猪口邦子の発言 (環境委員会)
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○猪口邦子君 ありがとうございました。
それでは次に、私は、環境問題を突破するための科学者の役割ということを質問してまいりたいと思います。
また、企業の取組、日本は非常に上手にやってきておりまして、私は、企業内の科学者、これは女性科学者も含めますけれども、応援して、またその地位を高めていく、そういうサポートが必要ではないかと考えます。
日本は今まで上手にやってきているということの指標はいろいろあるんですけれども、例えば、企業の気候変動への取組情報を開示する枠組み、こういうのがありまして、これはTCFDと呼ばれます。タスクフォース・オン・クライメートリレーテッド・ファイナンシャル・ディスクロージャー。こういうことをやるには、内部の技術者、科学者の水準が良くなければできない。このTCFD世界ランキング、日本は一位なんですよ。やっぱりすごいと思います。
それからもう一つ、例えばSBTという指標がありまして、サイエンス・ベースド・ターゲッツ、これは企業に科学的な中期目標の設定、今、国の方ではどういう途中経過の計画があるかということを聞いたわけですけれども、企業もこういう科学的な中期目標の設定を促す、そういう取組。この国別認定企業数のランキングというのがありまして、これで日本は二位なんですね。一位はアメリカ、三位は英国。先ほどのTCFDでは、二位がアメリカ、三位が英国。
つまり、今考えますと、アメリカ、日本、イギリスで大体こういうトップのランキングを全部占有していると、今後もこういうことが大丈夫かということを大臣に特にお伺いしたいんです。というのは、日本は企業内科学者、十分なその能力を発揮するチャンスがあるのかどうか。科学者は二重の意味で大事です。
一つは、この技術突破力で何としても、この環境問題のキーソリューションを提供するのは彼らだと思います。日本の強い分野もありまして、再生エネルギー系もそうです。また、例えば洋上風力でも浮体式のこの洋上風力発電の技術、日本が先行していますね。電気自動車、その他先行していてもすぐ抜かれちゃうというような分野もありますけれども、企業内のその突破力、企業内科学者による突破力、大事です。
それから、もう一つ大事な点があります。それは、やっぱり科学者はいろんな仮説を立てて、それを世界で連携できる人と力を合わせて世論形成をする力を持っているということなんです。そういう科学者の政策形成影響力、これにもう少し日本は注目する必要があります。
ちょっと古いんですけれども、ちょっと古典的な例を話しますと、オゾン層が破壊されて、原因がフロンガスであると、一九八〇年代、九〇年代は大変なことになりました。そのとき、国際政治ではやった言葉がありまして、それはエピステミックコミュニティー、認識共同体という言葉です。つまり、オゾン層がそもそも破壊されている、本当か、それから原因がフロンガスである、そんなことはないだろう、そういうふうに思うのが大半の考えであるにもかかわらず、いや、この仮説は正しいと思う人たち。それは、発見した人、科学者たち、大学のそういう人たち、企業の中の科学者たち、国際機関の公務員たち、あるいは各国の政府の中の公務員たちも、もしかしてそうかもしれないと。そうやってつながっていく認識の共同体、見えざる共同体、これがエピステミックコミュニティーというものなんです。
そういうのはよくある話だしということではあるんですけど、この人たちが実際に大きな流れをつくって、このオゾン層破壊が疑われるフロンガス全廃条約の議定書ですね、モントリオール議定書と呼ばれる有名なものなんですけれども、これを、万人の予想を超えて一気にこれを成立させる力を持ったと。
当時の大半の大国の政府は、お互いの政府代表を説得しようと、いや、そんなことはないでしょうという感じでですね。でも、その根回しする相手がちょっと非常に限定されていて、もっと広くこのエピステミックコミュニティー、認識共同体を構成するそういう科学者、あるいは場合によってはNGOのヘッドたち、そういうところにも働きかけていかなければならない。
そういうふうなことを考えると、日本におきます企業内のそういう科学者たちの考え、彼らが持っている今の仮説、もっと丁寧に聞き取って、またその努力を励まし、そして政治の勢いを活用できるところはそれをつなげていくということが大事だと思うんですけれども、小泉大臣のお考えを伺いたいです。