安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えいたします。
集団免疫と日本の感染症対策の考え方についてお尋ねがありました。
一般に、集団免疫とは、集団内の一定割合以上の者が自然感染やワクチン接種により免疫を保有した状態にあることで、免疫を保有しない者の感染リスクが低下することを指すものと承知しております。
政府として、イギリスの感染症対策について見解を申し上げることは差し控えますが、我が国においては、徹底したクラスター対策による感染の封じ込めや、イベント等の自粛や感染リスクを避けるための国民の皆様の行動変容などを通じて、感染のスピードを極力抑えながら、流行の山を小さくすることを基本方針としています。
これは、治療薬やワクチンの開発や十分な医療提供体制の強化のための必要な準備期間を設け、可能な限り重症者の発生と死亡者数を抑制することを目的とするものであり、集団免疫の獲得を直接の目的としているものではありません。
現在の状況は、爆発的な感染拡大、いわゆるオーバーシュートの発生との関係では、ぎりぎり持ちこたえている状況にあると認識しています。しかし、それゆえに、少しでも気を緩めれば、いつ拡大してもおかしくない、まさに瀬戸際の状況が継続していると考えられます。
新型コロナウイルス感染症患者の急増に備えた医療提供体制についてお尋ねがありました。
感染拡大防止と同時に、国内で患者数が大幅に増えたときに備え、重症者対策を中心として医療提供体制を強化することは喫緊の課題と考えております。
現在、重症者を含む患者の治療のために必要な病床として感染症指定医療機関の病床を最大限動員し、約二万五千床を超える病床を確保しており、このうち約千床が集中治療室となっております。重症者の治療に必要となる人工呼吸器については、現時点で八千個を超える台数を確保している状況です。
また、お尋ねの新型コロナウイルス感染症の患者に対して現在使用されている人工呼吸器、集中治療室の実数まではリアルタイムで把握していませんが、四月一日時点での国内の入院患者のうち、通常はこうした器材による措置を必要とする重症患者の数は六十二人となっています。
加えて、基本的対処方針においては、患者が増加し重症者等に対する入院医療の提供に支障を来すおそれがある場合には、入院治療が必要ない軽症患者等は自宅療養とし、その際、家族構成等から高齢者や基礎疾患を有する者等への感染のおそれがある場合には、地方公共団体は、軽症者が宿泊施設等での療養を行うなど家族内感染のリスクを下げるための取組を講じることとしており、御指摘の五輪施設も含めた活用の可能性が検討されているものと承知しております。
来週取りまとめる緊急対策においては、第一の柱として医療提供体制の整備を掲げることとしており、このような取組や人工呼吸器の確保なども含め、重症者への医療に重点を置く医療提供体制の整備を早急に進めてまいります。
抗体検査についてお尋ねがありました。
抗体検査とは、ウイルス感染後に生体内で産生される抗体を測定する検査方法でありますが、PCR検査と同時に活用することにより、より精度の高い診断を行うことが可能となるなど、検査方法としては有用なものであると考えておりますが、新型コロナウイルスの診断、治療の一環として活用することに伴う一定の課題があるものと承知しております。
この抗体検査の原理を活用した迅速検査キットについてですが、国内ではまだ、日本国内での人に対する有効性が確認されていないため、研究用としての供用が開始されている段階ですが、海外においては、中国、韓国などでは迅速検査キットの一部が既に承認されているものと承知しています。このため、現在は、医療現場で広く使えるための方法を含め、その有用性や使用方法等を専門家と検討を行っているところです。
血清療法についてお尋ねがありました。
血清療法とは、多量の抗体を含む血清を患者に投与することで患者の免疫活性を高める治療法であり、新型コロナウイルス感染症をめぐっては、中国において、回復患者の血漿を重症患者に投与することで効果が得られたとの複数の症例報告が上がっているほか、三月二十四日に米国食品医療薬品局、FDAが重症患者への血清の投与を認める方針を発表し、スペインの医薬品メーカーにおいても、FDAと協働して試験的な治療を行うことを発表した等の状況を承知しています。
現時点において、政府として血清療法の新型コロナウイルス感染症に対する有用性を評価できる段階ではありませんが、現在、一部の国内メーカーにおいても治療薬として血清剤の開発を目指す動きがあると承知しており、政府としては、引き続きこの動向を注視するとともに、メーカーの求めに応じて最大限必要な協力をしたいと考えております。その上で、血清療法の有用性が認められた場合には、実用化に向けた支援をしてまいりたいと考えております。
新型コロナウイルス感染症の治療薬とワクチンの開発の状況等についてお尋ねがありました。
国内での感染拡大が進む中で、政府としては、一日でも早く国民の皆様の不安を解消できるよう、有効な治療薬やワクチンの開発を加速していくこととしております。
治療薬の開発については、治療薬としては、我が国では五つの薬について既に観察研究としての投与を開始しており、例えば、新型インフルエンザの治療薬として承認を受けているアビガンについては、二月下旬から観察研究を実施するとともに、三月三十一日から企業治験を実施しており、今後、希望する国々と協力しながら臨床研究を拡大するとともに、薬の増産をスタートすることとしております。
また、エボラ出血熱の治療薬として開発されていたレムデシビルについても、二月下旬から観察研究を実施するとともに、三月二十三日に日米が中心となった国際共同治験がスタートしており、四月中に企業治験が実施される予定となっております。さらに、急性膵炎の治療薬であるフサンについても、四月一日から観察研究を開始しています。
ワクチンの開発についても、国内で複数の研究開発がスタートしており、また、CEPI等を通じた国際的協力の枠組みに対しても、我が国は既に多くの拠出を行い、支援を継続しているところです。
妊婦に向けた新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねがありました。
感染が拡大する中、不安を抱えている妊婦の方々に寄り添った支援を行うことが重要だと考えています。そのため、政府としては、今月一日に妊婦の方々への支援策として、妊婦が注意すべき点等を記載したリーフレットによる情報発信、妊婦の方々へのマスクの配布、経済団体や労働団体に対する妊娠中の女性労働者等が休みやすい環境整備などへの協力要請等の対策を取りまとめ、可能なものから直ちに実行しているところです。引き続き、政府を挙げて、妊婦の方々の安心、安全の確保に全力を挙げてまいります。
緊急経済対策についてお尋ねがありました。
今般の新型コロナウイルス感染症の経済への甚大な影響に対しては、そのマグニチュードに見合うだけの必要かつ十分な経済対策を実施していく考えであり、様々な御意見も十分に踏まえながら、来週、緊急経済対策を取りまとめます。
感染拡大の防止が最優先となる現状では、まず、この難局を乗り切っていただくことに重点を置いて、徹底的に下支えすることにより、雇用、家計、事業をしっかり守り抜いていく考えです。
甚大な影響を受けている中小・小規模事業者の方々への新たな給付金制度については、その金額や対象を含め具体的な制度設計を急いでまいりますが、この困難を乗り越えていただき、事業を継続していただくために必要な額をできるだけ早期に提供したいと考えております。
既に中止したイベント等に対する損失の補償については、政府として、様々な事業活動の中で発生する民間事業者や個人の方々の個別の損失を直接補償することは困難であることから、感染拡大により影響を受けた方々には雇用や事業の継続を最優先にあらゆる手だてを講じているところですが、今後、感染拡大が抑制された段階を見据え、今回、特に影響の大きいイベント産業の振興等についても対策を講じていく考えです。
また、税や社会保険料についても、原則一年間は納付を猶予し、延滞金も免除、軽減措置を講じているところであり、今後、更に制度的対応も検討してまいります。さらに、公共料金の猶予についても柔軟な対応をするよう事業者に要請しています。
資金繰り支援については、日本政策金融公庫を通じた実質無利子、無担保の融資など強力な支援を行っており、既に八万件の申込みがなされているところです。この無利子融資を民間金融機関でも受けられるようにいたします。同時に、日本政策投資銀行等による危機対応業務を発動しています。
また、各担当大臣から官民への金融機関に対し返済猶予等の条件変更への柔軟な対応を求める要請を行っており、さらに、銀行法等に基づく報告徴求命令などの法令上の措置も講じたところでありますが、条件変更した際の債権区分については、民間金融機関における判断を尊重することとしております。
その上で、感染拡大が抑制された段階においても、甚大な影響を受けている旅行、運輸、外食、イベントなどにフォーカスを当てて、短期集中で大胆な需要喚起策を講じるなど、大変な状況にある方々に直接手が届く効果的な支援策を実施していくことで日本経済をV字回復させてまいります。(拍手)
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