安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えいたします。
 SDGsについてお尋ねがありました。
 SDGsが目指す誰一人取り残さない社会を実現するためには、地方自治体、民間企業、NGOといった様々な担い手が、それぞれの地域や立場において、官民の垣根を越えて連携して取組を進めていくことが必要不可欠です。政府としても、SDGsの実現に向けた優れた取組をジャパンSDGsアワードとして毎年表彰し、このような官民の垣根を越えた連携の取組が全国津々浦々に広がっていくことを促進しています。
 行動の十年のスタートに当たり、昨年末に改定したSDGs実施指針に基づき、ビジネスとイノベーション、地方創生、次世代・女性のエンパワーメントの三本柱を中核とする日本のSDGsモデル展開の加速化を力強く推進してまいります。
 少子化対策についてお尋ねがありました。
 全世代型社会保障改革は、人生百年時代の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進めるものです。これにより、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度の実現を目指します。
 その大きな第一歩として、安倍内閣では、公明党との強固な連立政権の下、昨年十月から、幼児教育、保育の無償化という、小学校、中学校九年間の普通教育無償化以来、七十年ぶりの大改革を実現しました。さらに、この四月からは、真に支援が必要な子供たちの高等教育の無償化を実現します。
 今後とも、希望出生率一・八の実現を目指し、今年度内に策定を予定している新たな少子化社会対策大綱において目標実現に向けた道筋を示し、全世代型社会保障検討会議の最終報告でも柱として位置付け、御党の御意見もよくお伺いしながら、しっかりと議論してまいります。
 保育の質の向上や処遇改善、教育費の負担軽減等についてお尋ねがありました。
 保育の質の向上や保育士等の処遇改善を図るため、三歳児に対する保育士の配置の改善等を実施するとともに、保育士等について月額最大で八万一千円の処遇改善を実施してきました。
 また、来年度予算案において栄養管理加算の拡充を盛り込むなど、各年度の予算編成過程において、更なる質の向上を図るための安定的な財源確保に努めてまいります。
 また、夜間保育所については、その公定価格を引き上げるための経費を来年度予算案に盛り込んでいます。
 昨年、幼児教育、保育の無償化が実現しました。また、御党から御提案いただいた私立高校授業料の実質無償化に加え、高校等の専攻科の修学支援についても、この四月からの着実な実施に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 さらに、真に支援が必要な子供たちの高等教育の無償化を着実に実施できるよう万全の準備を進めています。その際、支援対象の基準として扶養する子供の数が反映される課税所得を用いるなど多子世帯への配慮を行うとともに、中間所得層におけるアクセスの機会均等について引き続き注視、検討していきます。
 こうした取組により、子供たちの未来に大胆に投資し、子供たちの誰もが家庭の経済事情にかかわらず夢に向かって頑張ることができる社会をつくり上げてまいります。
 災害からの復旧復興、風水害対策の強化等についてお尋ねがありました。
 昨年の台風第十五号、第十九号等によりもたらされた甚大な被害に対し、政府としては、昨年取りまとめた対策パッケージに基づき、被災地の復旧復興に向けた取組を全力で進めているところです。
 また、集中豪雨、地震、激しい暴風、異常な猛暑など、異次元の災害が相次いでいる状況を踏まえ、平成三十年に三か年緊急対策を策定するなど、国土強靱化の取組を抜本的に強化し、災害に屈しない国土づくりを進めてきております。
 その上で、令和元年度補正予算案では、災害からの復旧復興と安全、安心の確保として約二兆三千億円を確保し、復旧復興の加速化のほか、昨年の台風被害等を踏まえ、河道掘削や堤防強化などの水害対策を中心に、更に国土強靱化の取組をパワーアップさせております。
 これらの予算を活用するとともに、防災・減災をソフト面から進めるための法案を今国会に提出するなど、ハード、ソフトを組み合わせた対策を総動員できる体制を整えます。
 引き続き、被災者の生活となりわいを一日も早く取り戻すことができるよう、被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいります。
 加えて、災害対策を不断に見直し、万全の危機管理体制の確保に努めるとともに、必要な予算を確保し、オールジャパンでインフラ老朽化対策を含む防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強いふるさとをつくり上げてまいります。
 女性の視点を生かした防災対策の充実等についてお尋ねがありました。
 政府においては、現在、平成二十五年に策定した男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針を踏まえ、防災計画等の策定に女性が参画することや、避難所の管理運営に女性の視点を取り入れることなどを促してまいりました。
 近年の大規模災害における課題や教訓を踏まえ、現在、取組指針の改正に向けて有識者で構成された検討会での議論を行っているところであり、女性の視点を生かした防災対策が更に充実するよう取り組む考えです。
 また、昨年の一連の災害を踏まえ、現在、中央防災会議の下に設置した避難に関するワーキンググループにおいて、ハザードマップのより一層の周知、避難勧告、避難指示の改善、避難先の量的確保、個別計画の促進等の施策について検討を行っているところです。
 今後も、引き続き、女性を始めとした幅広い視点から防災対策を不断に見直すとともに、現場での運用実績を積み上げつつ、災害対応力の強化に努めてまいります。
 防災・減災、復興についてお尋ねがありました。
 近年、災害が頻発化、激甚化する中、大切なことは、行政による公助はもとより、国民一人一人が自ら取り組む自助、そして、地域、企業、学校、ボランティアなどが互いに助け合う共助を組み合わせ、地域全体で防災意識を高め、あらゆる自然災害に備える防災意識社会を構築していくことです。
 私は、中央防災会議会長として、平成二十七年に、経済界、労働組合、地方六団体、教育・学術界、医療・福祉関係団体など広く各界各層が連携をし、国民の防災意識の向上を図るため、防災推進国民会議を立ち上げ、以来、毎年の会議や大会を通じて防災のための産学官民の協力等を推進しています。
 昨年十月に名古屋で開催された防災推進国民大会では、国民の皆様が多数参加の下、国、地方公共団体、研究機関、民間企業、NPOなど、防災に取り組む二百を超える団体が、防災技術、防災教育、自主防災、地区防災計画等に関し、知識、経験、技術などの情報発信や情報交換を行いました。政府としては、こうした各界各層が一体となって自助、共助の推進を図る取組を引き続き後押しすることで、我が国の防災・減災を更に強力に進めてまいります。
 ドクターヘリについてお尋ねがありました。
 多様な医療アクセスの手段を確保し、必要な救急医療を受けられる体制を構築するため、ドクターヘリは欠かせないものです。議員御指摘のその効果的な活用という観点からは、都道府県間で連携し、共同運用や相互に応援する仕組みを構築した上で、災害時等にこの仕組みを運用していくことが重要と考えております。
 このため、国においても、都道府県に対し、県境を越えたドクターヘリの運航事例等の必要なデータの提供や運航経費の補助などを行い、広域連携を含めたドクターヘリの導入支援を進めてまいります。
 地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 地球規模での気候変動問題への対応は喫緊の課題であると認識しています。
 我が国は五年連続で温室効果ガスの排出量を削減しています。これは、G20の中で日本と英国のみであります。合計で一一%を超える削減はG7の中で英国に次ぐ大きさであり、パリ協定に基づく削減目標の実現に向けて、日本は世界の中で積極的に取り組んでいます。
 今後とも、山口代表御指摘のとおり、自治体を始めあらゆるステークホルダーと連携しながら、再エネの主力電源化や徹底した省エネ、間伐などの森林吸収源対策など、あらゆる対策を尽くして温暖化防止に万全を期す所存です。
 加えて、パリ協定の市場メカニズムに関するルール作りなど、国際的な場においても引き続き主導的な役割を果たしていく考えです。
 さらに、パリ協定が掲げる今世紀後半のカーボンニュートラル実現との目標達成に向けて、長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に実現するには非連続なイノベーションが不可欠です。このため、米国、EUなどG20の研究機関、世界の英知を結集し、人工光合成を始めとした革新的イノベーションによるビヨンド・ゼロにも挑戦していく考えであります。
 再生可能エネルギーの主力電源化を進める取組についてお尋ねがありました。
 山口代表御指摘のとおり、導入拡大に向けた最大の鍵は蓄電システムの整備です。先般、吉野先生がリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞されましたが、まさに日本のお家芸とも呼ぶべき蓄電池技術について、その導入促進のみならず、更なる性能の向上やコストダウンに向けて、革新的電池の研究開発を一層進めてまいります。
 再生可能エネルギーの円滑な接続に向けても、一昨年、送電線の運用ルールを抜本的に見直し、既存の送電網の最大限の活用を進めています。さらに、今後、計画的な送電網の増強が行われるよう、新たな仕組みづくりを進めていく考えです。
 あらゆる政策を総動員して、再生可能エネルギーの最大限の導入、その主力電源化に取り組む考えであります。
 日米同盟及び北朝鮮問題への対応についてお尋ねがありました。
 先日、日米安全保障条約は改定から六十年の節目を迎えました。日米同盟は、この間、一貫して我が国の安全を守り、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎となってきました。
 平和安全法制の制定により、日米同盟は守り合うことのできる同盟となり、そのきずなを一層揺るぎないものとしました。北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験に日米で緊密に連携して対応していく上で欠くべからざる基盤となっています。
 北朝鮮については、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指す考えであり、この方針に変わりはありません。
 核・ミサイル問題については、米朝プロセスを後押しするとともに、安保理決議の完全な履行により、北朝鮮の完全な非核化を粘り強く実現してまいります。
 最も重要な拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要です。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。御家族も御高齢となる中、拉致問題の一日も早い解決に向け、引き続き米国等と緊密に連携しながら、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。
 日中、日韓についてお尋ねがありました。
 中国の武漢市を中心に発生している新型コロナウイルスの拡大については、中国政府及び関係機関と情報の共有や連携を強化するとともに、春節の期間に入り、訪日客の増加が予想される中、WHOの判断も踏まえつつ、万全の対策を取ってまいります。
 日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。日中両国がこうした責任を果たしていくことが、現在のアジアの状況において、そして国際社会からも強く求められています。習近平国家主席の国賓訪問を、その責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確に示していく機会としたいと考えています。
 韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。昨年十二月の日韓首脳会談では、目下の日韓関係の最大の課題である旧朝鮮半島出身労働者問題につき、韓国側の責任で解決策を示すよう強く求めました。韓国側には、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを切に期待しています。
 ミャンマーへの支援についてお尋ねがありました。
 ミャンマーの安定は地域全体の安定と繁栄に直結するとの認識に立ち、我が国は、ミャンマーの民主的国づくりを官民挙げて全面的に支援してきています。
 避難民帰還の促進や人権問題を含むラカイン州情勢の改善に向けた取組、少数民族との和平のための対話促進や復興開発支援、社会の持続可能な発展やミャンマーへの民間投資の促進等を後押しすべく、今後とも、ミャンマーの安定と発展に向けた取組を官民挙げて力強く支援してまいります。
 科学技術立国、文化芸術立国の実現についてお尋ねがありました。
 科学技術立国日本の未来は、これからの若い力に懸かっていると言っても過言ではありません。そうした観点から、政府として、昨日、若手研究者に対する新しい支援パッケージを決定いたしました。
 具体的には、二〇二五年度までに若手研究者向けの安定的なポストを五千人分以上増やします。博士を目指す全ての学生が生活面での心配をすることなく研究に打ち込めるよう、多様な財源を活用し、奨学金などの支援も大幅に拡充していきます。さらに、若手研究者を煩雑なペーパーワークから解放し、最長十年間、腰を据えて自由な発想で挑戦的な研究に取り組める新しい研究制度も創設します。
 こうした取組を通じて、次の時代を担う若い皆さんが将来に夢や希望を持って研究の道に飛び込むことができる環境づくりを進めてまいります。
 また、我が国には、悠久の歴史の中で紡いできた世界に誇る豊かな芸術や伝統文化があります。これらは、国民の心を豊かにするとともに、地域活性化や観光振興の面からも高い付加価値を生み出す源泉です。
 政府としては、我が国の芸術や伝統文化の振興を図るとともに、文化財の防火対策を始めとする後世への確実な継承や日本博による日本文化の国内外への発信などに取り組んでまいります。
 半世紀ぶりに我が国でオリンピック・パラリンピックが開催される本年、新しい時代をしっかりと見据えながら、世界に誇る科学技術立国、文化芸術立国の更なる発展に向けて取組を進めてまいります。
 共生社会の実現に向けたバリアフリーの整備についてお尋ねがありました。
 本年のオリンピック・パラリンピック東京大会は、共生社会の実現に向けてギアをシフトアップするための絶好の機会となるものと確信しています。
 この機会を生かし、障害の有無にかかわらず、誰もが生き生きとした人生を享受することができるよう、学校施設などハード面のバリアフリー化を強化するとともに、公共交通事業者等のソフト面の取組強化や、バリアフリーに関する国民の理解と協力、いわゆる心のバリアフリーを進めるための法案の準備を進めているところです。
 今後とも、共生社会の実現が東京大会のレガシーとなるよう、障害者の方々の情報アクセシビリティーや意思疎通支援の充実も図るなど、ハードに加えソフトのバリアフリー施策も積極的に推進することで、障害者の方々が世界で最も生き生きと生活できる国、日本をつくり上げてまいります。
 就職氷河期世代の支援と非正規雇用労働者の待遇改善についてお尋ねがありました。
 就職氷河期世代の方々への支援については、その意識、経験、能力を生かせるチャンスを広げるため、三年間の集中プログラムに基づき、きめ細かな伴走型の就職相談体制の確立や、受けやすく即効性のあるリカレント教育の確立など、あらゆる支援策を講じ、就業を促進してまいります。さらに、社会参加への支援が特に必要な方々には、相談支援機関のアウトリーチ機能を強化するなどして、息長く寄り添った支援を行ってまいります。
 また、非正規雇用労働者の待遇改善については、同一労働同一賃金の施行に向けて、全都道府県に設置した働き方改革推進支援センターにおいて事業主向けのセミナーや個別相談等の支援を行っているところです。
 地方創生第二期の取組についてお尋ねがありました。
 地方創生は安倍内閣の最重要課題です。全国各地、それぞれの地方ならではの強みを生かした地方独自の創意工夫をこれまで全力で後押ししてまいりました。四月から第二期という新たなステージに入りますが、こうした第一期の取組結果も十分に踏まえながら、地方の課題解決を目指し、これまで以上に強力かつきめ細かく対応してまいります。
 特に、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの背中を力強く後押しするため、東京から地方へ移住し起業、就業する場合に、地方創生交付金を活用し、最大三百万円支給する制度を更に使いやすくいたします。地域おこし協力隊について、八千人規模へ更に拡充するとともに、起業、事業承継への支援等を行うなど、地方への定住、定着を促進します。さらに、都市に住む皆さんの地方での兼業、副業を促すため、人材のマッチングや移動費の支援を行う新たな制度を創設します。関係人口を拡大することで将来的な移住につなげ、転出入均衡目標の実現を目指します。
 5Gは、自動運転や遠隔医療などを可能とすることを通じて、人材不足や高齢化など地域が直面する社会課題の解決に大きく寄与するものです。まさに地方創生の切り札であり、大胆な税制措置などにより速やかに全国展開を図ります。地方における様々な利活用に向けたチャレンジも支援してまいります。
 こうした取組によって、全国津々浦々、魅力と活力があふれる地方を目指し、地方創生の新しい時代をつくり上げていく決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁します。(拍手)
   〔国務大臣赤羽一嘉君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120115254X00320200124_003

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2020-01-24

院: 参議院

会議名: 本会議