロット受注の話がありましたけれど、先ほど市長が設備投資の話もございましたけど、日本の造船所が一番先にスタートして、その造船会社の規模とか、造船のヤードの規模だとかいうのがもう地方にある意味では点在しているわけですよね。だから、一つの工場でできるのは、先ほど先生の話もあったように、あるところで大きなことはやるけど、そのロットでしかできない。
ところが、新しくできた造船所、韓国が特に大企業がなさっていますので、大企業で、いわゆる大きなヤードで、そこでもういわゆる連続建造という言い方、大量発注、受注をして、それを何年かにわたって同じ船を造り続けることができるというヤードを持っているんです。これはコストにも相当影響します、当然ながら。多分それが一つの大きな要因じゃないかと。
もちろんLNGを造る技術は日本にもあるわけですが、どうしても発注側が何年間で何隻のような話になったときにやっぱりここを取りにいけるかどうかというのは、そのヤードの規模みたいなものがあるのではないかなという感じはいたします。
それ以外でも技術論だとか商売の仕方とか価格の問題をおっしゃって、価格競争力における何かというのも当然、当然あると思います。それは、バックにある何らかの政府補助があるために、それでコストが要するに抑えられるというんですか、それはあるんだろうと思いますが、何とも言えません。まあ一つ違う観点からいくと、そういうことだと思います。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →今、今回のLNGの大量発注の話がございました。これ非常に、どういう言い方をするのが正しいのか、今先生のお話に出ている価格競争力だとかいう話の中でロット受注の話がありましたけれど、先ほど市長が設備投資の話もございましたけど、日本の造船所が一番先にスタートして、その造船会社の規模とか、造船のヤードの規模だとかいうのがもう地方にある意味では点在しているわけですよね。だから、一つの工場でできるのは、先ほど先生の話もあったように、あるところで大きなことはやるけど、そのロットでしかできない。
ところが、新しくできた造船所、韓国が特に大企業がなさっていますので、大企業で、いわゆる大きなヤードで、そこでもういわゆる連続建造という言い方、大量発注、受注をして、それを何年かにわたって同じ船を造り続けることができるというヤードを持っているんです。これはコストにも相当影響します、当然ながら。多分それが一つの大きな要因じゃないかと。
もちろんLNGを造る技術は日本にもあるわけですが、どうしても発注側が何年間で何隻のような話になったときにやっぱりここを取りにいけるかどうかというのは、そのヤードの規模みたいなものがあるのではないかなという感じはいたします。
それ以外でも技術論だとか商売の仕方とか価格の問題をおっしゃって、価格競争力における何かというのも当然、当然あると思います。それは、バックにある何らかの政府補助があるために、それでコストが要するに抑えられるというんですか、それはあるんだろうと思いますが、何とも言えません。まあ一つ違う観点からいくと、そういうことだと思います。
ありがとうございます。
藤
藤本隆宏#11
○参考人(藤本隆宏君) ありがとうございます。
今のお話に尽きると思いますけれども、韓国、先ほどの絵でいうと三十五ページにこの絵を描きましたけど、もう既に韓国は、日本のばら積み船をやっている、強い、まあ強手ですね、ここと比べるともう上にいるわけであります。もう既に、彼らは随分前から、LNGタンカー、それからいわゆるドリルシップですね、あるいは海洋油田の構造物とか、こういうハイテクのところをもう既に取っちゃっているわけです。彼らはもう既に千人とかそれ以上の造船技術者がいます。
ですから、ある意味ではハイテクはもう既に取られていまして、そこを大手もやっていたんだけど、そこは完全に間を詰められて、大手が非常に苦戦しているわけですね。先ほど言いましたように、真ん中に隙間ができたので、そこを裏取って善戦しているのがこの中手か強手というこの形になります。
したがって、確かに中韓どちらも、何だかいろいろと保護しているなと、フェアじゃないなという感じはありますけれども、戦い方としては韓国に対しては攻めであります。もう既に取られていますから、そこを攻め取りに行くわけでありますから。中国に対しては、これは二〇%安いわけですから、ここは守ると、ばら積み船を守ると。だから、これ、この二つに対する考え方は戦略的には違うというふうに考えます。
韓国に関しては、もう既にここは強かったんですが、元々、いわゆる多分原油生産の要するに趨勢から見て、一時、こういった海洋関係も含めて、LNGタンカーも含めてこの辺が全部受注がほとんど壊滅状態になったと。それで、結局、韓国は三社残れなくて二社になっちゃったわけですね。だから、彼らもすごい苦しかったわけであります。そこを国が助けたということもありますけれども、恐らく市況が少し良くなってきて、いわゆる石油業界の状況が変わってきたということで彼らは強くなったというところがありますので。逆に言うと、そこは、復活してきたら日本はやっぱり取りに行かなきゃいけないと。これは攻めであります。だから、彼らに対して、ずるいことするなというのが一つありますけれども、それと同時に、やはりいわゆる企業の自助努力、それからいろんな形での支援ですね、これが必要だというふうに思っております。
中国に関してはまた別でありまして、これ二〇%安いというのは、どう見ても、これは韓国もそうですけれども、韓国は組合強いですので労賃では、いわゆる労働コストではもう余り負けていないと思います。中国も多分負けていないと思います。怖いのは多分、減価償却費みたいな、減価償却費というのははっきり言ってこれ政策的に操作できちゃいますので、半導体とかそういうところでもう起こっていますけどね、超加速償却みたいなとんでもないことをやって、本当は対等にやれているはずなのに何だかコストで負けているというような状況があるのではないかというふうにちょっと考えていますので、その辺はやはり総合的に見ていく必要があるというふうに思っております。
この発言だけを見る →今のお話に尽きると思いますけれども、韓国、先ほどの絵でいうと三十五ページにこの絵を描きましたけど、もう既に韓国は、日本のばら積み船をやっている、強い、まあ強手ですね、ここと比べるともう上にいるわけであります。もう既に、彼らは随分前から、LNGタンカー、それからいわゆるドリルシップですね、あるいは海洋油田の構造物とか、こういうハイテクのところをもう既に取っちゃっているわけです。彼らはもう既に千人とかそれ以上の造船技術者がいます。
ですから、ある意味ではハイテクはもう既に取られていまして、そこを大手もやっていたんだけど、そこは完全に間を詰められて、大手が非常に苦戦しているわけですね。先ほど言いましたように、真ん中に隙間ができたので、そこを裏取って善戦しているのがこの中手か強手というこの形になります。
したがって、確かに中韓どちらも、何だかいろいろと保護しているなと、フェアじゃないなという感じはありますけれども、戦い方としては韓国に対しては攻めであります。もう既に取られていますから、そこを攻め取りに行くわけでありますから。中国に対しては、これは二〇%安いわけですから、ここは守ると、ばら積み船を守ると。だから、これ、この二つに対する考え方は戦略的には違うというふうに考えます。
韓国に関しては、もう既にここは強かったんですが、元々、いわゆる多分原油生産の要するに趨勢から見て、一時、こういった海洋関係も含めて、LNGタンカーも含めてこの辺が全部受注がほとんど壊滅状態になったと。それで、結局、韓国は三社残れなくて二社になっちゃったわけですね。だから、彼らもすごい苦しかったわけであります。そこを国が助けたということもありますけれども、恐らく市況が少し良くなってきて、いわゆる石油業界の状況が変わってきたということで彼らは強くなったというところがありますので。逆に言うと、そこは、復活してきたら日本はやっぱり取りに行かなきゃいけないと。これは攻めであります。だから、彼らに対して、ずるいことするなというのが一つありますけれども、それと同時に、やはりいわゆる企業の自助努力、それからいろんな形での支援ですね、これが必要だというふうに思っております。
中国に関してはまた別でありまして、これ二〇%安いというのは、どう見ても、これは韓国もそうですけれども、韓国は組合強いですので労賃では、いわゆる労働コストではもう余り負けていないと思います。中国も多分負けていないと思います。怖いのは多分、減価償却費みたいな、減価償却費というのははっきり言ってこれ政策的に操作できちゃいますので、半導体とかそういうところでもう起こっていますけどね、超加速償却みたいなとんでもないことをやって、本当は対等にやれているはずなのに何だかコストで負けているというような状況があるのではないかというふうにちょっと考えていますので、その辺はやはり総合的に見ていく必要があるというふうに思っております。
中
中西健治#12
○中西健治君 どうもありがとうございます。
次に、多々見市長にお伺いしたいと思います。
造船業並びに海上自衛隊、海上保安庁の重要性を強く受け止められ、舞鶴市政に粉骨砕身されておられることに敬意を表したいと思います。
安全保障に関わる自衛隊艦船や海上保安庁の巡視船をもう自前で造れなくなる可能性がある、こういう警鐘を鳴らしていらっしゃいましたけれども、まさにそのとおりじゃないかというふうに思います。今回、マスクの調達ということだけでもあれだけ不安視されたということでありますから、海上自衛隊の船が自前で造れない、部品の調達ができない、こんなことになったら、それこそもう国防上、安全保障上ゆゆしき問題であるというふうに思います。
幾つか提言をされていたかと思いますが、その中で、日本の船主、日本が買いたい船を日本の造船会社から買う率が減っているという、こういうことがございまして、これは何とかならないかなというふうに思うところでありますが、これについて、多々見市長、更に強い思いがあれば開陳していただければというふうに思います。
この発言だけを見る →次に、多々見市長にお伺いしたいと思います。
造船業並びに海上自衛隊、海上保安庁の重要性を強く受け止められ、舞鶴市政に粉骨砕身されておられることに敬意を表したいと思います。
安全保障に関わる自衛隊艦船や海上保安庁の巡視船をもう自前で造れなくなる可能性がある、こういう警鐘を鳴らしていらっしゃいましたけれども、まさにそのとおりじゃないかというふうに思います。今回、マスクの調達ということだけでもあれだけ不安視されたということでありますから、海上自衛隊の船が自前で造れない、部品の調達ができない、こんなことになったら、それこそもう国防上、安全保障上ゆゆしき問題であるというふうに思います。
幾つか提言をされていたかと思いますが、その中で、日本の船主、日本が買いたい船を日本の造船会社から買う率が減っているという、こういうことがございまして、これは何とかならないかなというふうに思うところでありますが、これについて、多々見市長、更に強い思いがあれば開陳していただければというふうに思います。
多
多々見良三#13
○参考人(多々見良三君) やはり造船業は海洋国家の要の産業ですので、そういった中で、中国、韓国が台頭してきた裏には国の支援があると。国営の企業と民間企業とを戦わせたら価格では絶対負けてしまうということがあって、日本の船会社は日本の会社から注文を受けたいんだけれども、価格で負けてしまって日本の会社が外国の船を買うということは実際起こっていると思います。そういったことがどれぐらいの価格の差で外国へ流れてしまうのかも含めて、やはり日本の国の企業を育てるということも重要だと思っています。我々も地元の工事についても、地元の事業者に、少々の価格差であれば地元の業者に仕事をしてほしいという思いを持っています。似たようなことは国もすべきじゃないかというのが私の意見です。
この発言だけを見る →中
鶴
石
石川大我#16
○石川大我君 立憲・国民.新緑風会・社民の石川大我でございます。
お三方の参考人の皆様には大変貴重な時間を頂戴をいたしまして、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。
お時間が十分ということで大変短うございますので、お一方三分ほど、一、二問やり取りをさせていただければというふうに思います。
まず初めに、藤本参考人にお伺いをしたいんですけれども。
先生は先ほども現場が大好きということで大切にしていらっしゃるということで、まさにその現場のおやじさんが生産性を上げながら有効需要をつくるといった政府がやるべき仕事をやっていると、これによって日本がもっているんだというようなお話があるかと思うんですが、つまり現場の力が縁の下で日本を支えているんだというふうに解説をされておりました。
一方で、先生は、単純な生産では日本は勝てないと、ややこしいもの、複雑なもので勝負すべきともおっしゃっています。ややこしいもの、複雑なもので勝負するためには、例えば職人さんであるだとか、料理人とか漁師さんとか、現場で働く人たちがもっと大切にされる、技術を得るための例えば教育が保障されるですとか、もっとありていに言えば、技術を持っている人が安心して暮らせる、そういった社会にしていく必要があるとも思いますが、そういったことに対して必要なこと、現場を鍛えるといったようなお話もありましたが、御所見をいただければと思います。
この発言だけを見る →お三方の参考人の皆様には大変貴重な時間を頂戴をいたしまして、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。
お時間が十分ということで大変短うございますので、お一方三分ほど、一、二問やり取りをさせていただければというふうに思います。
まず初めに、藤本参考人にお伺いをしたいんですけれども。
先生は先ほども現場が大好きということで大切にしていらっしゃるということで、まさにその現場のおやじさんが生産性を上げながら有効需要をつくるといった政府がやるべき仕事をやっていると、これによって日本がもっているんだというようなお話があるかと思うんですが、つまり現場の力が縁の下で日本を支えているんだというふうに解説をされておりました。
一方で、先生は、単純な生産では日本は勝てないと、ややこしいもの、複雑なもので勝負すべきともおっしゃっています。ややこしいもの、複雑なもので勝負するためには、例えば職人さんであるだとか、料理人とか漁師さんとか、現場で働く人たちがもっと大切にされる、技術を得るための例えば教育が保障されるですとか、もっとありていに言えば、技術を持っている人が安心して暮らせる、そういった社会にしていく必要があるとも思いますが、そういったことに対して必要なこと、現場を鍛えるといったようなお話もありましたが、御所見をいただければと思います。
藤
藤本隆宏#17
○参考人(藤本隆宏君) ありがとうございます。私のいつも考えていることのエッセンスのところを言っていただきまして、ありがとうございます。
やはり生産性を上げていかないと。産業の競争はハンディ戦であります、ハンディが付いています。つまり、賃金差ですね。これが昔は二十倍あったわけです、日本が二十万円、中国が一万円。この二十倍のハンディをしょって三十年間のたうち回ってきたのが日本の産業でありますけれども、その中で、もちろん随分なくなってしまった産業もあるんですけれども、残っているところは逆に言うとつわものですよね。そこに造船も入っているわけであります。
ですから、こういうところを見ても、先ほどのC社の話にもありましたけれども、日本の特に地場の企業というのは本当に、例えば二百人の工場があったとする、二万人の会社。そこで、生産性を上げて何とか生き残った。その結果として百五十人で済んじゃう。じゃ、五十人首切りますかといったら、首切りませんね、絶対。ほぼ絶対切りません。そんなことしたら私あしたから表通り歩けませんからみたいな話になるわけ。これが日本です。そのために、この五十人分の仕事を取ってくるんですね、社長走り回って取ってくると。これを、造船でも私見ましたし、ほかのところでも見ました。
だから、この考え方は非常に重要、これ実は三方よしなんですけれども、これがなければ従業員は生産性向上に協力しません。当たり前ですよね。いや、百五十人で済んで、おかげで我々生き残った、ありがとう、ところで君たち五十人首ねなんてやったら、次、誰が付いてくるかという話になります。これ、付いてきているということは、これをちゃんとやっている会社がまだ多いということで、これ、実は日本の企業の隠れた強みであります。
これ、例えば、どういうところにマクロで現れるかというと、リーマン・ショックの後、二〇〇九年の失業率、もちろんこれは雇用調整助成金などの政府の施策もあってのことではありますけど、あれだけじゃ説明できないと思うんですね。つまり、アメリカが一〇%ぐらい行きましたか、ヨーロッパは二〇%近く行きましたね。日本はあのとき五・五%。現在、アメリカが今一五%とか行って、日本は、これからもちろん悪化しますけれども、今はまだ三%ぐらいですか。これは、もちろんそういった政策的なこともありますけど、やっぱり日本の企業がとにかく雇用を守るんだという意思を特に地場の中小・中堅企業持っておられるから、これがこうなっているんだと思うんですね。
ですから、この力を要するにイノベーションに、つまり、何とかお客さんも満足させる、そして地域も満足させる、そして利益も出すと、この三方よしをやっていくんだという、これをやっていくと、いわゆるイノベーションの力が湧いてくるんですね、自然に。こういうある種の草の根のイノベーションですね。大きいやつはお国の支援でどんどんやるべきですけれども、実は見えないところでやられている小さなイノベーション、これで日本は、これだけひどい目に遭ったのにこのぐらいで済んでいるという言い方でしょうかね、勝ったと言うには程遠いけれども実はこの三十年間で負けていないのが日本の製造業ですので、そこは非常に評価してあげるべきじゃないかというふうに思っております。
コロナもそうですね。これ、余り言われていませんけど、よく考えますと、世界中で動いている工場はどこにあるのかって、日本ですよ。最後まで動いている工場は日本。最初に動き始める工場も日本。恐らく、六月になって海外動き始めますけれども、動き始めた途端にまた感染で止まる工場がいっぱい出てくると思います。でも、やっぱり動いている工場は日本というふうになるんじゃないかなと私は思っています。
ちょっと少し強気な言い方になりますけれども、今度のコロナによって改めて日本の工場のある種の感染防止力プラス競争力、これが少し見直されてきているんじゃないかなというふうに思っていまして、造船所も当たり前に動いていますけれども、これ、実はそんなに当たり前のことじゃないというふうに思っております。上田さんの工場もちゃんと動いておられると思うんですけどね、というふうに思っています。
失礼しました。
この発言だけを見る →やはり生産性を上げていかないと。産業の競争はハンディ戦であります、ハンディが付いています。つまり、賃金差ですね。これが昔は二十倍あったわけです、日本が二十万円、中国が一万円。この二十倍のハンディをしょって三十年間のたうち回ってきたのが日本の産業でありますけれども、その中で、もちろん随分なくなってしまった産業もあるんですけれども、残っているところは逆に言うとつわものですよね。そこに造船も入っているわけであります。
ですから、こういうところを見ても、先ほどのC社の話にもありましたけれども、日本の特に地場の企業というのは本当に、例えば二百人の工場があったとする、二万人の会社。そこで、生産性を上げて何とか生き残った。その結果として百五十人で済んじゃう。じゃ、五十人首切りますかといったら、首切りませんね、絶対。ほぼ絶対切りません。そんなことしたら私あしたから表通り歩けませんからみたいな話になるわけ。これが日本です。そのために、この五十人分の仕事を取ってくるんですね、社長走り回って取ってくると。これを、造船でも私見ましたし、ほかのところでも見ました。
だから、この考え方は非常に重要、これ実は三方よしなんですけれども、これがなければ従業員は生産性向上に協力しません。当たり前ですよね。いや、百五十人で済んで、おかげで我々生き残った、ありがとう、ところで君たち五十人首ねなんてやったら、次、誰が付いてくるかという話になります。これ、付いてきているということは、これをちゃんとやっている会社がまだ多いということで、これ、実は日本の企業の隠れた強みであります。
これ、例えば、どういうところにマクロで現れるかというと、リーマン・ショックの後、二〇〇九年の失業率、もちろんこれは雇用調整助成金などの政府の施策もあってのことではありますけど、あれだけじゃ説明できないと思うんですね。つまり、アメリカが一〇%ぐらい行きましたか、ヨーロッパは二〇%近く行きましたね。日本はあのとき五・五%。現在、アメリカが今一五%とか行って、日本は、これからもちろん悪化しますけれども、今はまだ三%ぐらいですか。これは、もちろんそういった政策的なこともありますけど、やっぱり日本の企業がとにかく雇用を守るんだという意思を特に地場の中小・中堅企業持っておられるから、これがこうなっているんだと思うんですね。
ですから、この力を要するにイノベーションに、つまり、何とかお客さんも満足させる、そして地域も満足させる、そして利益も出すと、この三方よしをやっていくんだという、これをやっていくと、いわゆるイノベーションの力が湧いてくるんですね、自然に。こういうある種の草の根のイノベーションですね。大きいやつはお国の支援でどんどんやるべきですけれども、実は見えないところでやられている小さなイノベーション、これで日本は、これだけひどい目に遭ったのにこのぐらいで済んでいるという言い方でしょうかね、勝ったと言うには程遠いけれども実はこの三十年間で負けていないのが日本の製造業ですので、そこは非常に評価してあげるべきじゃないかというふうに思っております。
コロナもそうですね。これ、余り言われていませんけど、よく考えますと、世界中で動いている工場はどこにあるのかって、日本ですよ。最後まで動いている工場は日本。最初に動き始める工場も日本。恐らく、六月になって海外動き始めますけれども、動き始めた途端にまた感染で止まる工場がいっぱい出てくると思います。でも、やっぱり動いている工場は日本というふうになるんじゃないかなと私は思っています。
ちょっと少し強気な言い方になりますけれども、今度のコロナによって改めて日本の工場のある種の感染防止力プラス競争力、これが少し見直されてきているんじゃないかなというふうに思っていまして、造船所も当たり前に動いていますけれども、これ、実はそんなに当たり前のことじゃないというふうに思っております。上田さんの工場もちゃんと動いておられると思うんですけどね、というふうに思っています。
失礼しました。
石
石川大我#18
○石川大我君 ありがとうございます。
続きまして、上田参考人にお伺いをしたいと思います。
コロナというお話、先ほど皆様から出ていますけれども、コロナ後の海運市況、造船市況、どのように分析をされているか、お聞かせください。
リーマン・ショックのときは、造船市場は減少する一方、海上荷動き量は拡大をしてきましたけれども、コロナ後にあっても同じような動きが予想されるのかとか、世界的な物流量は今後も拡大するというふうにお考えになっていらっしゃるかということ、そしてまた、あわせて、コロナウイルス感染症の影響により、造船分野における外国人材、これ技能実習生もそうだと思いますが、不足していく懸念がないのかについてお聞かせください。
この発言だけを見る →続きまして、上田参考人にお伺いをしたいと思います。
コロナというお話、先ほど皆様から出ていますけれども、コロナ後の海運市況、造船市況、どのように分析をされているか、お聞かせください。
リーマン・ショックのときは、造船市場は減少する一方、海上荷動き量は拡大をしてきましたけれども、コロナ後にあっても同じような動きが予想されるのかとか、世界的な物流量は今後も拡大するというふうにお考えになっていらっしゃるかということ、そしてまた、あわせて、コロナウイルス感染症の影響により、造船分野における外国人材、これ技能実習生もそうだと思いますが、不足していく懸念がないのかについてお聞かせください。
上
上田孝#19
○参考人(上田孝君) ありがとうございます。
今回のコロナ禍の影響がどうなるかというのは、正直申し上げて全く分からないんです。それは世界経済がある意味で鎖国を起こしているわけですから、海上物流なんという貿易そのものを否定されているかもしれないわけですから、全く分かりません。
だけど、我々業界にいる人間からすると、その分からないなりにいろんな話をしているんですけれど、現実リモートワークとかやっていても、やっぱりこの商売というのはなかなかそういうことでうまくいかないですから、本当に先行きどうなるんだろうというのは、我々造船会社も、船主さんも、オペレーターも、みんなが不安に思っている状況です。
何とかここを少し展望を持って前へ進まないかぬなという状況でありまして、リーマン・ショックのときとは違うなと。リーマン・ショックのときは、実はあの瞬間に、先ほどブームが来たと言いました。四、五年分の受注持っていましたから、どうぞ二、三年はこのままで結構ですよと、造船会社からすれば。高い船を受注を取りまして、考えられないけど、多分各社とも二〇%ぐらいの利益が上がるような高い船だったんです。それで、二、三年、三、四年は全然平気だったんです。今回は全くそうじゃなくて、元々採算の悪い、場合によっては赤字の船を、さっき申し上げた一・二年分程度しか持っていないという状況で次が開けないという、こういう苦しさでございます。
それから、外国人の問題ですが、先ほど来、藤本先生から生産性議論がたくさん出ています。これ一言申し上げると、私ら造船をやっていまして、非常にこだわりのある地方雇用といいますけれど、実は現場のワーカーの問題にとっては、これは3K職場そのものであります。本当にしんどい、そのしんどい職場に働いてくれる人に夢を持たせる必要があると。その夢を持たせながらやるんだけど、数が減っております。すなわち、子供が減っているわけです。私どもの水島の岡山県だと二百万ぐらいの人口が、多分百八十万、百七十万に、子供が減っていくわけです。ということは、3K職場に入ってくる人がいない、これをどうしたらいいんだろうというのが一つのテーマです。
そして、それによって外国人の実習生始め外国人労働力を大量に採用しているわけですね、各社。しかし、これが安定的な労働力になるかどうかは、今回のコロナ禍を見て、ややこれにも不安がある。ですから、技術力というか現場を支えている現場力を、本当に黙々と、3Kであろうが、暑い夏に、みんなここに水を持ち、塩を持ち、それで働いている彼らがこの船造りに夢を持てるかどうかなんです。彼らの話は、もちろんお金が高ければ、給料が高ければ夢があるというふうに思うかもしれないけど、そうじゃないんです。先ほど来出ている海洋国家日本に、我々はそこで役に立つ仕事をしているんだという夢を持つことで、初めてその3K職場でも一生懸命やってくれるという、それを大事にしたいと思います。
少し御質問ずれたと思いますけど、以上でございます。ありがとうございます。
この発言だけを見る →今回のコロナ禍の影響がどうなるかというのは、正直申し上げて全く分からないんです。それは世界経済がある意味で鎖国を起こしているわけですから、海上物流なんという貿易そのものを否定されているかもしれないわけですから、全く分かりません。
だけど、我々業界にいる人間からすると、その分からないなりにいろんな話をしているんですけれど、現実リモートワークとかやっていても、やっぱりこの商売というのはなかなかそういうことでうまくいかないですから、本当に先行きどうなるんだろうというのは、我々造船会社も、船主さんも、オペレーターも、みんなが不安に思っている状況です。
何とかここを少し展望を持って前へ進まないかぬなという状況でありまして、リーマン・ショックのときとは違うなと。リーマン・ショックのときは、実はあの瞬間に、先ほどブームが来たと言いました。四、五年分の受注持っていましたから、どうぞ二、三年はこのままで結構ですよと、造船会社からすれば。高い船を受注を取りまして、考えられないけど、多分各社とも二〇%ぐらいの利益が上がるような高い船だったんです。それで、二、三年、三、四年は全然平気だったんです。今回は全くそうじゃなくて、元々採算の悪い、場合によっては赤字の船を、さっき申し上げた一・二年分程度しか持っていないという状況で次が開けないという、こういう苦しさでございます。
それから、外国人の問題ですが、先ほど来、藤本先生から生産性議論がたくさん出ています。これ一言申し上げると、私ら造船をやっていまして、非常にこだわりのある地方雇用といいますけれど、実は現場のワーカーの問題にとっては、これは3K職場そのものであります。本当にしんどい、そのしんどい職場に働いてくれる人に夢を持たせる必要があると。その夢を持たせながらやるんだけど、数が減っております。すなわち、子供が減っているわけです。私どもの水島の岡山県だと二百万ぐらいの人口が、多分百八十万、百七十万に、子供が減っていくわけです。ということは、3K職場に入ってくる人がいない、これをどうしたらいいんだろうというのが一つのテーマです。
そして、それによって外国人の実習生始め外国人労働力を大量に採用しているわけですね、各社。しかし、これが安定的な労働力になるかどうかは、今回のコロナ禍を見て、ややこれにも不安がある。ですから、技術力というか現場を支えている現場力を、本当に黙々と、3Kであろうが、暑い夏に、みんなここに水を持ち、塩を持ち、それで働いている彼らがこの船造りに夢を持てるかどうかなんです。彼らの話は、もちろんお金が高ければ、給料が高ければ夢があるというふうに思うかもしれないけど、そうじゃないんです。先ほど来出ている海洋国家日本に、我々はそこで役に立つ仕事をしているんだという夢を持つことで、初めてその3K職場でも一生懸命やってくれるという、それを大事にしたいと思います。
少し御質問ずれたと思いますけど、以上でございます。ありがとうございます。
石
石川大我#20
○石川大我君 ありがとうございます。
大分時間がちょっと迫ってまいりましたので、端的に多々見参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、国への要望というところで、未来のビジョンを示せということで幾つかビジョンを、アイデアをいただいたと思いますが、その中で新規事業への後押しというようなお話をされたんですが、その辺りの新規事業というところ、少し御説明をいただければと思います。
この発言だけを見る →大分時間がちょっと迫ってまいりましたので、端的に多々見参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、国への要望というところで、未来のビジョンを示せということで幾つかビジョンを、アイデアをいただいたと思いますが、その中で新規事業への後押しというようなお話をされたんですが、その辺りの新規事業というところ、少し御説明をいただければと思います。
多
多々見良三#21
○参考人(多々見良三君) 造船業が持っているノウハウというのが生かされる事業というのは一つ重要だと思っていますけれども、私が知り得ている情報の中では、海洋風力発電ということについての参入の機会があるように聞いています。まさに造船業が培ってきた鉄をいろいろ加工したりくっつけたり、そういう能力からすると、海洋風力発電が今後原発に取って代わるようなそういうエネルギーということを経済産業省等が認定していただければ、これは海に関わることですので、国交省の港湾局、そういった辺りが関与しますので、そういったことが必要と判断され、できるだけ早くそういった方向性を示していただきたいなと思っています。
この発言だけを見る →石
鶴
秋
秋野公造#24
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。
今日は三人の先生方、本当にありがとうございました。
まず、藤本先生にお伺いをしたいと思います。
上田先生が御説明をされた省エネの船、それから自動運航の船、これはアーキテクチャーの位置付けではどこに位置することになるとお考えになりますか。ローテクで高難度であればいいなと思いながら、まず先生にお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →今日は三人の先生方、本当にありがとうございました。
まず、藤本先生にお伺いをしたいと思います。
上田先生が御説明をされた省エネの船、それから自動運航の船、これはアーキテクチャーの位置付けではどこに位置することになるとお考えになりますか。ローテクで高難度であればいいなと思いながら、まず先生にお伺いしたいと思います。
藤
藤本隆宏#25
○参考人(藤本隆宏君) これ結構難しいところでありますけれども、まず船そのものが航路、例えば海事システムがあるわけですけれども、海運業から見て、ある航路に最適の船を造ってくれというような話になるのか、あるいはとにかく安けりゃいいよという話になるのかで話全然変わってくると思うんですけれども。
もし標準船でいいやという話になれば、これは標準船として最高のレベルのものを造って世界に数で出していくと。言ってみればインテルとかシマノとかこういう会社、他業種でいえばやっていることでありますけれども、このような標準船を、最高の標準船を造ってそれを世界中に出していく。実は先ほどのA社の船はそういう船なんですけど、こういうスーパーカブ的なやり方が一つありますけれども。
私は、もう一つあるのは、やはりその海事システム全体、つまり海運システム全体を最適化していくと、最適化することで省エネを全体で達成していくんだと。こう考えたときには、ひょっとしたら、やはりその航路航路でやはりそれぞれかなりカスタム化した最適設計船みたいなものが必要になってくるかもしれない。これになってきますと、かなりこれは簡単じゃないですね、なかなか。設計も難しいし、もちろん技術的にもこれは最先端であります。だから、技術的な最先端の部分はやっぱり大手から力をいただいて、設計思想的なところはこれはやはり商売上手な中手さんに力がありますから、この連係プレーでやっていけば勝てる部分が出てくると思う。
今、だから海運でちょっと日本の比率が下がっているとありましたですね。あれは、だからちょっとそっちの方に、寄せ集めの方にちょっとやっぱりどうしても誘惑があるんですね。そっちへ行っちゃいそうな感じがあるんですけど、ここはよく考えていただいて、つまり、中韓は確かに政府が支援するという形ですけど、日本は、じゃ、日本も同じように保護すりゃいいという話じゃないと思うんですね。日本は、むしろやっぱり正攻法で勝負すると。
つまり、この海運そのものを最適化していくことによって、世界に対して日本の海運は、海運としてその省エネ、SDGに対して貢献ができているというところを示すことによって、じゃ、そのための船はどういう船ですかというふうに来たときに、それはやっぱりカスタム船であり、なおかつ性能が高いというものであると。
そうなりますと、ある部分は実は船の中をモジュール化しなきゃいけないかもしれない。だから、先ほどの絵でいうと、左下の、中モジュラー、外インテグラルという、あそこに活路があるかもしれません。実際そういう船を造っている会社がありますね。ですから、いろんなパターンがあります、そのパターンによって融通無碍にこのアーキテクチャー戦略をきっちりと決めて、その戦略ごとに戦い方違いますから、その正しい戦い方で戦えば十分にやっていけるというふうに私は思います。
済みません、私はどっちかというと強気な話ばっかりで申し訳ないですけれども、弱気が多いので、少し、そのように思っております。
以上です。
この発言だけを見る →もし標準船でいいやという話になれば、これは標準船として最高のレベルのものを造って世界に数で出していくと。言ってみればインテルとかシマノとかこういう会社、他業種でいえばやっていることでありますけれども、このような標準船を、最高の標準船を造ってそれを世界中に出していく。実は先ほどのA社の船はそういう船なんですけど、こういうスーパーカブ的なやり方が一つありますけれども。
私は、もう一つあるのは、やはりその海事システム全体、つまり海運システム全体を最適化していくと、最適化することで省エネを全体で達成していくんだと。こう考えたときには、ひょっとしたら、やはりその航路航路でやはりそれぞれかなりカスタム化した最適設計船みたいなものが必要になってくるかもしれない。これになってきますと、かなりこれは簡単じゃないですね、なかなか。設計も難しいし、もちろん技術的にもこれは最先端であります。だから、技術的な最先端の部分はやっぱり大手から力をいただいて、設計思想的なところはこれはやはり商売上手な中手さんに力がありますから、この連係プレーでやっていけば勝てる部分が出てくると思う。
今、だから海運でちょっと日本の比率が下がっているとありましたですね。あれは、だからちょっとそっちの方に、寄せ集めの方にちょっとやっぱりどうしても誘惑があるんですね。そっちへ行っちゃいそうな感じがあるんですけど、ここはよく考えていただいて、つまり、中韓は確かに政府が支援するという形ですけど、日本は、じゃ、日本も同じように保護すりゃいいという話じゃないと思うんですね。日本は、むしろやっぱり正攻法で勝負すると。
つまり、この海運そのものを最適化していくことによって、世界に対して日本の海運は、海運としてその省エネ、SDGに対して貢献ができているというところを示すことによって、じゃ、そのための船はどういう船ですかというふうに来たときに、それはやっぱりカスタム船であり、なおかつ性能が高いというものであると。
そうなりますと、ある部分は実は船の中をモジュール化しなきゃいけないかもしれない。だから、先ほどの絵でいうと、左下の、中モジュラー、外インテグラルという、あそこに活路があるかもしれません。実際そういう船を造っている会社がありますね。ですから、いろんなパターンがあります、そのパターンによって融通無碍にこのアーキテクチャー戦略をきっちりと決めて、その戦略ごとに戦い方違いますから、その正しい戦い方で戦えば十分にやっていけるというふうに私は思います。
済みません、私はどっちかというと強気な話ばっかりで申し訳ないですけれども、弱気が多いので、少し、そのように思っております。
以上です。
秋
秋野公造#26
○秋野公造君 勝機があると受け止めました。
じゃ、上田先生にお伺いしたいと思います。
私、先ほど先生が大きなヤードがあることの話はすごくちょっと刺さったものがありますが、我が国に、例えば韓国や中国に勝つぐらいのこういった大きなヤードみたいなものが必要だとお考えなのかというのがまず一点です。
それから二点目は、好不況の波が激しいということでありますが、人材育成がどうあるべきか、隙間を目指すということであれば一定した人材育成というのは難しいんじゃないかと、そう思ったわけでありますけれども、上田先生の考える人材育成について教えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →じゃ、上田先生にお伺いしたいと思います。
私、先ほど先生が大きなヤードがあることの話はすごくちょっと刺さったものがありますが、我が国に、例えば韓国や中国に勝つぐらいのこういった大きなヤードみたいなものが必要だとお考えなのかというのがまず一点です。
それから二点目は、好不況の波が激しいということでありますが、人材育成がどうあるべきか、隙間を目指すということであれば一定した人材育成というのは難しいんじゃないかと、そう思ったわけでありますけれども、上田先生の考える人材育成について教えていただきたいと思います。
上
上田孝#27
○参考人(上田孝君) ありがとうございます。
大きなヤードの必要性、必要があっても日本では無理だというのが結論だと思います。
もう今から数台、大きなヤードをどこかで掘るんですかと、設備投資をして。そういう場所もなければ、無理です。ですから、日本モデルというのは多分、ヤードの規模はちっちゃいけれど、それを全体を統合する中で上手に船種を変えながら物を造っていくというやり方があるので、やっぱり日本の持っている財をうまく有効活用していく方が正しいのではないかというような感じがいたします。ですから、大きなヤードを今どこかでやるというのは現実的じゃないという感じがいたします。
それから、好不況の波によって人材育成が難しい。まさに、まず育成が難しいんですが、人材確保が難しいです、現在。これはメーカー全体に言えるかもしれないけど、物づくり人口って今せいぜい一千万弱で、なかなか物づくり等、製造業には新規参入は来ないんですね。
おまけに、現場でいったら3K職場です。3K職場と言い切って、僕は我が社の人間に、よく3K職場でやるねという。これを僕は日本の一つの財産だと思いまして、その部分を何とか生かしていくというようなことで、さっき人材育成というのは何か教育をする、親方から何か教えてもらうというやり方があるんですが、実は戦後支えてきたそういうワーカーの親分のような作業長、もう全部リタイアしたんですよ。そうすると、もうリタイアしていっているから、そういうノウハウが残っていないヤードが多くなっています。
それで、若い人たちは今はもう平気にスマホ、パソコンからスマホに変わり、親方の背中を見て学ぶなんというそういう姿勢は無理です。だから、新しい教育、仕組みが必要だと思うし、多分、各会社はそういうことを現実に即していろんな工夫をされていると思うし、サノヤスだってそれをやっています。
だから、人材育成は難しいんですが、これは造船だけじゃなくていろんな業界に言えることだし、それは新しい知恵を使うことが必要じゃないか。ただ、マンパワーの総量が足りないということは可能性が出てきたので、外国人労働力を使う必要がある、そうすると言葉の問題を始めいろんなことが付随して起こってきます。
そんなことで、人を大事にしなきゃいかぬという造船所、これは造船に限りません、各産業共通です。先ほど来出ている、技術と言いますけれども、私は文系ですから、技術屋さんが技術技術とおっしゃいますと、いや、技術の担い手は人材ですといつも切り返すんです。人が大事だという姿勢はやっぱり日本の最大限の財産ではないかと、我々企業にとってもそういう観点で私は経営しております。造船工業会としてもそういう姿勢でおります。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →大きなヤードの必要性、必要があっても日本では無理だというのが結論だと思います。
もう今から数台、大きなヤードをどこかで掘るんですかと、設備投資をして。そういう場所もなければ、無理です。ですから、日本モデルというのは多分、ヤードの規模はちっちゃいけれど、それを全体を統合する中で上手に船種を変えながら物を造っていくというやり方があるので、やっぱり日本の持っている財をうまく有効活用していく方が正しいのではないかというような感じがいたします。ですから、大きなヤードを今どこかでやるというのは現実的じゃないという感じがいたします。
それから、好不況の波によって人材育成が難しい。まさに、まず育成が難しいんですが、人材確保が難しいです、現在。これはメーカー全体に言えるかもしれないけど、物づくり人口って今せいぜい一千万弱で、なかなか物づくり等、製造業には新規参入は来ないんですね。
おまけに、現場でいったら3K職場です。3K職場と言い切って、僕は我が社の人間に、よく3K職場でやるねという。これを僕は日本の一つの財産だと思いまして、その部分を何とか生かしていくというようなことで、さっき人材育成というのは何か教育をする、親方から何か教えてもらうというやり方があるんですが、実は戦後支えてきたそういうワーカーの親分のような作業長、もう全部リタイアしたんですよ。そうすると、もうリタイアしていっているから、そういうノウハウが残っていないヤードが多くなっています。
それで、若い人たちは今はもう平気にスマホ、パソコンからスマホに変わり、親方の背中を見て学ぶなんというそういう姿勢は無理です。だから、新しい教育、仕組みが必要だと思うし、多分、各会社はそういうことを現実に即していろんな工夫をされていると思うし、サノヤスだってそれをやっています。
だから、人材育成は難しいんですが、これは造船だけじゃなくていろんな業界に言えることだし、それは新しい知恵を使うことが必要じゃないか。ただ、マンパワーの総量が足りないということは可能性が出てきたので、外国人労働力を使う必要がある、そうすると言葉の問題を始めいろんなことが付随して起こってきます。
そんなことで、人を大事にしなきゃいかぬという造船所、これは造船に限りません、各産業共通です。先ほど来出ている、技術と言いますけれども、私は文系ですから、技術屋さんが技術技術とおっしゃいますと、いや、技術の担い手は人材ですといつも切り返すんです。人が大事だという姿勢はやっぱり日本の最大限の財産ではないかと、我々企業にとってもそういう観点で私は経営しております。造船工業会としてもそういう姿勢でおります。
ありがとうございます。
秋
秋野公造#28
○秋野公造君 ありがとうございました。
多々見先生にお伺いしたいと思います。
国策に御協力をいただいておりまして私の立場で感謝申し上げたいと思いますけれども、圏域を確保するための御苦労などについてもちょっと披露して共有していただければ有り難いということと、舞鶴に造船所があるということ、これが舞鶴にあることで造船所としてもメリットがある、つまり、例えば自衛隊であったり海上保安庁であったりそういうところと一体的であるということがメリットとしてお感じになっているか、このことについてお伺いしたいと思います。
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国策に御協力をいただいておりまして私の立場で感謝申し上げたいと思いますけれども、圏域を確保するための御苦労などについてもちょっと披露して共有していただければ有り難いということと、舞鶴に造船所があるということ、これが舞鶴にあることで造船所としてもメリットがある、つまり、例えば自衛隊であったり海上保安庁であったりそういうところと一体的であるということがメリットとしてお感じになっているか、このことについてお伺いしたいと思います。
多
多々見良三#29
○参考人(多々見良三君) 先ほどお話ししましたように、百二十年の歴史がありまして、舞鶴市民は、いわゆる海軍工廠の時代、鎮守府の時代、全て知っています。こういった中で、海を舞台に働く人たちのそういう姿をよく知っていまして尊敬していますし、また、造船所に働く方についてもよく知っていますので、小さい町ですけれども人を大事にするということがすごく定着しているところでありまして、加えて、やはり自分の町だけよければよいというんじゃなくて、やっぱり関西のために役に立っている、日本のために役に立っているというその高い目標が、モチベーションが上がりますので、まさに、誇りに思うこと、そしてみんながそれを尊重すること、敬うこと、こういったことが重要な、そういう要素を持っている町だと思っています。
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