山下芳生の発言 (本会議)

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○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 まず、桜を見る会について聞きます。
 どの世論調査でも、七、八割の国民が総理の説明に納得できないと答えています。ところが、総理は、施政方針演説でこの問題に一言も触れませんでした。余りに無自覚、無反省と言わねばなりません。
 以下、端的に聞きます。
 一つ。総理は、長年の慣行の中で、招待者の基準が曖昧であった結果として招待者の数が膨れ上がってしまったとの答弁を繰り返していますが、問われているのは長年の慣行ではありません。第二次安倍政権で総理自身が行った桜を見る会の私物化です。その認識はないのですか。
 二つ。下関市の安倍晋三事務所が、桜を見る会の参加者を募り、安倍事務所主催のツアー旅行に利用した、総理はこのことを認めますか。これが桜を見る会の適切な招待だという認識ですか。
 三つ。総理は、昨日、安倍事務所が推薦したもので招待されなかった例もあったと答弁しましたが、その根拠は何ですか。
 四つ。二〇一八年には、自民党の都道府県会議員の研修会の参加者に、希望者には翌日開催される桜を見る会の招待状を渡していたとの報道があります。これは事実ですか。内閣府が提出した資料でも、二〇一八年は総理等の招待者が最も多い九千四百九十四人に達しています。これは、同年行われた総裁選挙で地方票を獲得するために、自民党地方議員を多数招待したからではないですか。
 以上、明確な答弁を求めます。
 次に、カジノ汚職について質問します。
 安倍総理が成長戦略の目玉になると推進してきたカジノ事業をめぐり、現職国会議員が中国のカジノ企業からの収賄容疑で逮捕されるという重大事件が起こりました。総理、重く受け止めるというのなら、このままカジノを実施するわけにはいかないのではありませんか。
 元々、カジノは、刑法で禁じられた賭博であるにもかかわらず、国民多数の反対を押し切って解禁されました。逮捕された自民党のあきもと司議員は、カジノ推進法を強行採決したときの衆議院内閣委員長、カジノ実施法を提案したときの内閣府IR担当副大臣と、カジノ解禁に道を付けるど真ん中を歩いてきた人物です。その人物に贈賄側のカジノ企業からどのような要請があり、カジノ解禁の制度づくりにどのような影響があったのか、カジノ推進法、実施法の策定過程を政府として検証すべきではありませんか。
 カジノ解禁をめぐる政治家への資金提供は中国企業にとどまりません。二〇一四年から三年間、アメリカの大手カジノ企業シーザース・エンターテインメントから、カジノ推進法の提案者だった自民党など十五人の議員にパーティー券購入の形で資金が渡っていたと報じられ、西村康稔経済再生担当大臣は、一八年七月、参議院内閣委員会でその事実を認めました。カジノ面積の上限規制が米国カジノ企業の要求により緩和されたという経緯もあります。カジノマネーが日本の政界を汚染し、カジノ企業に都合の良い制度となったのではないかとの疑惑はいよいよ深まりました。
 総理、疑惑の全容解明とともに、カジノの実施は中止すべきです。野党は共同してカジノ廃止法案を提出しましたが、この法案にどういう態度を取るつもりか、答弁を求めます。
 歴代最長となった安倍政権は、どの政権もやったことがない二度にわたる消費税増税を強行しました。しかし、消費税導入後の三十二年間、消費税収は国、地方合わせて四百二十四兆円にも達しますが、同じ時期に法人三税の税収は三百六兆円減り、所得税、住民税の税収も二百八十兆円減りました。消費税の目的は、社会保障のためでも財政再建のためでもない。弱者から吸い上げ、大企業や富裕層を潤す、これこそが消費税の正体だということがすっかり明らかとなりました。
 政府は、今回の補正予算で、経済対策のために二・二兆円、景気悪化による税収不足の穴埋めに二・二兆円、合わせて四・四兆円もの国債を追加発行しようとしています。消費税一〇%への増税分が全て消し飛んでしまう規模です。消費税増税で景気を悪化させてはそのたびに経済対策を組む、この悪循環からいいかげんに抜け出すべきです。
 日本共産党は、格差を拡大し景気悪化を招いた消費税を五%に減税すること、社会保障と暮らし応援の財源は大企業、富裕層に応分の負担を求めてつくることを提案していますが、総理の見解を求めます。
 次に、雇用について聞きます。
 総理は施政方針演説で、多様で柔軟な働き方を可能にすると述べました。かつて、経済産業大臣は、フリーランサーのような契約にとらわれない柔軟な働き方は働き方改革の鍵となると発言しています。
 内閣府の調査では、自営業主の形で働くフリーランスは既に三百万人に上り、全就業者の五%になっています。この調査では、特定の発注者に依存する雇用的自営業者が増加傾向にあり、最近の労働市場の変化の特徴の一つとしています。特定の企業に依存しながら、雇用関係がないために、労働者としての権利は全く保障されない。最低賃金も適用されず、労働保険もなく、仕事中の事故も自己責任。契約の打切りによる解雇も企業の自由勝手。まさに、労働者の権利ゼロ、企業にとっては雇用責任が一切問われない、究極の使い捨て労働が、日本でもアマゾンやウーバーイーツの宅配代行業務などで広がっています。
 総理は非正規という言葉をこの国から一掃すると言いますが、安倍政権がやろうとしているのは、実態は、労働者でありながら雇用関係がない自営業者として働かせる、つまり非正規雇用ですらない労働者を増やすことなのではありませんか。
 人間らしい労働、ディーセントワークの実現は、ILOを始め世界の大きな流れです。働き方改革と言いながら、それに真っ向から反する働かせ方を増やすことなどあってはなりません。
 日本共産党は、中小企業の支援を強化しながら、最低賃金を直ちに時給千円、速やかに千五百円に引き上げること、労働者派遣法を抜本改正し、雇用は正社員が当たり前のルールを作ること、そして、残業代ゼロ制度を廃止し、長時間労働を是正することを提案していますが、総理の見解を求めます。
 次に、対米関係について聞きます。
 トランプ大統領の指示で行われた米軍によるイラン司令官殺害をきっかけに中東の緊張が激化し、軍事的衝突から戦争に発展する危険が続いています。
 総理は衆議院で、我が党の志位委員長から、米国による国連憲章に違反した無法な先制攻撃を是とするのか非とするのかと問われましたが、答弁を避けました。
 あからさまな国連憲章違反を批判すらできないとは、対米従属外交極まると言わなければなりません。緊張の激化につながる中東沖への自衛隊派兵はやめるべきです。
 対米外交に関わって二点聞きます。
 第一に、在日米軍駐留経費の問題です。
 トランプ大統領は、十二月三日、シンゾウには、君たちは我々を助けないといけない、我々は多くの金を払っているんだ、君たちは裕福な国なんだろうと伝えたと、米軍駐留経費の負担増を安倍総理に要求したことを明らかにしました。総理、これは事実ですか。一体何を言われ、どう答えたのですか。
 そもそも、日米地位協定は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う全ての経費は、日本国に負担を掛けないで合衆国が負担すると明記しています。にもかかわらず、思いやりなどといって在日米軍駐留経費を負担することは、安保条約、日米地位協定にさえ反するものです。思いやり予算、米軍再編関連経費、SACO経費を合わせた日本が負担する米軍駐留経費の総額は、一九七八年以降の四十三年間で実に十兆円に上り、他の全ての同盟国の負担額の合計を上回っています。極めて異常だと言わなければなりません。
 総理、トランプ大統領からの米軍経費負担の不当な増額要求は、はっきり拒否すべきではありませんか。
 第二は、沖縄での米軍新基地建設の問題です。
 政府は、昨年末、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設について、これまでの計画を見直し、完成までの期間を約十二年、総工費を約九千三百億円とする試算を示しました。辺野古東側にある大浦湾の埋立予定海域に超軟弱地盤が広がり、当初の計画になかった大規模な地盤改良工事が必要になったためです。工期も費用も大幅に膨張することになりますが、これで済む保証は全くありません。
 地盤改良のための設計変更には、玉城デニー沖縄県知事の承認が必要ですが、知事は絶対に基地を造らせないと明言しています。総理、やみくもに土砂を投入しても、新基地を完成させる展望などないのではありませんか。
 沖縄県民の圧倒的な民意を踏みにじり、新基地建設を強行することは、政治的にも技術的にも完全に行き詰まっています。
 政府は、普天間基地の一日も早い返還という口実で新基地建設を強行してきましたが、日米両政府が一九九六年に普天間基地の返還を合意して既に四半世紀になります。返還が実現しないのは、代替の基地をあくまで沖縄県内に求め、普天間と辺野古をリンクさせてきたからにほかなりません。今度の見直しで普天間返還は更に大幅にずれ込みます。世界一危険と言われる基地をいつまで県民に押し付けるのですか。総理、普天間基地は即時閉鎖、撤去し、辺野古基地建設は断念すべきです。答弁を求めます。
 次に、対中外交に関わる二つの問題について聞きます。
 一つは、東シナ海における中国の覇権主義的な行動がエスカレートしている問題です。
 二〇一九年の一年間で、中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵犯を含む接続水域への入域は、延べ一千九十七隻を超え、前年の一・八倍、過去最多に達しました。二〇一八年に日中両国関係について正常な発展の軌道に戻すことができたと喧伝しながら、その翌年の二〇一九年に領海侵犯などを激増させ、常態化させることは、極めて不誠実な態度と言わなければなりません。
 中国側にどんな言い分があろうとも、日本が実効支配している地域に対して、力によって現状変更を迫る行動を常態化させ、実効支配を弱め、自国領と認めさせようという行動は、国連憲章などが義務付けた紛争の平和的解決の諸原則に反する覇権主義的な行動だと言わなければなりません。日本共産党は、中国のこうした行動に強く抗議し、その是正を求めるものであります。
 いま一つは、香港における人権侵害の深刻化です。
 自由と民主主義を求める香港市民の活動に対する香港警察による弾圧が強まる下で、日本共産党は、昨年十一月、弾圧の即時中止を求める声明を発表し、中国政府に伝達しました。
 この問題について、香港警察の暴力もひどいが、デモ参加者の暴力もひどい、どっちもどっちだという議論がありますが、我が党はそうした立場には立ちません。
 我が党も、デモ参加者が暴力を自制し、平和的な方法で意思を表明することが大切だと主張してきました。同時に、殺傷性の高い銃器を使用した香港警察の弾圧はそれとは次元を異にするものであり、事態の推移と事実に照らすなら、深刻な事態を招いた責任が香港政府及び中国政府の側にあることは明瞭であります。特に、弾圧が中国の最高指導部の承認と指示の下に行われていることは、極めて重大と言わなければなりません。
 中国は、この問題についての国際的な批判を内政干渉として一顧だにしない姿勢を取っています。しかし、今日の世界においては、様々な国際的な人権保障の基準が作られ、人権を擁護し発展させることは国際的な課題となっています。
 そこで、聞きます。
 総理は、昨年十二月に訪中し、習近平国家主席、李克強国務院総理とそれぞれ首脳会談を行いました。その際、尖閣と香港の二つの問題について、先方にどのような意見を述べたのですか。外務省の会談概要を見ると、総理は、ただ憂慮すると述べただけで、抗議の表明も是正や中止を求めることもしていません。重大な領海侵犯、重大な人権侵害が行われているのに、抗議一つしない情けない外交でいいのですか。しかとお答えください。
 最後に、地球規模の気候変動について聞きます。
 猛威を振るう風水害、熱波、多発する山火事など、国連のグテーレス事務総長が気候危機と表明しているように、一刻も早い対応が迫られる状況に人類は直面しています。
 ところが、昨年十二月のCOP25で、日本政府は、地球温暖化対策に前向きと言えない国に対してNGOが贈る化石賞を二度も受賞するという不名誉な事態となりました。
 そこで、聞きます。
 第一に、グテーレス事務総長が石炭火力発電所について二〇二〇年以降の新規建設中止を訴えるなど、石炭火力からの脱却は世界の流れとなっています。ところが、日本は国内で建設中、計画中の石炭火力が二十二か所もあります。向こう三十年ないし四十年も二酸化炭素を出し続ける施設を新たに多数造ろうというのです。
 国連環境計画は、日本に、石炭火力発電所の建設をやめ、既存の火力発電所を停止する日程表を作るよう勧告しています。
 総理は、こうした訴えや勧告に正面から向き合う考えはないのですか。石炭火力の建設中止を決断しないのですか。お答えください。
 安倍政権が石炭火力発電所の輸出を成長戦略と位置付けて推進していることも世界で大問題となっています。地球環境を壊し、世界の持続可能な発展を阻害する、そんな成長戦略などあり得ません。石炭火力の輸出は中止すべきではありませんか。
 第二に、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするための戦略を今年中にまとめるとしている国は七十五か国に上ります。ところが、日本は二〇五〇年度までに八〇%削減のままとなっています。これでは環境後進国と言われても仕方ありません。
 総理、国連の要請に応え、二〇五〇年までに実質ゼロを目指す、その実現のために二〇三〇年の削減目標を引き上げる、こうしたゼロ戦略の立案に直ちに取り組むべきではありませんか。答弁を求めます。
 世界の流れに立ち、国民に希望が湧いてくる新しい政治を市民と野党の共闘で切り開く決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 山下芳生

speaker_id: 9284

日付: 2020-01-24

院: 参議院

会議名: 本会議