山下芳生の発言 (本会議)
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○山下芳生君 日本共産党を代表して、第二次補正予算案について安倍総理に質問します。
まず、予備費の問題です。
十兆円もの巨額の予備費は、憲法に定める財政民主主義をじゅうりんするものです。巨額の血税の使い道を政府に白紙委任することなどできません。
国民の批判が高まる中、政府は予備費十兆円のうち五兆円について、雇用維持や生活支援に一兆円、事業継続に二兆円、医療提供体制に二兆円と、大まかな使途に言及しました。ならば、総理、政府・与党の責任で明確に予算化し、国会で修正すればよいではありませんか。答弁を求めます。
緊急事態宣言は解除されましたが、北九州市や東京都での新規感染者の拡大に見られるように、ウイルスによる市中感染は続いており、第二波へのしっかりした備えが必要です。
まず、検査について伺います。
広島、岩手、愛知など十八道県の知事が、感染拡大を防止しながら経済社会活動を正常化する緊急提言を発表しました。そこでは、これまでの受動的な検査から積極的感染拡大防止戦略への転換が提起されています。そのために、PCR検査の能力を現在の二万件から十万ないし二十万件に引き上げるべきとしています。極めて積極的で合理的な提案です。
総理、第二波に備え、発熱など強い症状がある人だけを対象としてきたこれまでのやり方と発想を転換し、一つ、感染が疑われる人、ごく軽症を含む有症者と全ての濃厚接触者を速やかに検査する、二つ、医療・介護・福祉従事者と入院患者、入所者への検査を積極的に行う、三つ、感染の広がりを把握する抗体検査を広く行う、この三つの柱で検査を進めることが重要だと考えますが、いかがですか。
日本医師会の有識者会議は、PCR検査が進まなかった最大の理由は、国から財源が全く投下されていないことだと指摘し、PCR検査センターの設置、維持に必要な予算を四千六百九十四億円と試算しています。ところが、本補正予算案ではPCR検査体制の整備は三百六十六億円にすぎず、一桁足りません。総理、数千億円規模の予算を確保すべきではありませんか。
第二波に備え、今の時期に医療体制を確立することも喫緊の課題となっています。
日本病院会など三団体の調査によれば、コロナ患者を受け入れた病院は四月は平均一億円の赤字であり、受入れに協力した病院ほど経営が大変になると苦悩する声が上がっています。一方、直接コロナ患者に対応していない病院、診療所でも、大規模な受診抑制によって経営危機が深刻化しています。
総理、この両者は役割を分担し日本の医療を支えています。コロナ対応の医療機関への一・二兆円の財政支援が速やかに現場に届くようにするとともに、財政支援の全くない通常の医療を担う診療所、病院への減収補償が必要ではありませんか。答弁を求めます。
コロナ危機の長期化に伴い、雇用の危機が深刻化しています。既に非正規雇用は百万人近く減少しています。ホテル、旅館業、飲食業などを中心に、コロナ関連の倒産も二百件を超え、急増しています。さらに、自動車、電機など大企業製造業の減産計画が相次いで発表されています。まさに、リーマン・ショック時を上回る雇用危機が始まろうとしているのです。
総理、雇用危機を回避し、人々の暮らしを守ることは政治の最大の使命だと考えますが、総理にその認識はありますか。
雇用と暮らしの危機を回避するために、二点提起します。
第一に、失業、倒産、廃業を起こさないことです。本補正予算案には、雇用調整助成金の上限額引上げを始め、国民の声、野党の要求を反映した一連の施策が盛り込まれています。しかし、支援が現場に届くのが遅れに遅れ、その間に失業、倒産が増え続けています。総理はこの事態をどう反省し、どう解決するつもりですか。
失業者を出さないための雇用調整助成金は、現在、相談件数五十万件に対し支給は五万件。六百万人に上る休業者のうち、助成金が支給されたのは数十万人にとどまると推定されます。これ以上遅れるなら、六百万人の休業者の多くが失業者になる危険があります。緊急に、雇用調整助成金を事前審査から事後チェックに切り替え、支給を迅速化すべきです。
さらに、中小企業や個人事業主の事業継続を支援することも大事です。持続化給付金の申請を簡易にし、窓口での相談体制を強化すること、家賃補助は、五月以降ではなく、三月以降一か月でも売上げが三割減少した事業者へと対象を拡大することが必要です。以上、総理の答弁を求めます。
第二に、住まいを確保することです。今、雇用の喪失が住まいの喪失に直結する事態が広がりつつあります。つい最近まで普通に暮らしていた人が、コロナ禍の下で収入が激減し、住宅ローンや家賃を支払うことができず、住居を失うことになってしまうケースが増えています。住居を失うことは、即、命の危機にもなります。総理、この住居喪失クライシスともいうべき事態を一刻も放置できないのではありませんか。
こういうときに重要な役割を果たすのが、最後のセーフティーネットである生活保護制度です。リーマン・ショック時には、派遣切りされた、そして住居も失った若い労働者が生活保護を活用して衣食住を確保し、その間に自らのスキルを磨き、劣悪な雇用から抜け出したケースがありました。
総理、生活保護の申請があれば、すぐに決定すべきです。窓口で追い返す水際作戦など言語道断です。さらに、安い物件が不足し生活保護でも住まいを確保できない事態を解決するために、住宅扶助を引き上げること、災害時同様、民間住宅を借り上げることも急務だと考えますが、いかがですか。
次に、学校再開に関わって質問します。
長期の休校による子供の学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスは大変深刻です。子供たちの心身のケアをしっかり行うことは、学びを進める上での前提になります。東日本大震災で深刻な被害に遭った地域の学校は、子供と教職員がつらい体験や思いを語り合うことで学校生活がスタートできたといいます。
子供たちの心身のケア、手厚く柔軟な教育、そして感染症対策のためにも学校の教職員やスタッフを思い切って増やし、二十人程度で授業ができるようにすることが必要です。
日本教育学会は、文科省のいう学びの保障を実現するためには十万人の教員増が必要だと提案しています。ところが、本補正予算案で盛り込まれた教員増は三千百人、全国の小中学校の十校に一人で、焼け石に水と言わねばなりません。総理、今こそ十万人の教員を増やし、子供たちの学び、心身のケア、安全を政治の責任で保障すべきではありませんか。答弁を求めます。
この間、演劇、音楽、映画の公演のほとんど全てが中止、延期となりました。文化芸術団体にとってその打撃と負担は余りにも大きく、このままでは創造活動を続けることが極めて困難となっています。
文化芸術基本法には、文化芸術の役割が今後においても変わることなく、心豊かな活力ある社会の形成にとって極めて重要な意義を持ち続けるとあります。さらに、文化振興のために国が支援することもうたわれています。
政府は五百億円規模の支援を決めましたが、自粛要請による損失は三千三百億円に上ります。ミニシアター、ライブハウスなどにも対象を広げ、額を大幅に増やすべきです。総理、文化芸術の灯を絶やさないために、国が数千億円規模の拠出を行って文化芸術復興基金を創設すべきではありませんか。
総理の見解を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕