安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
身を切る改革についてお尋ねがありました。
我々政治家は、政策を実現するため、真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。また、常に自らを省みる必要があることは当然です。日本維新の会が率先垂範して身を切る改革を続けていかれることについては、敬意を表したいと思います。
その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
なお、安倍内閣においては、行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、内閣総理大臣にあっては月額給与及び期末手当の三割、閣僚や副大臣は同二割、政務官は同一割を国庫に返納しているところです。また、自由民主党参議院議員全員が改正国会議員歳費法で目安とされた額を自主返納していると承知しています。
憲法改正についてお尋ねがありました。
日本維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、憲法審査会において建設的な議論を呼びかけておられることに、まずもって敬意を表したいと思います。
憲法審査会の運営については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
その上で、お尋ねですのであえて申し上げれば、憲法改正は国会が発議し、最終的には主権者である国民の皆様が国民投票で決めるものです。それゆえ、憲法審査会において憲法改正についての議論を重ね、国民の皆様の理解を深めていくことが私たち国会議員の責任ではないかと考えています。
さきの参議院選挙や最近の世論調査を通じて示された憲法改正に対する国民的意識の高まりをしっかりと受け止めていただき、新たな時代を迎えた今こそ、憲法審査会の場において、国民投票法の改正はもとより、憲法改正の中身について与野党の枠を超えた活発な議論が展開されることを強く期待しております。
なお、これまで二度衆議院を解散し、国民に信を問うことで、幼児教育、保育の無償化など大きな改革を実現してまいりました。現時点では解散は頭の片隅にもありませんが、今後も政治を前に進めていく上で信を問うべきときが来たと考えれば、解散・総選挙を断行することにちゅうちょはありません。
災害対策についてお尋ねがありました。
政府としては、現在、昨年の台風第十五号、第十九号を始めとした一連の災害の対応について、官房副長官を座長とする検証チームにおいて検証をしっかり行っております。
同検証チームが先日整理した中間取りまとめにおいては、御党の緊急提言に関連して、原則二十四時間以内、大規模災害時でも四十八時間以内に停電の状況を把握する体制の構築や、大規模災害時においては、早期の停電解消を最優先する仮復旧の早期実施、段ボールベッドやパーテーション等の避難所における生活環境改善のために必要な物資をプッシュ型で支援するための備蓄の実施等が盛り込まれ、今後、これらの措置が実行に移されることとなります。
また、避難の実効性を確保するため、現在、中央防災会議の下に避難に関するワーキンググループを設置し、分かりやすい防災情報の提供を含め、避難対策の強化について検討を行っているところです。
今後も、引き続き、御党からの提言も踏まえつつ、防災対策の不断の見直しに努めるとともに、防災・減災、国土強靱化を更にパワーアップしてまいります。
桜を見る会の予算と公文書管理についてお尋ねがありました。
桜を見る会については、その準備、設営、最低限必要となる経費を前提に、平成二十六年度以降、予算積算上の見積額を同額としてきたところであります。
桜を見る会は、長年の慣行の中で行われてきたところではありますが、招待基準が曖昧であり、結果として招待者の人数が膨れ上がった実態があったと認識しております。私自身は支出等の詳細については承知しておりませんでしたが、結果的には望ましいものではなかったと認識しております。
なお、契約額は予算積算上の見積額を上回ってはいるものの、国会で決議をいただいた内閣府の共通経費の範囲内で執行されたものと承知しています。
いずれにしても、桜を見る会のこれまでの運用については大いに反省すべきであり、今後、私自身の責任において招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討するとともに、予算や招待人数も含めて全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいります。
公文書管理については、政府として、平成三十年七月に公文書管理の適正化に係る総合的な施策を決定し、決定した全ての施策についてこれまで着実に実行に移しているところです。
他方、今般発覚した行政文書の保管や廃棄における不適切な取扱いも踏まえ、独立公文書管理監を中心とした各府省におけるチェックの強化など、政府を挙げて公文書管理監の更なる徹底方策について検討していく予定です。
与党が提出されている法案の取扱いについては、国会において御議論をいただくべきものと考えております。
IRについてお尋ねがありました。
IRは、カジノだけではなく、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として観光先進国の実現を後押しするものと考えています。また、IR整備の具体化に必要な実施方針や区域整備計画の策定は地方自治体が行うこととなっており、住民自治の原則が働く仕組みになっています。
もとより、IRの推進に当たっては国民的な理解が大変重要であり、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に進めてまいりたいと考えています。
日米安保条約及び地位協定についてお尋ねがありました。
日米安保条約は、第五条において、我が国への武力攻撃に対して日米が共同で対処することを定め、第六条において、米国に対し、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために、我が国の施設・区域を使用することを認めています。
日米両国の義務は同一ではないものの、全体として日米双方にとってバランスの取れたものであります。
我が国に駐留する在日米軍は、極東のみならず、米軍の地域展開を支えています。このように前方展開する米軍のプレゼンスは、地域全体における米国の利益確保に貢献しています。
こうした点は米国政府にも理解されており、例えば、昨年四月の日米2プラス2の共同発表では、日米安全保障体制の地域における米軍の一層のプレゼンスを促進する上での極めて重要な役割を認識したと明確に述べています。
日米地位協定は大きな法的枠組みであり、政府として、米国との間で日頃から様々なやり取りを行いつつ、事案に応じて最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきています。
安倍政権の下では、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものです。
日米地位協定については、御指摘の諸点も含め様々な意見があることは承知していますが、政府としては、今後とも、このような目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
日米同盟と我が国の防衛力の在り方についてお尋ねがありました。
政府の最も重大な責務は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことです。これは独立国家として第一義的に果たすべき責任であり、自らの主体的、自主的な努力によってその責任を果たしていくことが安全保障の根幹です。
現在の安全保障環境の中にあって必要なことは、我が国として自らを守る体制を主体的な自主的な努力によって抜本的に強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていくことです。同時に、これこそが、日米同盟の下での我が国の役割を十全に果たし、その抑止力と対処力を一層強化していく道であると考えています。
防衛費については、GDP一%以内に抑えるという考え方はなく、防衛力の質、量を十分に確保するために必要な経費を確保することとしており、実際、八年連続で増額となっているところです。
また、いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後とも日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません。
その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、国民の命と平和な暮らしを守るため何をすべきか、我々には常に現実を踏まえて様々な検討を行っていく責任があると考えています。
もとより、今後とも専守防衛の考え方にはいささかも変更はありません。
中国、韓国、インド太平洋諸国との関係においてお尋ねがありました。
日米安保条約は日本の外交・安全保障の基軸であり、その上に中国や韓国、そしてインド太平洋諸国との関係を、地球儀を俯瞰する観点に立って重層的に発展させていくことが重要と考えます。
中国とは、戦略的互恵関係の考え方の下、隣国ゆえに存在する様々な課題をマネージしつつ、大局的な観点からあらゆる分野で協力や交流を推し進めます。
韓国とは、北朝鮮問題への対応に関し、日韓、日米韓で緊密に連携してまいります。同時に、インド、オーストラリア、ASEANなど基本的価値を共有する諸国と、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、協力関係を発展させてまいります。
日米貿易協定についてお尋ねがありました。
自動車、自動車部品については、既に日米貿易協定において、単なる交渉の継続ではなく、更なる交渉による関税撤廃が明記されています。そのため、今後は、関税撤廃がなされることを前提に具体的な撤廃時期等について交渉が行われることとなりますが、その進め方や戦略については、今後の交渉にも影響を与えかねないことから、現時点で申し上げることは差し控えます。
香港情勢及び習近平国家主席の訪日についてお尋ねがありました。
香港情勢について参議院に提出された決議案の扱いに関しては、国会がお決めになることなのでコメントは控えますが、政府としても、現在の香港情勢を大変憂慮しています。
一国二制度の下、自由で開かれた香港が引き続き繁栄していくことが重要であり、自制と平和的な話合いを通じた解決を関係者に求めるとともに、事態が早期に収束、収拾され、香港の安定が保たれることを強く期待しています。
日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。日中両国がこうした責任を果たしていくことが、現在のアジアの状況において、そして国際社会からも強く求められています。習近平国家主席の国賓訪問を、その責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確に示していく機会としたいと考えております。
同時に、中国との間には、御指摘のものも含め様々な懸案が存在しています。こうした懸案については、これまでも私から首脳会談等の際に中国側に累次にわたり提起してきています。引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めてまいります。
日韓関係についてお尋ねがありました。
日韓関係は引き続き厳しい状況にありますが、このように困難な状況にあるときだからこそ、地方レベルや草の根レベルの交流を始め様々な交流をしっかり継続していくことが重要だと考えます。
昨年十二月の日韓首脳会談においても、様々なレベルでの交流が重要である点について文在寅大統領と一致したところであり、政府としても、日韓の間で様々な交流が今後とも続いていくよう後押ししてまいります。
消費税率の引下げ等についてお尋ねがありました。
今回の消費税率の引上げは、全ての世代が安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換していくためにどうしても必要なものです。
他方、景気については、事業規模二十六兆円の総合経済対策を取りまとめ、相次いだ災害からの復旧復興や海外発の下方リスクに対し、万全の対応を取ったところです。
軽減税率については、引き続き、制度が十分に理解され円滑に実施されるよう、周知、広報を含め取り組んでまいります。
また、人口減少社会において労働生産性を向上させていくためにも、年齢にかかわらず能力や成果に応じてキャリアアップできる多様なルートを構築していくことが重要です。このため、リカレント教育の充実を図ることに加え、企業の採用、報酬制度の見直しを促すとともに、大企業に中途採用比率の開示を求めるなどの対応により、中途採用に関する環境整備に取り組んでまいります。
なお、解雇無効時の金銭救済制度について、金銭を支払えば自由に解雇できるとの事前型の制度を導入しないことを前提に、労働者の保護等の観点から検討を進めています。
米中貿易摩擦及びRCEP交渉の見通しについてお尋ねがありました。
米国と中国は世界第一位と第二位の経済大国であり、米中間で安定的な経済関係が構築されることは、日本のみならず世界全体の持続的な経済成長に直結します。
米中双方は、先般、第一段階の合意文書の署名に至ったと承知しておりますが、我が国への影響を含め、引き続き高い関心を持って注視していきます。
RCEPについては、昨年十一月、バンコクで開催された首脳会議で共同首脳声明を採択し、インドも含めた十六か国で交渉を継続することに合意しました。
RCEPは、関税の引下げに加え、電子商取引や知的財産など新しい時代の経済ルールを含めた野心的な協定を目指して交渉を進めており、そうした中で、現時点において、インドについては、重要な課題が幾つか未解決のまま残されていることは事実です。
他方、昨年十一月の首脳会議では、全てのRCEP参加国がインドが直面する課題の解決のために作業していくことで合意したところであり、日本を含めた交渉参加国は今まさにそのための真剣な努力を行っているところです。
いずれにせよ、今後とも、日本は、自由貿易の旗手として、太平洋からインド洋へと至る広大な地域に自由で公正なルールに基づいた経済圏を構築するため、主導的な役割を果たしていく決意です。
東京オリンピック・パラリンピック後の経済政策についてお尋ねがありました。
先般取りまとめた事業規模二十六兆円に及ぶ総合経済対策は、自然災害から復旧復興や海外発の下方リスクへの万全の備えに加え、我が国経済が東京オリンピック・パラリンピック後も民需主導の力強い成長を実現していくためのものです。
東京オリンピック・パラリンピック後も見据え、先手先手で切れ目なく政策を実行していくとともに、第四次産業革命の実現に向けた取組を加速し、二〇二五年の大阪・関西万博の開催も視野に、中長期の経済活力の維持向上を実現し、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとしてまいります。
雇用慣行の見直しと給付と負担の議論についてお尋ねがありました。
人生百年時代の到来を迎え、高齢者を始めとする意欲ある皆さんに就業の機会を確保し、支え手を増やしていくことは、社会保障制度の安定のための重要な柱です。
このため、雇用の期間を縦に延ばすとともに、現役の間から多様で柔軟な働き方を広げることで雇用の選択肢を横にも広げていくことが重要です。七十歳までの就業機会の確保に加え、兼業、副業など多様で柔軟な働き方の推進や、学び直しに対する支援の強化、大企業に中途採用・経験者採用比率の開示を求める等の取組を進めてまいります。
また、二〇二二年にはいわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中で、現役世代の負担上昇に歯止めを掛けることは待ったなしの課題であり、年齢ではなく能力に応じた負担へと見直しを進めてまいります。
そのため、医療については、全世代型社会保障検討会議の中間報告において、七十五歳以上の高齢者であっても一定所得以上の方については新たに窓口負担割合を二割とし、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、具体的な所得基準等について検討を行うこととしています。
少しでも多くの方に支える側として活躍していただくことで、支える側と支えられる側のバランスを見直し、現役世代の負担を抑えながら、全ての世代が安心できる制度を構築し、また、将来的課題として、所得のみならず資産の状況についても勘案できるよう検討を進めてまいります。
外国人の在留管理の方法として、マイナンバーカードの利用についてお尋ねがありました。
外国人の在留管理におけるマイナンバーカードの利用については、常時携帯義務のある在留カードが在留管理を行う上で有用であることなど様々な要素を考慮しつつ、それぞれの制度、運用の在り方について幅広い検討を行うことが必要であると認識しております。
政府としては、きめ細かい在留管理の実現のため、在留カードその他の番号の利用の在り方について検討することとした改正入管法の附則の規定も踏まえつつ、来年度の半ばまでに方針を決定し、具体的な措置が必要となる場合には令和三年度中に結論を出すことができるよう検討を進めております。(拍手)