安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えをいたします。
 大塚議員からは多岐にわたり相当多数の御質問をいただきましたが、答弁漏れのないように丁寧に答弁させていただきたいと思いますが、少しお時間をいただくことになると思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けた対策についてお尋ねがありました。
 まず、今般の中国武漢市における新型コロナウイルスに関連した感染症については、一月二十三日の時点で中国において五百七十一名の患者が確認されており、そのうち十七名が亡くなっているほか、日本のほかにタイ、韓国、台湾、アメリカでも武漢市に滞在歴のある患者が確認されていると承知しております。我が国においては、本日、新たに中国からの旅行者一名が当該感染症の患者であることが確認されました。
 このような状況の中で、まずは一月二十一日に関係閣僚会議を開催し、私から、検疫における水際対策の一層の徹底、感染症の発生状況等の情報収集の徹底、国民に対する迅速かつ的確な情報提供などについて指示を出しました。
 その後、中国において患者が更に拡大していることを踏まえ、昨日には、武漢市に対する感染症危険情報レベルを二に引き上げ、不要不急の渡航はやめるよう促すとともに、中国からの全ての航空便において機内アナウンスによる呼びかけや健康カードの配布を行うよう各航空会社に要請すること、全国で患者の検査を可能とする体制を整備することなど、検疫における水際対策や国内における検査体制の更なる強化を図ることとしました。
 また、昨日から本日にかけて、世界保健機構、WHOは、今般の新型コロナウイルスに関して緊急委員会を開催し、現状について、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言する状況にはないが、人から人への感染症は認められると発表しました。また、中国以外の国に対し、感染の拡大を防止するため、積極的なサーベイランス等が重要である旨の助言を行いました。
 本日、このような発表を受け、改めて関係閣僚会議を開催し、水際対策の一層の徹底、サーベイランス強化のための検査体制の整備、日本人渡航者、滞在者の安全確保など、万全の対応を講じるよう指示を行ったところです。
 引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けて、全力を挙げてまいります。
 若手研究者への資金配分の重点化についてお尋ねがありました。
 科学技術立国日本の未来は、これからの若い力に懸かっていると言っても過言ではありません。そうした観点から、政府として、昨日、若手研究者に対する新しい支援パッケージを決定し、産業界やアカデミアと一体となって若手研究者の支援を強化していきます。
 予算規模は、それぞれの年度における予算編成の中で決まるものであるため、現時点で一概に申し上げることはできませんが、二〇二五年度までに若手研究者向けの安定的なポストを五千人分以上増やします。博士を目指す全ての学生が生活面での心配をすることなく研究に打ち込めるよう、多様な財源を活用し、奨学金などの支援も大幅に拡充していきます。さらに、若手研究者を煩雑なペーパーワークから解放し、最長十年間、腰を据えて自由な発想で挑戦的な研究に取り組める新しい研究制度も創設します。
 科学技術関係予算をこうした形で若手研究者に重点的に配分していくことで、若い皆さんが将来に夢や希望を持って研究の道に飛び込むことができる環境づくりを進めてまいります。
 5Gについてお尋ねがありました。
 イノベーションをめぐる国際競争が激しさを増す中で、5G分野では、これまで研究開発においても、またインフラ整備の面でも、米国や中国などにおける積極的な投資が先行する形となったことは事実です。
 しかし、5Gがもたらす変革は経済のみにとどまらず、安全保障を始め社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼすとの認識の下、今後、国家戦略として取り組んでいく考えです。
 5G、ポスト5G、更にその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により研究開発とインフラ整備への大胆な投資を促し、イノベーションを力強く後押ししてまいります。安全で安心なインフラがこれからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、競争力強化に戦略的に取り組んでいく決意であります。
 量子技術についてお尋ねがありました。
 我が国は、これまで、量子コンピューターの要素技術や基礎理論を生み出してきましたが、その事業化に向けてイノベーションの更なる加速、民間資金も活用した研究開発投資の拡大といった面で対応が必ずしも十分でなかったと考えます。しかし、量子技術は、次世代暗号などの基盤であり、産業や安全保障上の重要技術であることから、今後、国家戦略として取り組んでいく考えです。
 トップクラスの研究者や民間企業を国内外から集め、事業化までを視野に入れた一大研究拠点を国内に整備していきます。オープンな環境の下でイノベーションを加速するとともに、民間も含めた投資を大きく拡充することで、量子技術分野での世界トップを目指してまいります。
 カーボンナノチューブについてお尋ねがありました。
 御指摘のあった半導体材料などへの活用が注目されているのは、いわゆる単層のカーボンナノチューブでありますが、これについては、均質にチューブを並べる極めて高い製造技術が求められ、五年前、日本企業が世界で初めて量産に成功いたしました。そして、今なお、中国や米国は量産に成功していないと承知しています。
 このカーボンナノチューブについては、鋼の二十倍という強度を持ちながら極めて優れた電気や熱の伝導性を持つことから、航空機のエンジン部材、スーパーコンピューターの放熱材など、高付加価値素材として活用が広がりつつあります。今後、御指摘の半導体材料も含め、更なる用途拡大を支援することで、素材分野における日本の競争力強化につなげていく考えであります。
 科学技術基本法の改正と日本を取り巻く研究環境についてお尋ねがありました。
 AIやIoTなどのイノベーションは、加速度的な進歩を遂げると同時に、経済社会の全体にわたって革新的な変化をもたらします。そうした意味で、科学技術の発展は、今や法律や倫理など社会との関係が密接不可分となっています。そのため、イノベーションの創出のほか、人文科学を振興対象に加えることなどを内容とする科学技術基本法改正案について、今国会への提出を検討しています。
 日本を取り巻く研究環境については、御指摘のとおり、基礎研究力の相対的な地位の低下が懸念されています。だからこそ、先ほども申し上げたとおり、次の世代を担う若い皆さんが将来に夢や希望を持って研究の道に飛び込むことができる環境づくりを進めていくことが重要であると考えます。
 とりわけ、グローバル化が進む時代にあって、海外で研さんをする機会を大胆に充実していくほか、世界中から優秀な人材を集めるため、産業界とアカデミアの連携を強化する中で、これまでのしがらみにとらわれることなく、世界水準の待遇を得られるようにするなどの取組を進めてまいります。
 全世代型社会保障制度改革の内容についてお尋ねがありました。
 全世代型社会保障は、人生百年時代の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて、年金、医療、介護、社会保障全般にわたる改革を進めるものです。したがって、各分野がばらばらではなく全体が一体となって全ての世代が安心できる改革となるものです。
 以下、具体的に申し述べます。
 年金については、多様な就労に対応し、高齢期の経済基盤の充実を図ることができるための環境整備を進めるため、厚生年金の適用について従業員五十人を超える企業までの段階的拡大、年金受給開始時期の上限の七十五歳への引上げ、在職老齢年金の見直し等を行ってまいります。
 雇用に関しては、働く意欲のある高齢者が年齢にかかわらず働くことができる環境を整えるために七十歳までの就業機会の確保を図り、労働施策総合推進法を拡大して大企業に中途採用・経験者採用比率の開示を求め、多様で柔軟な働き方が可能となるような見直しを行い、兼業や副業で働く方についてはセーフティーネットを構築するための法制化を進めます。
 さらに、介護については、地域共生社会の実現に向けて、制度の持続可能性を確保しながら、介護予防、健康づくりの推進、地域の実情に応じた介護基盤の整備、介護人材の確保等を柱として改革を進めてまいります。
 なお、医療については、全世代型社会保障検討会議の中間報告に示された方向性に基づき、七十五歳以上の高齢者であっても一定所得以上の方について新たに窓口負担割合を二割とすることや、かかりつけ医機能の強化等を図るため、大病院の受診に定額負担を求める仕組みの拡大について具体的な検討を進め、夏までに成案を取りまとめてまいります。
 高齢者の医療費の窓口負担と介護離職についてお尋ねがありました。
 高齢者医療で新たに二割負担の対象となる方の基準については、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて具体的な所得基準等について検討を行ってまいります。
 現役並み所得の基準については、新経済・財政再生計画改革工程表に沿って、現役との均衡の観点から検討を行ってまいります。
 また、介護離職については、政府としてこれをゼロにするという目標を掲げ、二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受皿の整備、介護職員の処遇改善を含む介護人材確保対策、仕事と介護の両立支援などを総合的に進めているところです。
 介護休業については、平成二十八年に、三回まで分割して取得可能とするとともに、介護のための所定労働時間の短縮措置を設けるなどの見直しをしたほか、来年から介護休暇を時間単位で取得可能とするなど、多様なメニューを柔軟に利用できるようにし、周知啓発に取り組んでいるところです。
 厚生年金の適用拡大についてお尋ねがありました。
 パートの皆さんへの厚生年金の適用については、今回の改正において、中小企業への生産性向上支援、社会保険手続の負担軽減を行いながら、従業員五十人を超える中小企業まで段階的に拡大をすることとしております。
 今回は、中小企業の負担に配慮し、段階的に適用範囲を拡大していくこととしたものであり、まずは五十人超の中小企業までの適用拡大を進めてまいります。
 子育て世代包括支援センターについてお尋ねがありました。
 子育て世代包括支援センターは、全ての妊産婦、乳幼児等を対象として、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供するものであり、来年春までに全ての市町村に設置することとしています。
 このため、令和二年度予算案において、センターの体制整備のために必要な運営費の補助を拡充しているところであり、引き続きその充実を図ってまいります。
 外国人の増加による社会保障制度への影響についてお尋ねがありました。
 外国人に対する我が国の社会保障制度の取扱いについては、日本人に準じて対応してきたところです。昨年の臨時国会でもお答えしたとおり、今後どのような年齢層の方がどれくらいの期間在留するのか等が不明なことから、その影響を定量的にお示しすることは困難です。
 一方、外国人の医療問題など、制度創設時には必ずしも想定されていなかった制度の適用やサービスへのアクセス等の課題に対しては、それぞれの制度において必要に応じて諸外国の状況や対応等も調査し、その結果も踏まえながら必要な対策を講じてきているところです。
 保険証の在り方についてお尋ねがありました。
 来年三月からはマイナンバーカードの健康保険証としての利用を開始いたします。これにより、本人確認の精度が向上し、いわゆる成り済まし受診の防止につながるものと考えております。また、住民票を有する外国人についてはマイナンバーカードの取得が可能となっていることから、その普及により、外国人も含めた医療保険制度の適切な運用が強化されるものと考えています。
 年金制度における日本人と外国人の公平性の考え方についてお尋ねがありました。
 公的年金に上乗せするiDeCoについては、公的年金に加入することができない方で一定の要件を満たす場合に引き出すことができるよう見直しを検討しています。これは、公的年金に加入できないことを要件とするものであり、他の社会保障制度と同様、日本人と外国人で国籍によって差を設けるものではありません。
 税収構造についてお尋ねがありました。
 各税目の税収は、時々の経済社会の変化を踏まえつつ改正を行ってきた結果を反映したものですが、所得税や法人税の税収が減少した背景には、制度改正要因を加え、バブル期以降の資産価格の下落等、経済情勢の要因もあることに留意が必要です。
 消費税については、急速な高齢化等を背景に社会保障給付費が大きく増加する中で、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置付けています。その上で、全世代型社会保障へと転換するための安定財源として税率一〇%への引上げを行ったところです。
 少子高齢社会における国の財源調達においては、所得税、法人税、消費税のいわゆる基幹三税の中でも、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、働く世代など特定の層に負担が集中することなく、経済活動に中立的等の特徴を有する消費税の役割が一層重要になっていることは確かですが、いずれにせよ、今後の税制の在り方については、公平、中立、簡素の三原則を踏まえつつ、不断の検討を行ってまいります。
 景気や賃金の現状認識についてお尋ねがありました。
 我が国経済は、七年間にわたるアベノミクスの取組の結果、力強い成長を続けてきました。賃上げについても、連合の調査によれば、六年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現しており、雇用の大幅な増加と相まって、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は名目でも実質でも増加が続くなど、雇用・所得環境は着実に改善しています。こうした状況を反映し、現状においても、海外経済の減速等を背景に外需が弱いものの、内需を中心に緩やかに回復していると認識しています。
 その上で、事業規模二十六兆円の総合経済対策により、相次いだ災害からの復旧復興や海外発の下方リスクに対し万全の対応を行うことで、民需主導の力強い成長を果たすとともに、より幅広く賃上げの波が行き渡るよう全力を尽くしてまいります。
 消費税率引上げの影響についてお尋ねがありました。
 消費税率引上げ前の駆け込み需要やその後の落ち込みは、十月には台風の影響も見られるものの、現時点では全体として前回ほどではないと見られます。引き続き、引上げによる影響に十分注意してまいります。
 軽減税率制度による申告事務の負担についてお尋ねがありました。
 多くの事業者の方が軽減税率制度が実施されて初めての確定申告を迎える中、事業者の方が戸惑うことなく申告を行うことができるよう、税率ごとの区分経理の方法や申告への対応に重点を置いた説明会の開催などを実施しているところです。
 今後とも、税理士の方や事業者の方の実務現場の状況をきめ細やかに把握をし、現場に寄り添った丁寧な対応を行ってまいります。
 自由貿易の旗手や二十一世紀の経済秩序の意味、我が国にとって貿易と内需が持つ意味と展開についてお尋ねがございましたので、丁寧に分かりやすく説明をさせていただきたいと思います。
 我が国経済の大宗を占めるのは内需であり、とりわけ消費や投資など民需主導の経済成長を実現することが重要であることは、これは言うまでもありません。同時に、国内において急速に少子高齢化が進む中で、貿易を通じて海外の需要をしっかりと取り込んでいくことも、我が国経済の持続的な成長のために欠かせないものであると考えています。
 そのため、世界で保護主義への懸念が高まる中で、我が国は自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を一貫して主張してまいりました。そして、TPP11、欧州とのEPA、日米貿易協定の成立を主導し、三つを合わせれば世界経済の六割に及ぶ自由貿易圏の中心にあって、日本は自由貿易の旗手として取り組んできたと考えております。
 その際、成長著しい新興国などとの競争環境を確保する観点からも、知的財産の保護、環境・労働規制、国有企業の規律など、幅広い分野にわたる公正なルールの整備を重視してまいりました。これらは、いずれも関税の引下げが中心であったかつての自由貿易協定には含まれなかったようなルールであり、まさに二十一世紀型の経済秩序であると考えております。
 日米貿易協定についてお尋ねがありました。
 自動車、自動車部品については、既に日米貿易協定において、単なる交渉の継続ではなく、更なる交渉による関税撤廃を明記しています。今後、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等について交渉を行うこととなります。
 また、昨年九月の日米共同声明には、協定が確実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないとの記載があります。この意味については、日米首脳会談において、日本の自動車、自動車部品に対して二三二条に基づく追加関税は課されないという趣旨であることを、私から直接トランプ大統領に確認しております。
 習近平国家主席の来日についてお尋ねがありました。
 日本と中国は、地域や世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。日中両国がこうした責任を果たしていくことが、現在のアジアの状況において、そして国際社会からも強く求められています。習近平国家主席の国賓訪問を、その責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確にしていく機会としたいと考えています。
 同時に、中国との間には、御指摘のものも含め様々な懸案が存在をしています。こうした懸案については、これまでも私から首脳会談の際に中国側に累次にわたり提起してきています。引き続き、主張すべきはしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていきます。
 デジタル人民元についてお尋ねがありました。
 デジタル人民元については、現時点では中国国内の決済用として発行を計画しているものと承知しており、日本において、信用と利便性の高い円に代わる決済手段として直ちに広く普及するとは考えておりません。
 なお、このようなデジタル通貨については、金融技術革新による決済の効率化等の潜在的なメリットがあり得る一方、マネーロンダリング等のリスクについて、発行前に適切に対処される必要があることを、昨年、麻生財務大臣のリーダーシップの下、中国を含むG20として合意したところです。
 今後、我が国として、国際的な議論の動向も踏まえ、日本銀行とも緊密に連携しながら、デジタル通貨について調査研究を進めるとともに、引き続き、日本円の信用の維持、決済の利便性の向上に取り組んでまいります。
 北方領土問題についてお尋ねがありました。
 北方領土は我が国が主権を有する島々です。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが日本側の一貫した立場です。この立場に全く揺らぎはありません。
 その上で、交渉がうまくいくかは、静かに交渉できるかに懸かっています。表現は異なりますが、北方領土が置かれた状況についての法的評価は一貫しています。
 一九五六年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させ、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、引き続き粘り強く交渉を進めていきます。
 北朝鮮のミサイル問題に対する米国の立場についてお尋ねがありました。
 北朝鮮による弾道ミサイルの発射が安保理決議違反であることは明白であり、こうした立場について、例えば昨年のG7の際に行った日米首脳会談で、私から北朝鮮の短距離弾道ミサイルの発射は安保理決議違反であり極めて遺憾である旨述べ、トランプ大統領から完全に理解する旨の発言があるなど、米国との間で累次の機会に確認をしてきているところです。先月の国連安保理の公開会合においても、米国から、北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、その射程にかかわらず、地域の安全と安定を損ね、安保理決議の明白な違反であるとの立場を明確に表明しています。
 日韓関係についてお尋ねがありました。
 韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する重要な隣国です。昨年十二月の日韓首脳会談では、目下の日韓関係の最大の課題である旧朝鮮半島出身労働者問題につき、韓国側で解決策を示すよう強く求めました。韓国側には、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを切に期待します。
 なお、韓国を仕向地とするレジストについて、輸出を留保しているという事実はありません。昨年七月四日以降、個別の輸出許可申請を求めることとしていますが、安全保障上懸念のない民間取引であれば輸出を許可しています。我が国として、引き続き、国際レジームの下で厳格に輸出管理の運用に努めてまいります。
 自衛隊の中東派遣についてお尋ねがありました。
 エネルギー資源の多くを中東に依存する我が国としては、地域における緊張の高まりを深く憂慮しています。中東地域における日本関係船舶の安全の確保のため、我が国独自の取組として、更なる外交努力、航行安全対策の徹底と併せて、自衛隊による情報収集態勢の強化を実施します。
 この自衛隊による情報収集活動は、防衛省設置法の調査研究の規定に基づき実施するものであり、また、不測の事態の発生など状況が変化する場合の対応として、自衛隊による更なる措置が必要と認められる場合には、自衛隊法の規定に基づき海上警備行動を発令して対応することとなります。
 これらの活動において自衛隊がとる措置は、国内法上及び国際法上許容されるものとして実施する必要があります。特に、日本関係船舶の防護のための措置は、国際法上の旗国主義の原則を踏まえ対処することが基本となります。
 なお、この旗国主義を踏まえた対応は国内法で変更できるものではありません。
 その上で、自衛隊員の使命は国民のリスクを下げることであり、このため自衛隊員の任務は常にリスクを伴うものですが、今般の活動においても、きめ細やかな準備や安全確保対策により、対応に万全を尽くしてまいります。
 独立財政機関についてお尋ねがありました。
 院内における機関の設置については、国会において御議論をいただくべき事柄であり、政府としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
 その上で、政府としては、経済財政諮問会議において、専門的、中立的な知見を有する学識経験者なども参画する下で、経済財政運営について議論を行っています。
 御指摘の経済や財政の見通しについては、内閣府において、経済財政諮問会議の議論を踏まえた上で、過去の実績や足下の経済状況に基づく現実的な想定の下で作成しているところです。
 人口減少時代に対応した市街地開発、宅地造成をめぐる規制等についてお尋ねがありました。
 地方においては、人口の増加に伴い市街地が郊外へ拡散してきましたが、今後は、人口減少により拡散した市街地で居住の低密度化が進み、生活・行政サービスの維持が困難になる可能性があります。
 このような状況を踏まえ、経済や生活に必要な機能をコンパクトに集約し、公共交通等のネットワークで結ぶコンパクトシティーを促進しております。現在、病院や店舗などの日常生活を支える施設を中心部に誘導するとともに、災害ハザードエリアにおける開発規制を強化するため、所要の法改正の準備を進めているところであり、より安全でコンパクトな町づくりを加速させてまいります。
 世界レベルのホテルについてお尋ねがありました。
 外国人観光客が急増する中で、観光客の長期滞在が見込まれ、地域経済への波及が大きいと考えられる世界レベルの宿泊施設の整備の促進は、二〇三〇年の訪日外国人旅行者数六千万人、訪日外国人旅行消費額十五兆円の実現を図る上で重要な課題だと考えております。
 世界に冠たる、世界レベルのホテルについては、外国人観光客に対して大きな魅力を有し、世界各国から地域に観光客を呼び込める高い品質を備えた宿泊施設を念頭に置いたものであります。整備を目指す施設数を五十程度としているのは、現在、国内における整備計画、構想の状況等を勘案したものです。また、今回の支援策は、内資、外資を問わず民間事業者を対象とするものであります。
 FMS調達と防衛装備の自主開発についてお尋ねがありました。
 厳しい安全保障環境を受け、高性能な装備品について早期導入が求められる傾向にあり、結果としてFMS調達が増加していますが、これは、我が国を守るために必要不可欠な装備品の中にはFMSでしか調達することができないものがあるためであります。
 一方で、国産装備品についても、我が国の防衛に必要な能力を満たした装備品を調達しており、今中期防においても国産装備品の整備を計画しています。引き続き、必要な国産装備品について着実に調達を進めていく考えであります。
 さらに、今後必要となる優れた装備品を我が国の防衛産業がしっかりと開発することができるよう、重要技術に重点的に投資を行うとともに、国内防衛産業の競争力の強化を進めてまいります。
 政権の体質についてお尋ねがありました。
 施政方針演説には、本年度予算に盛り込んだ政策など、本年一年間で実施する主要政策を盛り込んでいます。国会審議において、御指摘のようなテーマに議論が集中し、大切な審議時間が政策論争以外に多く割かれてしまっている状況については、国民の皆様、納税者の皆様に大変申し訳なく思っております。
 大塚議員御指摘のテーマに関しては、同じ会派の枝野代表や福山議員から既に御質問をいただいており、丁寧にお答えをさせていただいてまいりましたが、今後とも、国会における御指摘には当然誠実に対応させていただく所存であります。
 IR整備法等廃止法案についてお尋ねがありました。
 法律案の取扱いについては、国会においてお決めになるべき事柄と承知しておりますが、IRは、カジノだけではなく、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として観光先進国の実現を後押しするものと考えています。
 もとより、IRの推進に当たっては国民的な理解が大変重要であり、事業者選定の公平性、透明性の確保等についても、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に進めてまいりたいと考えております。
 公文書管理についてお尋ねがありました。
 政府としては、平成三十年七月に公文書管理の適正化に係る総合的な施策を決定し、決定した全ての施策について、これまで着実に実行に移しているところです。
 他方、今般発覚した行政文書の保管や廃棄における不適切な取扱いも踏まえ、独立公文書管理監を中心とした各府省におけるチェックの強化など、政府を挙げて公文書管理監の更なる徹底方策について検討していく予定です。
 なお、野党が提出されている法案の取扱いについては、国会において御議論いただくべきものと考えております。
 大塚議員からは、七年間の自公連立政権の成果として、日本が世界の真ん中で輝く国となったと評価いただいたことに対して御礼を申し上げ、更に全力を尽くしていくことをお誓い申し上げる次第であります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 120115254X00320200124_014

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2020-01-24

院: 参議院

会議名: 本会議