坂元昇の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(坂元昇君) 川崎市健康福祉局医務監の坂元昇でございます。この度、当審議会にお呼びいただきまして、誠に光栄に存じます。
 以下からは、お手元の資料に従って御説明さしてまいりたいと思います。資料左の上に資料番号が振ってございます。
 資料二と三には、二〇〇九年の新型インフルエンザ流行に際して、国は国民を対象とした接種計画を策定いたしました。接種の理由として、国民の大多数に免疫がないことと基礎疾患のある方が重症化する可能性があることを指摘した上で、接種目的として、死亡者や重症者を減らし、医療機関の混乱を防ぐことにあるとしております。それに従って、資料四と五にありますように、接種対象者の明確化、そのタイムスケジュール等が示されております。
 しかし、新型インフルエンザと今回の新型コロナウイルスとはいろいろな面で異なるものはありますが、多数の住民が予防接種を受けるという基本的な理念において差はないと思います。このときの教訓をしっかり生かし、副反応の問題も含めて国民に接種の目的と意義を明確に伝える必要があるということだと思います。
 資料六にありますように、この二〇〇九年の接種では、川崎市では一日最高千六百件という問合せの数などから、事前には接種者が、接種希望者が多いことが想定されましたが、資料七の報道記事にありますように、実際には感染症が軽症で済んだことなどから、接種希望者が予想外に少なく、残念ながら大量のワクチンが廃棄されております。
 八にお示ししておりますように、これから説明させていただく資料の多くは、平成二十六年の厚生科学研究班による新型インフルエンザ等発生時における予防接種の円滑な実施に関する研究を参考に、川崎市民全員に予防接種を実施することを想定したシミュレーションであります。今後、これを新型コロナワクチンの特性に合わせて修正してまいりたいと思っております。なお、令和二年九月現在の市の人口は百五十四万と増えております。
 資料九では、資料四の二〇〇九年の国のインフルエンザ予防接種の計画を参照し、川崎市における接種人口、背景別にまとめたものです。この中で、特に基礎疾患につきましては、市町村にとって基礎疾患の把握は難しく、基礎疾患があっても必ずしもかかりつけ医がいるとは限りません。
 資料十では、川崎市における接種体制の分類を示しており、第一に妊婦や乳幼児などかかりつけ医での個別接種方式、第二に学校や高齢者施設などで行う施設集団接種方式、そして第三は体育館などの臨時接種会場での方式と約六百の医療機関での接種方式を合わせた地域集団接種方式の三つの接種体制を想定しております。第三の地域集団接種方式は、最も多い百十二万人を対象としております。
 資料十一には、市内七十八か所程度の臨時接種会場での接種方式を、資料十二には、約六百の医療機関での接種方式をそれぞれお示ししております。しかし、大都市圏での臨時接種会場での接種方式は、医療資源や事務職員の投入などの効率性に難点がございます。一方、資料十二の六百の医療機関での接種方式は、最低でも週に十時間以上の接種業務への対応が求められます。ただし、今回は、接種予定のワクチンの中にはドライアイスなどでの保存が必要で、千人が最小パッケージであるものはあることから、配送や医療機関へのドライアイス供給など工夫が必要になると思われます。計算上では百十二万人の接種において一医療機関一日平均三時間から四時間を接種に割いていただく必要があるため、六百の医療機関の集約、連携体制を考えてまいりたいと思います。また、ワクチン流通や在庫管理など、通称Vシステムと呼ばれているオンラインで行うことから、オンライン操作が可能な医療機関での集約も必要かと思います。また、市町村の予防接種台帳との関連付けも必要かと思います。
 資料十三には、新型インフルエンザ発生時に学校や高齢者施設などにおける施設集団接種を行う場合の想定を示しております。派遣する医師や看護師等の調整が必要になります。また、問題としては、在宅介護を受けている方への訪問接種についても、医師の指示による訪問看護師による接種の検討も必要かもしれません。
 資料十四には、新型インフルエンザ等での接種の課題がまとめられておりますが、新型コロナウイルスに共通するところは多いと考えております。
 特に、資料十五には、川崎市における一年間の転出入をお示ししたものです。接種券の配付に当たっては、このようなことも考慮に入れる必要があります。さらに、越境通勤通学の接種の確保についても検討が必要だと思います。重要なことは、住民が受けやすく分かりやすい、しかも柔軟性があり、さらに医療従事者や市町村の負担軽減につながる接種の工夫が必要であると考えております。
 資料十六では、モデル臨時接種会場のレイアウト、資料十七は、内閣官房、厚生労働省、そして川崎市共同で行った実際の訓練風景であります。写真にありますように、気分が悪くなったりする接種者の対応に取られる時間も想定する必要があります。ビデオ撮影をすることで、その接種の流れの課題などを繰り返し分析する必要もあります。
 最後に、資料十八には、国、県、市町村の連携の重要性について、課題について実例をお示しいたしました。二〇一一年春頃より、生ポリオワクチンが危険であるとの情報がSNS等で拡散し、その結果、接種率が著しく低下しました。近隣のポリオ流行国からポリオが入り込む危険性のレベルまで集団接種率が下がったことを懸念する専門家もおりました。この危機状態を打開するために、神奈川県は国内未承認の不活化ワクチンを海外から医師の個人輸入という形で輸入し、県立病院等で接種を開始しました。
 しかし、国においても近隣国でのポリオの発生状況を勘案しながら不活化ワクチンの導入の検討を考えておりましたが、予防接種法の改正が必要なことから、法による接種主体の市町村としては従来どおり生ワクチンの接種を続けるという義務が生じておりました。このことが住民に混乱を起こさせ、市町村に多くの住民から不安や苦情が寄せられることになりました。このことは予防接種における国、県、市町村の密接な連携の大切さを我々に教えるものとなりました。今回のコロナワクチンの接種でも、この教訓が生かせればと思っております。
 最後に、速やかにワクチンが行き渡る流通システムの構築、住民とのリスクコミュニケーションの確立、副反応も含めた情報公開、そして納得の上での接種率の向上が必要であると思います。さらに、サービスとして、ワクチン接種の英文での証明発行もあるかと思います。
 また、今回のような特別な場合には、副作用、副反応、効果など積極的把握のため、メーカーが法によって実施が義務付けられております接種開始後半年間の副作用等の積極的収集が可能な市販直後調査へ行政機関の積極的な協力、応援が必要ではないかというふうに考えております。また、これとVシステムのオンライン化のリンクが必要ではないかと思っております。
 そして、最後に重要なのは、国、県、市町村の協力の下、今まで御説明してまいりましたような住民全員を想定した安全な予防接種体制を一日も早く市町村が構築し、そのため、できるだけ早い段階で医療関係者との協議を開始し、さらに人員や会場の確保に向けた予算の策定についても早急に進める必要があります。
 つまり、法的根拠は市町村にとって不可欠な問題であります。市民の健康を守るためにも、今回の予防接種法の改正が一日も早く実現することを切に期待するものであります。
 資料十九には、まとめを掲載させていただきました。
 以上でございます。ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 坂元昇

speaker_id: 18518

日付: 2020-11-26

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会