隈本邦彦の発言 (厚生労働委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(隈本邦彦君) よろしくお願いします。
元NHK記者で、現在、江戸川大学の教員をしております隈本と申します。薬害防止のためのNGO、薬害オンブズパースン会議のメンバーでもあります。
資料に、後半に付けました縦長の方ですが、私どもの意見書と、それから私自身、NHKの社会部厚生省担当記者時代に、実際にワクチン薬害の取材をしております。そして、今多くの薬害被害者の方と薬害根絶のための活動をしております。そうした経験を基に意見を述べさせていただきます。
資料の二ページ目を御覧ください。
結論から申し上げますと、改正法律案で接種勧奨と努力義務の設定、そして損失補償契約には反対の意見を持っております。
次をめくってください。
接種勧奨と努力義務を課す前提として、そのワクチンには高い有効性と安全性がなければなりません。現状でそれが確認できるのか、それを私としては疑問に持っております。
次をめくってください。
まず、有効性についてですが、もう先生方は御存じで、釈迦に説法かもしれませんが、薬の臨床試験、承認を受けるための臨床試験、つまり治験には五つのツーがあると言われています。御覧のとおりの五つのツーです。それに照らすと、安全性より前にまず有効性に関してですね。
次のページをめくってください。
治験の有効性の確認の限界は、やはりツーフュー、ツーブリーフがあると思います。ワクチンの治験は多くても数万人ですが、国民の大多数に打たれるとなると数千万人ですから、ツーフューです。それから、治験の観察期間が短過ぎです。今話題となっているファイザーとかモデルナのワクチンの治験でも、有効性の判定は治験が始まってから五週間から六週間で行われています。私たちが最も知りたい重症化予防効果や致死率を下げる効果の確認も難しいし、そもそもその長期間にわたる感染予防効果がどれだけあるのか治験では分からないというのは皆さん御存じのとおりです。
もちろん、意見書に書きましたように、治験は厳密にやっていただきたいんですけれども、とにかく、新しいワクチンというのは多くの国民が打つようになってから本当の実力が分かってくるというものだと言うこともできます。はしかのワクチンとかポリオのワクチンは長年の経験でその実力が証明されてきているというふうに私たちは感じています。
このことは、専門家は御存じですけれども、国民の多くはどうでしょうか。もし政府の審議会が承認したら、ああ、これはいいワクチンなんだろうといって打ってしまうということにならないでしょうか。特に、新型コロナウイルスはRNAウイルスで変異しやすいとか、再感染の可能性なども指摘されています。新型コロナワクチンの本当の実力は治験の段階では分からないと考える方がいいのではないでしょうか。
次のページを御覧ください。
安全性の確認についても、治験にはツーフュー、ツーナローの限界があると思います。数千万人の国民が打つわけですから、治験では対象でなかった子供とか大変高齢な方、特異体質の方も受けると思います。ワクチンは元々、人の免疫を人為的に操作するものです。ですから、まれにギラン・バレ症候群など自己免疫疾患が発症することもあります。
日本脳炎ワクチンで実際にあったことですが、自己免疫疾患の急性散在性脳脊髄炎、ADEMの発生で、五年間にわたって積極的勧奨が中止されたことがあります。新型コロナワクチンには、ウイルスの遺伝情報を人の体内に入れるというこれまでにない作り方をするものもありますので、国民の大多数に接種されたときにこれまでにない何かの病気が出るということは十分考えられるのではないでしょうか。
次のページを御覧ください。
では、市販後の安全対策はどうかということですが、我が国では、副反応疑い報告をワクチンメーカーと医療機関が受け付けるという受動的なシステムしかありません。しかも、このような自発報告には、その時点で医学的に診断名が確立している病気しか報告されないという限界がありますから、新しいワクチンの新しい副作用は見付かりにくいと考えられます。
一つの重要な実例が、私自身が取材をした新三種混合ワクチン、MMRワクチンの無菌性髄膜炎です。
接種十四日後をピークに入院が必要なほどの髄膜炎を起こすという重篤な副反応があったんですが、平成元年に定期接種化された後、六十万人ほどに打たれても、その報告は六件しか上がってきませんでした。十万人に一人です。これは、その当時、ワクチンで無菌性髄膜炎はまず起きないというのが医学的常識だったことと、接種後十四日もたって発熱をするので、親御さんからすれば、二週間前に打ったワクチンが原因かもと想起することができなかったためです。
しかし、NHKのニュースでこの副反応の報道が、副反応の存在が報道されると、十万人に一人だったのがすぐに数千人に一人という頻度になりました。そしてさらに、厚生省が通知を出しまして翌年一年間調べると、実に七百人に一人という非常に高率な副反応が起きていることが分かりました。
次のページを御覧ください。
そして、このワクチンでは、接種したお子さんの同居の姉にうつってしまって病気が発生するという二次感染事例が起きまして、ついにMMRワクチンは接種見合せということになりました。実は、この二次感染事例も、二年後に学会発表がニュースになるまで当局への報告はありませんでした。この事実から、自発報告だけに頼る安全対策がいかに脆弱かということが分かります。しかも、情報は国民に適切に提供されませんでした。
次のページを御覧ください。
このワクチンが重篤副反応頻度が七百分の一と極めて高いということが分かった九一年、当時の厚生省は予防接種委員会の秘密会を開いていました。この資料は、数年前、私のゼミの学生が薬害被害者とともに行った情報公開請求で出てきた議事録です。
次の十ページを御覧ください。
この議事録の最後のところ、委員が小児科学会が四月にあるがどこまで言っていいかと聞いたのに対して、担当者が対外的にはこの委員会は開催されていないことになっていますと答え、七百分の一の頻度について言っていいかという質問には、それも一切公表していませんと答える生々しいやり取りです。この数値はこうして国民に伝えられませんでした。実は、この時期に二次感染が起きていたんです。しかし、そのことはメーカーからも報告されないし、その見付けた医師からも報告されていませんでした。
次の十一ページを御覧ください。
副反応疑い報告からシグナルを見付け出したときには、適切な疫学調査をして能動的に調べることが必要です。しかし、残念ながら、我が国にはそれを専門に行う常設の研究機関はありません。そこで、厚生省の、厚労省の研究班がつくられるわけですが、あくまで非常勤の、しかも厚労省が選んだメンバーですから、私の知る限り、安全対策の問題点を厳しく指摘する結果が出たことはありません。
次のページから、一例として、子宮頸がん予防ワクチンと言われたHPVワクチンの接種後の多様な症状について調べた厚生労働省研究班のデータをお示しします。この研究班では、難病の発生頻度を調べる手法を使って、決められた半年間に多様な症状で学校に行けなくなったりした若い患者がいるかどうかを調べ、その人たちの接種歴を調べました。
次のページがその結果の一部ですが、赤枠で囲った接種歴ありの人、青い棒グラフが多くなっています。このワクチンの副反応に典型的に見られる光過敏、脱力発作、そして次のページを見てください、月経異常、認知機能障害などが接種者に多くなっています。
次のページを御覧ください。
この認知機能障害ですが、全ての項目において二十五か月以上続いている人もいるというのがこの調査班の結果なんです。ところが、そして次のページ、これ十六ページには折れ線グラフがありますが、これ実は症状の数なんですね。右端、十個以上の症状がある人は一五・六%と、接種者の方が多いんです。三倍多いんです。しかし、研究班の結論は次のようなものでした。
次のページを御覧ください。
多様な症状のある人は接種していない人にも一定数存在したというものです。元々多様な症状のある人を選んで調べているんですから、一定数いるのは当たり前です。その頻度が三倍高かったことについて、研究班長は、いろんなバイアスがあるので統計的に有意かどうかは調べなかったと説明しています。そして、その最後の結論だけがメディアで報道されました。それが現状です。
次の十八ページを御覧ください。次のページを御覧ください。
ワクチン安全対策の方向性を決める副反応検討部会も新型コロナワクチンに対応できるのか、疑問を持っています。現状では、数か月に一回開かれる会議に、それまでに集まった副反応疑い報告が事務方から一覧表を基に説明され、短時間で次々と審議されています。各症例のカルテや検査データなどは検討されません。私は常々、この検討部会に薬害被害者や市民代表などワクチンを受ける側で安全性に積極的にチェックしたいという立場の人が入っていないことに疑問を持っています。その一方で、ワクチンメーカーとの利益相反のある研究者が複数入っています。
次の十九ページを御覧ください。
国民には自己決定権があります。最終的には確かなデータを見た上で打つかどうかを決める権利、インフォームド・コンセントの権利があるはずです。しかし、脆弱な情報収集体制でそれが可能でしょうか。そして、法律で接種勧奨、努力義務が決まると、医療福祉関係者、接客業の人たちが、職場の圧力の下、意に反して打たざるを得ないということにならないでしょうか。
損失補償契約については、実はメーカーの不正などがあっても補償するのかとか国会の承認がなくてもいいのかという疑問はあるんですが、時間がありませんので割愛します。
この資料、二枚めくっていただいて、まとめ、最後のまとめを御覧ください。
MMRワクチンをめぐる裁判では国は敗訴していますが、その教訓がその後の安全対策に十分生かされているとは思えません。二〇〇九年にはHPVワクチン、遺伝子組換えの技術を使って、自然感染の十倍以上のレベルの抗体をもう何十年にわたって粘膜にしみ出させて感染を制御するという全く新しいタイプのワクチンが登場し、厚労省の資料でも、十万人に五十二人というほかのワクチンに比べて高い頻度で重篤副反応が報告されています。ところが、その被害を訴えた人の多くはこれまでにない症状だということで因果関係を認めてもらえず、適切な治療が受けられていないというのが現状です。
次が最後のスライドです。
サリドマイド、スモンなど、過去の薬害の歴史を見ても、何か症状を訴えても最初は必ずその薬との因果関係が否定されています。そして、その被害が拡大した後にようやく対策が取られるという経過をたどっています。そうした歴史に照らし合わせると、今回の法律案の接種勧奨と努力義務、そして損失補償契約は拙速ではないかというふうに私は考えています。
以上です。