黒田東彦の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。
 海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直しています。先行きも改善を続けると見ていますが、新型コロナウイルス感染症の影響が残る下で、その動きは緩やかと予想されています。
 我が国経済も、感染症の影響から引き続き厳しい状態にありますが、経済活動が再開する下で、持ち直しています。輸出や鉱工業生産は、海外経済の動きを映じて、増加しています。個人消費は、飲食、宿泊等のサービス消費は依然として低水準となっていますが、全体として徐々に持ち直しています。一方、企業収益の悪化を背景に、設備投資は減少傾向にあります。先行きの我が国経済は、経済活動が再開し、感染症の影響が徐々に和らいでいく下で、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調をたどると見ています。もっとも、感染症への警戒感が残る中で、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられます。
 物価面を見ると、消費者物価の前年比は、感染症や既往の原油価格の下落、GoToトラベル事業の影響などにより、当面、マイナスで推移すると見られます。その後は、原油価格下落などの影響が剥落し、経済が改善する下で、消費者物価の前年比はプラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えています。
 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行では、感染症への対応として、金融緩和を強化しています。具体的には、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、潤沢な資金供給を通じた金融市場の安定確保、ETF等の積極的な買入れの三つの措置を講じています。こうした対応は、政府の施策や金融機関の積極的な取組とも相まって、効果を発揮しています。内外の金融市場は、なお神経質な状況ですが、ひところの緊張は緩和しています。企業の資金繰りには厳しさが見られますが、CP、社債発行や銀行借入れといった外部資金の調達環境は、緩和的な状態が維持されています。
 もっとも、先行きの経済・物価見通しは、不確実性が高く、下振れリスクが大きいと認識しています。世界的に感染拡大が収まっておらず、感染症の帰趨やそれが内外経済に及ぼす影響については大きな不透明感があります。また、感染症の影響が収束するまで、成長期待は大きく低下せず、金融システムの安定性が維持されると考えていますが、これらの点にも不確実性があります。さらに、やや長い目で見た金融面のリスクとしては、低金利の長期化や人口減少などの従来からの環境に加え、今般の感染症の影響もあって、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうおそれがあります。一方、こうした環境の下では、利回り追求行動などに起因して、金融システム面の脆弱性が高まる可能性もあります。現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、これらのリスクは大きくないと判断していますが、先行きの動向を注視していく必要があると考えています。
 こうした認識の下、日本銀行としては、引き続き、現在の金融緩和措置をしっかりと実施し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めてまいります。また、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる方針です。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 黒田東彦

speaker_id: 19167

日付: 2020-11-24

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会