江藤拓の発言 (農林水産委員会)
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○国務大臣(江藤拓君) 新たな食料・農業・農村基本計画が三月三十一日に閣議決定されました。
基本計画は、食料・農業・農村基本法第十五条の規定に基づき政府が策定するものであり、おおむね五年ごとに変更することとされております。
以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
我が国の農業は、国民生活に不可欠な食料を供給するとともに、その営みを通じて国土の保全等の多面的機能を発揮している、まさに国の基であります。
また、農村は農業者等の生活の場であるとともに、農業生産の場であり、農業の持続的発展の基盤です。
しかしながら、現下の農業、農村をめぐる状況は、人口減少に伴う国内マーケットの縮小、農業者の減少、高齢化といった問題が深刻化するとともに、TPP等の新たな国際環境への対応、頻発する自然災害やCSF、ASF等の家畜の伝染性疾病への対応、さらには、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済環境の悪化への対応などの課題に直面しております。
このような課題に対応するためには、地域をいかに維持し、次の世代に継承していくのかという視点から、農業の生産基盤の強化を着実に推進することが必要であると考えています。
このため、「まえがき」におきましてこうした認識を示した上で、農業者はもとより国民の皆様に、農業、農村が直面している現状や課題への御理解を賜り、国民全体で農業、農村を次の世代につないでいくための道筋を示すことを、この基本計画の重要なテーマとして位置付けております。
次に、第一の食料、農業及び農村に関する施策についての基本的な方針におきまして、これまでの施策の評価及び食料、農業、農村をめぐる情勢の変化と課題を整理した上で、施策を推進するに当たっての基本的な視点を示しております。
基本的には、農業の成長産業化を促進する産業政策と、農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮を促進する地域政策を車の両輪として推進してまいります。
このことを通じ、国内の農業生産の増大を図り、農業者の所得を向上しつつ、将来にわたって食料を安定的に供給し、食料自給率の向上と食料安全保障の確立を図ることとしております。
施策の推進に当たっては、環境に配慮した生産活動を後押しし、SDGsの達成に貢献してまいります。
次に、令和十二年度における食料自給率の目標を定めております。
前基本計画の検証結果を踏まえ、食料安全保障上の基礎的な目標である供給熱量ベースの食料自給率目標を四五%とし、生産額ベースの目標を七五%と設定しました。
また、家畜農家の増頭、増産への努力を正しく評価するため、飼料が国産か輸入かにかかわらず国内生産の状況を評価する指標として、食料国産率という新たな目標を設定しております。
さらに、我が国の食料の潜在生産能力を示す食料自給力指標についても、令和十二年度の見通しを示すとともに、農地に加えて労働力の確保や農業技術を考慮することとしました。
第三といたしまして、食料、農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策を定めております。
一つ目は、食料の安定供給の確保に関する施策です。
今後、本格的な人口減少に伴って、国内における農林水産物・食品について消費の減少が見込まれる中、農業の生産基盤を維持していくためには、国内需要に応じた生産を推進する必要があります。
また、食の外部化が進んでおり、生産者と食品事業者との連携を強化します。
その上で、我が国の高品質な農林水産物・食品を輸出に仕向け、拡大する海外市場を開拓します。
このため、農林水産大臣を本部長とする農林水産物・食品輸出本部を設置し、輸出先国による規制の緩和、撤廃に向けた協議、施設認定などの輸出を円滑化するための環境整備等により、農林水産物・食品の輸出額を令和十二年までに五兆円とする目標を設定し、その達成に向けた取組を通じて農業者の所得向上につながるよう、政府一体となって輸出拡大に取り組みます。
また、食品の安全と消費者の信頼を確保するため、科学的知見に基づき、リスクの評価や管理を引き続き着実に実施するとともに、消費者、生産者、食品関連事業者とのリスクコミュニケーションを積極的に行ってまいります。
さらに、食品表示の適正化等を通じた食品に対する消費者の信頼の確保に取り組みます。
加えて、CSF、ASF等の家畜の伝染性疾病や植物病害虫への対応を強化するとともに、不測の事態に備え、食料の安定供給に係るリスクを分析評価するなど、総合的な食料安全保障の確立を図ります。
二つ目は、農業の持続的な発展に関する施策です。
農業者の一層の高齢化と減少が懸念される中、我が国の農業が成長産業として持続的に発展し、食料の安定供給等の役割を果たしていくためには、持続可能な農業構造を確立することが重要です。
このため、担い手の育成確保や、新規就農、経営継承、女性や高齢者など多様な人材の活躍の促進とともに、規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず、農業経営の底上げにつながる対策を講じてまいります。
また、農地中間管理機構の推進体制の強化による担い手への農地の集積、集約化の一層の促進と優良農地の確保、農業生産基盤整備の推進により、農業の生産性向上等を図ってまいります。
さらに、農業経営の安定化に向け、収入保険制度等の利用拡大に取り組んでまいります。
品目別の施策として、畜産物、加工・業務用野菜の需要増加に対応するため、生産基盤を強化するとともに、米については水田フル活用を着実に推進します。
これに加え、スマート農業の加速化などデジタル技術の利活用により、生産、流通現場の技術革新を強力に推進します。
環境については、最近の特に激しい気象変動に対応し、再生可能エネルギーの活用、有機農業の取組面積の拡大、堆肥等の活用による土づくりなどを促進します。
三つ目は、農村の振興に関する施策です。
食料の安定供給、国土の保全といった農業の有する多面的機能が発揮されるためには、農村地域を維持し、次の世代に継承することが重要です。
このため、生産基盤を強化し、収益力を向上させることで農業の活性化を図ることに加え、農泊など農村の多様な地域資源を組み合わせて新たな価値を創出し、農村地域の所得と雇用機会を確保してまいります。
また、日本型直接支払制度の充実や鳥獣被害対策の推進などにより、中山間地域を始めとした地域のコミュニティー機能を維持強化してまいります。
さらに、棚田地域の振興や都市農業の推進などにより、農村への国民の関心を高め、関係人口の増大等を通じて、地域を支える人材の確保を図ります。
こうした農村施策の実施に当たっては、関係府省との連携を深め、総合的に推進してまいります。
四つ目は、東日本大震災からの復旧復興と大規模自然災害への対応に関する施策です。
東日本大震災からの復旧復興については、農業者の経営再開を支援するとともに、食品の安全について正確かつ分かりやすい情報供給を行うことで国内外の風評被害を払拭してまいります。
大規模自然災害への対応については、過去の災害の教訓を生かした事前防災の徹底や、防災・減災対策、早期復旧への支援等を推進します。
五つ目は、団体に関する施策です。
農協系統組織が、農村地域の産業や生活のインフラを支える役割等をこれからも果たしながら、各事業の健全性を高め、経営の持続性を確保するため、引き続き、自己改革の取組を促してまいります。
農業委員会系統組織、農業共済団体、土地改良区についても、その機能や役割を効果的、効率的に発揮できるようにしてまいります。
六つ目は、食と農に関する国民運動の展開等を通じた国民的合意の形成に関する施策です。
農産物・食品に込められた生産者の思いへの理解を醸成し、農業、農村の重要性について国民の皆様と認識を共有するため、交流人口の拡大や、農泊の推進等を通じた農林漁業体験機会の増大、食育や地産地消の推進など、食や農とのつながりを深めるための国民運動を展開してまいります。
七つ目は、新型コロナウイルス感染症を始めとする新たな感染症への対応です。
国民が必要とする食料の安定供給を確保するためにも、内需、外需の喚起と生産基盤を守るための対策を機動的に講じます。
最後に、第四におきまして、食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めております。
農業者を始めとする関係者の負担軽減等を図るため、デジタル技術を活用した施策の推進体制の整備や業務の抜本的見直し等を推進します。
農林水産省といたしましては、この基本計画に基づき、施策を着実に推進してまいります。
その推進に当たっては、多くの方々の御理解と御協力が不可欠であります。
このため、この基本計画の周知を丁寧に行い、関係者が一体となって活力ある農業、農村を実現し、食料の安定供給の確保を図ってまいります。
委員長を始め理事、委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。