篠原孝の発言 (農林水産委員会)

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○篠原(孝)委員 民間にやっちゃいけないと言っているんじゃないんです。やっていただいていいんです。だけれども、民間に任せるところと国が責任を持ってやるべきところがあると思うんです。
 またさっきの四ページ目の登録件数の推移の表をちょっと見てください。圧倒的に登録件数が多いのはどこかというと、草花なんですね。それから観賞樹。外国は、このもうけの種、花ですよ。花や食料安全保障に直接影響がないもの、そういうところは例えば民間にどんどんやってもらっていいんですね。
 ところが、一番上の食用作物、少ないですよね、そんなにもうけにならない。これもよくないことかもしれません、ある程度日本人はおいしい米を求めるからしようがないですけれども、多収穫米よりも食味がいいのを、どこの試験場も、県の試験場もそっちに走っているということです。それはしようがないと思いますけれども、食料安全保障のことを考えたら多収穫米も必要だ。
 皆さん、農業新聞を読んでおられると思います。一週間ぐらい前のところに、中国が十アール当たり二・三トンの多収穫米に二期作で成功したと書いてありました。それは、国を挙げてハイブリッドの父と言われる研究者にお金を出してやっているからなんです。日本にはそういう姿勢が見られないんですね。これは僕は非常によくないことだと思います。
 民間、民間といいますけれども、僕はこの仕事に、ちょっとずつですが、農林水産省で三十年間携わったことがあるんです。
 まず、一九七八年に種苗法ができたときに、松延洋平さんという元気のいい人がおられまして、種苗法をつくるんだとやっていました。私は、わけがわからなかったですけれども、アメリカの留学から帰ったばかりで、それを手伝いました。
 それから、技術会議の研究総務官というときに、僕は筑波の研究者の考え方にほれぼれしたんです。
 どういうことかというと、そのときに、職務開発品種というので、それを登録して、お金をもうけなくちゃいけない、独立行政法人化するんだと。種苗法で登録して、お金をもうけて、そしてそれを次の研究に役立てなくちゃと。国がみんな出していたんです。私は、こんな研究ぐらいはお金を国が出してもいいと思います。そう言っていると言ったら、財務省の主査が、だから農業関係者はみんな経営感覚がないんだ、金銭感覚がないんだと言いました。僕は怒りました。
 どうしてその研究者がそう言っているかというと、自分の研究開発、品種改良をした種、好きな研究をさせてもらってでき上がったこの種は一日も早くみんなに使ってほしい、それが願いだ、役立ててほしいと。それでお金をどうこうというのは、国が日本のために、あるいは世界だっていいと言ったんです、使ってもらいたいんだと。立派な研究者だと思います。
 特許の世界で、皆さん覚えておられると思います、何という会社か忘れましたけれども、中村修二さんという、中村ダイオードですね、LEDで。自分にも特許料をよこせという、大燃えに燃えたのがあります。
 それから、美しい話では、大村智教授の、北里大学の先生で、イベルメクチンでメルク社と提携して、あちらは特許料がいっぱい入ってくる、それでもって北里大学の研究費を捻出し、病院までつくり、地元に美術館まで寄附しているという人がいます。しかし、その人たちも、自分のお金で云々じゃなくて、大村さんの感動的な言葉ですよ、私は微生物の力をかりただけだと。それでやって、全部社会に貢献している。
 研究者なり品種改良をした人たちは、そういう公徳心を持つべきだと思います。だからといって、研究費が事欠いたりするのはいけないし、フリーライダーを許していいとは言っていませんけれども、どこか感覚がずれているんじゃないかと思うんです、私は。
 民間企業に、民間企業に。明治時代じゃないんですよ。明治時代に官の民間への払下げで、政商というのは日本史でも習われているけれども、今はそういう時代ですか。放っておいたって、民間はもうけたり、草花や観賞樹についてどんどん研究開発をしますよ。しかし、国の根幹、食料安全保障に必須な米とか麦とか大豆だとかには国がやっていいはずですし、国しかやっちゃいけないというふうにしたっていいぐらいだと私は思います。そんなものを民間にやらせていったら、二倍、三倍の種代を払わされるんじゃないかと思います。
 一番最初の表を見ていただきたいんですが、どういうふうになっているか、よく頭の中を整理していただきたいと思います。種苗の現行法と改正法、それから国際条約との比較です。
 農業者の権利と育成者の権利。誤解しないように。私は育成者の権利はどうでもいいなんて一言も言っていないです、守るべきだと思います。だからといって、その反対でもって農家の首を絞めることがあってはならない。
 現行の種苗法は、一定の場合を除き育成者の許諾を必要としないんです。当然だと思います。先人は賢いです。農林水産省の先輩は賢かったんです。私もその中に含まれると思いますけれどもね。しかし、自家増殖に許諾が必要になってくるんです。
 国際条約はどうか。完全に日本の流れは世界の流れからずれているんです。
 UPOV、これは一番の原則の条約です。原則として許諾を必要とする、しかし、農業者の自家増殖を育成者の正当な利益を保護していれば認めるんだと言っているんですよ。どこも柔軟なんですね。
 それに対して、ITPGR、食料・農業植物遺伝資源条約、これに日本も加盟しています。そこは、農業者の権利を保護、促進すべきだと。それからその下、線を引っ張ってありますが、種子、繁殖性素材を国内法に従って適切な場合、保存、利用、交換、販売する権利を制限しないという。
 そして、小農の権利宣言、日本は棄権しているんですよね。ずれていると思うんです、こういうところは。種子への権利を有する、それから、小農と農村で働く人々の権利、ニーズ、現実を尊重し、それらを踏まえたものにする、種子政策を。
 国連は、家族農業年、協同組合年と。みんな協同に、お金、お金、お金というんじゃなくて、協同でもってやっていく、家族が大事だ、小農が大事だというふうに言っているのに、日本は小農を切り捨て大規模へと変えてきた。これも誤解しないでいただきたいが、大規模化が悪いなんて言っていないんです。いいんだけれども、だからといって小農を切り捨てるようなことをしてはいけない。EUも、どの国も、世界も、小農をちゃんと保護するという方にやっていっているんですよ。
 この法律は、そういう点では非常に偏った法律になっていると思うんですけれども、大臣、そうは思われませんか。農家に対する思いが感じられないんです。

発言情報

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発言者: 篠原孝

speaker_id: 13215

日付: 2020-11-12

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会