岩井茂樹の発言 (資源エネルギーに関する調査会)

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○岩井茂樹君 物事は一方が一方的に悪いという話じゃないと思うんですけれども、やはり規制側としてもう少し認識を、もう少し強く受け止めていただきたいと思います。
 今年の三月二十四日に自民党本部で開催された原子力規制に関する特別委員会の中で、私も参加していたんですけれども、多くの議員から指摘のありましたコミュニケーションの不足に対して、原子力規制庁の方から、これまでの原子力規制委員会におけるコミュニケーションに失敗があったという、そんな話もそのとき聞きました。まあ、そこは認めていると思うんです。
 先日の五月の二十一日、原子力規制委員会は、私、静岡なんですけど、中部電力の浜岡原子力発電所三、四号機の審査会合をテレビ会議で開催をしたという記事を地元の新聞で目にしました。
 これ読むと、中部電力からは、火山現象や地すべりなどの地震以外の要因による基準津波策定に関して、この議題の事前の資料の論点整理であるヒアリングを今年の二月二十五日に受けたのを最後に、今日まで三か月間、審査会合が設定されなかった、今日の委員からのコメントを四月上旬にいただいていれば、大型連休を挟む二か月ほどで審査を進められたと不満が訴えられたと書かれていました。
 一方で、規制委員会からも言いたいことがありまして、浜岡の基準津波策定に当たって最大の論点となっているプレート間地震の津波評価に関し、中部電力側により厳しい条件での津波高の策定を求めてから一年が経過しても、中部電力からはなかなかその反応がなかったというような内容も書かれていました。
 お互いの主張は分かるんです。ただ、この報道を見る限り、ここにどうして原子力規制委員会と産業界のコミュニケーションが成立をしているのか、IRRSが指摘したそのままじゃないでしょうか。IRRSの指摘を今年の一月に受けながら今御紹介したような状況で今もあるということは、誠に残念でなりません。
 原子力安全・保安院時代でありますが、二〇〇七年、最初にIRRSから指摘を受けたのに十分な改善をしなかったために発生した福島第一原発の事故、その反省に立って設置されたのが原子力規制庁であり、原子力規制委員会であるはずです。是非、この度、IRRSからも指摘のあった産業界とのコミュニケーション、どっちが悪いという話ではないんですが、しっかりと図っていただきたいと思います。
 それでは、安全に対する考え方について少し話をしたいと思います。
 安全神話、リスクがゼロだと思い込んでしまうということ、この間違った考え方が福島第一原発の大きな事故につながったと、大きな原因の一つだと思います。このことを反省しなくてはなりません。そして、リスクはゼロにならない、このことを肝に銘じて、私たちはこれから対応を図らなければいけないとも思います。
 でも、どうでしょう。東日本大震災以来、日本では、不安を取り除くためにはリスクをゼロにすると議論されているように私には思えます。これでは、リスクをゼロだと思い込むという安全神話から結局は脱却できていないように思います。
 リスクマネジメントが専門の東京工業大学の中村昌允教授は、欧米は、全てのリスクに対応することは無限の費用を要することになり、現実には実行できることではない、リスクゼロがあり得ないとすれば、現実的にはどこまでのリスクを許容するかになり、その許容レベルに対する社会の合意が必要になると述べられております。
 資料二を御覧ください。
 これは安全に対する考え方を示したもので、ここで示されているのは安全か安全でないかの二者択一の区分ではなくて、広く受容される領域、我慢できる領域、受容されない領域の三つの領域で安全を考えており、この概念をALARP、実行可能な最低の水準といい、英国の原子力規制体制の基本となる考え方です。
 この図を見ますと二つの基準があり、ここで示す基準値Aが日本でいう恐らく安全目標、基準値Bが新規制基準に相当すると思います。二つの基準の間がALARPの領域と言われているところで、まさにここが残存リスクを示していると思うんですが、この残存リスクに関しては、事業者がたゆまぬ努力で安全向上を図っていかなくてはいけない部分ですが、問題なのは、この基準値Bの新規制基準のラインです。
 冒頭、科学的根拠や客観的根拠の重要性について述べましたが、現状、この新規制基準に関しては、絶対的な要求、とにかく絶対に守れという考えでこの基準が設けられていて、その基準に対して科学的根拠が明確に示せていないことが様々な混乱の要因になっているのではないかと私は思います。
 今の新規制基準の科学的根拠が十分でないとするならば、その足りない科学的根拠をしっかりとその部分に吹き込んでいくための技術というのが、恐らくこれは唯一の方法かもしれませんが、先ほども少し触れましたけれども、確率論的リスク評価、PRAだと私は考えています。
 そこで、質問ですけれども、我が国における確率論的リスク評価、PRAに対する評価と、PRAの活用に向けたモデル化を含む研究開発の状況、そして今後の活用の可能性について見解をお聞かせください。

発言情報

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発言者: 岩井茂樹

speaker_id: 17305

日付: 2020-05-27

院: 参議院

会議名: 資源エネルギーに関する調査会