安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野上浩太郎議員にお答えをいたします。
国民の不安への寄り添いについてお尋ねがありました。
国民の声に耳を傾け、新たな政策に反映していくことは政治の原点であり、全ての政策に地域の声をとの信念の下、所属全議員の力を結集した参議院自民党の活動に敬意を表します。
政府が最大の政策課題と位置付ける全世代型社会保障の検討に当たっても、検討会議の場において、若者、女性、医療、中小企業、労働など、幅広い関係者からお話を伺いました。また、私自身も、一般の方々との車座に参加し、高校生から七十代の高齢者の方まで、様々なバックグラウンドをお持ちの方からお話を伺いました。
全世代型社会保障への改革を完遂していくためには、常に国民の不安に寄り添っていくことが重要と考えます。今後とも、社会保障を始め様々な政策の企画立案に際し、地方や現場の声にしっかりと耳を傾けてまいります。
新型肺炎の感染拡大の防止に向けた対策についてお尋ねがありました。
まず、今般の中国武漢市における新型コロナウイルスに関連した感染症については、現在、患者数が増加しております。我が国においては、本日、新たに中国からの旅行者一名が当該感染症の患者であることが確認されました。
これを受け、まずは一月二十一日に関係閣僚会議を開催し、私から、検疫における水際対策の一層の徹底、感染症の発生状況等の情報収集の徹底、国民に対する迅速かつ的確な情報提供などについて指示を出しました。
その後、中国において患者が更に拡大していることを踏まえ、昨日には、武漢市に対する感染症危険情報レベルを二に引き上げ、不要不急の渡航はやめるよう促すとともに、中国からの全ての航空便において、機内アナウンスによる呼びかけや健康カードの配布を行うよう各航空会社に要請すること、全国で患者の検査を可能とする体制を整備することなど、検疫における水際対策や国内における検査体制の更なる強化を図ることといたしました。
また、昨日から本日にかけてWHOは今般の新型コロナウイルスに関して緊急委員会を開催し、現状について、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言する状況にはないが、人から人への感染は認められると発表しました。また、中国以外の国に対し、感染の拡大を防止するため、積極的なサーベイランス等が重要である旨の助言を行いました。
本日、このような発表を受けて改めて関係閣僚会議を開催し、水際対策の一層の徹底、サーベイランス強化のための検査体制の整備、日本人渡航者、滞在者の安全確保など、万全の対策を講じるよう指示を行ったところです。
引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に向けて全力を挙げてまいります。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてお尋ねがありました。
世界の注目が集まるオリンピック・パラリンピックの開催は、日本文化や全国の地域の魅力を世界にアピールし、地方創生、地域活性化等につなげる絶好の機会です。
このため、私もかねてより親交のあった津川雅彦氏が提唱された日本人と自然を総合テーマとする日本博では、本年三月、東京で開催されるオープニングセレモニーを皮切りに、全国各地で、アイヌの伝統音楽や食文化、琉球舞踊など、我が国が誇る縄文時代から現代まで続く日本の美に触れていただく機会を本格的に設け、地域文化の活性化に取り組んでまいります。
また、国の文化財の積極的な活用を始め地域の文化資源を生かした文化観光を強力に推進してまいります。
そして、東京大会では、参加国・地域と自治体との相互交流を図るホストタウンの取組等を通じて、開催地のみならず、地域性豊かな日本各地の魅力を世界に発信し、地方創生、地域活性化につなげてまいります。
政府としては、地方の強みや魅力を最大限に引き出すため、今後とも、地方の皆様の情熱、独自の創意工夫を後押ししてまいります。
オリンピック・パラリンピックにおける和食文化の発信や輸出促進についてお尋ねがありました。
本年のオリンピック・パラリンピックは、和食や我が国の高品質な食材を提供し、世界にアピールする絶好の機会です。
選手村では、各地の地域特産物を活用した食事を提供します。特に、被災三県産の食材については全大会期間を通じてメニューに取り入れることとしています。オリンピック・パラリンピック史上初となる産地表示を併せて行うことで、風評被害払拭に向けた大きなメッセージになるとともに、日本の豊かな食の発信にもつながるものと考えています。
外国人観光客に対しては、単に食事として日本食を楽しんでもらうだけではなく、日本の自然や歴史など、食と異分野を組み合わせた体験を提供することで日本食への関心を高めることとしています。また、飛行機内、空港内、ホテル内などあらゆる機会を活用して和食文化や日本産食材の魅力を発信し、帰国後の購買行動につなげていきます。
農林水産物の輸出は六年連続で過去最高を更新しました。オリンピック・パラリンピックを起爆剤として、更なる輸出拡大に向け、政府一丸となって取り組んでいきます。
イノベーションをめぐる国際競争が激しさを増す中で、5G分野では、これまで研究開発においても、またインフラ整備の面でも、米国や中国などにおける積極的な投資が先行する形となったことは事実です。
しかし、5Gがもたらす変革は経済のみにとどまらず、安全保障を始め社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼすとの認識の下、今後、国家戦略として取り組んでいく考えです。
5G、ポスト5G、さらにその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により研究開発とインフラ整備への大胆な投資を促し、イノベーションを力強く後押ししてまいります。安全で安心なインフラがこれからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、競争力強化に戦略的に取り組んでいく決意であります。
野上議員御指摘のとおり、5Gは、自動運転や遠隔医療などを可能とすることを通じて、人手不足や高齢化など地域が直面する社会課題の解決に大きく寄与するものです。まさに地方創生の切り札であり、速やかに全国展開を進めることが重要です。
そうした観点から、今般、周波数割当てに当たっても、地方も含めたサービス展開が行われるよう条件を付したところです。また、農業、工場、建設現場などで活用実績を積み上げ、その横展開を図ることで早期の普及を図ってまいります。
中小・小規模事業者における働き方改革についてお尋ねがありました。
働き方改革は現場に大きな影響をもたらすことから、その定着に向けては、野上議員御指摘のとおり、中小・小規模事業者の皆さんの現場の声にしっかりと耳を傾けながらきめ細やかな支援を行っていく必要があると考えます。
まず、四十七都道府県に設置した働き方改革推進支援センターや全国各地の労働局を中心に、事業者の皆さんからの相談に対応する体制を整えるとともに、良い取組事例について情報提供などを積極的に行ってまいります。
生産性の向上も極めて重要です。三千億円を上回るものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金で力強く応援していきます。商工会、商工会議所のお力も借りて、幅広い周知徹底を図りながら、全国津々浦々に至るまでその積極的な活用を促してまいります。
同時に、社会保険手続の電子化によって、中小・小規模事業者の皆さんの手続負担の軽減にも取り組みます。
大企業の残業削減のしわ寄せが下請事業者の皆さんの働き方改革を妨げるようなことはあってはなりません。関係省庁が連携し、労基署などに寄せられたしわ寄せ事案の情報を共有するなどを通じて、監視、取締りを強化し、関係法令の遵守を大企業に徹底します。
野上議員にも官房副長官時代御尽力をいただいた官邸の対策会議の枠組みを活用しながら、省庁の縦割りを打破し、現場主義を徹底することにより、中小・小規模事業者の皆さんが働き方改革に前向きに取り組んでいけるよう、全力で取り組んでまいります。
国土強靱化の中長期的な取組についてお尋ねがありました。
近年の災害の激甚化を考慮すると、国土強靱化を中長期的観点から進めるべきという御指摘は、まさにそのとおりであります。このため、一昨年末に、近年の災害から得られた教訓や社会経済情勢の変化等を踏まえ、国土強靱化基本計画を見直し、インフラ老朽化対策を含め中長期的な目標や施策分野ごとのハード、ソフトにわたる推進方針を明らかにしたところであります。今後とも、必要に応じて国土強靱化基本計画を充実させながら、オールジャパンで防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強いふるさとをつくり上げてまいります。
整備新幹線の早期整備に関しお尋ねがありました。
新幹線ネットワークの整備は、地域相互の交流を促進し、観光振興や企業立地など地方創生に重要な役割を果たすものであるとともに、災害時における代替輸送ルートの確保など、国土強靱化の観点からも重要な意義を有します。このため、利便性の高い新幹線ネットワークを早期に構築していくことにより、その効果を最大限発揮させていくことが必要であります。
整備新幹線については、平成二十七年一月の政府・与党申合せにおける完成・開業目標時期に合わせ、現在整備中の三区間を確実に開業させるよう財源を確保し、着実に工事を進めるとともに、北陸新幹線敦賀―新大阪間についても、環境影響評価を着実に実施し、財源の確保を行うことで整備計画路線の確実な整備にめどを立ててまいります。
新幹線の全国ネットワークを構築し、災害に強い国づくり、国土強靱化を進めてまいります。
中東外交についてお尋ねがありました。
我が国は、米国と同盟関係にあり、同時にイランと長年にわたり友好関係を維持するなど、中東各国と良好な関係を築いています。
イランとの間では、中東地域の緊迫の度が高まったことを受け、外交ルートを通じ、イランに対し抑制的な対応を働きかけました。
米国との間では、事態の更なるエスカレーションは回避しなければならない、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向け外交努力を尽くしていくことが重要であるとの点を含め、真剣な協議を行いました。
先般の中東訪問でも、サウジアラビア、UAE及びオマーン各国の首脳との間で、全ての関係者が自制的に対応し、あらゆる外交努力を尽くすべきとの点で完全に一致しました。
今後とも、トランプ大統領やローハニ大統領を始め、中東諸国の首脳との個人的な信頼関係を活用しつつ、中東における緊張緩和及び情勢の安定化に向け、粘り強い平和外交を展開してまいります。
ロシアとの関係についてお尋ねがありました。
北方四島においては、過去一年の間に、長門合意に基づき、かつてない日ロの協力が実現しています。具体的には、共同経済活動について、昨年初めて北方四島への観光パイロットツアーを始めとするパイロットプロジェクトを実施しました。航空機による元島民の方々のお墓参りについても、昨年は、泊、留別、ポンヤリといった、これまで何年も訪問できなかった場所に訪れることができました。
野上議員御指摘のとおり、静かな環境の中で交渉を進めていくことが重要であり、一九五六年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させ、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、引き続き粘り強く交渉を進めてまいります。
同時に、日ロ関係を発展させていくことは地域の安定と繁栄にとっても重要であり、先般、ロシアで新内閣が発足したことも踏まえつつ、八項目の協力プランや日ロ地域交流年も活用しながら、政治、経済、文化を始め幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展させてまいります。
いずれにせよ、プーチン大統領とは、領土問題を次の世代に先送りすることなく、自らの手で必ずや終止符を打つとの強い意思を共有しており、私と大統領の手でこれを成し遂げる決意であります。
地方の在り方についてお尋ねがありました。
我が国は、今後、急速な少子高齢化、深刻な人口減少により、二〇四〇年頃には六十五歳以上の人口がピークを迎えるなど、歴史上経験したことのない事態に直面することになります。
都道府県は、広域の地方公共団体として、広域事務、連絡調整事務及び補完事務を処理し、住民福祉の増進を図るため相当の機能を担っていますが、今後、行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供する観点から、市町村間の広域連携が困難な地域で補完機能を発揮するなど、都道府県が果たすべき役割の重要性は増していくことになるものと考えています。
現在、地方制度調査会において、都道府県による市町村の補完など、人口減少に対応するために必要な地方行政体制の在り方について調査審議が進められていると承知しており、同調査会において建設的な議論がなされることを期待しています。(拍手)